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■21098
/ ResNo.60)
18
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□投稿者/ Kaoru
ちょと常連(51回)-(2008/09/11(Thu) 17:22:27)
「バッカじゃない?」
『はぁ?』
とある休日に久しぶりにミカを呼び出しカフェレストランへと出向いた。
そして第一声がこれ。
「メールで説明されたけど、何で会わへんの?」
『いや、会っても仕方ないかなって。何話たらいいか分からへんし』
「会わな何も解決せんやん」
『そやけど、どう誘っていいか分からんし』
久しぶりに顔を見たかと思えば怒り剥き出しのミカ。
私はタジタジだった。
「歩美さんも、こんな、なよなよした奴嫌になるわなぁ〜」
『なよなよって……』
「啓!あんたほんまに歩美さん好きなんか?」
『そんなん当たり前やん!』
「だったら…ちゃんと向き合えるんちゃうか?逃げてるだけじゃ大切なもの見失うで」
ミカの目は私を見据えて、力強く訴えていた。
逃げてる…。
ミサトに言われた言葉があまりにも悲しくて、向き合えなかった自分。
その言葉を口にすれば離れてしまうと感じていたから、歩美には話せずにいた。
結局、歩美からも、現実からも逃げていたのは私だけ。
(携帯)
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■21099
/ ResNo.61)
19
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■
□投稿者/ Kaoru
ちょと常連(52回)-(2008/09/11(Thu) 17:23:32)
「あんたが守ったらなアカン立場やろ?そんな風じゃ男に負けるで?」
『でも、歩美は男性と幸せな家庭を築く方がええねん。そしたら親父さんに孫の顔を見せたり出来るし』
「歩美さんが、それ望んでるんかな?今も。歩美さんの口から聴いたん?」
『いや、同僚からだけど』
「好きな女の口からはっきり聴いてから落ち込んでも遅くないやろ?歩美さんに聴くんが一番や!」
ミカは、指を私の顔に近づけ、力説している。
私の中の不安が薄れていく気がした。
ブー、ブー。
ポケットの中で鳴るバイブ音。
携帯を取り出し、ディスプレイを見る。
着信:歩美
『……歩美から電話や』
驚きの中、ミカは無言で出るように促す。
私は携帯のボタンを押し、もしもしとつぶやく。
(携帯)
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■21100
/ ResNo.62)
20
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□投稿者/ Kaoru
ちょと常連(53回)-(2008/09/11(Thu) 17:24:32)
『啓?今大丈夫?』
「…あ、うん。どうした?」
電話の奥では、外に居るのか騒がしい音が聞こえる。
『外に居るの?かけ直そうか?』
「…いや、今もう出るから。ミカ後で払うわ」
友達と話す啓はいつも通りの口調。でもあたしと話す啓は明るくもないし元気もない。
それが悲しかった。
あたしが何かしたなら謝るから。何をしたのか考えても分からなかった。だからこうして直接聴く為に電話をしたのに、いざ相手が出るとうまく言葉に出来ない。
「ごめん、もう大丈夫。どうした?何かあった?」
『うん…啓、元気かなって。バーベキュー以来会ってないからさ』
「そうだね。元気だよ?バイトばっかりしてる」
『そっか…体壊さないでね?』
「大丈夫!適度に休んでるから」
『うん、なら良かった』
「うん…」
会話が続かない。
話さなきゃ。
啓があたしを避ける理由を。
『「ねぇ?』」
二人の声が重なる。
そしてまた沈黙。
「ねぇ、歩美。今何処にいる?直接言いたい事があるんだ」
『自宅…。分かった。何処に行けばいい?』
「迎えに行くよ」
その言葉が終わると同時に電話が切れた。
(携帯)
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■21102
/ ResNo.63)
21
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□投稿者/ Kaoru
ちょと常連(54回)-(2008/09/13(Sat) 17:58:15)
啓があたしの部屋に来るまでの30分は、とても長く感じた。
人生で一番長い30分。
啓は何を話にここへ来るんだろう?
もう友達は無理?
それとも、また怒る?
怪我は治したし、最近のヘマは報告してないし…。
そんなことばかりが、頭をグルグル駆け回る。
――ピンポーン
部屋のチャイムが鳴る。
一度深呼吸をしてから、ドアを開けた。
『どうぞ』
「お邪魔します」
靴を脱ぎ、中に入ってくる啓をリビングから見ていた。
少し痩せたのかな?
そんなことを思いつつ、啓が座れるようにソファーへと促した。
(携帯)
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■21103
/ ResNo.64)
22
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■
□投稿者/ Kaoru
ちょと常連(55回)-(2008/09/13(Sat) 17:59:12)
『話したいことって何?』
重たい空気。
悲しげな啓の顔。
遠い存在に思えて仕方がない。
こんなに近くにいるのに。。
「…うん。あのさ」
啓が話してくれたのは、ミサトが啓にあたしの家庭環境を話した事実だった。
「だから、私…もう歩美を想う事が出来ない。友達として傍には居たいけど、歩美が男と幸せになる姿は見たくないから…私…」
『ねぇ、啓?もしあなたが男性ならあたしを迷い無く守ると誓っていた?』
「…えっ?」
『啓が男性として生きていて、あたしに出会い恋をしていたら、どんな家庭環境だろうとあたしを幸せにする自信があった?』
「歩美を好きな気持ちは誰にも負けはしないし、どんな奴からも守る。そして歩美を支えていく。幸せにする自信もある」
『そう…』
不思議そうな啓の顔。
啓、あなたは一人で悩みを抱えていたのね。
もうあたしの答えは決まった。
今回はミサトに感謝しなくちゃ。
啓、あなたの心を見せて?
