ビアンエッセイ♪

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■19386 / inTopicNo.21)  ジゼルさんへ^^
  
□投稿者/ 映美 ベテラン(206回)-(2007/07/02(Mon) 14:43:54)

    こちらこそお返事嬉しいです^^

    えっ…ジゼルさん
    私の好きな曲もサビで
    5人組が歌っていて…古い洋楽ですよ^^

    ちなみに私はその曲のシングルを持っています

    もしや同じ曲なら
    聴いていた年代もジゼルさんと
    同じくらいだな〜って思ってました^^

    私はジゼルさんがお好きな曲が
    J-POPのK・Hさんの曲かなと勝手に勘違いしてましたm(__)m

    歌はいろんなドラマを生み出してくれますね

    また良い曲をヒントにストーリーを描いてみたいです

    この【ルナエミ】ほんとに更新スローですが^^;
    お時間許すかぎり読んでいただければ嬉しいです

    コメントありがとうございました^^


                  映美



引用返信/返信 削除キー/
■19395 / inTopicNo.22)  【emotional heart】
□投稿者/ 映美 ベテラン(207回)-(2007/07/03(Tue) 02:35:37)

    ―そうなんだ ルナはマユさんに会ったんだ


    『トオルがLOVESONGを捧げたい女性ってエミさんだったんですね…』


    ライブが跳ねたあと会場で声をかけてきた 鋭いマユの瞳が浮かんだ





    ワイングラスを口に運ぶルナの瞳は哀しく光った


    『あのギターピックは彼(トオル)のだったんだね…』



    (…あのギターピック?)

    あぁ そうか…
    ステージに駆け寄りギターピックをトオルに渡したところ
    一部始終を見ていたマユがルナに話したんだ
    “あのギターピック”の意味を…そう解釈した


    私は知らなかった…
    ルナの部屋で過した夜
    落ちたバックから転がったギターピック
    それをルナが手にして見たことを…



    『そっか 全部マユさんが報告したんだ…』



    表情を変えずスマートに煙草を吸うルナの指先を見つめた



    『エミィ LOVESONGで心が揺れた?』



    『ううん 揺れてなんかいないわ…。 ねぇ マユさんはルナに何を話したの?』



    『エミィが私に言えなかったことよ…』



    2本目の煙草をルナは灰皿でもみ消した



    …ふと思った
    マユはいったいなんのつもりで
    ルナを呼び出してまでそんなことを話すのだろう


    嫉妬?
    それとも…?


    ―そうだ…今夜こそルナに訊かなきゃ
    ルナとマユさんの関係


    『ねぇ ルナ訊いてもいい?マユさんはルナの恋人だったの?』



    メンソールの煙草をまたケースから一本取り出し
    一呼吸おいてルナは答えた


    『恋人じゃなかったよ…』


    『そうなんだ…』


    『けど…一度だけ…』


    『…一度だけ?』


    『マユを抱いたわ…』


    躊躇なくあっさり答えるルナの言葉に私は耳を疑った


    『抱いた…って…』



    突然のルナの衝撃的な告白に手にもったワイングラスが震えた



    『ね…ねぇ…ルナはマユさんを愛してたの?』


    『ううん…』


    ルナは首を振った


    『…ルナは愛していなくても抱けるの?』


    『そうね…そんなこともあったわ…』


    ショックだった


    涙が一気に溢れ出した


    『なんだか…悲しいわ』


    『…でもね…あのときは仕方なかったのよ』


    『言い訳なんか訊きたくないわ!』


    『そう…じゃあ 言わないわ』



    ルナは煙草を置きグラスのワインを口にした
    そのクールな瞳はワインの赤に染まって見えた




    『すごくショックよ ルナ…』
    『私が誰かにほんの少し心揺れたくらいどうだっていうの!』
    『ルナがそんなことできる人だったなんて…!』
    『マユさん きっと今もルナの事好きなのよ なのに…』


    やり場のない悲しみが攻撃的な言葉に代わった
    それをルナにいくつもいくつもぶつけた


    『・……』


    『言いたいことはそれだけ?
    もう終ったことじゃない…今更どうしろっていうの?』


    ルナは目を閉じた



    開けた窓からの涼しい夜風が二人の髪を靡かせた…



    こんな重い空気の中 今夜はこの部屋で過したくなかった
    なによりも心も身体も今は、ルナを受入れられない



    『…帰るわ ルナ…』



    私は、ルナの部屋を飛び出した



    ルナは追ってはこない
    引き止めもしない


    わかっていた…


    あの時だってそうだったから


    だから…ふりかえらなかった


    駅へ急ぐ自分の足音だけが
    虚しく夜道に響いていた…


引用返信/返信 削除キー/
■19400 / inTopicNo.23)  【A lonely heart】
□投稿者/ 映美 ベテラン(208回)-(2007/07/05(Thu) 14:18:33)

