| 「んぁ〜あ、疲れたっ」 私はベッドに倒れこんだ。 時計を見ると、もう20時をまわっていた。 5,6時間、休みなくさやかと交わり続けていた事になる。 泊まりたいと強く切望するさやかを、何とか言いくるめて、やっとさっき帰ってもらった。 私よりもタフかもしれない・・・。
さやかと交わって、若い娘に溺れる親父達の気持ちが分かる気がした。 いつものお客様とは違い、肌にはハリがあり、やはり綺麗だ。 まだ熟していないところが、イケナイ事をしているようで興奮する。 私も同い年だけど、それなりに発見する事が多かった。
さやかとスポーツのようなセックスをして、今までのもやもやが晴れた気がした。 そうだ。これが私なのだ。 早速クラブに電話して、明日からまた仕事を始めることにした。 電話を切るとすぐに、インターホンが鳴った。 まさか・・・さやかっ? 恐る恐るモニターを見ると、もっと驚く人が立っていた。
「久しぶりね〜、元気だった?菜。」 大きくウエーブした長い髪に、膝上のスカートからすらっと伸びた細い足の中年女性。 思わず、お客様の名前を探してしまった。 「久しぶりだね、母さん。」 父の海外勤務に同行している母親だった。 同行といっても、その背景にあるものは家族愛でも、夫婦愛でも何でもない。 「いつ帰国したの?彼氏は?」 「いやあねぇ、そんな人いないったら。」 「んじゃ、オトモダチは?」
最初にパートナーを変えたのは母の方だった。 自分よりも10歳近く若い男と恋に堕ち、家庭を捨てるつもりだった。 でも、父の仕事では離婚すると出世ゲームから降りなくてはならず、母の勝手を許す代わりに夫婦でい続けることを約束・・・いや、契約させた。 父も母どころか家庭に興味はなく、ただただ、自分の人生を自分の為に生きている人なのだ。
「娘の顔を見に帰ってきたんじゃないの。元気そうで何よりね。」 「オトモダチと落ち合うまでの暇つぶしもいいけど、帰ってくるなら連絡してよね。」 「自分の家に帰ってくるんだもの。別にいいじゃない。」 その声を背中で聞きながら、後ろ手にドアを閉めた。
ありがと。 さやかと母さん。 やっと自分に戻れるよ。
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