ビアンエッセイ♪

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■13196 / inTopicNo.1)  紅い月
  
□投稿者/ 雅 ちょと常連(68回)-(2005/10/06(Thu) 01:39:08)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    ある美しい女は

    夜空を見上げて ギターを奏でた

    星空は、静けさの中で

    その美しい調べに耳を傾け

    吹き抜ける風は、その旋律に合わせるように

    少し哀しげに音を奏でる


    女は、目を閉じていた

    その瞳から溢れる涙を隠すように・・・


    その日の月は

    紅く・・・妖しい・・。




    --------------------------


    「私たち、ほんとに、もう終わりなの?」


    「うん。もう終わりよ。」


    ベッドで、煙草を吸いながら冷ややかな目で、さらりと葉月は言った。


    いつも、そうなんだ・・。

    1年以上もったことなんて1度もない。

    月に1、2度会って、ホテルでHして・・。


    「もう十分でしょ?」

    葉月は、奈子に言った。


    「十分って何が十分なの?こんなに愛しているのに・・」


    せせら笑うように、葉月は答えた。


    「もう、十分に身体は満足したでしょ?って意味よ。」


    奈子は、怒ってベッドから起き上がり、服に着替えて


    「あんたって本当に最低な女ね!」


    そう言い捨てて、ホテルの部屋を出て行った。


    葉月は、そのままベッドで横たわったまま、天井にフーッと煙草の煙を

    はいた。


    一体、奈子は、私の何を愛してるというんだろう。

    私の何を分かっているつもりなんだろう・・。


    ただ肉欲だけでしか繋がっていなかったと言うのに・・。

    愛してるなんて

    そんな簡単に口に出すもんじゃないよ・・

    だって、私は

    そんな愛されるような女じゃないから。


    奈子・・

    あんたの同級生の、何てったっけな・・

    名前忘れたけどさ

    この前、抱いたよ。このホテルでさ。

    たまたま知り合ったら、奈子と同じ高校出身で同期だったとはね。フフフ。

    そんな女なんだよ。私って。



    (つづく)
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■13208 / inTopicNo.2)  紅い月2
□投稿者/ 雅 ちょと常連(73回)-(2005/10/06(Thu) 12:04:28)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「おはよ」

    「わぁ〜おっはよう。珍しいね、単位ヤバイんでしょ。」


    葉月は、久しぶりに大学のゼミに顔を出した。


    「いい加減、そろそろ顔だしときなさいよ。私にも限界はあるんだからね。」

    先週、ゼミの橋岡教授にベッドで言われた言葉。


    葉月・・21歳。

    1年留年して、今年は大学卒業予定。

    現在彼女なし

    身長 165cm 

    見た目クール、涼しげな顔立で色素薄め

    髪は、天然茶色のさらさらショートヘア


    「ファァァァ・・・。」

    橋岡ゼミの真っ最中、葉月は、うつむき加減に、大きな欠伸をした。

    隣に座っている、理恵が葉月に囁いた。


    「お疲れぎみね。」


    「そう?ちょっと寝不足なだけ。」


    そう言って、教授の声に、耳を傾ける振りをする。


    夕べ?

    夕べは、深夜まで奈子と最後の肌合わせ。

    何度も何度も、狂ったように奈子を抱いて、家帰ったの朝の4時。

    お陰で、背中はミミズ腫れ。


    ゼミが終わり、先生に、教授室へ呼ばれた。


    「ちゃんと出てきたのね、葉月。」


    部屋に入った瞬間、教授は、葉月に抱きついた。

    しなだれかかる、この女・・

    ただの肉欲に取り付かれたメス・・。


    葉月は、そっと顎を持ち上げて、軽くキスをする。

    首に巻かれた手は、段々と葉月の背中を愛撫するように、

    うっとりした目で見つめ、いやらしい手の使い方で、葉月を誘う。


    葉月は、ニヤッと笑い、

    大きなハイバックのソファに教授を押し倒した。


    「アァァァン・・葉月・・。」


    葉月は、涼しげな目つきで、教授の目を見ながら

    ブラウスのボタンを一つづつ、上から順番に外していく。


    「もう・・濡れてるんでしょ?」


    そう囁き、肌蹴たブラウスから覗く、黒いブラの淵の白い肌に、

    そっと舌を這わした。


    「アァァン・・」


    そのまま、ブラを下に下ろして、露になった乳房の先端を舌先でゆっくりと

    円を描くように・・

    部屋に響き渡る、甘い吐息・・。

    捲れ上がったスカート・・

    その右手は、大きく開かれた太腿を撫で、そっとパンストの上から

    湿った割れ目に指を這わせた。


    「やっぱりね・・。フフフ」


    教授は、腰をくねらせて吐息を漏らし、さらに葉月を誘う・・。



    コンコン 長谷部です、失礼します。

    ガチャっ


    慌てて、離れて、振り向くと、見たことある顔・・

    そうだ、確か同じゼミの子。


    教授はドアに背を向けて、ブラウスのボタンをかけていた。

    見られた?・・。


    「あっ、すみません。頼まれてたコピーここに置いときます。失礼しました。」


    そのままその子は、扉を閉めて出て行った。


    「鍵・・。すっかり、忘れてたわね。大丈夫よ、あの位置からなら絶対見えない

    から。」


    「あの子、確か同じゼミだったよね。」


    「そうよ。」


    教授は、そう言って、部屋の鍵を閉め、ソファに横たわった。


    「まだ、続けてほしいのね。ほんと懲りない先生・・。」


    葉月は、教授のパンストを脱がせ、そのパンストで教授の手首を縛った。


    「こうされるのが好きなのよね、先生は。」


    デスクの小引き出しから、ガムテープを取り出し、

    教授の、口をふさいだ。

    葉月は、妖しく微笑んだ。

    「これなら、いくらでも喘いでいいわよ。ウフフ」


    呻くようにこもった激しい喘ぎ声が静かな部屋に延々と響いていた。


    (つづく)
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■13213 / inTopicNo.3)  紅い月3
□投稿者/ 雅 ちょと常連(74回)-(2005/10/06(Thu) 12:44:05)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    はぁ・・まだ次の講義まで時間あるな・・。


    葉月は、本館よりかなり奥にある、学生会館の裏へ向かった。

    そこは、余り人もこないし、休憩にもってこいの場所だった。

    少しだけど、芝生があって、木が茂ってるので日陰もある。

    そこにポツリと置いてあるベンチで、横たわって居眠り・・。

    学生会館前にはジュースの自動販売機もあるし、結構お気に入りなんだよね。


    あれ?