    帰るわ…


    涙目で立ち上がるエミに言葉も掛けず…


    メンソールシガレットを片手に
    ただ黙って慌しく出て行くその背中をルナは見送った


    閉まるドアの音が響いた…





    灰皿の中の吸殻を数えながらルナは後悔した


    どうしてひきとめなかったんだろう…
    どうして追いかけていかなかったんだろう…


    今更遅いね…



    エミィ…今夜は注意もしてくれなかったね 


    煙草に火を点ける度
    ”ルナ また吸うの〜身体に毒よ〜はい今日はもうおしまい”
    そう言いながら煙草ケースを閉じるエミの顔が浮かんだ




    テーブルの二つのワイングラスを見てルナは苦笑した


    まるであの日と同じね


    いつかマユが訪ねてきた朝 
    エミは部屋を飛び出していった


    あの時もテーブルにはワイングラスが二つ並んでいた





    エミの飲み残したワイングラスを見つめ呟いた


    エミィはいつも最後までちゃんと話を訊かないまま
    勝手に勘違いしてしまうね
    エミィはいつも物事を悲観的に捉えてしまうね

    マユとのこと…確かに軽率だったって反省してる

    でもそれはエミィと出逢うずっと前の出来事

    やっぱりいいわけになるかもしれないけど
    誘われてお酒の酔いの勢いもあったし
    マユも私も あの夜はお互い特別寂しかった

    それはどうしてだったか・・・ 
    エミィにこんどちゃんと話すからね





    やれやれ・・・とやっと立ち上がり
    グラスを台所に運び開いた窓とロールカーテンを閉めた


    “いつだってクールなルナが好きよ…”


    エミのいつものセリフがよぎった


    ねぇ…エミィこれでよかったの?

     
    私だってどんなときも
    クールでいれるわけないじゃないよ


    ルナはもういちどカーテンを開き霞んだ月を見上げた



    〜Lonely Heart〜
    そう…きっと貴女も私も〜

    そんな曲がBGMから流れていた



    さて…ご機嫌斜めの彼女には
    どんなタイミングでメールすればいいのかな…


    ルナは携帯を開いた…


    『…あれ?』


    着信履歴が一件画面に出ていた
    サイレントモードにしていたから気付かなかった


    『きっとエミね…(苦笑)』


    …ん?


    だが、ルナの電話を鳴らした相手はエミではなかった…


引用返信/返信 削除キー/
■19403 / inTopicNo.24)  【A good old voice】
□投稿者/ 映美 ベテラン(209回)-(2007/07/05(Thu) 16:40:01)
    2007/07/05(Thu) 23:12:50 編集(投稿者)




    最終のひとつまえの電車がホームに滑り込んできた


    私はすぐ乗り込まず
    発車ぎりぎりまでホームで迷っていた


    ジリリ〜と響くベルとともに
    あきらめて…飛び乗った


    ホントはこの電車をやり過ごそうと思った…



    最終電車まで待つつもりだった


    それは 心のどこかで待っていたから…


    もしかして…
    ルナが追いかけてくるかもしれない

    もしかして…
    あの時みたいにメールで
    呼び戻してくれるかもって



    やっぱりそんなわけなかったね
    ルナはいつもクール ううん…今夜は特に冷たい(苦笑)



    もう涙もとまっていた



    乗客もまばらな車内

     
    私はわざとルナのマンションが
    見えない窓側に座った



    電車が揺れる度
    何度も無意識に携帯電話を開いた



    そのたびに小さな溜息がこぼれる



    ”私ったらそんなに気になるなら
    自分からかければいいじゃない…”


    ”ううん かけない だって私は悪くないもん”


    強気の私と意地っ張りの私が押し問答していた



    けどやっぱり…マユとルナのことはショックだった



    『マユを一度だけ…抱いたわ』



    しかも愛していなかったなんて
    なんだかとても悲しい…



    『もう終ったことよ 今更どうしろっていうの?』



    それはルナの声にも重なった



    たしかに終ったこと わたしと出逢う前のこと
    今更 ルナを責めてもしかたないこと



    なのに私は、なにを勝手に傷ついているんだろう



    仕方なかったのよと話すルナの声に耳を塞ぎ
    ただ、やりきれなく悲しくて衝動的に部屋を飛び出してきた



    もっと冷静になって最後までルナの話を訊けばよかった



    ・・・後悔していた 
    ・・・反省していた



    でも今夜はもう戻れない






    なんだかこのまま帰りたくないな…
    だって今夜はルナのところに泊まるつもりで出てきたから



    私はふっと思い出した


    …あっそうだ…ミチ姉とこに行こう〜


    従姉のミチコは一人暮らしだった
    今までも嫌なことあったらミチコのところへ相談しにいったり
    何度か泊めてもらったりしていた
    私にとっては本当の姉のような存在だった


    携帯を開きミチコに発信しようっと思ったとき
    着信画面に変わった



    画面に見覚えのない11桁の番号が点滅していた


    …ん…この番号は?


    誰 間違い電話かしら?


