| 証―アカシがほしいとその人は言った。
次の日、明石焼き(アカシヤキ)を買っていったら不満げに苦笑ってたけどすべてを平らげると満足げに美味しかったと本当に笑顔だった。
それでいいじゃないかと私は思う。
こんなにも素直な笑顔なあなたとそれをみて上機嫌な私がここにいる。 これ以上の証なんてそうそうない。
すっごく好き同士でとても離れがたい二人だから。とにかく、そう。愛し合ってしまっているから、そんな明白なコトに証拠もなにもないんじゃないかと思いながらやっぱりあなたの笑った顔と驚いたが顔が好きな私は後片付けをし始めた彼女に隠れて机の下に明石焼きのついでに買ったベタな揃いのリングを潜ませる。 渡す時の事を考えて心底ワクワクしながら待つ私は本当に本当に彼女の事が好きなんだなぁと他人ごとのように再確認したんだ。
こんなものが証になるなんて思っちゃいなかったけど、恭しく渡したそれをあんまり大事そうにあなたが扱う。それがあんまり愛おしくてこの指輪を見る度に思い出してしまうだろうから本当になんだか証みたいじゃないかと思わず笑った私だ。
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(携帯)
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