ビアンエッセイ♪

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■21869 / inTopicNo.1)  アイヒト
  
□投稿者/ 燃草 一般♪(1回)-(2015/01/18(Sun) 00:36:59)
    適当です。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■21870 / inTopicNo.2)  音叉
□投稿者/ 燃草 一般♪(2回)-(2015/01/18(Sun) 00:51:04)


    ーーーその声出さないでーーー



    そう言うと消え入るように箏子は布団に顔をうずめた。

    きいろは僅かに暗澹の表情を浮かべる。

    何故そんなことを言われなければならないのか

    こんなに辛く苦しいのに


    その時箏子が身を縮ませた。


    あぁ、この子は私の声に反応しているのだ


    酷く辛い詰まる喉から出した声は

    いつも耳許で囁いていた箏子のタガを外す声に似ていた。


    そうじゃないのに


    暗くなる気持ちを打ち消したのは

    まだきいろを求めている身体だと思ったからだ。


    そう聞こえるなら

    そうするよ


    二人はぐちゃぐちゃな気持ちのまま

    ちくはぐな気遣いのまま

    とうに別れを済ませているのに

    身体が1番最初に正直になっていた。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■21871 / inTopicNo.3)  蕩揺
□投稿者/ 燃草 一般♪(3回)-(2015/01/19(Mon) 02:08:21)

    本当は私の中で歌など流れていない。
    静寂というものもないし、無音でもない。
    音を知らなければその意味さえわからないように、
    目が見えなければどんよりとした曇り空も知らない。

    ただ肌に触る空気があり、それが好ましいものでも
    嫌悪までいかないものでもないのがわかるだけだ。



    きいろは年の離れた姉と家族の食事を作るために
    台所に立つ。
    毎回2人で歌謡曲やクラシック、アニメソングを口ずさむ。
    時折、姉貴の部屋で映画を観たり、甥の宿題の監督をする。
    その後、離れにある子猫が待つ物置を改装した部屋へと戻る。



    今日も姉の部屋に立ち寄った。
    アメリカの救命救急ドラマを4話観た後、冗談を言いながら部屋を出た。

    玄関に立ち明かりをつける。
    靴の位置を確認して電気を消し、重いドアを開けた。

    明るいのは騒がしい。
    真っ暗に近いこの階段は、冬の空気があまり入らず少し暖かい。
    壁に手をつきながら、一段一段確かめながら降りる。


    明るすぎる光はうるさくて暗すぎるのは重たい。
    本当は歌なんか流れていない。無理矢理絞り出している。
    努めて不器用な家族に、努めて不器用ながらも空気を柔らかくするために
    口ずさんだり鼻歌を歌っているのだ。
    生きる気も無い。
    死にたい訳じゃなく、ただ生きる理由が見つからない。
    可愛く憎たらしい甥も生きたいと思う理由にはならない。
    数時間空けただけで、ガラガラ声で鳴く可愛い子猫も生きたいと思う理由にはならない。
    美味しい食べ物も、素晴らしい音楽も、心掴まれる芸術も、一日一冊と決めた小説も
    タバコの煙が作る輪に触れるように、薄く消えていく。


    きいろは人生で幾度か自殺しようと試みた。
    最初は10歳、最後に試みたのは、箏子と別れた後だ。
    幸せがまだ色濃い内に終わりにしようと何度も試みた。
    風邪薬や鎮痛剤を買い、家にある分も足し、ウイスキーをストレートで流し込み
    心が幸せの体温を覚えているうちにと急ぐように首に縄を通した。

    結果、全て失敗に終わった。
    ハイネックを着て仕事をこなし、掠れ声をマスクで覆い、むくみ黒ずんだ顔を笑顔で消した。

    あれから数ヶ月、きいろは自分がどの淵に居るのかわからなかった。
    今、箏子ですら生きたい理由にはならない。
    ただただ、やることをこなし、冬の夕暮れを眺めてため息をつく。

    生きたい理由がないのは、どうしたらいいのか皆目見当がつかなかった。

    ただ、10歳の時より幸せだと感じる。
    愛し愛され過ごした日々は、あの悲痛な諦めよりもずっとあたたかい。
    思い出せば微笑むこともできるし、愛しくなり嬉しさがこみ上げたりする。

    子猫が鳴く。
    しっぽを真っ直ぐにして、あごをくすぐる。
    この大層可愛くない声で鳴く子猫は、冬の始めに車庫に捨てられていた。
    はち切れんばかりにゴロゴロと喉を鳴らすようになるまでに、幾分時間がかかった。
    両手に抱き上げ頭と足が出ていた子猫は、今や手が四本あっても足りない程成長した。

    寒いのに本を読む私の胸に寝転がり、キスをしたり、ザラザラした舌で指を舐め顔を舐め甘噛みをする。

    きいろはこんなに愛情を示す小さな生き物も、生きたい理由にならないのかと暗澹の表情を浮かべる。

    子猫が甘えた声で鳴いた

    小さな頭を優しく撫でる
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