    躊躇いながら…通話ボタンを押した



    『…もしもし』


    『あっ もしもし エミさんですよね?』


    やけに明るい声が響いた


    『はい…』


    『エミ〜♪ わたしわかるよね?』


    『…え…あ、あの』


    『やだな〜エミ〜 忘れちゃったの? 私よ ミ・サ・オ!』


    そうだった…ちょっとハスキーなその声はミサオだった


    『あっ ミサオさん〜♪』


    ハッと声のトーンが上がった口元を慌てて押さえた


    私は自分が電車の中にいることを一瞬忘れていた


    ふと周りを見回した


    幸い車内の乗客もまばらで眠っている人
    同じく携帯を眺めてる人
    私の声にふり向き気にする人は誰もいなかった


    だが電車の中で会話はタブーだ


    『あの…ミサオさん いま私 電車の中なんです 
    もうすぐ駅に着きますから かけなおしていいですか?』



引用返信/返信 削除キー/
■19410 / inTopicNo.25)  【I meet you again】
□投稿者/ 映美 ベテラン(211回)-(2007/07/07(Sat) 08:27:04)
    2007/07/07(Sat) 08:31:28 編集(投稿者)



    駅のホームに降りすぐミサオにcallした


    3度目のcall音が弾んだハスキーボイスにかわった


    『遅くにゴメンネ エミ〜!
    わたしったら思い立ったらすぐ行動に移しちゃうんだよね(苦笑)』


    『ところでエミ こんな時間に電車に乗ってたなんて お出かけだったんだ?』


    『ええ…ちょうど今 帰るとこだったんです』


    『はは〜ん さてはデートの帰りだな〜(笑)いいな〜 ねっあのとき話してた 彼女〜♪』



    『…はい そうなんだけど…』



    答える声が消えそうに小さくなっていく



    『どうしたの〜エミ〜? なんだか元気ないぞ〜!』



    そうよ…元気なわけないわ


    ミサオは続けた


    『あのね〜思い立ってエミに電話したのはね 近いうち会えないかな〜って思って
    え〜と 早速だけど明後日の夜なんかどう?』


    『…明後日 ええ 私は大丈夫ですよ』


    そうだった…
    トオルのライブに急いでたあの日
    途中 思いがけないミサオとの再会をした
    そのとき携帯の番号を交換しまたゆっくり会おうと約束していたのだった


    『ねぇ エミ〜 いまから家に帰るんだよね?』


    『…ええ…』


    『実は今、寂しくひとり飲んでるだ〜 ねっ エミ 一緒に飲まない?』


    『えっ…』


    『あはっ 私ったら〜こんな時間に何誘ってるんだろ ごめ〜ん! ちょっと酔ってるかも 許されたし(苦笑)』

     
    ハスキーボイスが懐かしく耳に響く


    その声に私はミサオにとても会いたい衝動に駆られた


    それに…今夜は帰りたくなかった


    …迷わず返事をした


    『ミサオさん 私も…とても飲みたい気分なの…』







    ―今夜の月は霞んでいた

    〜I meet you again〜

    孤独な二つのハートの隙間に流れる酔い水

    今夜は貴女に逢いたいと誘う…






    その頃ルナは…着信履歴の相手を確認して
    CALL BACKしていた


    『もしもし…もしもし…』


    繋がっているはずなのに声は聞えない


    電話の向こうでは
    談笑する声や賑やかな音が飛び交っていた


    『もしもし〜』


    『マユ?』


    『あ〜ルナ かけくれたんだ〜♪』


    『なんだか賑やかね…。もしかして また飲んでる?』


    『正解〜♪飲んでまぁす』


    …きっとマユは酔ってるんだろう


    『はぁ〜(溜息)…で…用件はなんなのマユ?』


    『……』


    『えっなに?…聞えないわ〜』


    周りの雑音に掻き消されてマユの声がよく聞えなかった


    ルナは声のトーンをあげた


    『マユ…お酒に呑まれないようにって 何度も忠告したよね 
    私が言ったこと何も守れていないね…』


    『え、守れてないって何を?』


    マユの耳には届いていないようだった


    時計はまもなく午前零時を示しそうとしていた


    『マユ また、終電に乗り遅れて誰かの部屋に泊めてもらう気?』


    『……』


    『酔っ払いの相手してるほど…暇じゃないから 切るね』


    携帯のボタンを押しかけた時


    『待って…切らないでルナ…』


    鮮明にマユの声が聞えた


    どうやら…賑やかな場所から移動した様子だった


    『何?』


    『エミさんに謝っておいてほしいの わたしが……』


    そのとき…電話の向こうでマユを呼ぶオトコの声が聞えた


    “お〜いマユ 今夜は泊まるんだろ?そろそろ帰ろうか〜”


    たぶん受話器を手で塞いだのだろう
    その声に返答するマユの声は聞えなかった


    『ルナ…ごめんね じゃあ切るね』


    『ちょっと待ってマユ!』


    ルナは、強い口調で告げた


    『そのオトコのところへ泊まるならうちにおいで!』


引用返信/返信 削除キー/
■19437 / inTopicNo.26)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(393回)-(2007/07/10(Tue) 01:56:22)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    前回から随分と間を空けてしまいました
    映美さんは頑張っていらっしゃるのに

    最初の頃に言ってた 昴を支えに
    今ではおこがましい気がしてなりません

    どちらが先でしょうね?
    完結目指して頑張りましょうネ♪
引用返信/返信 削除キー/
■19504 / inTopicNo.27)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(212回)-(2007/07/20(Fri) 04:39:56)
    コメントありがとうございます^^

    いえいえ 昴さんも頑張ってらっしゃるじゃないですか^^


    昴さんおこがましいなんて言わないでください^^;

