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「ゆーーーず!」
「うわっ!!びっくりした!」
「えへへ〜」
さやかはとても元気のいい子だ。 いつもいつも笑っていて、悩みなんて無いんじゃないかと思った。
もちろん、そんな事なかっただろうけど
私は本気でそんな風に思っていたのだ。
さやかとは違って、私は後ろ向きだった。 もとから明るいほうではなかったけれど、高校になって、自分について気づいてからはさらに。
そんな私にとって、さやかはとても輝いて見えた。
自慢の・・・・本当に自慢の親友だった。
「さやかはさ〜なんでそんなに明るいの?」
「ん〜。明るいかなぁ」
「明るいよ。明るい」
いつだったか、学校の帰りに、校門前のベンチでそんな話をした。
あの時は、夕日が綺麗で 私たちの世界は永遠のものに感じられた。
私の言葉に、さやかはちょっと考えてから、困ったように笑って
「私はね明るいんじゃなくて、バリアを張ってるの」
「バリア〜?」
嘘だぁと思った。 だって、彼女の周りにはいつも友人があふれていて それこそ分け隔てなく。
ギャルもオタクもスポ根も根暗も真面目ちゃんも
みんな彼女と友達だった。
「さやかは友達も多いし、誰とでも仲がいいじゃない」
さやかは、ゆっくりと立ち上がると
校門から先に出た
私たちを隔てるのは校門。
「柚子。私はね、この世界で一番の偽善者だよ。本当にやさしいのはアンタみたいな人のことをいうの」
「何言ってんの?」
「アンタはいい人だから、私みたいな偽善者にだまされるの。」
「さやか?」
「騙されるのは私だけにしときな。ねぇ柚子」
そのときのさやかの笑顔は夕日に照らされて、真っ赤だった。
なんだか怖かった。
それから数日後だ、さやかは私に
「私が死んだらどうする?」
そう聞いてきた。
私が笑い飛ばして3日後。
さやかは死んだ。
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