| この頃、子供の頃の夢を見る。当時からわたしはよく転んでいた。 自分には運動神経がないのだと思う。あれは幼稚園の時だろうか? 家の近くの歩道で派手に転んだ。両手を擦りむき血がでた。 もちろん大泣きした。すると目の前に、真っ白な綺麗な手が差し出された。 見るとセーラー服を着たおねえさんが、微笑んでいる。 いや、微笑んでいる気がする。逆光で影になり、よく見えないのだ。 おねえさんは、わたしの両脇に手を入れてわたしを立たせ、 服の汚れを払ってくれ、擦りむいて血の出ているわたしの手をじっと見つめた。 なぜ、おねえさんがそんなことをしたのか、未だにわからないが、 突然わたしの手を、血の出ている傷口を舐めたのだ! その時の感覚は今でも忘れられない。 当時はその正体がわからなかったが、高校生になった今ならわかる。 背筋を走り抜けたその感覚は、明らかに性的なものだった。 いつもそこで目が覚める。 そしてショーツに手をやると、いつもしっとりと濡れていた。
わたしは、K学園と言う女子校に通っている。 そこでわたしはイジメにあっていた。 美貴というお嬢様とその取り巻き連中に、目を付けられたのだ。 わたしは毎日をなんとかやり過ごすことしか考えていなかった。 そんなある日、転校生がやって来た。
「みなさん、お静かに!転校生を紹介します。お父様のお仕事の関係で 一年間の期限付です。来栖亜里沙さんです。仲良くしてあげて下さい。」
入ってきた娘の美しさにみんな見惚れてしまった。 私達とは違う黒いセーラー服を着た彼女は、肩までの漆黒の髪に 顔は抜けるような 白い肌、血の滴るような真っ赤なくちびる、 それにハーフなのかヘーゼルカラーの瞳で微笑んでいる。
「一年間ですがよろしくお願いします。」
ペコリとお辞儀をして、ニコッとわたし?を見て微笑んだ。 指定された席へ向かう途中、美貴がよろしくと声をかけた。 しかし彼女は美貴をあからさまに無視した。 そしてわたしの側を通る時、確かにこんにちはと言った。
えっ‥‥えっ‥‥どうして?
わたしが戸惑っていると、美貴がすごい顔でわたしを睨んでいるのに気づいた。
続く
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