    いつも温かいお言葉が励みになっていますから
    だから私は、ここまで書き続けてこれたんです
    これからも見守っていてくださいね^^

    お互い無理しないで自分のペースで
    このまま完結まで頑張りましょうね^^


                  映美


引用返信/返信 削除キー/
■19505 / inTopicNo.28)  【Magic of the love】
□投稿者/ 映美 ベテラン(213回)-(2007/07/20(Fri) 05:13:44)


    店のドアを開いたと同時に
    午前零時を告げる時計の音が響いた


    いらっしゃいませ〜♪


    『あっ エミ〜♪ こっちよ〜』


    店のオーナーの声に続きハスキーな声が響いた


    奥のカウンターから手招きするミサオの顔が見えた



    …電話を切って15分後に
    私はミサオのいるBARに辿り着いていた



    偶然にもこのBAR 降りたターミナル駅のすぐ近くだったのだ



    隣に座る私を眩しく見つめながらミサオは微笑んだ


    『エミ〜ほんとに来てくれたのね〜♪ 午前零時の鐘とともにやってきた 私のシンデレラさん(笑)』


    私は店内の壁時計を見上げた



    『午前零時…ほんとですね もうすっかり魔法もとけました(苦笑)』



    『あはは そっか〜とけたのは彼女のかけた魔法だな(笑) じゃあ 今度はわたしがかけるからね』



    ミサオは意味深に笑いグラスを揺らしながら私を見つめた


    私は思わず自分の頬を両手で覆った


    まだお酒も入っていないのに…私の頬はなぜか熱く紅潮していた




    …それにしてもこんなシチュエーション
    彼女とケンカして家に帰りたくない夜に
    タイミングよく昔の恋人から誘われてって…まるでドラマね…(苦笑)


    私はドリンクメニューを開いたままボーっとそんなことを考えていた


    『ねっ エミ〜 何飲むの 決まった?』


    ミサオの声にハッとした


    『あ…じゃあ あのカシスソーダで…』

     




    『あ〜あ〜もう〜』


    トイレに立ったミサオが戻ってくるなり
    テーブルに突っ伏した


    『えっ ミサオさん?大丈夫ですか〜酔って気分でも悪いの?』


    『大丈夫よ〜 これくらいのお酒で私がダウンするわけないのエミも知ってるでしょう(苦笑)』


    顔を上げて頬杖をつき余裕の笑みを浮かべた


    そうだった
    ミサオは酒豪だったんだ



    『やっぱあの時 エミも一緒にロスに連れて行けばよかったかな〜』



    『えっ…』



    『ねっ エミ〜 今夜かけてもいい? 〜Magic of the love〜』



    私の頬にミサオが指先で触れた




引用返信/返信 削除キー/
■19506 / inTopicNo.29)  【Night to forget you】
□投稿者/ 映美 ベテラン(214回)-(2007/07/21(Sat) 05:00:23)


    きっと酔っているのだろう…


    魔法をかけてあげると…ミサオが私の頬をなぞる


    その指先の熱さに胸が震えた


    …それは あの時と同じ熱さだった





    ミサオがロスに旅立った日の事をわたしは思い出していた


    空港で最後の別れの時 


    『エミも一緒に連れて行きたい…』


    『嘘…そんなこと 今更…一緒にだなんて 
    本気じゃ…ないなら 言わないで…くだ…さい…』


    嗚咽しながら途切れ途切れに繋がらない私の言葉に
    ミサオは首を左右に振り…ポツリと言った


    『本気よ…』


    涙でミサオの顔が歪んでいた…


    『他の人の見送りを断ったのは
    エミとふたりになりたかったからよ』


    『もう…遅いわ…』


    私の頬に流れる涙をミサオは指先で何度も拭ってくれた
    そして濡れたままの頬にミサオは口づけをした


    …さよなら エミ




    離陸した飛行機が雲の向こうに
    見えなくなってもわたしは動けなかった


    何時間泣いたのだろう


    あの日 一生分の涙を流して別れた人
    二度と逢うことはないと思っていた人


    なのにどうして…
    これは運命の悪戯なの…


    いまは愛する人がいるのに…


    なぜ 貴女は再び私のもとに現れたの…


    今夜 同じぬくもりに触れた時
    再び呼び覚まされた感情



    …お願い
    私の中からルナを追い出さないで



    だが…誘惑の魔法はすでにかけられていたのだった



    『頬熱いね…エミ〜酔ってる?
    …それとも私の魔法にかかってるのかな…ふふっ』



    『ね、エミ〜 彼女のこと教えてほしいな…』



    ミサオのハスキーな声に弱かった


    その声に誘導されるように
    ルナとの出逢いから…今夜の諍いの理由まで
    わたしは全て話していた


    ミサオは私の話を始終笑顔のままで頷き訊いていた


    持ったままのカシスソーダは溶けた氷ですっかり薄くなっていた



    2杯目に頼んだのはミサオが選んだカクテル
    それは…やけに赤くて
    一口飲むたびに身体が酔いの赤に染まりそうだった





    『ね、エミ〜 出ようか…そろそろCLOSEだし…』


    『…ええ…でもどこへ?』


    ミサオが小声で囁いた



    『眠れる場所を探そう…』



    …ルナ  今夜は私 
    貴女を忘れてしまうかもしれない






引用返信/返信 削除キー/
■19766 / inTopicNo.30)  【With you tonight】
□投稿者/ 映美 ベテラン(216回)-(2007/08/14(Tue) 17:41:28)
    2007/08/14(Tue) 21:45:14 編集(投稿者)







