| 昼休み、ぼーっと窓の外を見上げる。 ふわふわと浮かぶ綿菓子みたいな雲を目で追いかけて。
「・・・ちょっと佐奈、お昼食べそこねるよ?」 「んー・・・あぁうん、今行くよ」
ふと呼ばれた声に、昼休みの三分の一が過ぎているのに気づく。
私はほっとけばずっと空を見てるらしい。 前に、ぼーっとして一時間目の教科書を三時間目に引きずったほどだ。 さすがにその記録はまだ更新されていないわけだけど。
「空なんか見てて楽しいの?」
お弁当箱を広げてると、その向かい側のあきれた顔がジュースを飲みながら言った。 私はお弁当箱のふたを開けて、いただきます、と言ってからしばし考える。
「楽しい・・・のとはちょっと違うかな。なんとなくだよ」 「・・・あんたのマイペースさに慣れるのは一苦労だよ」 「あはは、ちぃにはご迷惑おかけします」
本名、江口知咲ことちぃは、高校に入って初めての友達だ。 なんとなく、の理由で毎日外を眺めていた私に声をかけてくれた最初のクラスメイト。 二年になっても同じクラスになれたのには先生に感謝しなきゃ。
「佐奈、なんかこのごろ特にぼーっとしてる気がするんだけど、私の気のせい?」 「・・・・さぁ・・・どうなんだろ」
お弁当のおかずを口に運びながら答える私に、ちぃはため息。 だって、私にだってわかんないから答えようがない。
お弁当の卵焼きに手を伸ばそうとして、ふとその手が止まる。 ちょっとだけためらいがちに、箸の先をあわせてかちかち鳴らす。 ばかだなぁと自分を笑いながら、卵焼きを口に放り込んだ。
数分してお弁当を食べ終わると、軽快な音楽が流れた。
「なに、携帯?」 「あ、うん、メール」 「・・・・なんで笑天のテーマなの・・・」 「え? 笑天面白いじゃん」 「あっそ・・・」
メールをあけてみると、見たことのないアドレス。 アドレスを見れば携帯からで、タイトルには・・・・
はじめまして、掲示板見ました―――と。
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