| コウとの出逢いは某バンドのファンサイトの友達募集の書き込み。 初めてメールをやりとりしたときはお互いノンケで、女に興味があるはずもなかった。
俺が女に興味を出したのは、別のメル友ルリの「バイ」であるというカミングアウト…だった。 BL好きである自分は、同性愛者に偏見なんてないつもりでいた。だが、そのカミングアウトは衝撃で…ルリが自分の彼女のノロケ話をするのにも一歩引いている自分もいた。 一方で、女同士という未知の世界への興味も出てきて、メールエッチみたいなこともルリとしてしまった…
ルリ「鈴、彼女にふられた…」 鈴「何があったの?」 ルリ「……」 メールという手段が便利である反面もどかしいと思った。 大切だと思えるようになった友達との距離が遠くて、慰めることもできない。 鈴「…(抱きしめる)」 メールに行動を書き、せめてルリにしてあげてるつもりになる。 ルリ「鈴…(抱きつく)」 鈴「よしよし…(頭を撫でる)」 このやりとりだけで終われば、俺は一線を越えることもなかったんだ…。(俺が「俺」と使うのは方言みたいなニュアンスだ。タチって意識は今までまったくなかったから) ルリ「抱いて?///(上目遣い)」 鈴「えっ?…うん////」 ノリでOKしてしまった。 このあとのメールは割愛する。ようするに、メールセックスもどきをしてしまったのだ。
これで味をしめた俺は誰かれかまわずそのメールセックスもどきを試みて、大抵は始まる前に終わったのに、コウだけはそのままヤってしまったのだ。 でも、コウと付き合うとかそんな意識はまったくなくて、コウもノンケだったはずだし…と安心していた。 俺は逢うこともないルリととりあえず付き合うことになっていたのだ。
だが、一度だけのコウとのメールセックスもどきから数日経った日のこと…
コウ「ねぇ、あたしたち付き合ってるんだよね?」 それは否定できないような尋ね方だった。 鈴「そうだよね?」 コウ「よかった。あたしだけかと思ってた。友達に相談したら騙されてるんじゃないかって…」 どうやら、コウは俺を男だと言って、友達に相談したらしかった。 その時点で、友達の助言は正しかった。 俺はコウと付き合ってるつもりはなくて、彼女はルリだったのだから。
こうして、俺はメールしかしてないとはいえ、二股をすることになった。その二股を解消したのは、それから約11ヶ月後。
(携帯)
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