| 『だっ、誰??』
「動かないで、そのまま聞いて!!」
言われる通りにする。ていうか、ギュッて抱き締められたら動けないって…
私は動けないまま、黙っていた。何か言うのかと思っていたから、何も言わなかった。
どれくらいたったか分からないけど、しばらく沈黙が続いた。
ていうか、何も言わないのかこの子!?
このままの態勢はつらいもんがありますけど…
『え〜っと。誰かな??』
先に沈黙を破ったのは私だった。
『何か話したい事あるんでしょ??』
後ろをチラチラ見てみるが、顔が見えない。
「私…優貴……なの。」
?????
彼女の声は小さくて、ほとんど聞き取れなかった。
『ごめん、聞こえなかった。もう一回言って??』
抱き締めていた彼女の手が緩くなった。
誰なのか顔を見ようと向きを変える。
見えた顔は・・・!?
『ま、麻樹??』
・・・な、何で麻樹が私をギュッとしてんだ??
いや、嬉しくて仕方ないけど何で??
びっくりして、何がなんだか分からなかった。
麻樹は顔を上げ、私をじっと見つめてくる。
「優貴…私…」
麻樹が一体何を言ったのか、必死で聞き取ろうとした時だった。
『…っん!?』
やわらかいものが、私の唇に押しあてられていた。
・・・こっ、これってまさか!?
いや、まさかも何もそうだとしか言いようがない。
だって麻樹の顔がこんなに近くあるんだぞ!?
ま、麻樹が私にキスしてきた…。
(携帯)
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