ビアンエッセイ♪

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■15959 / inTopicNo.21)  Re[17]: うさぎ病>夜の記憶、朝の洗礼
  
□投稿者/ れい ちょと常連(80回)-(2006/08/16(Wed) 20:05:01)
    翌朝、早朝に目覚めた私は書き置きを残して

    (泊めてもらったお礼とメールアドレス、そして電話番号)

    重い体を押すようになんとか美春の家を出て

    いったん家に帰り、シャワーを浴びた後、

    冴えない顔をして職場に向かった。


    こんなにだるいのは、久しぶりだ。

    そして、最悪なことに二日酔いのためか、頭が割れるように痛い。


    職場について、ユニフォームに着替え終わったころ、

    携帯にメールが来た。見ると、美春からだった。

    起きて、書置きを読んだらしかった。


    「お仕事おつかれさま!もう始まるころかな。

    昨日はありがとう。愉しかったです。また遊ぼうね。連絡します」


    メールを一読し、携帯を閉じる。

    彼女との一夜を思い出すと、それだけで体が疼く私がいた。

    メールを見る限り、彼女との関係は、

    遊びということになったみたいだった。


    …うん。それくらいがいいのかもしれない。

    ストライクだったけど、

    いつもあのテンションで付き合うわけにはいかないだろう。

    彼女も、私の体に興味を示しこそすれども、

    私自身のことに関しては興味なかったらしい。


    あのセックスは大変魅力的だったけれど、

    そんな火遊びばかりしていられる歳でもないのは、自覚していた。


    …あ、そういえば、スニーカー代。

    そう思ったところでまた携帯が震えた。


    「そうだ!スニーカー代!!(*◇*)忘れてた〜ごめんね(>_<)

    今度お店に払いに行きます<(_ _)>」


    そうだった。彼女は元々ここで知り合ったんだった。

    あんな痴態を曝したあとに、仕事先で会うなんて。

    羞恥プレイもいいところだと思う。


    そんなことを考えているうちに、


    「おはようございまーす…」


    誰かが入ってくる声がした。ちょっと早めのこの時間に

    来るのは、うちの店のスタッフくらいしかいないはずだ。


    「おはようござ……!?」


    ロッカールームに入ってくる女の声がしたので、

    篠原だと思って目向けると、そこには可南子がいた。


    「か、可南子…!?どうして…」


    とっさのことに、上条さん、などと呼ぶ間もなく、

    私の頭の中が、パニックに陥る。

    昨晩のことがあるせいで、なんだか後ろめたい。

    もう私と可南子は赤の他人なのだけれど。


    「篠原さんから…昨日の夜遅くに体調を崩したとの連絡が入って…。

    代理でこちらに出勤したんだけど。聞いてないの?」


    私の反応に、可南子も普通通りに接してくれる。

    かつて私が彼女と付き合っていた頃のように。



    しかし篠原、聞いてないわよ…。

    篠原のことだから、夜遊びが長引いたのだろう。

    復帰したらまた彼女を叱らないといけないのか、と頭が痛くなる。


    「…体調、大丈夫?」


    可南子が、私の顔を覗き込んでくる。

    明らかに体調の悪そうな私を気遣ってくれていた。


    「うん、平気…ただの飲みすぎと睡眠不足だから…」

    「淳子さんが仕事の日にそんなの引きずるなんて…

    らしくないね。何かあった…?」

    「いや、大丈夫。昨日、ちょっと眠れなくてさ」


    可南子の鋭さにドキッとしながら、上手く言い逃れようとする。


    「もしかして…あたしのせい…?じゃ、ないよね。さすがにそれは」


    可南子の一言に、昨晩のいやらしい夢が甦る。

    あんなにそのあと激しいセックスをしたというのに、

    あの夢だけは色鮮やかに記憶に残っていて、

    唐突に意識の上に甦っては私の行動を一時停止させていた。


    「う、うん。可南子のせいじゃないから。大丈夫よ。

    さ、仕事にいきましょう」


    そう言って、その場を上手く切り抜けた。



引用返信/返信 削除キー/
■15960 / inTopicNo.22)  ゆららさん、感想ありがとうございます。
□投稿者/ れい ちょと常連(81回)-(2006/08/16(Wed) 20:15:50)
    ゆららさん

    官能爆発な展開ですみません…。笑

    大人のレンアイに官能なし、はないでしょうと思いまして…

    話を考えて、一連のストーリーが浮かんだときには

    何とか官能部分(笑)を取り外す方向で考えていたのですが。

    やっぱり避けられませんでした。


    その分前回より文量は少なくしたつもりです。

    前回は(夏子編は)官能小説でしたが。

    今回のシーンは小説の一部、ですからね!

