| ヒトリになってしまったこの部屋で今雨音を聞いている。 フタリであったことはなかったけれど私とあの子は確かにこの部屋に居て、私は勝手にアナタにときめいてドキドキしてそして深く考える事もなくその感情を大切に守っていた。
「あのさ、恋人できた。」
「まじで?へー、いつから?」
「一週間くらい前かな。」
頭の中が真っ白になったのは初めてだ。
―おめでとう。
とウソついて初めてあのドキドキの原因がわかってしまって、でもそれは今更なんの意味もないただ苦しいだけの感情になった。気付いたらそんな感情になってしまっていた。 アナタに向けてきた想いにやっと明確な名前がついて喜ぶまもなくそれは叶わない願いだと自覚だ。
二人を閉じこめた雨ももう意味がない。だって片思いに気付くと同時に失恋したまぬけな私だ。
雨が降る。 カサのないこの部屋であなたを思えば嬉しさと悲しさ押し寄せて、ヒトリなんだとおもう。 フタリであったことなどないのに。
(携帯)
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