| 私は抱き合って眠りたいのに、Sは行為が終わると直ぐにベッドから離れる。 タバコの匂いがする。 あれだけ、やめてと言ってるのに。 そして、また私に背を向けてお酒を飲み始めた。 黙ってる時のSは何を考えてるんだろう? 本当に私の事が好きなのかな。 「M。」 それ、やめて。ビックリするから。せめて、“ねぇ”を付けて。 「うん。」 「どうして、どうして僕達は出会ってしまったんだろう。」 「それ、知ってる。ユーミンでしょ。」 Sは直ぐに返事をしなかった。 ん?続きは“二度と会えなくなるなら”じゃない? 一瞬、怖くなった。 Sの背中が少し震えてる。 泣いてるの? 「S、泣いてるの?」 「泣いてない。」 「何かあるなら、言って。」 「何もない。」 「…。」 少しの沈黙の後、Sが呟いた。 「離れないで欲しい。」 「離れないよ。」 「本当?」 「本当。だから、少し眠って。」 Sがベッドに来たから、私も眠った。 これも、反則だよ。いつも優しくして欲しい。 でも時には反則も許さないと。 私は側にいたいから。
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