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■11449 / inTopicNo.21)  image 20
  
□投稿者/ つちふまず 大御所(1084回)-(2005/07/28(Thu) 22:49:39)
    nasty girlを書き終えた頃は。




    彼女が過去へと。
    時間が連れて行ったなと。


    認識し始めていた。


    いい意味で前向きに。







    小説の中では、


    生き続けていたけれど。
    それは別個の人として。


    私もリオとは別個の作者として。


    レスに対しては。


    リオで答える時と。
    私が答える時と。


    使い分けていた。


    自分自身を出すのが。


    益々怖くなって行った。







    でも不思議と。


    今の彼女との関係も、


    良くなっていった。







    距離は時間と。


    いい関係にある。




    会えない距離は。


    忘れる時間を増やして行くのに、好都合だった。




    彩子。


    何度叫んだかな。


    でも少しずつ…。









    前へ進んで行く感じが。









    してたんだよ。

    (携帯)
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■11450 / inTopicNo.22)  image 21
□投稿者/ つちふまず 大御所(1085回)-(2005/07/28(Thu) 22:53:15)
    彩子と別れて数ヶ月。



    彼女とはうまく行っていた。






    比べないと言ったら嘘にはなるけれど。


    関係を切る理由もなかった。








    虚構の世界は。


    次第にリアリティを、
    更に増す事になる。


    HPを持つ事は。
    危険性もあった。


    でも。


    “恋がしたくなりました。”


    “好きな人に想いを伝えます!”


    “凄く面白い!”


    嬉しかった。


    自分の文章が徐々に。
    影響力を持ち始める。


    真実は脇へ置いておいて。


    元気になって行く、
    この世界の誰か。


    暫く活字を目にしていない、何処かの人。




    それならいい。
    もっと近い距離で。


    見せよう。


    幸せはそこから、
    私も少し貰おう。







    落ち着き始めたある日。











    彩子から連絡があった。










    日本に住む弟が。
    亡くなったと。







    驚いた半面。







    どうしようもなく、
    胸がざわついた。





    ごめん彩子。




    連絡をくれた事は。


    正直嬉しかったよ。











    戻って来るって事だから。


    (携帯)
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■11454 / inTopicNo.23)  image 22
□投稿者/ つちふまず 大御所(1086回)-(2005/07/28(Thu) 22:57:09)
    「いつまでこっちに?」





    「さ来週までいるわ。色々後片付けもあるし。」





    「残念だよ。何ていうか…。」




    悲し過ぎるお葬式だった。







    「アンタが泣く事じゃないでしょ。」





    「でも…やりきれないよ。」





    「またこうして会う事の方が…不思議よ。」





    「え?」





    「……なんでもないわ。」





    「彩子。」





    「ん?」





    「もし時間が出来たら…。」





    「うん。」





    「会おうよ。笑わせるのは私の…得意分野だし。」




    「泣いてるじゃない(笑)」





    「今は…ちょっと。」





    「また連絡するわ。」





    「うん。……じゃ。」




    「………あ、そうだ。」




    「え?」





    「……なんでもない。」


    「…………。」





    それから。


    一週間後に。







    私は彩子に会えた。



    ─────────────



    でも。



    「いらっしゃい。」





    「…………。」





    「どうしたの。会えたんでしょ?」





    「………うん。」





    「捨てられた犬みたいな顔して…。…ちょ、ちょっと!」





    「ああ。」





    「どうしたの。」





    「………っ。」





    「…………。」





    「わからない。もうわからないよ。」





    「………何が。」





    「どうして。」






    「………何があったの。」









    「妊娠したって。」








    「…………。」






    ねぇ、彩子。






    私にはまだ分からないんだ。





    聞いても、


    教えてはくれないよね。





    でも。





    『それ』を聞いた時。





    不幸の後の幸せだと。


    だから喜ぶべき事だと。







    必死に笑って。










    笑えてたかな。







    どうだろう。









    予定日は。


    来年の年明けだと。
    聞かされた。













    苦しかったよ。


    (携帯)
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■11457 / inTopicNo.24)  image 23
□投稿者/ つちふまず 大御所(1087回)-(2005/07/28(Thu) 23:00:02)
    彩子に妊娠を告げられたのは。




    皮肉にも。




    “Motherland”




    書き終えた後だった。


    これを書いたのは。


    彩子が過去の人へと変わって行った証でもあり。


    笑いながら書けた事によって。


    彩子は虚構の中で。


    生き続けると。


    そう感じていた矢先だった。







    彩子の帰国の日。


    私は見送らなかった。


    二度目の別れは。


    あまりにも辛すぎて。







    でも。


    もう会わないと。


    認識した時。


    そこからが別れであり、


    想い出へと変わるための。




    ……………。




    ああ。まだ少しは。


    思い出すと。


    胸が痛むかな。


    つい最近の事だしね。






    けれど。


    もう会わないと決めてから。


    不思議と一回目の別れよりも。




    リアルな出来事として。


    徐々に受け止めた。




    虚構の世界は。



    一旦休んだ。



    雨は上がると。


    還る場所があると。




    顔も知らない人に。


    応援して貰った。







    彩子さ。




    妊娠は。




    私があなたを諦める。











    最高の理由だったよ。


    (携帯)
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■11460 / inTopicNo.25)  image 24
□投稿者/ つちふまず 大御所(1088回)-(2005/07/28(Thu) 23:03:10)
    HPを立ち上げた時。


