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〜〜♪〜♪
翌朝、聞き慣れない着信音で目を覚ました。
この音は…歩美だ。
【おはようございます!昨日話してたお礼の件ですが、啓さんの自宅って何処らへんなんですか?】
ああ、この人はマジで弁当作る気なんだ…。
出会って間もない他人に住所を教えるなんて物騒だが、私の中で確かにまた会いたいと願っていることに気が付く。
返信には住所を添えて、送信した。
すぐにまた返信が。
内容は、明日からお弁当を作り届けます!という気合いの入ったもので、私は笑ってしまった。
君は、お弁当の宅配業者か?と。
もちろん、その日の大学で、ミカにあの時の女性が明日から弁当を作りに来ることを知らせた。
「なんか、すごい行動力の持ち主やね〜」
『ほんまにな。まさか承諾するなんて思わなかったよ』
「まぁいいんやない?食費も浮くだろうし」
『そんな問題ちゃうから』
「じゃあどんな問題よ?」
ミカは急に真面目な顔をする。
それはつまり…
私が歩美を意識しているから、訪ねられるとなるとどう接して良いか分からない。
なんて…言えるはずもない。
不謹慎にも、あの日の事件がきっかけで知り合えた事に感謝さえしているのだから。
『とにかく!困ってるんだから!』
それでも、時間は流れていくし、誰も私の気持ちをせき止める人もいなかった。
(携帯)
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