    『うっ…なんか肌寒いね〜』


    Barの外に出るとミサオが両腕をさすった
    すっかり秋を感じさせる夜風は半袖の肌に冷たい


    「ほんと…もう秋ですね…」


    歩き出すミサオの背を見ながら私は携帯を開き
    時間を見るふりをしてメールと着信履歴をチェックした


    (…はぁ やっぱり…)


    …ルナからは何も連絡がきていなかった


    『ふふっ…彼女の魔法は待てど…電波にも届かないって感じね・・・』


    ミサオの声に慌ててわたしは携帯を閉じた






    ほろ酔い気分のふたりはネオンの街をしばらく泳いでいた


    ミサオのセリフ(眠れる場所をさがそう・・・)が
    頭の中でリピートしていた…。


    (今夜は私の壊れそうなこのHEARTが眠りたい場所を探しているのよ…)


    浮かんだルナの顔が滲んだ…






    『ね〜エミ…あそこいってみよか』



    ミサオが指す看板目指して歩く
    程なく辿り着いたそこはヨーロピアン調の外観がお洒落なHOTEL

     

    『いいじゃん ここにしょう♪…てか わたしちょっと変装しなきゃかな〜』
    呟やきながらサングラスをかけるミサオ



    「ミサオさん…」


    『…ん?』


    エントランスに入りちょっと躊躇う私の様子にミサオが
    レンズ越しに見つめる


    「あはっ なんて顔してるのエミ〜 まだまだエミと話したいだけ で…眠くなったら寝ようね。 大丈夫・・・彼女裏切るようなことはしないからさ〜(笑)』


    そんなやりとりをしてると私達の前を通り過ぎ
    怪訝そうに振りかえりながら男女のカップルが入ってきた



    そのカップルが数メート先の案内版で立ち止まる
    男性がパネルで部屋を選んでる間
    女性の方がチラリと私たちに視線を送った


    その視線に…私は咄嗟にミサオの腕に手を廻した


    カップルはエレベーターに向かう際
    女性だけが再度 私たちの方をチラッと見る

    そして密着してる私達の様子に納得の笑みを浮かべ頷いた


    『ふふ…恋人同士に見えたのかな・・』


    ミサオの言葉にハッとして腕から手を離した


    『さっ…エミ 行こう 怪しまれないうちにね(笑)』


    ミサオが私の手とり再び自分の腕に巻いた


    『部屋に入るまでこうしてなきゃね(笑)』



    With you tonight
    〜今夜はあなたといたい〜



    こんな風にミサオとふたりになること
    私は予感していたのかもしれない


    きっと あの再会の日から…





引用返信/返信 削除キー/
■19817 / inTopicNo.31)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(400回)-(2007/08/21(Tue) 00:40:18)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    エミ・・・ダメだよ、ルナ以外の人と・・・

    お久しぶりですね♪映美さん
    なんか昴が感想を書く時って
    いつもいつも【いいところ】な気がします
    結構ハラハラドキドキして読ませて頂いていますから
    映美さんの意のままの読者ですね 昴って

    8月ももうすぐ終わりですね
    去年の9月13日に、ここで映美さんにお会いしてもうすぐ1年ですね

    完結目指して お互いに頑張りましょうネ♪
    映美さんにエールを込めて 昴の400投稿目をプレゼントしました


引用返信/返信 削除キー/
■19931 / inTopicNo.32)  昴さん^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(217回)-(2007/08/28(Tue) 04:13:07)
    昴さん お久しぶりですね^^

    400投稿目(すごいですね^^;)
    プレゼントしていただきありがとうございますm(__)m

    ほんとに季節もいくつか過ぎて
    気がつけば間もなく1年ですね
    早いですね…

    ほんとに
    いつになれば完結できるのでしょうね…(苦笑)


    相変わらずマイペース更新ですが引き続き
    温かく見守っていてくださいね^^

    昴さんの物語も楽しみしています^^
    お互い頑張りましょうね

    まだ残暑厳しい日々が続いていますのでお体ご自愛ください


    コメントありがとうございましたm(__)m


               映美

引用返信/返信 削除キー/
■19933 / inTopicNo.33)  【Sercret rendez-vous】
□投稿者/ 映美 ベテラン(219回)-(2007/08/28(Tue) 04:48:37)



    部屋に上がるエレベーターのなか…
    ミサオが腕に廻した私の手に片方の手を重ねた



    『こんなHOTELにくるのって なんだか久しぶりだな〜(苦笑)』



    『ねっ エミ〜 彼女と来たことある?』



    「いえ…ないです…」



    『そっか〜』



    触れている
    ミサオの手が熱く感じる


    ♪〜


    エレベーターが目的の階に到着した


    ドアが開くと同時に
    するりとミサオから腕から手をほどき
    高鳴る胸に手をあてた


    少し遅れて歩く私をミサオが振り返る


    『あはっ 私だってドキドキしてるよ〜エミ(苦笑)』


    (もしかして この胸の鼓動…ミサオに聞えてたのかな…)





