| 探しているものが
見つかりそうだと思っていた
もう少し
もう少しでいい
あと少しなんだ
時間は容赦なく過ぎて行く
始発で帰ろうか
でも迷惑になったら…
四季を見つめた
その奥に答えがありそうな気がした
この瞳の中
あの場所と私を繋ぐものがあるかもしれないと
迫り来る時間の残酷さが
私を動かさない
「帰った方がいいと思う?
何か見つかりそうな気がするんだ」
そう投げかけると
静かに目を閉じ
四季は頷く
あぁ…
「お前にしか見つからないものがある。」
その瞳の奥にみたものは
ただの私の願望なのだろうか
もう一度
心の中で
静かに叫ぶ
ここに
お前の傍に居たい
慰めてほしい訳でも
ただ温もりがほしい訳でもない
その
瞳に
繋がる鍵があるかもしれない
でも
やはり私にしか見つからないものがあるのかもしれない
ここに居ては見つからないものが
「わかった。」
静かに立つ
無言で着替える
「送ってくる。」
そう四季がともさんに伝える
玄関で靴を履き終えると
ともさんが見送ってくれた
「ありがとう。またね。」
笑顔で言う
ごめんね が言えなかった
早足で歩く
いくつか交わす言葉は
終電の時間
これから待ち構えているものは
果たして何なのだろうか
「ありがとう。」
「ん。気をつけて。」
「ん。」
改札を通り
一度後ろを振り返る
四季は手を振った
私は一瞬手を振り
きびすを返し前へ進む
振り返らず
これから待ち構えているものに
向かうように
(携帯)
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