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■19149
/ ResNo.20)
Re[3]: ミュルティコロール 【25】 青のダルシー:あたしの十字架。
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□投稿者/ Ma⌒tan
一般♪(1回)-(2007/05/27(Sun) 17:19:22)
果歩さんが書く小説
大好きなんだけどな〜(´・ω・`)
私も待ってます!!☆★
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■20240
/ ResNo.21)
ミュルティコロール 【26】 イエロー:一口程度の思考
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□投稿者/ 果歩
一般♪(3回)-(2007/10/27(Sat) 21:53:48)
鯖の生姜煮の匂い。
白いご飯にね、とってもあうの。と、アサコが好んで求めた一つ。
匂いだけでご飯が食べられちゃうのよと、笑う。
時計を見ると、もう昼に届こうとしていた。
昨日のジャリジャリとした出来事が、まだ舌に残っている気がする。
好ましくない感情を味わったときに、私はアサコの「鯖の生姜煮が食べたいわジュンコさん。」を思い出すのだ。
ペットボトルを手にして、寝室に戻ると、まだアサコは夢にいた。
自分のせいで流れた赤いものや、自分のせいで刻まれた傷から逃げて、夢の中にいた。
アサコの名前が公に出てしまってはいけないと、私は何とかあの夜の場にいた人間全てに相応の対応を済ませ、最後に彼女を寝室に運んだ。
眠る前にアサコは言った。
「自分の意味って知ってる?」
そうしてシーツの冷温を怖そうに受け入れて、私の指を柔らかく引っ張って話す。
「お薬飲む?」
「ううん、いらない。ねえジュンコさん。自分の意味よ。」
「・・・。」
アサコは真っ赤になった眼で私を見て言った。
「アサコの意味は、アサコ以外の人しか、解らないの。」
「自分のことは自分が一番知ってるでしょ。」
アサコが指を解くと、私の胸に触れた。
「アサコは女優で、だから顔が知られてて、何処にいっても何か起きちゃうことなんて。」
ことなんて、知ってる。誰でも知ってる。と、アサコの指が私の胸に触れたまま、心臓を読んでいた。
「でも、アサコだけが知ってるアサコなんて、全然解んない。」
私は胸から彼女の手を外し、布団の中にしまった。
自分以外の誰かを、知り尽くせてしまったら。
嬉しくて怖いのかもしれない。
アサコが私の眼に映らなくなることを、アサコが知ることは、怖い。
けれども知らずにいることも怖い。
あと何十回何百回見られるかも疑い深くなっていくばかりの愛しい寝顔を眺めて、私は静かに曇った。
もう女同士の愛が何を言われる場所も時代も世界も、段々と小さくなっていく。
窓に気づくと、雨が降っていた。
それよりも、別室で眠っている、ハツエはどうなっているのか。
眠ったまま。
突然という理由によって、眠ったまま。
目が覚めたとき、何が待っているかを知ることも出来ずにいる。
アサコが目覚める時はいつだって、優しさを伝えるにきまってた。
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■20241
/ ResNo.22)
おかえりなさい
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□投稿者/ れい
一般♪(11回)-(2007/10/28(Sun) 00:56:51)
久方ぶりに、帰り道、ここを開いたら。
びっくりしました。
おかえりなさい。
お待ちしておりました。
更新、ありがとうございます。
読めて、嬉しいです。
(携帯)
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■20242
/ ResNo.23)
ありがとうございます。
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□投稿者/ 果歩
一般♪(4回)-(2007/10/28(Sun) 07:36:58)
QOOさん、Aさん、マータン(?)さん、れいさん皆さんお久しぶりです。
いない間に書き込みをして下さった皆さん、ありがとうございます(*^-^)
色々と自分の実生活が変わっていたので、お話を書いて楽しむ時間すらありませんでした。
このお話を書いたのはもう大分前なので、消そうか色々考えていたら、続けることが出来たので、載せて頂きました。
一番は自分のために書いてるようなものなので(^▽^;)次がいつになるか怪しいですが、書くのって楽しいので、頑張ります。
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■20246
/ ResNo.24)
Re[2]: ミュルティコロール 【26】 イエロー:一口程度の思考
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□投稿者/ Qoo
一般♪(1回)-(2007/10/29(Mon) 17:00:17)
果歩さん
半分諦めていたので、更新されているのみて
ニンマリしてしまいました!