    そのベンチには、さっきいたあの子・・。


    確か、長谷部っていってたっけな・・。


    立ち去ろうとした瞬間、


    「どうぞ。」


    にっこりとした笑顔で、その子はベンチの端に腰をずらした。


    「あっ・・。いいよ、別行くからさ。」


    「そんな事言わないで、ねっ。」


    てな訳で、その子の隣に座る羽目になった。

    何話せばいいんだ?


    葉月は、黙ってさっき買ったミルクセーキを缶を開けた。


    「フフフ」


    その子は、何か笑っている・・。


    「ん?何かおかしい?」


    「だって、見かけによらず、ミルクセーキなんか飲んでるから。」


    「飲む?」


    葉月は、ミルクセーキの缶をその子に差し出した。


    「ありがとう。」


    ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ


    葉月は、プッと吹き出した。

    その子は、キョトンとした顔で、葉月を見つめる。


    「普通さ、ちょっとは遠慮するもんじゃない?」


    何だか、後から後から笑いがこみ上げてきて、声を出して笑った。


    その子は恥ずかしそうに、うつむいて答えた。


    「だって、美味しかったから。」


    「いいよ。あげるよ、それ。」


    葉月は、そう言って煙草に火をつけた。

    大きく煙を吸い込んで、フーッとゆっくりと息をはく。


    「斉藤さんも笑うんですね。とっても素敵ですよ。その方が。」


    その子は、笑顔で葉月に言った。


    そう言えば・・

    こんな風に笑ったのって、何年ぶりなのかな。。

    それに、この子私の名前知ってるんだ・・。

    めったにゼミも顔だしてないのに。

    不思議な子だな・・この子。

    (つづく)
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■13217 / inTopicNo.4)  紅い月4
□投稿者/ 雅 ちょと常連(75回)-(2005/10/07(Fri) 00:15:03)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「ここ、よく来るの?」

    葉月は、その子に訪ねた。

    「うん。最近見つけたの。こんなとこに、こんないい場所あったんだって。」

    「そっか。」

    「もしかして、斉藤さんも?」

    葉月は、煙草の煙を吐きながら、うなづいた。


    「じゃ、ここは二人の秘密の場所ですね。」


    「そんな学校内で、秘密の場所なんてないよ。ウフフ」


    「でも、私毎日ここに来てるけど、だ〜れも来ませんよ。」


    子供みたいに無邪気にその子は笑った。


    「じゃ、ここで長谷部さんを襲っても、誰もこないってことね。」


    そう言って、肩に手をかけ、押し倒す真似をする。

    また悪い癖が出た。

    結構可愛い子だと、冗談混じりに、仕掛けてしまう・・。


    「教授だけで飽き足らず、今度は私?」

    そう言って、その子は、フフッと微笑んで、葉月の顔を覗き込んだ。


    「あっ、やっぱりバレてた?」


    「はーい。バレバレでした。」

    そう言って、右手を上げてその子は微笑んだ。


    葉月は、シガレットケースから、煙草を出そうとした。


    「はいっ!隣の彼女、吸いすぎ!没収します。ウフフ。」

    そう言って、葉月の煙草をシガレットケースごと取り上げた。


    「そんな事したら・・」

    そう言って、葉月は、その子をベンチに押し倒した。


    「そんな事したら、どうなるの?」

    その子は、真直ぐな目で葉月を見つめた。


    葉月が覆いかぶさるように、ゆっくり顔を近づけて

    その子と唇を重ねようとした瞬間・・


    キンコン カンコーン 


    「はいっ。時間切れ!今日はこれまで。」

    そう言って、葉月の頬にチュッとキスした。


    「さっ、私この後授業あるから。また明日ね♪」


    そう言って、振り向きながら、笑って手を振って駆けていったその子・・。


    葉月は、独りで含み笑いしながら、カバンの中から新しい煙草を出した。


    これって、久々に


    フ・ラ・レ・タ。


    (つづく)
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■13220 / inTopicNo.5)  雅さん♪
□投稿者/ まみ 一般♪(2回)-(2005/10/07(Fri) 08:36:19)
    おはようございます(^-^)
    もう新作書かれてるんですね☆
    また楽しみに読ませてもらいます♪

    (携帯)
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■13226 / inTopicNo.6)  まみさんへ♪
□投稿者/ 雅 ちょと常連(76回)-(2005/10/07(Fri) 21:40:33)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    いつもありがとうございます♪
    前々から、構想を練っていた作品です。
    SMエッセイ板の「逢瀬の痕」に手がかかってしまい、UPできずにいたので
    やっと完結しましたので、早速書き始めました♪
    また、良ければお付き合いくださいませ♪

引用返信/返信 削除キー/
■13232 / inTopicNo.7)  紅い月5
□投稿者/ 雅 ちょと常連(77回)-(2005/10/08(Sat) 05:06:09)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    その日、葉月は、家へ帰ってから、シャワーを浴び、そのままベッド横になった。

