ビアンエッセイ♪

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■17627 / inTopicNo.1)  流れる時と変わらぬ想い。
  
□投稿者/ カズキ 一般♪(1回)-(2007/01/08(Mon) 20:41:29)
    …ふぅ…
    仕事終わりに携帯をみて、少しため息をついた。
    『珍しいね、なやみごと?』
    心配する先輩に何でもないッスよ、とだけ答えて、笑顔を向ける。

    少し照れて赤くなった先輩が、めちゃくちゃかわいい…
    『ねぇ、久しぶりに…』
    泊まりに来ない?


    (携帯)
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■17628 / inTopicNo.2)  流れる時と変わらぬ想い。2
□投稿者/ カズキ 一般♪(2回)-(2007/01/08(Mon) 20:47:04)
    2007/01/09(Tue) 00:49:14 編集(投稿者)
    2007/01/08(Mon) 22:09:09 編集(投稿者)

    『ねぇ、久しぶりに…』
    泊まりに来ない?
    最後までは言わせない。
    先輩の唇を私のそれでふさいだ。
    『…んぅん…ちょっ…ね、待って』
    やだ…
    吐息に乗せて呟いて、抵抗する先輩を抱き締めようとする。
    同時に携帯が着信を告げるメロディーを鳴らせた。

    携帯のメロディーに先輩が固まる。
    …マナーモードにしておけば良かった…
    後悔しても、どうにもならない。
    『…携帯…鳴ってるよ…?…出なくて、いいの?』
    出たくないって言っても、聞かないくせに…

    ディスプレイには予想通り、幼馴染みの名前が表示されていた。

    先輩は既に、動揺を隠して腕の中から脱け出している。
    正直、今、先輩の側でこいつと話したくないんだけどな…
    迷っていたら、携帯が静かになる。
    良かった。諦めてくれた。
    考えを見透かされたようで、先輩が睨んでいるけれど…

    どうせ同窓会の話ッスよ。面倒くさいだけだし、参加する気ないッスから。
    そう言っても、先輩は許してくれなかった。
    先輩が、ろくに里帰りしない私を気遣っていることは分かっていたけれど、
    地元は私にとって取り繕わなくてはならない場所だから、帰りたくなかった。
    (携帯)
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■17657 / inTopicNo.3)  流れる時と変わらぬ想い3
□投稿者/ カズキ 一般♪(4回)-(2007/01/13(Sat) 21:56:28)
    2007/01/13(Sat) 22:03:42 編集(投稿者)
    2007/01/13(Sat) 21:57:39 編集(投稿者)

    先輩の帰宅準備が出来たので、一緒に会社を出た。
    続きをしようかとも思ったのだが、なんとなく、帰宅することにしたのだった。
    もうちょっとだったのになぁ…
    まるでお預けをくらった犬のように、尻尾を丸めて先輩の隣を歩く。
    『…携帯、鳴ってるんじゃない?』
    軽く睨みながら、言う。
    まさか。着メロが違うんだけど?
    笑いながら携帯を取り出した。
    …あれ…?
    着メロの個別設定してないハズなんだけど…
    記憶にない曲で着信を告げる携帯をすこし、不思議に思う。

    そして、ディスプレイには…


    ミサキ


    な…んで?
    驚きに思わず、立ち止まる。
    何年も連絡を取っていない、私の ――― 初恋の女性。

    (携帯)
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■17658 / inTopicNo.4)  流れる時と変わらぬ想い。4
□投稿者/ カズキ 一般♪(5回)-(2007/01/13(Sat) 22:40:24)
    2007/02/06(Tue) 00:22:31 編集(投稿者)

    『懐かしい曲だね?』
    立ち止まった私を不思議そうに見る、先輩。
    ミサキからの電話に驚き、先輩が隣にいたことを、半ば忘れていた。
    どうしよう…とりあえず、今、ここでっていうのは…
    しかし、先輩の前で二度も電話を無視するのは、後が怖い。
    実際、先輩はにこやかに、電話に出ることを促している。

    意を決して、通話ボタンを押す。

    ―――もしもし?カズちゃん?やっと出たー!

    「ちょ…なんか、うしろ煩いんだけど。」
    あ、酔っ払ってるな…第一声で分かるくらい、テンションが異常だった。

    ―――あたりまえじゃん!今日、何の日だと思ってんの?

    「いや、そんな事いきなり言われても、分かる訳無いし…」

    ―――あははっ!そんな、真面目に答えないで。カズちゃん以外のバスケ部仲間で飲んでるだけ。
       最近、全然帰ってこないから、皆、寂しがってるよ?

    電話の向こうで、そうだー!とか、複数の声が聞こえる。
    酒豪ぞろいだったバスケ部だから、相変わらず、女の子の飲み会って感じではない。
    「だって…ほら、仕事だし…今日も、さっきまで、会社だったから。ゴメンって言っといて」

    ―――あ…まだ、会社だったの?もしかして、今、出先だったりする?

