| タケちゃんを抜かして
女3人がほろ酔いになった頃
タケちゃんが四季の煙草の量を注意した
そこから
タケちゃんは四季への不安と不満を言い始めた
静かに聞く四季と
全てを言い切らないような
でもちゃんとわかってほしいような
そんな言い方を四季に向ける
二人の姿を
なんの不思議もなく
恋人同士ならば普通のことと
少しこの二人のこうゆう姿を見れて嬉しく思った。
あぁ
すごい好きなんだなぁ と
私はタケちゃんの話を聞いていた
私は
タケちゃんに
四季は本当にタケちゃんが好きなんだよ と伝えたかった
最近酒に弱くなった四季は途中でグラグラしはじめて
眠そうだったので「ここで寝ればいいよ」と頭を膝に誘導した
四季が本当に寝たのかわからないうちに
タケちゃんは言い出さなかったことを話し始めた
不安をかかえて
でもグチグチ言いたくなくて
もどかしくて
イライラして
そんな姿をみて
あぁ
本当にまっすぐな人なんだと
本当に熱い思いのある人なんだと思っていた
でも
私は助言することを躊躇った
これは
この二人の
この恋人達の問題であり
私は 私がここで何かを言うことを許さなかった
一通りタケちゃんが吐き出すと
一息ついて
こんなだけどこいつが居てくれてありがたいと思っていると
ともさんに向かって言った。
深読みしなければ解らないこと言うともさん
時折深読みする余裕もなくタケちゃんは思いのたけをぶつけるのだろう
少しすっきりした顔をしたタケちゃんをみて
少し安心した
四季を「そろそろ帰るよ」と耳元で言う
タケちゃんとともさんは「揺り起こしていいよ。そうなったら全然起きないから」と笑って言った
でも低血圧だしなぁ と
なんだか起すのがもったいなくて
出来るだけ優しく起した。
起き上がった四季がグデグデで
初めてこんな酔ってる姿を見た と
内心すごく嬉しかった。
グデグデで立つのもやっとな四季をタケちゃんに任せ
会計を済ませた。
階段を降りるのもやっとな四季をタケちゃんが支え
その後ろを私が歩く
こいつ一人で立ててねぇよ と笑いながら
近くのコンビニに入った
四季があまりにグデグデすぎて迷惑になるので
タケちゃんと四季と私は外に出た
後ろから支えられてるのにまだグラグラして
初めて見る表情にも
二人の姿も
寒い寒いと嘆く四季に
この寒空のなか自分の上着を四季に着せるタケちゃんの姿
嬉しくて
愛しくて
四季を見つめると
四季がいきなり抱きついてきた
四季の眼差しには
なんだか想いが溢れているようで
幸せな気分になり
少し照れくさくなって笑ってしまった
ともさんが飲み物を買ってコンビニから出てくると
すぐ横にあるカラオケボックスに入った
そのボックスは狭くて
ともさん四季わたしで一列になって
私の前にタケちゃんが座り
L字になる
しかも四季はブーツを脱いで
タケちゃんは四季の足を自分の膝の上に乗せ
やっべぇ。狭いし動けねぇ
と私はちっちゃくなった
四季以外が歌って
時折四季を見ると
すごく優しい目で
寄り添いたいと思った
が
あいにく動けず
私はただ目で伝えるしかなかった
タケちゃんの歌声は少し高くて
優しい声だった
そんな歌声で歌う歌がものすごい古い曲ばかりで
しかも上手くて
アンバランスなはまりが
少しおかしくて
有る意味すごいと思った
私も負けじと古い曲を選曲し
ラブミーテンダーを歌った
何これカナふってねぇじゃん!!と少しあせりながら
悪い目を凝らして
わからないところはニュアンスで歌い
サビは想いをこめて歌った
あいらぶゆーだぞこんにゃろめ
と歌い終わった後に四季を見ると
何故だかみんなが拍手して
えぇー音痴だったのに何故?!
と疑問を抱いた
一時間ほどでカラオケを出てタクシーを拾った
四季とともさんが家の階段を上がると
階段の前でタケちゃんは飲み物の入ったビニール袋を私に渡し
「帰るね。今日はごめんね。」と少し気まずそうに言った
「ううん。全然いいよ。」
「入っちゃっていいよ。」
「うん。」
そう答えたけど私は最後まで見送りたかった
「今日はありがとう。」
「私こそ。気をつけてね。」
「本当に入っていいよ。」
「ううん。」
タケちゃんがバイクを走らせ
バイバイをして階段をあがった
無事に帰れるといいな
ドアを開けると二人はもう着替えてメイクを落としていた
「はえーな。」
「あれ?タケちゃんは?」
「帰ったよ。」
「そか。」
私も恐らく泣かないどろうとしてきたメイクを落とし、着替えた
歯を磨いて部屋に戻ると
「5分海貸して」
と四季が言うので
布団の上にいる喋り足りないともさんを残し
四季のベッドにもぐりこんだ
いつから箱は放たれたのかわからないが
四季の出した腕に
すんなりと潜り込み
腕枕で寄り添った
大きく毛布をかぶせ
見えるのは四季の顔と
部屋の光だった
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