    赤い絨毯の廊下を進み点滅している号室の前でミサオが立ち止まる



    『ここだね…。 さ〜どうぞ 私のシンデレラさん〜(笑)』




    白いドアを開き私を促すミサオ



    一瞬ルナの顔が過ぎった…


    (…ルナ…ごめんなさい…でも大丈夫よ 今夜はただ眠りたいだけだから)







    ミサオが冷蔵庫から二つの缶をもってソファの私の隣に腰を下ろした



    『はい エミ〜♪』



    手渡されたのはよく冷えた缶入りコーヒー



    『ビールやカクテルもあったけど もうお酒は飲まないでしょ?』



    「ええ…ミサオさんは?」


    『う〜ん ホントはね まだ飲みたいけどさ〜
    これ以上飲んで酔うと自分を見失ってしまいそうだし…コーヒーで我慢するわ(苦笑)』


    プルタブを引きながら 乾杯〜♪とミサオが缶コーヒーを軽くぶつけた






    ふたりで缶コーヒーを一口飲みテーブルに同時においた



    そのタイミングに思わず顔を見合わせ笑った




    テーブルの灰皿を見てふと思った…
    (そういえばBarでもミサオは1本も煙草を吸っていなかったみたい…)



    「ミサオさん 煙草やめたんですか?」



    『うん〜、やめたよ ロスに行ってから慣れない環境で精神的ストレスでお酒と煙草の量が増えちゃってね ちょっと身体壊したの  …んで煙草はやめたんだ でもね お酒はやめられなかったぁ(笑)』




    「そうだったんですか…」



    『エミはよく心配してくれてたね いつも煙草とお酒の量減らしてって言ってくれたよね…。あはっロスではそんな心配してくれる人いなかったからさ…』



    ふっと寂しげな目をするミサオに胸が締め付けられた



    『ねぇ エミの彼女は煙草吸うの?』



    「ええ…」


    『じゃあ 同じセリフ言ってんだね きっと…(苦笑)』



    「…」



    わたしは黙って頷いた





    『来週の木曜日、ロスに帰るね…』


    「えっ もう 帰っちゃうんですか…」


    『うん 向こうの教室も心配だしね』


    ミサオが今回、日本に帰国した理由は
    なんでも両親が離婚するとかしないとかの揉め事に加え
    入院中の叔母の容態が思わしくないと心配事が重なった為だったらしい


    『母がね〜父と離婚するんだって何度も国際電話よこすからさ〜
    もう30年も連れ添ったんだから 我慢したらって言ったらさ
    お前は結婚してないからわかんないんだ…からはじまってお説教のオンパレードよ
    たまったもんじゃないわ(苦笑)今夜もね 母とケンカして家にいたくなくてさ それでひとりで飲みに出てきたんだ〜』


    「そうなんですか…、いろいろ心配ですね」


    『うん 仕方ないさ〜 まっ生きてりゃ自分のことだけじゃなくてさ 色々あるもんよ〜』



    ミサオのハスキーな声が響く度に胸がざわめく


    二人が並んで座っている
    この大きな赤いソファがまた
    妙に妖しい雰囲気を演出しているようだった






    ミサオがテーブルの上に置かれたリモコンを手に取り
    MUSICチャンネルを廻す…



    〜Sercret rendez-vous〜


    〜止められない 今夜の秘密のランデブー〜♪



    そんな曲に…ミサオはチャンネルを合わせた




    『ね、エミ〜彼女が愛していない人を抱いたって聞いてショックだったって言ったよね?』



    「…うん」



    『…私だって…抱いたことあるよ』



引用返信/返信 削除キー/
■20017 / inTopicNo.34)  1周年おめでとうございます♪
□投稿者/ 昴 大御所(407回)-(2007/09/13(Thu) 01:14:50)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    映美さんが
    こちらに投稿されて
    今日で1周年ですね

    (その時はまだ映美さんではなかったけれど 笑)


    勘違いからの出逢いでしたね


    1年前を懐かしく振り返ります


    お仕事のご都合でしょうか?

    以前よりも更新がゆっくりになったように感じますが
    (↑昴も人のことは言えません(>_<)

    お身体に変わりはありませんか?



    きっと昴の他にも沢山の方々が読んでいらっしゃいますよ


    お互いにゆっくりでも
    完結目指して頑張りましょうね


              昴




引用返信/返信 削除キー/
■20019 / inTopicNo.35)  映美さん
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2007/09/13(Thu) 02:01:17)
    あちらの星からワープして参りました(笑
    いつも楽しく拝見させて頂いております^^

    誤解から生まれた二人の小さな溝
    これ以上大きくならないで・・と心が逸ってしまいます^^:
    ルナとエミのすれ違いや不安、読んでいてとても共感できます
    恋愛って、楽しいだけじゃないってこと
    そして、エミとミサオさん
    ミサオさんってとても色っぽく感じるんですが^^
    この会話の続きが、エミを動かすんでしょうか・・?