嬉しい、ありがとうございます。
色々大変でしょうが、完結期待してます
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■20257
/ ResNo.25)
ず−っと待ってました。
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□投稿者/ Marina.
一般♪(1回)-(2007/11/02(Fri) 21:59:46)
Ma⌒tanです。 名前改めました(笑)
果歩さんの小説本当に好きなんです。
文章の一つ、一つに深みがあって。
果歩さんのぺ−スで更新すればいいと思いますよ(^-^)
ちょくちょく更新を確認しにきま−す♪
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■20265
/ ResNo.26)
ミュルティコロール 【27】 薄桃:引継ぎ
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□投稿者/ 果歩
一般♪(6回)-(2007/11/05(Mon) 19:36:29)
公園で、ハツエは一緒に散歩をしたいと言った。
ここではない何処かで、堂々と手を繋いで、堂々と愛を見せびらかしたいのよ。と言っていた。
透き通った空の下で、私と一緒がいいと言う。
誰か一人を、正しく束縛したいと思えない。
思うことが私には、怖かったからだ。
その愚かな臆病を、目の前で眠っているハツエは、あの時笑って許した。
「大切なの?」と、背中に声が触れた。
振り向くと、シイナが立っていた。
これ、と、私に差し出したカバンを見て、私は色々を考えずに言った。
「大切だ。って言いたくないくらいに大切かな。」
「深いね。」
病室を後にして、私とシイナは外に出た。
重たい雲が近寄っていて、雨が降りそうだ。
湿気が似合うような会話が始まるのを待っていたかのように、本当に雨が降りそうだった。
「ハツエさんと、付き合ってるの?」と、若い頃の私にそっくりなシイナが聞いた。
「一緒にいるよ。」
「寝たの?」
答えないことが答えだ。
ゆっくりと歩道を歩いていると、平日の午後のアスファルトはよく足に響く。
シイナの若い言葉も、よく響く。
「あたし、あなたの作った話の映画、観たんだ。」
「そう。」
「あの女の子も出てた。アサコ。」
「ああ、出てたね。」
「あの子が言ってた台詞が、すっごく良かった」
額に一滴、雨が落ちた。
一滴から無数に変わるには、少々ゆっくりで、私達の会話の妨げにはならない。
「あの映画を、妹と観にいったの。」
「妹と?」
「そう、双子の、妹と」
「シイナの妹か、何て名前?」
また幾粒かの雨が落ちた。
「イチコ。って言うんだけどね」
くるりと病院を周って歩いていた。
雨が本当に降ってきた。
私は立ち止まり、車が通りかかるのを待った。
「あたしと妹は、何回も寝た。」
シイナは、やっぱり若い頃の私に似ている。
「それは、本当に好きだったなんだけど。だからあなたもハツエさんと寝たの?」
髪の毛の至るところに、水滴が乗っていて、私もシイナも、湿気ていた。
答えないのが答えだ。
タクシーが来たので手をあげた。
止まって後部のドアが開く。
私は受け取ったカバンから、それを取り出すと、シイナに差し出した。
「ハツエに渡して。」
「自分で渡しなよ。」
「寝たよ。」
「・・。」
さぁっと雨が始まった。
「ハツエと寝たよ。」
人は、満足させるために何かを言ってみることが出来ると思う。
怒りのシイナが私の手から、それを引っ手繰った。
私は一人、タクシーに乗り込んだ。
閉まろうとするタクシーのドアを掴んでシイナが言った。もうすっかり、全身雨に絡まり、濡れていた。
「これからどうなるんだよ。」
「どうなるか。じゃなくって、どうなりたいか。じゃないの?」
「あなたを見ていると、ハツエさんが痛くてたまんない気がするよ。」
私は、ただ頷いた。
答えないのが答えだ。
