| そこに、彼女〔希〕の姿はあった。 愛しい人〔彩乃〕は、なんの連絡もなく、突如として音信不通になってしまった。 そんな彼女を探すために、唯一の手がかりがありそうな彼女の部屋に向かった。
『…何も無い部屋。生活感が欠如したこの部屋で、何を思っていたんだろ…』
ポツポツと独り言が多くなっていく。
なんとなく、多分そこで勉強などをしていたであろう机に、何か有るような気がして机まで移動する。 灰色の事務机みたいだ。
『彩乃…』
机の上には何も無いので、引き出しを開ける。 そこには、書類のような物がビッシリと入っていた。 一つ一つ書類をチェックしていく。 大学の連絡、プリント、論文、バイト先のシフト表、成績表、支払い表ー…
―――一時間後。
『手がかりになる物なんて無いし…』
そう、諦めて引き出しを元に戻す。 ガッ。
『あれ、元に戻らないなぁ。奧に何か詰まったのかな。』
引き出しを出して、中を覗いて見る。すると、一冊の本とグシャグシャになっている手紙らしき物があった。 手を伸ばして、それらを手に取る。日記と
『…私宛。』
手紙である。黄色く、いかにも古臭さが漂っている。 はやる気持ちを抑えながら、封を切る。
『古いなぁ、まだ知り合ったばかりの頃の日付じゃん。』
ペラペラと目を通していく。 そこには
「深山 希様」
(携帯)
|