    けっして官能小説ではありませんよ〜。笑


    それでも、喜んで戴ければ嬉しいです。

    前回より官能度が下がっていなければいいのですが…。

    毎回、描くたびに思っています。


    決して甘くはないですが、

    その分ちょっと灰汁の強い、大人な小説を、楽しんで戴ければ幸いです。


    私の中では、カカオ85%くらいの甘さ控えめストーリーを

    この「うさぎ病」では描いていけたらいいなと思っております。

    また、ぜひ感想を聞かせてくださいね。
引用返信/返信 削除キー/
■15965 / inTopicNo.23)  うさぎ病 れいさんへ またまた返信☆
□投稿者/ ゆらら 一般♪(20回)-(2006/08/17(Thu) 00:24:36)
    激情的で支配欲のような強さの愛と性を持っている
    性格が実は男前の、淫らな夏子ちゃん☆
    でもはるかの前ではいつも誘惑ぶりっこちゃんのキャラ☆
     
    逆に男の子っぽい見た目と違い、中身が
    純情初恋乙女系で性欲も可憐な、はるかちゃん☆
    この二人のキャラと、両思いなのに、もどかしかったり
    した関係が結び付くまでのストーリー、好きでしたよ☆

    とくに夏子の貪欲なまでの秘められていた欲情・・☆
    はるかの事を縛りまくってしまいそうな程の愛だった・・☆
    読みたかったなそんなシーンも(笑)
    ん〜官能の香りがするねっ☆

    うさぎ病では、辛口ビターな大人の恋愛ですか・・
    いいなぁ・・切なそう・・☆

    では、お話進むの、楽しみにしていますっ☆
引用返信/返信 削除キー/
■15966 / inTopicNo.24)  はじめまして
□投稿者/ 昴 常連♪(136回)-(2006/08/17(Thu) 00:36:47)
    えっ、官能小説じゃなかったんですか?

    途中でビアン板でなくSM板かと思うほどハードだったのに…


    はじめまして!『ご主人様…』の昴と申します。
    いつも楽しみに拝見させて頂いています。
    更新のテンポがよくて見習いたい程です。('-^*)/

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■15975 / inTopicNo.25)  初めまして♪
□投稿者/ 聖音 一般♪(26回)-(2006/08/17(Thu) 12:22:02)
    すっごくドキドキしながら読ませていただいてます♪

    ジュンコさんが羨ましい!!とか思っちゃってます(笑

    これからどうなっていくのかすごく楽しみです♪

    これからも応援してます♪
引用返信/返信 削除キー/
■16001 / inTopicNo.26)  昴さま、はじめまして。
□投稿者/ れい ちょと常連(82回)-(2006/08/18(Fri) 20:38:17)
    「うさぎ病」のれいと申します。

    感想、ありがとうございます。嬉しかったです。

    昴さんも結構なペースで書いていらっしゃいますよね。

    無理はなさらないよう、自身が楽しめるペースで執筆なさってください。

    わたしも頑張らないとo(^-^)o


    …官能小説ですかね。
    やだなあ、最初は純愛路線しか書かないつもりだったのにな。

    いつの間にか官能路線。笑


    次作こそは、原点回帰で!行きたいと考えています。


    次作発表できるのはいつになるか分かりませんが、
    末永くお付き合い戴ければ幸いです。


    今後とも宜しくお願い致します。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■16002 / inTopicNo.27)  聖音さま、お読み戴きましてありがとうございます。
□投稿者/ れい ちょと常連(83回)-(2006/08/18(Fri) 20:46:56)
    聖音さま

    はじめまして。れいと申します。


    淳子が羨ましいですか。

    この後彼女たちがどうなっていくかは、

    わたしのみぞ知る(笑)訳ですが…

    聖音さまの期待を裏切るような気がしてなりません(-_-;)


    がっかりしないでくださいね。笑


    頑張って書きます。


    …これ、お名前なんとお読みするんですか。



    れいでした。

    (携帯)
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■16065 / inTopicNo.28)  Re[18]: うさぎ病>思わぬ誘い
□投稿者/ れい ちょと常連(85回)-(2006/08/21(Mon) 22:03:27)
    可南子との仕事は非常にやりやすく、快適だった。

