| 2007/12/15(Sat) 10:26:43 編集(投稿者)
夏輝は走った あの女に会えば全てが分かりそうな気がしたから。
『棗をどうしたの!!』
夏輝は勢いよく理事長室の扉を開けた。 そこには、学長と変わらないくらいの若い理事長がいた。 学長と肌を合わせながら・・・。
その光景に一瞬ひるむが、視線を床に落として話を進めた。
『取り込み中でわるいけど・・、話があるの。』
夏輝の言葉に理事長は何かに勘ずいたようだ。
『もしかしてまた何かした?』 理事長は自分の膝で股を擦り付ける学長に呆れたように尋ねた。
『ごめんなさい、けど、経営の為にした事なのよ?』
甘えるように学長が理事長に上目使いで許しを請う。
『そう、でも夏輝が大事に思う子なんでしょ?』
ちらりと夏輝に目をやると、夏樹は理事長を睨む。
『そんなに怖い顔しないでよ。棗ちゃんにあなたがあたしの娘だなんてバラされたくないでしょ?』 その言葉に夏樹が言葉を荒げる
『誰があんたの娘よ!あたしを置いていきなり戻ってきたらこんな学校作ってるなんて!あんたなんか親じゃない!』
聞き分け無い子をあやす様に理事長は話しかける。
『落ち着きなさい?私が這い上がれたからあなたは今の生活ができるのよ? それに、あなたの大好きな棗ちゃんも最低な親から助け出せたわ』
ねえ?と理事長は学長にキスをする。
『あんたがしてる事は人身売買と同じことよ!棗を助け出してなんていない!ただあの子を好きにしたいだけじゃない!』
『黙りなさい!』
理事長が夏樹を一喝する。 夏輝の言葉が詰まりうなだれる。
『とにかく、棗ちゃんにはもう危害を加えることはないだろうから安心しなさい。せいぜいばれない様に特別入学生のふりでもしてなさい』
どうする事もできない自分の非力さで、夏輝は力なく理事長室を出て行った。
『あの子にパートナー作らせてあげないの?』
学長が理事長に話しかける。
『余計な足かせつけてもあの子の将来が心配だからね』
『浅川棗がそんなに気になる?』
クスクスと学長が笑う。
『浅川棗の素性を知ったら夏輝が可哀想でしょ・・。』
『そんなに心配してるのに歪んだ性格のせいで夏輝ちゃんに嫌われてるのね♪』
『・・・うるさい♪あなた名前だけの学長なんだからクビにしちゃうわよ♪』
そういうと、理事長は学長の頬を軽くつねる。
『痛い痛い♪雑用係と憎まれ役がいなくなったら困るでしょ?』
『あなたには感謝してるわ』
2人は呆れたように笑った。
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