    天井を見ながら、何となく昼間のあの子の言葉を思い出した。


    斉藤さんも笑うんですね。その方が素敵ですよ・・か・・。

    葉月は、フフと、独り寂しく笑った。


    階段を上がってくる足音・・。

    葉月の顔が変わった。


    「葉月ちゃん。ご飯の支度できてるけど・・」


    「後で、食べるから。置いといて。」


    開いた部屋の扉の方を見ようともせず、葉月は答えた。



    葉月は、そのまま服を着て、車に乗って家を出た。

    洗ったままの髪の毛・・。まだ少し濡れてる・・。

    携帯電話で、この前知り合った子に連絡をとった。


    「今日、時間あるんだけど、どう?」



    そのまま、待ち合わせの駅まで迎えに行って、そのままホテルへ。


    「アァァァーン、もうイッちゃう、ハァハァ」


    「フフフ。イっちゃうんじゃなくて、イきたいんでしょ?」


    葉月は、その女の股間に顔を埋め、静かなホテルの部屋には、愛液の臭いと

    その女の激しい息遣いと喘ぎ声がこだまする。


    「アァァァン、早く、はやく、ハァハァ、ゆび・・アァァァァー」


    何ていやらしい女。

    逢ってまだ2回目。今日が初めてってのに。


    「こんなに、いやらしい蜜垂らして・・」


    葉月は、ゆっくりとその女に見えるように、腰ごと上にあげて、その蜜の出所

    を、舌先でなぞっていく・・一番敏感な部分には触れずに・・。


    女は、腰を動かし、葉月の顔に股間を押し付けてくる。


    「そんなに押し付けたって、イかしてはあげないよ。ウフフ」


    「そんな・・意地悪いわないで、ハァハァお願い、イかせて。」


    「どうしようかな・・」


    そう言って、葉月は、妖しく笑みを浮かべた。


    葉月は、持ってきたディルドを着けて女に言った。


    「してほしかったら、これ、上手に舐めてごらん。いやらしく、官能的にさ。」


    女は、腰を振りながら、ディルドを根元まで咥えて音を出して舐めあげる。

    それを、葉月は冷ややかな目で見つめていた。


    「片っぽの手で、自分を慰めてごらんよ。」


    女は、ディルドを咥えながら、喘いだ。


    腰振って、右手激しく股間に擦り付けて・・。ほんといやらしい女。

    女は、我慢できずに葉月に言った。


    「お願い・・、もう・・・ハァハァ、いれて・・」


    「そんなにほしいのね。これが。」


    葉月は、ディルドを後ろから女に突っ込んだ。

    少し起き上がらせ加減にし、右手で女の蜜で溢れた大きくなった股間の突起を

    指で愛撫し、左手は、柔らかい乳房を揉み、先端を刺激しながら、激しくリズミカ

    ルに葉月は腰を動かしていく。


    「アァァァァン、イイ・・ハァ、すごく・・イイ、アァァァー」


    女は身体を仰け反らして、エクスタシーを迎えた。


    (つづく)
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■13240 / inTopicNo.8)  紅い月6
□投稿者/ 雅 ちょと常連(78回)-(2005/10/08(Sat) 15:20:06)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    ホテルを出て、そのまま車に乗り込んだ。

    女は、そのままベッドで眠ってしまっている。


    私、一体何してんだろ・・。

    後、いつもそう思う。

    どんなに肌を重ねても・・どんなに女の喘ぎ声を聞いたって、

    結局、後は独り。

    でも、後のこの疲れが心地いい・・だから、そうさせるのかな・・。


    あっ・・雨・・。


    車のフロントガラスに、ポツポツと水滴が落ちてと思ったら、どんどん激しい雨に

    変わっていった。

    わっ・・、これじゃ余り前、見えないな。どっかのガソスタでも寄って、

    ガラスが雨弾くように、何か買って塗らないと無理かも・・。


    あれっ?


    あの子・・・?


    葉月は、少し先で、車を歩道側に寄せてハザードを点滅させた。

    後ろから歩いてくるあの子・・やっぱり、間違いない。


    その子は、葉月の車を見ることもなく、横を通りすぎていく。

    葉月も、声を掛けずに、その通り過ぎていく後姿をただ見ていた。


    こんな大雨の中、傘もささずに

    泣いてた?


    声かけなかった、と言うより、かける事が出来なかったんだ。

    余りにもさ・・

    哀しい後姿だったから・・・。


    葉月は、家へ帰ってから、ベッドに仰向けになって考えていた。


    あの子、あんな顔するんだね・・。

    昼間の顔から考えられないけど・・。

    よっぽどな事、何かあった?


    フフフ・・。

    葉月は、独り笑った。


    そんなに知らないあの子の事、気にかけてる。

    人の事には無関心なはずなのに。


    葉月は寝そべったまま、煙草の箱をとって、1本咥えた。

    そして、煙草に火をつけた。


    没収か・・。フフ



    (つづく)
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■13252 / inTopicNo.9)  紅い月7
□投稿者/ 雅 ちょと常連(79回)-(2005/10/09(Sun) 05:10:44)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    次の朝・・・

    葉月は、階段を降りて台所へ行った。


    「おはよう、葉月ちゃん。」


    「おはよ」


    そっけない顔で、葉月は答える。


    「今日は、早いのね。ご飯食べる?」


    「いらない。今から学校行くから。」


    あのさ、驚いたような顔で、こっちみないでくれる?

    私も、早くから出る時もあるんだって・・。


    葉月が玄関を出ようとした時


    「はい、サンドイッチ。車の中ででも食べて。」


    葉月は、何も言わず、受け取ってそのまま玄関をでた。



    大学で、朝から退屈な講義に出席して、昼、学生会館の裏へ向かった。

    今日は、誰もいないな・・。


    葉月は、ベンチに横になってボーっとしていた。

    今日は、天気もいいし・・気持ちいい・・。



    「こらっ、誰ですか!こんな所で居眠りをしている人は!」


    葉月は、びっくりして、慌てて起きて立ち上がった。


    そこには、笑顔のあの子がいた。


    「びっくりした?ウッフッフ♪」


    「人が、せっかく気持ち良く昼寝してたのに・・」


    葉月は、少しそっけなく言った。


    「ま、そんな固いこと言わないの。だって、ここは二人の場所でしょ?