    彼女が私の体調を気遣って、いつもより多めに動いてくれているからかもしれない。

    仕事の手際の良さをどうしても、

    まだ新人扱いの篠原と比べてしまうからかもしれない。


    それでも、彼女と私の相性が合うことは、否定しようがない事実だった。

    お互いが、お互いの不足部分を上手く補って業務を回していける。

    その仕事のしやすさに、体調不良で下がりがちだった私のテンションも見事回復し、

    朝に比べて顔色も悪くはなくなっていた。


    「やっぱ、淳子さんとだと働きやすくて助かるわ。

    …こんなこと言ってちゃだめなのはわかってるんだけどさ。

    淳子さん処理早いし、手際いいし、管理しっかりしてるし。

    あたしも見習わなきゃね」


    可南子も同じようなことを感じていたらしい。

    可南子の珍しい褒め言葉に、嬉しくなる私がいた。


    仕事上では後輩とはいえ、

    可南子は人を褒めないので有名だったから。

    かなりの負けず嫌いなのだ。

    かつて好きだった女なら尚更だ。


    「どうしたの、珍しいじゃない。」


    お客様の切れ目だったので、話を振る。

    可南子が何か、言いたそうだったから。

    彼女は、こっちから上手く水を向けてやらないと、

    滅多なことがない限り、自分からそういうことを話さない。

    これも、彼女との数ヶ月で学んだことだ。


    「あっちでなんかあったの」


    3ヶ月前まで私のいた店舗。

    あそこは少し大型店でアルバイトが多いけれど、

    働けるスタッフばかりだったはず。私が鍛え上げたスタッフたち。

    彼女は今、そこの副主任(副店長)を務めているはずだ。


    「んー…いや、店長変わってさ。みんな、辞めちゃって」

    「え、聞いてないわ、なにそれ」


    まったくの初耳だった。

    数人の笑顔が、頭を過ぎる。

    私が育て上げた、気の利くいい子たち。


    「新しい主任がさ、淳子さんには言うなって」

    「な、なんで?」

    「知らない」


    新しい主任って、誰だっけ、と思い巡らすと

    一人の人物に行き当たった。私のひとつ上の女性社員。

    こういう言い方は失礼かもしれないけれど…風采が上がらない人。

    人を感情に流されながら扱う人。

    そういえばあいつは何故かいつも私をライバル視していたっけ。


    「みんなって…?」


    怖くて聞きたくなかったけれど、

    聞かざるを得なかった。


    「ゆうちゃんとか、千佳子とか、あと来週手塚さんとか」


    上がってきた名前は、私が一から育て上げて、

    店員として立派に教育したと思える人たちだった。

    しかし可愛い女の子から辞めていくのは、なんとも悲しい話だ。


    「で、代わりに新人が3人入ったんだけど、

    彼女たちの教育係、あたしに一任されてるの。」

    「そうなんだ。大変でしょう」

    「うん…淳子さんって、大変だったんだねぇ…」

    「あはは。そうでもないわよ。あの時はあんたがいてくれたしね」

    「そっか…」


    彼女が珍しく沈んでいる。

    軽口を叩いても、受け流してくれない。

    これは、結構重症かもしれない。


    これは飲みに連れて行ってやるしかないだろう、

    二日連続はきついけど、いいタイミングだし。

    …そう思って彼女に声をかけた。


    「可南子」

    「淳子さん、今日さ…晩ごはん、付き合ってくんないかな…」



    「…いいけど。」


    なんというか。

    私はとことん彼女が好きだったんだなと、

    そして彼女は私を頼っていたんだなと、

    思わされる一瞬だった。





引用返信/返信 削除キー/
■16067 / inTopicNo.29)  更新されてる〜(ノ>▽<)ノ
□投稿者/ 聖音 一般♪(43回)-(2006/08/21(Mon) 23:03:06)
    待ってました〜(>▽<)

    これからも応援してます〜(^^*)

    ちなみに名前は『せいね』って読みます♪
引用返信/返信 削除キー/
■16100 / inTopicNo.30)  せいねさん、感想ありがとうございます♪
□投稿者/ れい ちょと常連(86回)-(2006/08/24(Thu) 15:03:59)
    2006/08/24(Thu) 21:49:27 編集(投稿者)

    …更新しました。
    (遅すぎな返信ですね)