    「う…ん、まぁ…ね」

    ―――じゃぁ、さ。また後でかけなおしていい?ちょっと、ゆっくり話したいんだけど…

    「あ…っと……うん。じゃ、また後で、こっちからかけなおす」
    すこし甘えた声を出すミサキに、どきどきして頭の中が真っ白になる。
    なんとか、お互いにまたね、と通話を終わった。
    やばい。マジで、心臓が爆発しそう…
    まだ、彼女のこと、忘れられて無いみたいだ…

    (携帯)
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■17659 / inTopicNo.5)  流れる時と変わらぬ想い。5
□投稿者/ カズキ 一般♪(6回)-(2007/01/13(Sat) 23:00:12)

    『ね、さっきの電話。昔の彼女とか?』
    先輩が私を覗き込んだ。
    声に、ならないくらい、びっくりする。
    『その驚き方は、ホントに元カノ?』
    …先輩?目が、マジですよ…?
    『だって、気になるじゃない。着メロも特別だし』
    私は他の人と一緒なのに…
    口を尖らせるフリをしながら言う。
    …これは、私が設定したんじゃないですよ。たぶん、彼女か他の子のイタズラでしょ。
    それに…付き合ってた訳でも無いです。
    『…ふぅん…曲的に付き合ってたのかなって思っちゃった。ごめんね』
    …曲的に?それってどういうこと?
    聞き返そうとしたが、そっと指で止められた。
    すこし、俯いてるのは、気のせい?
    『今日は、やっぱり、帰って』
    電話も、しなきゃいけないんでしょ?
    そう言って、パッと顔を上げて笑った。
    え…?先輩、泣いてる…?
    戸惑っている間に、きびすを返した先輩は人ごみの中へと消えていった。
    追いかけないと、その意思に反して、足はその場で固まってしまっていた。

    先輩のマンションに押しかけても、多分、入れてくれないし。
    どうせ今日は、先輩の部屋では眠れなかっただろう。
    すこし、頭を冷やさなくちゃ…
    未だ眠らぬ街に背を向け、歩いて自分のアパートへと急いだ。
    ミサキのこと、先輩のこと、いろいろ考えながら。

    (携帯)
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■17786 / inTopicNo.6)  流れる時と変わらぬ想い。6
□投稿者/ カズキ 一般♪(7回)-(2007/01/24(Wed) 22:32:59)
    ミサキと出会ったのは、中学時代で―――。
    体格が同じくらいだったために、部活の練習ペアを組むことが多くて。
    最初は、そんなきっかけだった。
    意外と気もあったし、よく一緒に居るようになったのは自然なことだった。
    そして、あの日。

    ミサキが恋に破れて、私の胸で涙を流した日―――

    心に芽生えた想いに気づいてしまった。
    田舎町だったこともあって、幼いながらに、自分は異端だと感じた。
    この胸で泣くミサキが、とても遠く感じ、
    それでも突き放すことは出来ず、
    後ろめたかったけれど、優しく抱きしめた。
    どれだけ強く抱きしめても、決して伝えられない言葉を飲み込んで。

    それから暫くして。
    ミサキは、新しい恋を始めた。
    私との友情を宣言して―――

    高校は別の学校を選んだ。
    学力、という面もあったけれど、
    それよりも、これ以上一緒に居るのは辛いというのが本音だった。
    しかし、私の心にある感情は消えなかったし、
    どこにいても、ミサキの面影を探していた。

    忘れようとしながら、否、忘れるために、勉強に没頭した。
    そして、故郷を離れることにした。
    ミサキから、遠く離れて忘れてしまえたら―――

    しかし、現実はそんなに甘くない。
    隠した想いと、自分自身を汚らわしく感じる私と。
    板ばさみになって、葛藤して。
    自暴自棄でどうしようもなく荒れるまでに、時間はかからなかった。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■17859 / inTopicNo.7)  流れる時と変わらぬ想い。7
□投稿者/ カズキ 一般♪(8回)-(2007/02/06(Tue) 00:16:46)
    2007/02/06(Tue) 00:19:45 編集(投稿者)
    2007/02/06(Tue) 00:19:38 編集(投稿者)

    先輩との出逢い。
    それは、どんなに離れても、ミサキを忘れられずに、
    いっそ、誰かを好きになれれば、男に抱かれることで、忘れられれば…
    そう思って、ただ、身体の繋がりを求めるようになった頃のことだった。

    身体に与えられる刺激と、快楽。
    降り積もる空虚感を埋めるために、
    良くも知らない誰かと、ただ身体をあわせる日が続いていた。

    その日も私は同じように、一夜限りの関係を結んでいた。
    相手の男は、今でも顔がはっきりしない。
    覚えているのは、ベッドの中で急速にこわばる身体と、
    冷えていく体温だけ―――
    私たちは、全てが終わって、過ぎ去った快楽の残した傷跡と
    気だるさを感じながら、眠りに付こうとした。

    扉が開くのと、声がかかるのはどちらが先だったろうか。
    合鍵を使って入ってきた女の人は、
    裸で抱き合う私たちを見て、固まってしまっていた。
    その後から、場違いなほど明るくかけられた、
    どうしたの?という声が、誰かの平穏な日常が壊れた合図となった。

    『なんで、どうして?あんた、いったいどういう了見で?
     なんなのよ、この淫乱女!ねぇ、どういうことなのよ!』

    投げかけられた言葉は、たくさんあったけれど、
    正直、殆ど覚えていない。
    相手に恋人が居るとは、知らなかった。
    そんなこと、言い訳にさえならないのだから。

    だから、手近にあった服だけを着て、その場から逃げた。
    コートは、女が立っていた後の椅子に
    かけてあったため、そのまま放っておいた。
    動揺もしていたし、その場からすぐに立ち去りたかったのだ。
引用返信/返信 削除キー/



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