    一人で陣取られたら、私の場所がないじゃない。」


    「誰の場所でもないの。早いもの勝ちよ。」


    「じゃ、私の勝ち〜〜♪」


    そう言って、その子は笑いながらベンチに横たわった。


    「あっ、そんな事するんだ。」


    葉月は、覆いかぶさるようにして、横たわったその子の目を見つめた。

    その子は、そっと目を閉じた。


    「そんな事したら、唇奪っちゃうよ?」



    「お腹すいた・・。」


    えっ?


    「お腹すいた。斉藤さん。」


    目を閉じたまま、その子は言った。


    葉月は、クックックと笑った。


    この雰囲気の中で、よくも、まぁ平気でこんなこと言うかなぁ。

    ほんと、変な子だ。


    「ちょうど、サンドイッチあるよ。」


    覆いかぶさったまま、葉月は言った。


    「ほんと?」


    その子の目が開いた。結構綺麗な目してんだね・・。


    「うん。じゃ、その代償に・・」


    葉月は、その子の頬に軽く、チュッとキスして、その子を起き上がらせた。


    「ほら、ミルクセーキもあるよ。ウフフ」


    葉月は、サンドイッチとミルクセーキを出して、その子に差し出した。


    「ね、独りじゃ美味しくないから、一緒に食べようよ。あげるからさ。」


    あげるって・・、それさ、今、私があげたやつ・・。


    「じゃ、いただくことにするよ。」


    その子は、嬉しそうな笑顔を見せた。

    この子も多分、無理してんだね・・。


    二人は、ベンチで一緒にサンドイッチを食べた。

    変わってないな・・。この味・・。

    何年ぶりだろう・・。


    (つづく)
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■13258 / inTopicNo.10)  紅い月8
□投稿者/ 雅 ちょと常連(80回)-(2005/10/09(Sun) 20:30:03)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    橋岡ゼミ、斉藤葉月さん、いらっしゃいましたら教授室まで・・・