シイナが手を離したので、タクシーのドアが閉まった。
どちらへ、という運転手の機械染みた声に行き先を出して、シートに埋まった。
このまえ、アサコがテレビ局の駐車場で、私に言ったこと。
−ねえ先生。私も、大切なもの、大切に出来ないかも。
一体、どうしてかを、聞いてみようと思えた。
雨も、その考えには大賛成のようだった。
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■20266
/ ResNo.27)
(*^-^)
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□投稿者/ 果歩
一般♪(7回)-(2007/11/05(Mon) 19:45:21)
れいさん、QOOさん、マータンさん、こんばんは。
皆さんが書いて下さったことへのお返事が何ヶ月も後になったので、もうここ見てないからダメかも(^▽^;)と、思ったりしていました。
みんなからお返事きた!と、嬉しくなりました(*^-^)
マータンさん、改名されたんですね。了解ですーっ
のんびり頑張ります(*^-^)
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■No13774に返信(果歩さんの記事) > 雨の中を走ると、自分が小型のクジラになったみたい。 > > 雨の日の運転は、四角いクジラになったみたい。 > > > 「ここ曲がってからは?」 > > 「まっすぐよ」 > > > 見慣れた道だったので、オッケイです。と返事した。 > > 泣いた後の顔は、パリパリして気持ち悪い。 > > あたしは、そういうのを無償に思って言った。 > > 「洗顔したい。ものすっごく洗顔したいかも」 > > ハツエさんが気味悪そうに言う。 > > 「誰もシイナのグチャグチャした顔なんて見ないからいいわよ」 > > 「ひっどいなぁ」 > 「そこ右。」 > > 「え?ここ右なの?」 > 「そうよ」 > > > あたしの友達の店がある近くだった。 > > ヒキチは生きてるかな。 > > 店の前を通り過ぎそうなので、見えるかもしれないと思った。 > もうシノさんは、おなかが膨れているかもしれない。 > > と、あたしは懐かしくてその店の一部が見えた時、じんわりと思う。 > > 「そこの緑色のとこね。教えてもらったお店なの。」 > 「え!?ここ?」 > > そうよ。と、ハツエさんが言う。 > > 「ここあたしの友達の店」と教えた。 > > 「え?そうなの?」 > > > やたらとイライラするのは、車を止める場所がものすっごくクランクなことだ。 > > 「駱駝よ?」 > 「うん、ラクダ」 > > 「友達って?」 > 「普通に友達」 > > 「何だそうなの?」 > 「うん、あ、でもあたしはね、男も平気」 > > 「何いってるのよ・・」 > 「え!?そういうことじゃないの?」 > > 「まあいいけど」 > > > 「ちょっと・・・」 > > 「なに。」 > > > > エンジンを止めてから、2秒、シーンとして、あたしとハツエさんは見詰め合ってしまった。 > > > あ、そうなの?ねえそうなの?ちょっと!ちょっと!という感じで、見詰め合って、途端に爆笑する。 > > > 「何だそうだったの?ねえ!ちょっと!」 > > 「えー何ーもー」 > > > お互い同じ世界にいたことを、突然知ると、こんなに嬉しいものだと思う。 > > そういうの、ちょっと、当然じゃなくて必然でもなくて、特殊になっちゃう、外の世界。 > > あたしはいつもそこで吐いてる。 > > > > > 「何だバカみたい」と、ハツエさんはクックックと歯を合わせたまま笑って、あたしの少し前までの時間と言葉と心の様子なんかをを振り返っているに違いない。 > > > 「バカって」 > > 「バカ」 > > > 両足を揃えて車から伸ばして降りたハツエは、あたしの肩でも叩く代わりのように、ドアをバタンと閉めてみた。 > > > 「そうねーシイナは男より女って感じだものねー」と、店のドアに手をかけてハツエさんが笑った。 > > 「あたしをレッサーパンダみたいに扱わないでよ」と、あたしもニヤニヤして言い返した。 > > > > 女好きだと白状すると、みんな残らずあたしを檻の中に入れて眺めようとするんだから。 > > そういうの、慣れたけど、かゆい。 > > > それよりもっとかゆいのが、面白がるより、納得されることだった。 > > > シイナなら、そういうのありかも。シイナなら、おかしくないかも。 > > > あたしなら、女を好きになっても、おかしくないってさ。 > > > > 納得されることの、気持ち悪さは、痛みでも悲しみでもない、無駄な、かゆみ。 > > > > 「そんな可愛い生き物じゃないから安心しなさいよね。」と、ハツエさんがチリリンとドアを開けた。すると。妊娠した人がいた。 > > > 「シイナ!」 > > > 店内は夕方を越えて、集まった人間でぎっしり賑わってた。 > > あたし達と全く同じ色ではなくって、もちろん男、もちろん女。 > > > 「ねえシイナが来た!」と、ヒキチ奥さんのシノさんが騒ぐ。 > > 少しだけあたしをジロジロと見る数人が居て、でも平気だった。 > > > ハツエさんが口を開いた。 > > > 「こんばんは、早利の電話で一度お話させて貰ったんですけど。」 > > > > 「あ・・・」と、ヒキチの奥さんが口を丸く丸く、丸くして、「あ。」と言う。 > > > 「一度来てみたくて、突然だけどよかったかしら」と、ハツエさんが丁寧に挨拶をしていた。 > > > 「ああ!サリーの!」と、シノさんはまたうるさい。そして可愛い。でも。 > > > > 早利? > > > サリー? > > > > あたしはカウンターに座って、奥で鍋を振り回しているヒキチを探した。 > > > > ハツエさんは、微かにホっとして、あたしの隣に座る。だけどあたしはちゃんと気付いてあげていた。 > > そのホっとするのを、気付いてあげていた。 > > > > 「お昼に来てました」と、花の匂いのするお茶を出してくれながら、奥さんがハツエさんに言った。 > > > 「え?そうだったんですか・・」と、ハツエさんの少しビックリしたようなガッカリしたような顔が市子に見える。 > > > あたしは手元のお茶を顔に近づけた。 > > 温かい匂いが顔に触れて、優しい舌で舐められてるみたい。 > 市子がよく、ふざけてあたしの顔をそうしてたように。 > > > 「夜も来るって感じもしてたけど、あ!」 > > 「え?あの人そう言ってたんですか?」 > > 「一緒に連れてくるって言ってた人ってあなたのことじゃな・・」「え?聞いてないかもしれない」 > > > 奥さんは、「あ、何だか、やっちゃった」という顔で言うのを止めた。 > > ハツエさんはニッコリしている。 > > > 要するに、ハツエさんの恋人だか何だかが、ここに昼間きていて、夜も誰かと同伴で来るって。 > > そういうことだったかな。 > > > でもハツエさんじゃないって。 なんか面倒なヤツだよね。 > > でもあたしも大概、面倒なヤツなので、そんなこと思ったって、そこだけ口にしない。 > > > 「ええと、仕事関係の人だったりするかも」と、奥さんが意味の分からない言い訳してる。 > > 「いいの。慣れてるから」と、ニッコリとハツエさんは笑って言った。 > > > 大人だ、と思う。 > > > 別の女とどうにかしてる恋人を、どうにか出来る女って、多分ハツエさんのことだと思う。 > > 市子は、あたしをどうにか出来てた。 > > あたしも市子をどうにか出来てた。 > > なのに、どうにか出来なくて、どうにもならないことになると、呆気なく終ったの。 > > > > 市子はどうしてるんだろう。 > > さっき泣いて飛ばしたものが、実はまだ残ってる感じがした。 > > >
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