    正直迷いがあった。




    リオで行くか。


    私で行くか。




    たくさんの顔の知らない人達の反応を見て。




    であるなら。




    リオで行く事にした。






    遊びは完璧でなければ。



    気が済まなかった。





    虚構の世界は、


    さらに真実味を増して。




    もう一人の自分は。
    彩子との付き合いを。


    その中で、続けていた。



    正直私は。







    怖かったんだと思う。


    真実を書けば。







    イメージは壊れる。


    だってHPを立ち上げた頃は。


    彩子の妊娠を聞かされた後。




    何もかもがどうでも良くて。







    真美にも手を出した。


    今の彼女も、




    散々泣かせた。




    また耳なりに悩まされ。


    全てはまた巻き戻され。




    曖昧な関係を。




    はっきりさせる事もなく。







    でも。


    リオはただ綺麗に。


    生活してくれた。







    ナツを書こうと思ったのは。その辺に理由があった。







    変わらなければ、と。


    心の奥で感じていたから。







    日記まで虚構にしなければ。


    成り立たないHP。


    リアルさは増しても。










    私の心はスカスカだった。


    (携帯)
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■11461 / inTopicNo.26)  image 25
□投稿者/ つちふまず 大御所(1089回)-(2005/07/28(Thu) 23:05:18)
    それから。


    私は頻繁に。


    海に行くようにした。


    もういい加減にしようと。


    限界が近付いてたんだと思う。


    波乗りをする事で。


    落ちていた体力や。


    自然に敏感に反応する感覚。


    食べる事への欲求。


    少しずつ取り戻した。







    彼女に対しても、


    出来るだけ時間がある時は。


    会うように。


    二人の時間は。


    お互いを尊重し合い。


    最近やっと、


    付き合いのリズムや。
    環境が。


    整った気がする。


    彼女は初めから。
    彩子を忘れられない私を。


    受け入れていて。


    彩子と友人であった事もあり。


    お互いを知り合うのに苦労はいらなかった。


    むしろ最初から、
    甘えてばかりだったから。


    もっともっと。


    思い遣りを持って。
    接したいと思う。







    読み返せば。


    わかると思う。


    リオは掴み処がない。


    それは書いていた私自身が。


    そうさせてしまったから。




    彼女に対してもそう。





    ごめんね。


    もう彩子の代わりなんて。


    させちゃいけないね。







    何年かかっても。


    一生懸命、










    返すからね。


    (携帯)
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■11462 / inTopicNo.27)  image 26
□投稿者/ つちふまず 大御所(1090回)-(2005/07/28(Thu) 23:07:11)
    次は。


    夏に向かって…。


    “和美のBlue”


    を書いた。


    和美の恋愛に対する姿勢は。


    彩子を見てるだけだった、
    喫煙所のあの頃と同じ。




    それが生きて。






    片想いの切なさを。


    振り向いてくれた時の。


    震える心を。


    想い出になりつつある自分に驚きながらも書いた。







    正直、彩子が妊娠しているのを知ってから。


    “Motherland”


    は読めなかった。




    どうしても、


    我慢出来なかったのかな。


    短編には。


    この私の世界のトリックを解く、ちょっとした鍵がある。




    でも。




    さくらんぼは送らなかったよ。




    私が送るべき相手は。


    リアルに存在する。




    今の彼女に対してだと。


    気付いたから。







    彩子。


    今は彩子は。








    何をしてるだろう。




    私は大分。










    元気になったよ。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11464 / inTopicNo.28)  image 27
□投稿者/ つちふまず 大御所(1091回)-(2005/07/28(Thu) 23:09:44)
    意外な事が起きた。




    想定内ではあったけど。




    ちょっと早いなと思った。




    “あなたに近付きたかった”





    始まりは確か。


    谷崎潤一郎。


    だったかな。


    たくさんのレスの中。
    私に対して。


    個人的な何かを、
    求めているようなレス。


    特に気にもしなかった。


    あの頃は。


    桜子という主人公。


    学生生活を辿りながら、
    書いている時。


    だったと思う。







    書いている私を。


    文字を通して。
    見ようとするその人は。


    ある日。


    物語を書いた。




    正直。






    面白かった。


    驚いた。







    それからは少し…。


    距離を置いた。


    何故なら。


    私はつちふまずであり。


    リアルではない。


    触れられるのは嫌だった。


    私が今まで造り上げて来た。


    トリックを。


    夢を見れるちょっとした…。


    魔法を。


    いとも簡単に解かれるような。







    不安があった。


    けれど、






    ポストを付けたのは。


    失敗だったかな。





    でも私はいつも。


    たくさんのお礼や。
    たくさんの励ましを。


    貰っていから。


    何かしら返したかった。


    というのと。




    白状するよ。


    この人に興味があった。







    挑発とも言える、
    数々のレス。


    告白とも思える。
    言葉達。





    でも。


    危ない賭けだった。


    なぜなら。





    “小説はどうでもいい”