    フっ・・お呼びみたいだね。

    葉月は、ゆっくり教授室に向かい、部屋をノックする。

    「どうぞ。開いてるわよ。」


    葉月は、ドアを開けて部屋へと入った。


    「鍵は閉めなくていいの?」


    葉月は、にやっと笑って、教授の顔を見た。


    「今日は構わないわ。あんまり時間がないのよ。残念だけど。」

    そう言って、しなだれかかるように、葉月の首に腕を回し、キスした。


    「条件次第では、卒業、何とかなりそうよ。早く教えてあげたかったのよ。」


    「条件?」


    「ちゃんと、真面目に、卒論書くことよ。去年、貴女卒論たった1枚のレポートだ

    ったんですって?」


    「じゃ、卒論手伝ってよ。ねぇ、せーんせ。」


    葉月は、そう言って、教授の耳たぶに、キスして甘い声で囁いた。


    「アァァンもう・・仕方ないわねぇ。」


    「ありがと。じゃ、そのご褒美に・・」


    葉月は、教授を後ろ向きに、扉に押し付けて、後ろから首筋に舌を這わせた。


    「アァァン・・ダメよ。今日はこの後、会議があるんだから・・アァァ」


    葉月の両手は、教授の乳房を包み、うなじ、肩へと唇を這わせた。


    「アァァァン、もう・・いけないコ・・ンアア・・」


    葉月の右手は、スカートをまくりあげ、ストッキングの内側から、パンティの中

    へ、熱くなった恥部を確認する。


    「やっぱり・・。せんせ。もうこんなに・・」


    葉月の指は、その部分から溢れた蜜で絡み、その滑りで、草むらの突起物を

    滑らかに刺激する。


    知ってるのよ。せんせ。

    先生は、こうやって、つまみながら回すようにするとダメなんだよね。フフフ


    「アァァァーン、葉月、ダメ・・ハァッ、アァァァァー」


    「時間ないんだよね。やめようか?ウフフ」


    葉月の手は止まらない。知り尽くした教授の弱点をどんどんと攻めながら囁いた。


    「アァァァァ、おねがい、やめないでぇ、葉月、いれてぇ。アアァァァー」


    立ったまま、葉月は教授を扉を背にし、片一方だけパンストとパンティを脱がし

    た。

    葉月は、腰を落とし、教授の片足を自分の肩へ置き、大きく開かれた股間を

    じーっと眺めた。


    「せんせ。いやらしいですね。こんなに腫れちゃって。」


    「そんなに、見ないで・・。葉月・・。お願い、して・・」


    フフっと、葉月は笑った。


    「じゃ、どうしてほしいの。順番に教えて。先生のいう通りにするからさ。」


    教授は、恥ずかしそうに、顔を赤らめて言った。


    「・・舐めて、そして・・噛んでほしい・・」


    葉月は、露になった、草むらに顔を埋めた。

    教授は、仰け反るように、腰を振って声を上げた。

    葉月は、教授の大きく腫れた突起物を音を立てて何度も吸い、そして、口全体でそ

    れを含み、舌を絡ませ、そして、少し強めに噛み付いた。


    「アァァァァーン」

    教授の、快気の声は、部屋中に響いた。

    せんせ・・噛まれるの好きだもんね・・フフフ


    教授の腰は、感じてくる程、激しくくねらせ、葉月の顔に股間を押し付けてくる。


    「先生、そんなに腰押し付けて、何してほしいの?」


    指いれてほしいんよね。知ってるよ、フフ。


    「アァァァー、葉月、お願い、奥まで、奥までちょうだい、アァァァン」


    葉月は、肩に教授の脚を乗せたまま、立ち上がった。


    「身体、断然柔らかくなったよね。せんせ。誰のお陰?」

    そう囁きながら、大きくパックリ開いた割れ目を指でなぞる・・。


    「アァ、葉月、貴女のお陰よ・・アァァン、早くちょうだい・ウッ、アァァァーン」


    葉月は、ニヤリと笑みを浮かべながら、指を2本入れた。

    激しく動く葉月の指・・それに合わせて、扉が、ガタガタと揺れる。

    教授は、快楽に、身体を波打たせ、腰の動きが段々早くなってくる。

    支えた方の教授の片足は、もうガタガタを振るえ、支える限界が近づいていた。

    葉月は、教授の一番感じる角度で、激しく指を動かした。その2本の指は、教授の

    中でギターを奏でるような指づかいで、巧みにスポットを刺激する。


    「アァァァ、イクゥ、ハァハァ、アァァッァァー」


    教授は、全身の力が抜け、そのまま下へ座り込んだ。


    「せんせ。汗いっぱいかいてるよ。」


    葉月はニヤリと笑った。

    ありがと、せんせ。

    助かったよ。

    (つづく)

引用返信/返信 削除キー/
■13280 / inTopicNo.11)  紅い月9
□投稿者/ 雅 ちょと常連(82回)-(2005/10/11(Tue) 03:34:16)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    はぁ・・

    車に乗り込み、葉月はため息をついた。

    あっ、あの子・・。

    大学の駐車場の端で、座り込んでる・・。

    葉月は、車を降りて、その子の傍まで寄って行った。


    「どうしたの?こんなとこで座って。」


    「ほら・・。見て・・。」


    その子は、しゃがんだまま指差した。


    「ん?」


    その子の、指差した先には、行列を作って、アリが誰かが捨てたであろうお菓

    子をせっせと運んでいる。


    「もしかしてさ・・これ、ずっと見てた訳?」


    葉月は少しあきれたように言った。


    「だって、すごく面白いよ。」


    「で、いつまでそうして、見てるの?良かったら、一緒にお茶でもしにいく?」


    その子は、葉月を見て、嬉しそうにうなづいた。


    車に乗ったその子は、言った。


    「アリさんのとこは、通らないでね。」


    わかってるよ、そんなことさ・・。フフ。


    「で、行きたいとこある?」


    「じゃ、山!」


    「山ん中じゃ、喫茶店ないよ。」


    「自動販売機でかってく。」


    はいはい。わかりました。お姫様。

    私、すっかり、この子のペースにはまってる・・。

    ま、たまには、いいね。心地いい。


    葉月は、夜景が綺麗だと言われる、ドライブスポットへと向かった。

    車で30分。

    まだ、明るい時間だから、そんなに混んでない。

    山の麓にある自動販売機で、ジュースを買って、展望台へと向かう。


    「わぁ〜。ここ初めてなんだ。」


    今まで、彼氏いなかったのか?

    ここは、誰もが来るって言われてるスポットなのに。

    昼間そこへ行くのは、葉月も初めてだった。

    夜とはまた違って、目の前に広がる景色は、結構いいものだった。


    「ここ、夜景最高だよ。で、長谷部さんは、彼氏いないの?」


    「今は・・、いないの。」


    二人は、その広い景色をただ、じっと眺めていた。

    夕日が真っ赤に景色を染める。

    海で、夕日が沈むの見るのも好きだけど、山でこうして日没迎えるってもの、

    なかなか、いいもんだね。


    ふと、夕日に照らされた、その子の横顔を見た。

    涙が、いっぱい溢れていた。

    夕べのこと?

    葉月は、何も聞かなかった。

    ただ、そっと後ろから、その子を包むように抱きしめて、二人で沈む夕日を見ていた。

    その時、いつもみたいに下心なんてなかった。

    ただ、静かに

    包んであげたかったんだ。


    (つづく)
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■13281 / inTopicNo.12)  毎回読むのを楽しみにしています☆
□投稿者/ 美穂 一般♪(1回)-(2005/10/11(Tue) 09:11:39)
    すごくうらやましぃです(><。)あたしもこんなふうに見つけてもらいたぃ〜!って思っちゃいました★なんかあったたかくて切なくて静かですごくこの物語が好きです!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■13286 / inTopicNo.13)  美穂さんへ♪
□投稿者/ 雅 ちょと常連(83回)-(2005/10/11(Tue) 14:07:21)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    美穂さん、初めまして♪
    毎回、読んでくださってありがとうございます。(^o^)/
    この物語好きって言ってくださって、とっても嬉しいです。
    頑張って更新していきます♪
    これからも、温かく見守ってくださいね♪

引用返信/返信 削除キー/
■13290 / inTopicNo.14)  紅い月10
□投稿者/ 雅 ちょと常連(84回)-(2005/10/11(Tue) 23:16:34)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「宝石箱みたいだね・・」

    そっと涙をぬぐって、その子は、葉月に言った。

    周りを見ると、チラホラとカップル達が増えてきた。

    葉月は、回した手をそっと外そうとしたが、その子はその手を離すことはなかっ

    た。

    こそこそと、周囲のカップルの声が耳に入ってくる。

    葉月は、その子の方を見たが、全く気にしている様子もなかった。

    ただ、その子は、後ろから回された葉月の腕を、しっかりと掴んでいた。


    「ねぇ・・。紅い月って見たことある?」


    その子は、囁いた。


    「うん。たまにあるよね・・。何か大きくて、妖しげな月・・。」


    「その月見たとき、どう思った?怖いと思った?」


    「ん・・。正直言ってやっぱ、怖いかな。人から聞いたけど、紅い月の出る日は

    不吉な事が起こるだって。」


    「不吉なこと・・・。」


    その子は、黙って、月を見上げた。

    その日の月は、綺麗な青みがかった真っ白な月だった。


    「私ね・・。紅い月って、不吉なことが起こるんじゃなくて、人が素直になれる日

    じゃないかと思うの・・」


    「それは、どうして?」

    葉月は、少し不思議そうに聞いた。


    「ん・・・っとね・・。言葉で表現しにくいんだけど・・」

    その子は、少し首をかしげながら、言った。


    「紅い月の出る日は、自分自身を見ることができる日・・そんな気がするの。」

    葉月は、全くその意味がわからなかった。


    「難しい表現だね。」


    「うん。それでいいと思う。」


    何が、それでいいんだろう・・。

    その時、葉月には、その意味を理解することはできなかった。


    「少し、肌寒くなってきたね。そろそろ車に戻ろうか・・」


    その子は、黙ってうなづいた。


    「さ、お姫さま、この後、どうしましょうか?」

    にっこりと微笑んで、葉月は言った。


    「お星様の沢山見えるとこへいきたい。」


    えっ?