    今日で・・・
    投稿1周年だったんですね! 私も、昴さんに肖って^^
    一周年おめでとうございます♪〜☆,°・ ‥.
    これからも更新楽しみに、また応援しております

    映美さん、お仕事お忙しそうですね
    夜風も涼しくなり、過ごしやすくなってきました
    今夜は少し肌寒いですね
    風邪など召されないよう、お身体ご自愛なさてください^^
引用返信/返信 削除キー/
■20046 / inTopicNo.36)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(220回)-(2007/09/17(Mon) 01:19:15)
    昴さん こんばんは 

    コメントありがとうございます^^ 
    一周年覚えてくださっていたなんて とても感激ですm(__)m

    昴さんは『ルナエミ』読者第一号様でしたね

    …1年前
    HNの勘違いで昴さんがレスくれたあの日を…
    懐かしく思い出しました^^

    あれからもう1年ですか…

    季節は巡り…
    物語の始まりの秋にまたもどりましたね
    早いですね(苦笑)
    この恋の話はいったい
    いつ終るのでしょうって感じですね


    時は過ぎるのはとても早くて
    物語りはついていけなくて困ったもんです^^;

    まさか…2周年おめでとうございます…
    (苦笑)なんてことにならないように
    完結できるように頑張りますね


    朝晩涼しい季節ですが
    日中はまだ気温が高かったりの日々ですので
    体調崩さないないようにご自愛くださいませ^^


                  映美

引用返信/返信 削除キー/
■20047 / inTopicNo.37)  レオさんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(221回)-(2007/09/17(Mon) 01:27:19)
    レオさん こんばんは


    お祝いコメントありがとうございますm(__)m


    えっ あちらの星からワープされたんですか〜?

    う〜ん なるほど^^
    どの星かわかりました…(苦笑)

    きっと…あの流れ星にのってこられたのですね^^

    レオさん
    シークレットゾーンではいつもご感想頂き
    ありがとうございます^^

    わたしの拙い物語『ルナエミ』に
    いつも共感していただくレオさんの御意見・ご感想は
    とても励みになります
    本当にありがとうございます^^

     
    そうですね
    ミサオは女らしい色っぽさはまったくないのですが
    とってもセクシーな女性です(*^_^*)

    今後のミサオとエミの展開はレオさんの
    予想通りでしょうか…

    お楽しみに^^

    引き続きスローな更新ですが書いていきますので
    気長にお付き合い頂ければ嬉しいです 


    秋の夜風に油断してお風邪など召しませんように^^


                        映美





引用返信/返信 削除キー/
■20066 / inTopicNo.38)  【I'm lost in your eyes】
□投稿者/ 映美 ベテラン(222回)-(2007/09/22(Sat) 03:25:43)



    『一度だけ…抱いたことあるよ 愛してもいない人をね…』


    「……」


    『なんとなく成り行きでね…。あのときは無性に寂しかったんだ』


    私はミサオから視線を逸らした


    「……」


    『あはっ 最低だね〜あたし…』



    どんなリアクションをすればいいんだろう…
    頭の中で言葉を探した



    『でもね誤解しないでね エミ! その時は好きな人がいなかったからよ
    恋人がいたら絶対しないよ!いくら酔っててもね(苦笑)』




    『エミの彼女だってそうでしょう…それってエミと出会う前のことでしょ?』


    「…うん」


    こっくり頷く私の肩をポンポンとミサオが軽く叩く


    『じゃあ 問題ないじゃない(苦笑)過去の事じゃん 許してあげなよ〜エミ 
    彼女だって、きっと私と同じようなときがあったんだと思う…なんとなくわかるんだ〜』


    (あのときはしかたなかったの・・・)と話しかけたルナの言葉を遮った
    自分を思い出していた



    私は涙が出そうになり唇をかみしめた



    …ほんとは全部 許してる
    愛しているから

    …どんなことだって受け入れられる
    愛しているから




    言葉が途切れてしばらく無言の二人







    流れるBGMの曲が途切れた時
    ハスキーボイスが低く響いた


    『今回ね 日本に帰国した理由 実はもうひとつあるんだ…』


    「・…もうひとつ?…って?」


    ミサオが私を見つめた


    『…エミに会いたかったんだ…』


    ハスキーな声と惹きつけるその瞳に
    早鐘のように私の胸が鳴っていた


    『そろそろ 魔法かけてもいい? 今夜、エミが彼女の事忘れる魔法…をね』


    ミサオの指先が頬に触れた

    その指先の温もりがミサオの魔法だったのだ
    私はもう動けなくなっていた


    『愛していない人はもう抱かない…。 でも愛する人がいるひとを抱くのはやはりいけないことかな…』


    かつて焦がれた黒い瞳が目の前にあった


    「ミサオさん…」




    〜when I'm lost in your eyes〜

    わたしは貴女の瞳に夢中になり…
    その瞳のなかでわたしは迷っている〜♪


    BGMからはそんな歌が流れ…


    私の脳裏には…あの夜が映し出されていた




引用返信/返信 削除キー/
■20080 / inTopicNo.39)  【Stop motion〜first sigh〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(224回)-(2007/09/24(Mon) 02:00:05)



    ミサオの魔法で、今 動けなくなってる私


    脳裏のスクリーンで巻き戻し映し出される
    出逢いから〜あの夜の場面






    頭の中でSTOPを押した
    ――まずミサオとの出逢いを再生してみた




    短大を卒業し社会人になったばかりの春


    友人マリが通うダンス教室の発表会に足を運んだ日の事
    開演前 マリの教室の控え室を探していた


    (…どこだろう どの部屋かな?)