    更新分の文章は書けているのですが、

    なかなかUPする時間がなくて…


    次回更新は週末になりそうです。

    仕事、頑張ります。


    少しだけ、まっててくださいね。



    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■16111 / inTopicNo.31)  Re[19]: うさぎ病>思わぬ来訪
□投稿者/ れい ちょと常連(87回)-(2006/08/24(Thu) 23:33:16)
    今日は二人とも早番で。

    14時くらいから遅番のアルバイトさんが来てくれることになっていた。


    私と可南子は17時で上がる。

    ここの百貨店は客層からか、スポーツ用品売り場は

    朝昼のほうがお客様が多いのだ。


    年齢が高めで落ち着いた方の多いのここと、

    比較的若年層をターゲットとしていた前の店舗の客層の違いに

    最初はマネジメント面で戸惑ったけれど、すぐに慣れた。


    「今日何食べたい?」

    「そうだな…久しぶりに和食が食べたいかも♪」

    「そんなこと言って、私とご飯行くときは大体和食って言うよね」

    「そうかな〜。そんなこと言って、淳子さん、結局イタリアンとかになるじゃない」


    そんな会話を繰り広げていた、昼下がり。

    お昼のピークを過ぎ、百貨店全体の空気が緩んでくる頃。

    そろそろ私もランチ休憩にいってくるね、と可南子に告げ、

    売り場に背を向けた矢先だった。


    「いらっしゃいませ」


    可南子の声が背に聞こえる。店舗に来客があったらしい。

    視線をちらりとそちらに送り、ショーケースを覗き込んでいる姿を確認する。

    顔は確認できないが、服装からして二十代の女性だろう。


    接客は可南子に任せ、バックに下がろうとしたその時に、


    「あ、ジュンコさん」


    私に声がかかった。特徴的なアルト。

    振り返ると、美春がいた。
引用返信/返信 削除キー/
■16126 / inTopicNo.32)  NO TITLE
□投稿者/ 真紀 一般♪(1回)-(2006/08/25(Fri) 21:00:47)
    続きを楽しみにしています♪
    更新頑張って下さい↑↑

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■16191 / inTopicNo.33)  Re[20]: うさぎ病>やきもち
□投稿者/ れい ちょと常連(88回)-(2006/08/28(Mon) 23:37:58)
    「いらっしゃいませ」


    思わぬ来訪に、動揺を慌てて取り繕う。


    「今日だったの?」


    バックに向かう足を180度転換し、彼女の方へ歩み寄りながら

    今朝のメールを思い返して、質問をした。


    「うん、時間あったし、来ちゃった♪」


    嬉しそうにふふふ、と笑う美春の姿に、私は魅了された。

    やっぱり、彼女は圧倒的に美しい。


    「あ、私これからランチ休憩なんだけど。一緒、出る?」


    可南子の手前、話し辛いのもあった。

    美春が頷いたので、可南子に一言言って、

    外で待ち合わせることにした。


    可南子の視線が、少し痛かった。

    彼女はかなりのやきもち焼きなのだ。

    それは、別れた今も変わらないらしかった。




引用返信/返信 削除キー/
■16192 / inTopicNo.34)  Re[21]: うさぎ病>「カナコ」
□投稿者/ れい ちょと常連(89回)-(2006/08/28(Mon) 23:40:23)

