| 2017/03/18(Sat) 09:21:05 編集(投稿者)
ネットで早速購入しようとしたら、サイン会の告知が目に入った。 会えるかもしれない!?そうすれば、ナミかどうかが判る。 日付を確認すると仕事の日ではあるが、早く終われば間に合いそうだ。 アヤはその時に購入することにした。
その日、アヤはイライラしていた。仕事が終わらないのだ。 結局、一時間以上遅れて会場に着いたら、すでにスタッフが片付けていた。 スタッフに聞いたら、どこにいるのかわからないという返事だった。 呆然とするアヤの周りで、スタッフ達が騒々しく机や椅子を運んだりしている その時だった。スタッフ達の向こうの一番奥の扉からナミが出てきた。 やっぱりナミだ! アヤはすぐに気がつき、近づこうとしたがスタッフが邪魔で近づけない。 声をかけようが相手は聞こえないのだ。
その時ナミがこちらを見て、立ち止まった。 アヤは、右手の人差し指と中指を立て、顔の前で横に向ける。【もう一度】 そして右手と左手の人差し指を立て近づけ 今度は右手の親指と人差し指であご髭を触る仕草をする。【会いたかった】 ナミは驚いた表情を見せ、両手を口に当て涙を流した。 そして胸の前で両手の親指と人差し指を二回チョンチョンと合わせた。【私も!】 やがてスタッフ達が、演技を終えた役者のようにいなくなると、 ふたりはお互いに向かって走り出した。 きつく抱き合うふたり。 そしてどちらからともなく、くちびるを合わせた。 ナミの舌は言葉を発しないけれど、雄弁に気持ちを伝えてきた。 【好き、好き、大好き!!】
おわり
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