    そんな、こんな都会じゃ街の明かりが多すぎて、

    どこにもないよ・・そんなとこ・・。


    助手席に乗っているその子は、プっと吹き出した。


    「そんな困った顔しないで。フフ。プラネタリウムでいいよ。」


    それなら、そうと、そう言ってくれればいいのに・・。

    葉月は、その子に、困らされている自分自身が、何となく滑稽で、心の中でフフっ

    と笑った。

    そうだ、確かあったな・・あそこにプラネタリウム・・。そこへ行こう。


    (つづく)
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■13292 / inTopicNo.15)  紅い月11
□投稿者/ 雅 ちょと常連(85回)-(2005/10/12(Wed) 00:30:40)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「あ・・。」

    二人が、揃って発した言葉・・。

    駐車場にチェーンがかかり、その前には立て看板・・・。

    本日、休館日。

    あ〜、何てついてないんだろう・・。


    「フフフ。」

    その子は、誰もいない駐車場警備室の窓に書いてある表示を指さした。

    駐車場午後8時まで。(プラネタリウム最終上映午後7時)

    んと・・只今、午後8時半

    はぁ・・どっちにしても、見れなかったんだね。

    あっ、そうだ・・あそこなら・・。でもなぁ・・。


    「ん?どうしたの?どっかいいとこ思い出したの?」


    その子の声に、葉月は、一瞬、動きが止まった。


    「いやさ・・。ラブホになら、心当たりがあるけど・・。」


    やっぱ、まずいよね。フフ。


    「じゃ、そこいこ。」


    えっ?ほんとにいいの?

    それって、まずいんじゃないの?


    「でもさ・・」

    葉月は少し戸惑っていた。


    「いこうよ。二人だけで星の鑑賞できるなんて、素敵。でも・・」


    「でも?」

    葉月は、その子の顔を覗きこむように言った。


    「教授と行った?その部屋に。」


    「いんや。私も入ったことのない部屋だよ。値段が一番高い部屋でね。平日詰まっ

    てるのみたことない。」


    「いくら位するの?」


    「確か、休憩2時間で1万5千円、宿泊2万円だったかな。」

    葉月は、煙草に火をつけながら言った。


    「それって、宿泊しないと損だね。5千円しか変わらないなんて。じゃ、そこでお

    泊りで決まり!私も1万円出すからね。」


    その子は、にっこり微笑んだ。


    えっ?

    いきなりお泊りですか?

    確かに5千円しか変わらないんだけど・・。

    ま、いいっか。


    この子が、喜ぶなら・・

    この無邪気な子の、笑顔が見れるなら・・。

    それだけでいい。

    さっき

    君の心の泉から溢れてしまった雫を

    少しだけでも、

    戻してあげたかったんだ。


    アッハッハ。

    やっぱ、私、

    いかれてる。


    (つづく)
引用返信/返信 削除キー/
■13315 / inTopicNo.16)  紅い月12
□投稿者/ 雅 ちょと常連(87回)-(2005/10/13(Thu) 00:05:38)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    二人で、軽く夕食をとって、コンビニによって、お菓子と飲み物かって・・。

    「準備OK!プラネタリウムへGo!」

    ほんと、わかってんのかね・・。

    一応さ、あんな事こんな事しちゃったりするホテルに行くんだよ・・。

    葉月は、空港方面へと車を走らせた。


    空港に近いラブホ街・・。

    沢山のネオンから少しだけ外れたところにあるホテル。

    「ここね、結構穴場なの。2時間で3500円ポッキリ。なのに、結構部屋広めだ

    し、いいんだよねぇ」


    「ふーん」


    何言ってんだ、私。

    いちいちそんな説明することないのに。


    車が、駐車場に入ると、すぐ中年の男性がでてきて、エントランス前で立ってい

    た。

    「ねっ、あの人なに?」


    「あ〜、ここね、車かってに駐車場に入れてくれるんだよ。だから、そこで降りた

    らいいのよ。」


    二人は、エントランス前で車から降りて、そのまま中へと入った。


    中のパネル・・。やっぱり空いてる。


    最上階の、その部屋・・。

    中ドアを開けた。

    天井がドームみたいになってて、かなり広い。

    何と、露天風呂までついてるし・・。

    自分でお湯いれなきゃいけないけど、その方が、清潔な感じがして気持ちいい。


    「わぁ〜っ、この部屋、すごいね。お風呂が二つもあるよ。」

    その子は、嬉しそうに部屋を見渡している。


    「どうする?先、お風呂でも入る?やっぱ露天風呂がいいよね!」

    その子は、テラスへ出て、露天風呂にお湯を張りに行った。


    マジですかぁ?

    露天風呂、確かに気持ちいいんですけど、余りにも無防備というか、何というか

    戸惑っちゃうんですけど・・。


    少し戸惑ったような顔をしている葉月にその子は、

    「ねぇ、何か、いやらしい事考えてるでしょ。ウフフ」


    ウフフって・・

    あーっ、一体、何振り回されてるんだろ。

    そのつもりなら、美味しい思いさせてもらっちゃうよ。


    「あっ、これかぁ・・。」

    部屋に投影器がおいてあった。

    葉月が、それに触れようとした瞬間


    「ダメっ。」


    えっ?

