| 加奈は、女子校に通う二年生だ。 真っ黒に日焼けした肌にショートカットの髪がよく似合う。 彼女はソフトボール部で4番 ファーストだ。 「おはよー。」 加奈が元気良く教室の扉を開けると、室内がざわめく。 「げっ」「来た!」「きゃー!」など様々な反応を示す。 加奈は小走りに入ってくると、手当たりしだいにスカートめくりをする。 「ぎゃー!」「やー!」 そんな加奈の前に、ひとりの女生徒が立ちはだかる。 加奈とは正反対に色白で、長い黒髪にメガネをした美少女だ。 「なに?塩会長。」 名を志帆という。学年でトップクラスの成績を誇る生徒会長だ。 その態度がいつも冷たいため、名前をもじって塩会長と呼ばれる。 「いい加減にやめなよ。これから大事な時期なんだから。」 「やだね!あたし、レズだから。」 と志帆の胸を鷲掴みする。 「だから、やめなさいって。」 持っていた参考書の背表紙を、加奈の頭に振り下ろした。ゴツン! 「あたっ、タタタタッ!ひどいよー。」 頭を押さえて、うずくまる加奈。
実は加奈と志帆は幼なじみだ。 家が近所で母親同士が友達なのだ。 小さい頃はいつも一緒に遊んでいたが、 大きくなるにつれて、ひとりはソフトボールに、ひとりは勉強に打ち込み、 あまり遊ばなくなったのだ。 高校に入り、加奈は自分がレズだと言い出した。 女子校の運動部で活躍する加奈は、実際よくもてた。 下駄箱には、いつも大量のラブレターが入ってしたし、 試合や練習には、ファンの娘達が詰め掛けた。 しかし加奈はレズだと言いながら、誰にも手出しはしていなかった。 いつもスカートめくりをしたり、背後から忍び寄り胸を揉んだりするのだ。 そんな加奈を、志帆はいつも冷ややかに見ていた。 しかし来年は受験が待っている。騒いでる時期ではないのだ。 志帆としても限界に来ていた。なにより志帆は生徒会長なのだ。 これ以上 風紀を乱す行為は見過ごせない。 志帆は加奈を呼び出して注意することにした。
ある放課後、志帆は加奈を自宅に誘った。
続く
|