| 「‥…うん。すぐ行くね、ちょっと待ってて。」
斜め前の席―。
また、伊沢ユリが私をいらつかせた。
友達に必死についていこーと教科書をまとめてもそれを机からこぼしてしまう。
バカだ―。
「先行っててごめんねすぐに行くから。」
筆箱から散らばったペンを拾う伊沢はなんとも情けない。
私の斜め前の席、 いつも私を不愉快にさせてくれる。
知らん顔をし教室をでた。
「みーち。」
廊下を歩いてると背後から声がかかった。 振り向くと、声の主のうしろで伊沢が走っているのが見えた。
ムカつく。
「みーち、なによその仏頂面は。」
リエコがひっついてきた。
「しんどい、やめ。」 「ふけよーよ、授業。」
することを見透かされていたからやめた。
「授業行こうよ、音楽だったよね。」
リエコの手を引きながら教室に教科書を取りに入った
「みちは気分屋なんだから。」
リエコの長い髪が顔に引っ付く、 大人びた香水の香りが欲をさそった。
「やばいって、みち。」
リエコの体温が暖かすぎた。
「髪きらないの?」 「うざいかな?切っちゃおうかな。」
背中に手を回すとなさすぎる肉付きになんだかなえてしまった。
「いーや、長いほうがいいんじゃない?」
リエコから離れて教科書を取りに机までいくと、 机の端下にペンが一つ転がっていた。
「いこー。」
それを拾いあげ、 音楽室に向かった。
(携帯)
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