    ――あっつい。


    外は、熱気と湿気に満ち満ちていて、

    呼吸をするのも憚れるくらいだった。

    このまま溶けて、アスファルトと一体化してしまいそうな錯覚を起こす。

    冷えた手に、湿気が纏わりついて、手がべたついた。

    太陽の日差しが痛かった。皮膚を炙るような熱射に、

    「肌が焼ける」という表現がぴったりだと思った。


    待ち合わせる約束をしていた駅前のイタリアンに入ると、

    美春は既に席についていた。


    「ね、あれがカナコさん?」


    私が席に着くなり、彼女が発した言葉に、

    私は思わず口に含んだ水を噴出すところだった。


    「は?!…えっ?」

    「店員の人。違うの?」

    「そ、そうだけど…な、なんで?」


    慌てて水を飲み下し、彼女の顔を見る。

    美春の前では可南子の話をした覚えがない。

    むしろ、今日以外、可南子という名前自体を

    ここ数日発した記憶がなかった。


    「視線。あの人、すごくわたしのこと睨んでたもの」

    「え、いや…」


    そうじゃなくて、と心の中で美春を否定しかけた。

    なんで彼女の口から可南子の名前が出たのだろう。

    しかし、可南子が美春を睨んでいた、という事実に、

    少し嬉しくなってしまう私がいた。

    可南子は、まだ私のことを憎からず思っていて

    くれるのかもしれないと思えたからだ。


    「ジュンコさん、カナコさんと付き合ってるの?」

    「え?」


    唐突な質問に、私は戸惑った。


    「ジュンコさん、昨日カナコさんのこと、呼んでたから」

    「え…?」

    「夜。うちに来て、目覚ますまでに2回くらい」


    「…!!」


    淫夢が頭を過ぎり、思わず赤面する。


    「なんか、やらしい夢見てたんでしょう。あのあと、すごい濡れてたもんね」


    くすくす、と可笑しそうに美春は笑った。

    なんとも言えず、居たたまれない気持ちになって、

    私は美春から視線をそらした。


    すると美春の後方にいたウェイトレスの女の子と目が合って

    私はその場をごまかすために「注文御願いします」と手を上げた。

引用返信/返信 削除キー/
■16193 / inTopicNo.35)  Re[22]: うさぎ病>悪魔のような天使の申し出
□投稿者/ れい ちょと常連(90回)-(2006/08/28(Mon) 23:46:53)
    2007/03/07(Wed) 17:48:03 編集(投稿者)
    2006/08/28(Mon) 23:51:23 編集(投稿者)



    「可南子とは、付き合ってない。何ヶ月か前に別れたのよ」


    その話が切り出せたのは、頼んだパスタが運ばれてきてすぐのことだった。


    「え、うそ」

    「本当。結構前の話よ。嘘ついてもしょうがないでしょう」

    「そうなんだ。なんで?」


    聞きづらいことをさらりと聞けてしまうのも、

    彼女の人徳のなせる技だろう。

    同じことを聞いて、人のプライバシーに土足で踏み込む人だと

    評される人もいる中で、彼女には、そんなことを気軽に聞いてしまえる、

    ある種の無邪気さ、素直さがあった。


    「前から付き合っていた彼氏がいたんだって」

    「わぁ…最悪」


    そう言って、彼女は顔を顰めた。

    今までそうやって、素直に感情を表現してくれる人がいなかったので

    私は一瞬、普通のレンアイ相談でもしているような気になった。

    今までこういうことを話せる友達がいなかったから。


    あっさりと、そう言い切ってくれる人がいてよかったと、心から思う。

    私の胸のつかえが、少しは取れた気がした。

    吐き出せると楽になるものなんだな。


    「じゃあ、ジュンコさん、今フリーなんだ?」

    「そうよ」

    「じゃあさ、わたしと付き合わない?」


    そうあっさりと、彼女は言ってのけた。


    私はといえば、ペスカトーレのイカをフォークに刺すのに集中していたので、

    そう言ってのけた彼女の表情を見ていなかった。


    「わたし、ジュンコさんを満足させて上げられると思うよ。どうかな」


    しっかりと私の目を見据えて、長い髪の毛を耳にかけつつ、

    彼女はミートソースを口に運びながら言った。

    少し赤く染まった口の端が、ニッと笑った。

    その唇の赤さと、口の端の角度がちょっと悪魔みたいに妖艶に見えた。


引用返信/返信 削除キー/
■16194 / inTopicNo.36)  がんばりました。笑
□投稿者/ れい ちょと常連(91回)-(2006/08/28(Mon) 23:49:00)
    真紀さま

    感想ありがとうございます。

    更新いたしました。


    まだラストまでいってませんが、

    もうすぐラストです。

    真紀さんに、読み終わった後

    「面白かったです」と言っていただけるよう、

    頑張りますのでまた感想聞かせてくださいね!
引用返信/返信 削除キー/
■16225 / inTopicNo.37)  NO TITLE
□投稿者/ 真紀 一般♪(2回)-(2006/08/29(Tue) 21:59:27)
    もぅすぐラストを迎えるんですね☆
    いっぱい更新されてて‥楽しく読ませていただきました♪
    れいさんのペースで更新頑張って下さいね↑↑

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■16394 / inTopicNo.38)  Re[23]: うさぎ病>天使のような、悪魔の囁き。
□投稿者/ れい ちょと常連(93回)-(2006/09/11(Mon) 23:12:59)
    私の頭の中はといえば、突然の申し出にびっくりしてフリーズし、