    いきなり大きな声でいうもんだから、葉月は、驚いてその子の顔を見た。


    「二人で、ゆっくり準備してから。楽しみは、後までとっておくの。

    だから触っちゃダメ。」


    ハイハイ。


    その子は、買ってきた飲み物を冷蔵庫の中へしまい、ベッドの頭元にある遠隔スイ

    ッチで、部屋全部の電気を消した。


    「この方が、落ち着く・・。」


    その子は、そう言って、服を脱ぎだした。

    葉月は、ただ黙ったまま、じっと見つめていた。


    青白く肌が、照らされて・・

    全然今まで気づかなかったけど・・

    すごく綺麗な身体してたんだね・・。

    月明かりが、そう思わせるのかも知れないけど、

    何か、映画のワンシーンのような・・

    そのくらい

    綺麗だった・・。


    (つづく)
引用返信/返信 削除キー/
■13316 / inTopicNo.17)  紅い月13
□投稿者/ 雅 ちょと常連(88回)-(2005/10/13(Thu) 01:24:42)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「早くおいでよ。」


    その子は、そう言って、露天風呂に向かった。

    脇においてある洗面器でかけ湯をするその子。。

    真っ白い肌が、キラキラ光って、

    大きな胸の膨らみが、横から見るととても悩ましくて。。

    ゆっくり足先から、湯船に浸かっていくその子が

    たまらなく葉月を刺激する。


    あの時思ったんだ・・。

    他の誰にも、触れさせたくない・・って。


    葉月は、ゆっくりと服を脱いだ。

    そして、その子のもとへ近づいていった。


    葉月もかけ湯をして、その子の隣に入った。

    結構広さがあるから、二人で脚を伸ばして入れた。


    「ねぇ。今までに、本当に好きになった人はいる?」


    「ん・・。」

    葉月は返答に困った。

    何故なら、そんな気持ちになったのって、

    遠い昔の淡い恋くらいのもので・・

    身体の関係をもった人で、そんな人など一人もいないっていうことを

    自分が一番わかっていたから。


    「せんせ?」


    「違うよ。そんなんじゃないのよ、教授とは・・」


    「良かった・・」


    良かった?何が良かったの?


    「私はね・・。たった一人だけいるの。今も、心の中に」


    そう言って、その子は、フフっと微笑んだ。


    葉月は、胸が締め付けられた。

    何なんだろ・・この感覚・・。

    やりきれない・・

    この気持ち悪さ・・。

    やっぱ、一緒なのかな・・君も。



    葉月は、上を向いて、目を閉じた。


    「どうしたの?眠い?」

    その子は、葉月の顔を覗き込んで言った。


    葉月は、いきなり、その子をぐっと引き寄せ、キスした。


    「ンン・・」

    腕に力が入ってて、荒っぽいキス・・。

    そのまま、その子の首筋へと唇を這わせた。


    「いやっ!」

    その子は、顔を横に背け、葉月から逃れようとした。

    でも、葉月は離そうとしなかった。


    葉月は、妖しい笑みを浮かべて言った。

    「ここへ来たってことは、そういうことじゃない。フフ」


    そう言って、その子の大きな白い胸を鷲掴みにしながら、

    唇にキスした。

    その子は、今度は抵抗しなかった。

    ただ・・

    哀しい目をして、葉月を見つめていた。


    葉月は、その手を外した。

    そして、夜空を見上げて、ただぼーっと眺めていた。


    ほんと、イヤな奴だよね、私。


    (つづく)

引用返信/返信 削除キー/
■13334 / inTopicNo.18)  紅い月14
□投稿者/ 雅 ちょと常連(89回)-(2005/10/14(Fri) 01:53:35)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「そろそろ上がろうよ。逆上せちゃうよ。」

    その子は笑顔で、言った。

    だが、葉月は、黙って目を閉じたままだった。


    その子は、湯船の縁に腰を掛け、ゆっくりと話だした。

    「ねぇ、私ね、アンデルセン童話の人魚姫って、本当はとても幸せな物語だと

    思うの。」


    確かあれって、人魚が、人間の王子に恋をして、もう一目逢いたいと魔女に自分の

    美しい声と引き換えに人間の身体になって、王子が他の人を好きになってしまっ

    て・・

    最後は、海の泡に消えていくっていう話・・?

    どこが幸せなんだ・・。

    不幸のどん底の物語じゃないか・・。

    てか、この雰囲気の中で、よくもそんな話ができるもんだ・・。


    葉月は、小さな声で言った。

    「・・・どうして?」


    「だってね、自分の大事なものを失ってでもいいって思えるくらいに、

    その人を、愛することができたから。」


    葉月は、どうも理解に苦しんだ。

    確かに、言ってることはわかるけど、何でそれを今話す訳?


    その子は、にっこりと微笑んで言った。

    「私には、そんな勇気はないんだけどね。」


    いらないんじゃない?

    そんな勇気なんてさ。

    どんなに愛したって、結局は独りなんだからさ・・。

    それができるのは、聖人だけの話。

    肉の欲がある限り、そんなの綺麗ごとにすぎないよ・・。


    その子は、微笑んで、葉月の手をとり

    「そろそろ、見ようよ。プラネタリウム。」


    そうだね。

    君が何を考えているのかわからないけどさ・・

    その笑顔を見てると

    その綺麗事も、本当に思えてくる。

    心が、和むよ・・。


    私らしくないけどね・・。フフ

    (つづく)
引用返信/返信 削除キー/
■13337 / inTopicNo.19)  紅い月15
□投稿者/ 雅 ちょと常連(90回)-(2005/10/14(Fri) 04:15:11)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    部屋に戻って、備え付けのバスローブを羽織り、