あたしにだけ、弱みを見せてくれる?
(携帯)
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■21104
/ ResNo.65)
23
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■
□投稿者/ Kaoru
ちょと常連(56回)-(2008/09/13(Sat) 18:00:41)
『歩美、私は歩美を愛している。でもそれは私の勝手な想いだし歩美にとってそれが邪魔だったりすると想うんだ。今はそうじゃなくても、この先きっとそうなる。だから、私は歩美の前から消えるよ。歩美を愛しているから…』
悲しいけど、歩美を見れなくなるなんて考えたくないけど、歩美を愛しているから…。
これでいいんだと想う。
私は女で、歩美も女である限り許されない恋。
歩美の幸せを願うから出した答え。
歩美に伝わるといいな…。
「啓、一つだけ聴かせて?今日まで連絡も無いし、会えなかった日々をあなたは辛いと想った?」
真剣な眼差し。
張り詰める空気。
静かに口を開く。
伝えたい、この心の声を。
『めちゃくちゃ辛かった!歩美の居ない日々なんてつまらないよ!歩美の事を毎日考えていたし、悲しかった。もう会えないなんてほんまは嫌だー!』
もう言葉にならない程涙が溢れ、しゃくり上げながら泣いた。
歩美を失うのがこんなに怖い。
もう隣で笑えなくなる事が悲しい。
歩美に触れられない事が辛い。
『耐えられないよ…』
その瞬間、温かい温もりを肌に感じた。
歩美が私を抱きしめていたのだ。
(携帯)
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■21105
/ ResNo.66)
24
▲
▼
■
□投稿者/ Kaoru
ちょと常連(57回)-(2008/09/13(Sat) 18:02:08)
「あたしも…耐えられないよ」
『ふぇ?』
涙声が混じり気の抜けた声が漏れて、私はもう一度歩みに問う。
『……どういう意味?』
「………啓の気持ちと……同じかな?」
そのまま、歩美は私に寄りかかり、バランスを崩した私は床に倒れた。
私の上にいる歩美は、泣いてるのか、目がキラキラ輝いている。
「人を好きな気持ちに性別は関係ないと想う。改めて思ったわ?」
『歩美…………。』
「啓、あたしに言わなきゃならないことあるでしょ?」
『えっ!何?』
「もう〜あたしが好きだって言ってるのに…」
『あ!ごめん』
私は気恥ずかしくなり、上体を起こし膝の上に歩美を乗せて深呼吸した。
『歩美…私は何があろうと歩美を守るし、歩美の傍に居るから…安心してついてきてほしい』
そしてゆっくり歩美にキスをした。ふわりと重ねただけのキスを。
『愛してるよ』
「啓、愛してる」
そしてゆっくりと舌を絡めるキス。
温かい歩美の体温を感じる。
この世で最高の時を堪能している気分だった。
(携帯)
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■21106
/ ResNo.67)
Re[2]: 24
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■
□投稿者/ さやか
一般♪(1回)-(2008/09/16(Tue) 09:24:25)
ドキドキ・・・
早く続きが見たいです☆
引用返信
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■21107
/ ResNo.68)
NO TITLE
▲
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■
□投稿者/ みぃ
一般♪(1回)-(2008/09/16(Tue) 11:07:26)
すごい切なくて良いです。
楽しみにしてますので頑張って下さい
(携帯)
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■21117
/ ResNo.69)
さやかさんへ
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□投稿者/ Kaoru
ちょと常連(58回)-(2008/09/21(Sun) 09:52:47)
更新がマイペースで申し訳ないです。
そう言ってもらえると完結しようって思えてきます。
もう少しお付き合い下さい。
ありがとうございます。
(携帯)
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■No21105に返信(Kaoruさんの記事) > > > 「あたしも…耐えられないよ」 > > 『ふぇ?』 > > > 涙声が混じり気の抜けた声が漏れて、私はもう一度歩みに問う。 > > > 『……どういう意味?』 > > > 「………啓の気持ちと……同じかな?」 > > > そのまま、歩美は私に寄りかかり、バランスを崩した私は床に倒れた。 > > > 私の上にいる歩美は、泣いてるのか、目がキラキラ輝いている。 > > > 「人を好きな気持ちに性別は関係ないと想う。改めて思ったわ?」 > > > 『歩美…………。』 > > > 「啓、あたしに言わなきゃならないことあるでしょ?」 > > > 『えっ!何?』 > > > 「もう〜あたしが好きだって言ってるのに…」 > > > 『あ!ごめん』 > > > 私は気恥ずかしくなり、上体を起こし膝の上に歩美を乗せて深呼吸した。 > > > 『歩美…私は何があろうと歩美を守るし、歩美の傍に居るから…安心してついてきてほしい』 > > そしてゆっくり歩美にキスをした。ふわりと重ねただけのキスを。 > > > 『愛してるよ』 > > > 「啓、愛してる」 > > > そしてゆっくりと舌を絡めるキス。 > > > 温かい歩美の体温を感じる。 > この世で最高の時を堪能している気分だった。 > > (携帯)
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