| 「乾ぱぁぁぁい」
ガチガチとぶつかる3つのジョッキ。
「じゃあ…。改めて自っ己紹介〜!」
私の隣、友人のケイがハイテンションな声を上げた。
「じゃあ私から。ケイです!24」
……ん?私?
「タエ。同じく24」
私達ふたりの顔を優しく見つめながら、向かいの彼女。
「ユリ。歳は…。キミ達よりはだいぶオバさんかな。ふふ」
長い睫毛を揺らす。
「とーんでーもなーい!」
ぶんぶん首を振るケイ。
「ユリさんがこんな綺麗な人だったなんて…。鼻血出そうになりまつた。ナハハー!」
ケイの言うことは正しい。
出会い系。 初飲み。 2対1。
今夜彼女が現れた時…。
その巻髪に、 その泣きボクロに。 年上女の圧倒的な色気に。
“ごくり─”
私もケイも唾を呑んだ。
是非とも一度お手合わせを願いたいのは、ケイ然り。私然り。
まぁ正直。 ケイに負ける気はしてないけど?
「ユリさん営業されてるんだ〜。スゴいなぁ」
「ふふ」
「でもこんな綺麗な人に進められたらツボでも何でも買っちゃう!」
「ケイちゃんてば」
会話はケイのペース。 これは想定内。
「タエちゃんは大人しいのね。普段何してるの?」
ほらね? お酒をくゆらせて時折微笑を浮かべていれば、興味はあちらから示してくれる。
「バイトしながら音楽やってる。妥協した社会人にはなれない」
ジンライムの氷をカランと鳴らして目線を落とせば。
「そうなんだ…」
完璧。
肘をついた手に顔を乗せ私を見つめてる。
…言うだろ?ケイ。
沈黙は金なり。 黙する事以上に、 人を惹きつけることはない─
ってな?
その後も会話は。 ケイ6、彼女3、私1。 そんなペースで進み…。
「トイレ〜」
ケイがトイレに立った。
ちゃー…。 ンス。
あくまでクールに、 言葉は少なく。
「………」
「………」
絡みつけ視線。
「ねぇ、タエちゃん…」
ほらキタ。
今夜はこれから駅前のラブホ?
「あのね…?」
悪いねケイ。 彼女頂くよ。
「今ドキ流行らないわよ?カッコつけるの」
…へ。
「今夜はケイちゃん。頂くわね」
Silence is,
Gold?
(携帯)
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