    葉月は、投影器のスイッチを入れた。


    「うぁ〜っ、綺麗!」

    その子は、天井を見上げて叫んだ。


    ドーム型の天井に映し出された、満天の星空・・。



    プラネタリウムの小型版って感じだけど・・

    その子は、ベッドに横になって、その星空を見上げた。

    大きな目を見開いて、まるで子供のように・・。


    「早く。隣にきて・・」


    葉月も、ベッドに横になって、その空を見上げた。

    まるで、異世界のような・・

    そんな気さえした。


    その子は、そっと葉月の手を握った。

    その手は、冷たかった。

    葉月は、その手をとって、そっと自分のお腹に入れた。


    「あったかい・・」


    「風邪引いちゃうと困るから・・・。中に入ってみる?」


    その子は、頷いた。


    二人で、ベッドにもぐりこんで、空を眺めた。

    何も言わず、ただじっと空を見つめていた。


    「ありがとう・・。」


    その子は、起き上がって、葉月に覆いかぶさるように・・

    そっと葉月の唇にキスした。


    葉月は、そのまま優しく引き寄せた。

    暗がりの中だったけど

    その子の顔は、確かに微笑んでいた。


    「そんな事したら、ほんとに抑えられなくなるよ」


    その子は、黙ったまま頷いた。


    さっきは、そんな意味じゃなかったけど

    今は、何だか自分でも、わからないけど

    自然に

    君を抱きたいと


    そう思ったんだ・・。


    その子は、横たわる葉月の腹部を跨いだ。

    葉月は、星の微かな光を頼りに、バスローブを脱がせた。

    さっき話してくれた人魚じゃないけれど

    その髪のウェーブも、その乳房も・・

    その透けるような光る肌も

    まるで人魚のようだと葉月は、思った。


    それは、いやらしい肉欲の雌なんかじゃなくて

    本当に愛しくて

    全てを包んでしまいたい・・。

    そう思って抱いた。


    君の喘ぐ声は、私の耳にこだまして

    君の奥の温かみが、

    私の指を温かく包み込む。


    君が立てた、背中の爪痕は

    余りにも心地よくて

    何度も何度も、

    君を愛した。


    でも、君は・・

    本当にそれでよかったのかな・・・。

    (つづく)
引用返信/返信 削除キー/
■13350 / inTopicNo.20)  紅い月16
□投稿者/ 雅 ちょと常連(91回)-(2005/10/15(Sat) 23:26:49)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    それから、大学でその子に会うことはなかった。

    あの学生会館の裏のベンチにいれば、逢えるような気がして、

    葉月は、毎日足を運んだ。

    だが、その子の姿は、なかった。


    橋岡教授に、何気なく訪ねてみた。

    どうやら、家の事情で、休学したらしいということだった。


    葉月は、どうしてもその子が気になった。

    ゼミ仲間に、聞いても詳しい事を知るものはなかったが、

    確か、駅前の楽器屋の娘らしいということがわかった。


    葉月は、教授にその日誘われていた。

    だがうまくかわして、駅前の楽器屋へ向かった。


    「いらっしゃいませ。」


    中から老人が現れた。

    こじんまりとした、小さな楽器店。

    主に弦楽器を扱う店のようで、ギター、マンドリンetc・・

    有名な奏者らしい人の写真が飾られてある。


    この老人は、彼女のおじいさんなのだろうか?


    「すみません。あの・・」


    その時、後ろから、声がした。


    「おじいちゃん、ただいま。」


    後ろを振り返ると、そこにあの子の姿があった。


    「あっ、よく分かったね。教授に聞いた?」


    老人は、葉月ににっこりと頭を下げ、そのまま奥に消えていった。


    「ゼミの子に、ここの娘って聞いて来てみた。」


    「そうなんだ・・。良かったら、そこの椅子に座って。私店番しないとダメだから

    ここにいるし。」


    その子は、そうい言いながら、小さなテーブルの脇に置いてあるポットでお茶を

    入れてくれた。

    葉月は、椅子に腰掛けて、お茶をすすった。


    「店手伝わなきゃダメになってね、大学休学したの。」


    「そうなんだ・・。でも元気そうで良かった。」


    店に流れるギターの調べは、心地よかった。


    「ねぇ、ギター弾けるの?」

    葉月は、訪ねた。


    「うん、少しならね。物心ついた時から、ギターがあったから。」


    この子がギターを弾く・・。ちょっと見てみたいな・・。


    「弾いてあげようか?ちょっとだけ。ウフフ」


    その子は、奥の方にあるギターケースを取り出して、その中から、綺麗に手入れ

    されたギターを取り出した。


    その子は、足を組んだ。スカートが少し上がって、綺麗な足が露になる。

    そこへ、ハンカチをふわっとかけて、ギターを構え、ゆっくりと弾きだした。


    葉月は、驚いた。

    今までフォークギターとか、エレキギターとか、そういうものしか知らなかった

    けど、このギターは、何て甘い音が出るんだろう・・。

    そして、この指の動き・・。

    滑らかに、指が、まるで他の生き物のように・・・

    それに、こんなに愛しく弦を奏でる・・。

    でも、なんか切ないこの曲・・。


    1曲弾き終えると、その子は、少し恥ずかしそうに葉月を見て


    「はい。演奏終了。」

    そう言って、ギターを片付けだした。


    「ね、今の曲は何ていう曲?」


    「今のは、アルハンブラの想い出っていうの。ギターでは有名な曲よ。」

    その子は、にっこり笑って、葉月に答えた。


    お客さんらしき人が、店に入ってきた。

    葉月は、すぐに、立ち上がった。


    店を出る時に、その子に言った。

    「あのさ、夜とかも忙しいの?」


    「あれ?もしかして、デートのお誘い?ウフフ」


    「忙しいならいいよ。またここへ来てもいいかな?」


    「じゃ、10時に迎えにきて。」


    そう言って、その子は、入ってきたお客の接客についた。

    葉月は、店を出て、車に戻った。

    葉月は運転しながら、あの子の奏でるギターを思い出していた。


    私・・

    あの子に恋してる。

    (つづく)
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