| 大きな浴室を出て
二人の寝室へ向かう
ベッドの端に腰掛けて
ご主人様の髪を撫でさせて頂いて
私の肩に頭を預けて下さっている
ご主人様は
今日はまだ不安定で
私はゆっくりと
ご主人様を支えながら
押し倒した
ご主人様のバスローブの
前を解いて
私のバスローブを脱ぎ捨て
ご主人様の躯に重なる
何もかも忘れて
今だけは
ご主人様を
私の躯が覚えているから
それを
そのまま真似てみる
ご主人様の長い黒髪を掻き分けて
首筋から耳元へ舌を這わせる
『ぁん』
ご主人様から吐息が漏れる
まるで初めて聴くような
その甘い吐息は
たった一度で
私の理性をなくすのには充分だった
「ご主人様」
私は私の呼吸が
激しくなっていることにすら気付かずに
ご主人様を求めていった
首筋を舐め上げて
耳の裏を舐めて
耳朶を甘く噛む
ゴクッ
口の中の水分を全て飲み込み
舌先を細めて
耳の溝を辿る
意識しなくても
私の荒くなった呼吸は
ご主人様の耳元にかかって
『ぁん』
ご主人様の甘い吐息が
寝室の中で響いていた
(携帯)
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