| 久しぶりに会った春は、少し痩せたみたいだった。
「最近忙しくて。」
開口一番、俺は遅刻の言い訳を口にする。俺が相手なら確実に気分を害している。
「いいよ。気にしない。」「行こうか。」 「うん。」
並んで歩くと、周囲からの視線を感じる。女みたいに綺麗な顔をした男と、知的な雰囲気を持つ女。いつものことだが、俺は注目されるのが気持ち良くて、好きだった。春は、そんなことは気にしていないのかもしれない。
「泉はさ、」 「ん?」 「黙ってればただの美少年なのにね。」
残念だと言わんばかりのその口ぶりに、思わず口元が緩む。
「何、喋ると女ってばれる?」 決して高くはない声で尋ねる。意識して低い声を出しているうちにそうなったのだ。努力の結晶と言ったら大げさだろうか。
春は首を左右に振った。
「性別の問題じゃないの。性格の問題。」
「…おい」
笑いながら、これだから春はやめられない、と心底思った。
(携帯)
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