    いくつかのドアの前で迷っていると後ろから声がした


    『どなたに御用ですか?』


    ふり向くと黒のレオタード姿のスレンダーな女性が立っていた


    「あの、○○マリの友人なのですが…」


    『あ〜 マリね! マリならこの部屋にいるわよ ちょっと待っててね』


    その人は目の前のドアをあけ入っていく






    ほどなく出てきたマリが大袈裟に私に抱きついた


    「エミ〜! 来てくれたんだぁ〜」


    「最後まで いられないからさきに渡しておきたくって〜」
    マリにお祝いの花束を差し出した


    「ありがとう エミ〜♪ あっそうだ〜 ちょっときて〜」


    マリが部屋の中へと私を引っ張っていく 


    そして、立ち止まったのはさっきの部屋を教えてくれたレオタードの人の前だった


    『エミー 紹介するわ〜 私の講師よ〜♪』


    (えっ…この人 講師だったんだ…)



    『よろしく ミサオです♪』
     

    そのひとは会釈しながらじっと私を見つめた


    その黒い瞳はまるで強い磁力を放ってるように
    私を強く惹きつけた…


    (なに ドキドキしてるんだろう…わたしったら…)


    『エミー ミサオ先生のステージもちゃんと見て帰ってね!』


    マリに言われなくても プログラムでミサオの出番を探すつもりだった





    ミサオのダンスに私はカルチャーショックを受けた


    無駄のなく引き締まった肉体がリズムに合わせて躍動する
    その美しい動きがたまらなくセクシーだった


    その日から すっかり私は、ダンスの虜…
    いや…ミサオの虜になってしまっていた


    それから何度かマリのレッスンを見学にいくという口実で教室に通った
    レッスンを窓越しに眺めながら目で追うのはマリではなくもちろんミサオの姿ばかり…

    気のせいなのかミサオが時折 私の方に視線を送ることがあった
    目が合って思わず逸らすことが何度もあった

    もしかして…ミサオさんも私を気にしてくれてるのかな
    ううん そんなわけないよね 自惚れだよね…そう自分にいい聞かせながら
    ミサオにはずっと好きの光線を送っていた

    私は不思議なくらい気になった人はかなりの確率で
    自分と同じセクシャリティーだったりする きっと自然と引き寄せられるのかもしれない

    だから今度も確信していた 
    ミサオさんもきっと…そうなんだってこと



    それから2ヵ月後の事だった


    マリからできちゃった結婚するから
    会社もダンスも辞めるんだと聞かされ驚いた


    マリがダンス辞めるなら もう教室には行けない
    ミサオの姿も見れなくなるんだ…私は落胆した





    …少し早送りしてみる





    ミサオと偶然に会ったのは、
    お気に入りのアーティストの新譜の広告につられて入ったCDショップだった


    あ、あのひとは…ミサオさん


    視聴コーナーでヘッドフォンをはずし立ち上がるミサオが視界に入った


    声かけなきゃ…




引用返信/返信 削除キー/
■20083 / inTopicNo.40)  【Stop motion〜two heart〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(225回)-(2007/09/25(Tue) 11:57:06)

    CDショップを出て向かった先は
    ミサオの行きつけのBARだった


    ミサオがスマートに煙草を吸う横顔に
    ドキドキがとまらない

    あの日からずっと会いたいと願った奇跡
    それがこんなに早く訪れるなんて…

    ミサオの小麦色の肌が触れる程の距離にあった
    これって夢かもしれない…思わず頬を軽くつねってみたりした

    こんなにとんとん拍子にことが運んじゃうなんて
    まるでドラマみたい…




    テーブルにミサオがさっき買った2枚のCDを並べた
    こんどダンスで使う曲を選ぶんだと言う


    『ね、エミさん これとこれ…ジャケットはどっちがお好み?』


    一枚はセピア色で映し出されていたどこか異国の街の風景

    一枚は黒背景のなかに描かれたシンプルな赤いハートのイラスト


    「そうですね〜 どっちも綺麗ですね〜(微笑)でもわたしはこっち…」


    私は赤いハートを指差した


    黒の背景が…ミサオの黒のレオタードに見えたのだった
    赤いハートは私…
    黒のミサオに抱かれてる…燃える赤のハートの私…
    そんなことを想像したりしてみた
    はっ…として 赤面する (なに考えてるんだろう…私 ) 


    ミサオが私の指先見つめ うんうんと頷いた


    『ハート選んでくれると思ってた…(微笑)』


    ミサオの黒い瞳に見つめられ
    赤のハートから指が動かなかった…


    「じゃあ このハートから曲 選んじゃおうかな〜♪」


    持った煙草を灰皿に置き
    ミサオは私の人差し指に指を重ねた


    流れるSwing Jazzのメロディーが会話を途切れさす






    ―頭の中でシーンが早送りされる…



    『エミは、もう酔っちゃった?』


    いつのまにか、ミサオは私のことをエミと呼んでいた


    ミサオの声が耳元で響くとなんだかとても心地よかった


    私を酔わせてるのは
    そのハスキーな声でもあった


    身体が熱く火照ってきてるのがわかった


    軽い眩暈がしたのは
    お酒の酔いのせいじゃない


    気がつくと 私はミサオの腕の中にいた…





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