| 目が覚めたら、Y先生と目が合った。 先生の目が笑ってる。 「どうですか、調子は。」 「問題ないです。」 待って。こんなタイミングで私が起きる訳がない。 先生が何かしらの方法で私を起こした。 それに、何故笑ってるの。 「明日退院ですね。」 「はい。」 すぐ隣にも患者さんが寝てるから、声を掛けて起こさない筈。 多分…私の体の何処かを触って起こした。 そう考えると、先生が笑ってるのも納得がいくし。 違うかな。答えはわからない。 「何か不思議な…。寂しい感じがします。」 先生が急に真面目な声で私に言った。 「どうしてですか?」 「どうしてだろう。長く一緒にいたからかなぁ。…。」 「…。」 どう答えていいか分からなかった。 一瞬、告白かと思ったけど、そんな訳無いよね。 今思えば、私も寂しいですと答えれば良かった。 「長い間、お世話になりました。」 私が言えたのはそれだけだった。
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