    聞こえてきた音声を、再度言葉に変換しなおすところから再スタートしていた。


    けれど、こんな至近距離で聞き間違えるはずはないし、

    他のなんという言葉にも置き換えがたかったから

    たぶんさっき聞こえてきた言葉は、

    その通り彼女の口から発されたんだろう。


    それが正しいことを示すかのように、

    彼女は先ほどから出方を伺うように、じっと私から目をそらしていなかった。



    信じがたい事態だった。


    けれど、私の口から出てきた言葉は、

    自分自身がびっくりするくらい冷静極まりないものだった。


    「考えさせて」


    美春にはそう告げて、バスタを口に運ぶ。

    内心、心臓はバクバクいっていた。


    「いい返事を、期待してる」


    私の瞳をじっと覗き込んで、彼女は悪魔のような魅惑的な微笑を私によこした。

    その微笑を心の底からきれいだ、と感じ、罪悪感すら覚えつつ、

    私は彼女から目を逸らしてパスタ皿に視線を落とした。







引用返信/返信 削除キー/
■16395 / inTopicNo.39)  Re[24]: うさぎ病>今日の占いカウントダウン
□投稿者/ れい ちょと常連(94回)-(2006/09/11(Mon) 23:14:21)
    返事は週明けにでも、そう念を押されて美春と分かれ、私は店舗に戻った。


    頭の中でパニックを起こしたまま店舗に入ると、

    来客も無く、カウンターで事務処理をしている可南子がいるだけだった。


    私が戻ってきたことに気付いて、ちらりと時計を見やり、


    「お帰りなさい。早かったのね」


    そう言って可南子はにっこりと笑った。


    「お友達は?」

    「あぁ、帰ったよ」

    「そう…もっとゆっくりしてくれば良かったのに」

    「いや、そういうわけにもいかないでしょう。仕事中だし」


    可南子は一度店舗をぐるりと見渡すようにして、

    彼女の姿が無いのを確認すると、また作業に戻っていった。


    さすがに私からさっきの彼女に告白された、なんて言えないし、

    何か報告したほうがいいだろうか、それとも何も無かったように普通に話そうかと

    頭の中で必死にシュミレーションしてみるけれど、

    どれも途中の可南子の質問に窮するで私の姿で終わってしまい、上手く行かなかった。


    「…きれいなひとね」


    色々考えつつ、お客様に出すセールのご案内なんかの処理をしている間に、

    可南子が私に話掛けて来た。

    そうだ、彼女は気になったことは自分から聞かなきゃ気がすまない性質だった。


    「え?」


    美春のことだと、すぐにわかっていたけれど、

    わざと気付いていないフリをして聞き返す。


    「さっきの。新しい彼女?」

    「まさか。友達だよ」


    彼女の鋭い指摘に、内心ひやっとして、何故か全否定してしまった。


    「そう。…でも、淳子さんのタイプよね」

    「…うん、そうだね」


    なんだか、浮気でもしている気分にさせられる。

    私と可南子は、もうとっくに別れているというのに。


    「彼女のこと、好きなの?」

    「…ね、私と可南子ってさ、別れたんだよね?」


    彼女の詰問口調に耐えられず、思わず彼女に向き直った。


    彼女はまっすぐに私を見つめていた。

    勝気そうな彼女の瞳は、まるで私に何かを求めているようで。

    その彼女の視線に、逆に私が耐えられなくなりそうだった。


    「そうだけど」

    「じゃあ、可南子には私がどうしようと関係ないでしょう」

    「なくない」

    「なんで?」

    「だって、あたしまだ淳子さんが好きだもん」

    「はぁ!?」


    あまりに急な、思ってもいない方向に話が流れて、

    私の動きは、完全にフリーズした。

    彼女が何を言ってるのかが、もうよく分からない。



    ただ、その時私は今朝の星占いで、

    一体山羊座は何位だったんだろうと思っていた。
引用返信/返信 削除キー/
■16396 / inTopicNo.40)  お久しぶりでございます。
□投稿者/ れい ちょと常連(95回)-(2006/09/11(Mon) 23:39:05)
    2006/09/17(Sun) 23:05:41 編集(投稿者)

    2週間?更新できませんでした…。

    仕事に忙殺される毎日でございます。


    夏のお話だったのに、夏に終わらないということが無いよう、

    がんばって終わらせます。

    読んでくださいましてありがとうございます。


引用返信/返信 削除キー/

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