    “あなたが知りたい”




    やっぱり。


    そうだったか。




    そっけない口調は。


    多分癖なんだろう。









    いつかはこういう人が。


    出てくるかなとも。


    予想していた。


    最初は。


    虚構をリアルに感じ。


    いずれ、


    リアルはまた虚構に変わり。


    その先は、


    書いている人間の。


    感受性。
    人間性。


    見てみたいと。


    ちょっと物事を、
    角度を変えて見る人間。







    私もその一人だ。







    そろそろネタを。


    明かすかなと。


    思っていた頃だった。







    リアルな暖かさを。











    私も必要としていたから。


    (携帯)
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■11465 / inTopicNo.29)  image 28
□投稿者/ つちふまず 大御所(1092回)-(2005/07/28(Thu) 23:12:36)
    その人とのやりとりは。


    とても不思議な物で。




    いつからこんなに…。


    惚れられていたのかなと、
    思う位。


    甘い言葉。


    上手なわがまま。


    適度な距離。




    年下とは思えない位。


    多分潜在的に、






    似てるんだと思う。




    ごめんね。


    確かに私は、


    無器用なフリ。




    してたかもしれない。




    けどね。







    隣人を愛する事は。


    本当は難しい事なんだよ。


    確かに付き合い始めの、


    甘いやりとりは。


    長い付き合いの中では。


    失われて行く事もあるだろう。




    でも。







    所詮言葉は言葉。


    そこから発せられる人間の、


    一部にしか過ぎない。










    どうするかは。


    ……………。




    やりとりの中身は。


    私達だけが知ってる事だから。







    ここでは明かさない。







    一対一のゲームは。







    結構苦手なんだよ。







    つちふまずでは、






    なくなる訳だから。









    私は現実主義者なんだよ。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11466 / inTopicNo.30)  image 29
□投稿者/ つちふまず 大御所(1093回)-(2005/07/28(Thu) 23:16:11)
    ねぇ。




    彩子。




    たくさんの出来事。







    たくさんの笑顔。







    たくさんの思い出。







    たくさんの涙。







    その全てが現実で。


    私の全てだった。







    彩子さ。




    どうだろう。







    こんなにたくさんの人に。





    失恋に共感してくれる事もないと思うんだよ。







    だってさ。




    少なくとも私の小説を読んだ人は。







    リアルに。







    想い出を共有してたんだから。







    これを読んでいる人は。







    きっと今、辛いんだろう。







    だってみんなは、







    あなたの事が大好きだった。







    すごく愛されてたよ。








    私の失恋は。



    これで。




    私だけの物じゃなくなったよ。




    馬鹿かなぁ。


    でもさ。







    こういう愛の残し方もありかなって。







    ずっと書いて来たよ。




    全てをハッピーエンドにしてきたのは。







    あなたを失ったのが始まりだったから。







    幸せな文章を。


    書いて書いて書いて…。



    錯覚するんだよ。







    “ああ好きになって良かった”



    ってね。



    愛に溢れてるでしょ?





    私の右目は。







    視力がほとんどない。



    それでも彩子は。




    ずっと右側にいてくれたね。







    “目で見なくていいから”



    と。



    あの言葉は忘れないよ。







    微かに見えた彩子が。



    今はもう見えないけど。







    左側にいてくれる人。







    大切にしたいと思う。






    私の右目は、あげるよ。







    過去は今に。




    やっと繋がる。







    今なら未来も。







    見えるかな。














    ありがとう。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11467 / inTopicNo.31)  image 30
□投稿者/ つちふまず 大御所(1094回)-(2005/07/28(Thu) 23:19:09)
http://www.hamq.jp/i.cfm?i=tsuchifumazu
    日曜の夜。




    「行くの?」







    「うん。」








    「気を付けて。」







    「うん。…またね。」







    「うん。」







    「See you。」








    「………うん。」








    「あ、そうだ。」








    「ん?」







    「いつもありがとう。」








    「………ううん。」









    「…リョウさん。」









    「ふふ。またね。」








    さぁ。


    リアルか。


    そうでないか。


    過去か。


    今か。


    あなたが判断して下さい。







    数々の…。


    「イメージ」


    どこまであなたに…。








    依存していたかな?











    「今」何を考えてるかって?








    書いちゃったな、と。










    思ってます。










    一番面白いでしょう。














    つちふまずは。














    あなたの側にいます。





















    Fin.




    http://www.hamq.jp/i.cfm?i=tsuchifumazu

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完結!
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