| 今日は珍しく高級デパートに来ている。夫の実家に持っていくお土産を買いに来たのだ。 「あらっ!もしかしてマイ?」 振り返ると、リサが妖艶にほほえんでいた。 「10年ぶりかしらね。。」 そう、10年。高校卒業以来だ。リサは全身をブランド物で包み、髪を緩やかにウェーブさせている。高校の時から整った顔立ちだったが、化粧をした彼女は女優みたいに綺麗だ。 彼女は私を頭の先からつま先まで舐めるように見たあと 「相変わらずマイは可愛いね。」 「そんな…こと…ないよ。」 ドキドキしながら答える。と、彼女はいきなり私の左手を取り、 「結婚したんだね。」 「うん…。」 と言って私は手を引いた。その時彼女は、私の手の平をそのきれいな指でスッと撫でた。私は真っ赤になって俯いた。 「私、今 会社を経営してるのよ。」 と言って彼女は名刺をくれた。透明なマニキュアを塗った爪は短く切りそろえられている。 知っている。この間、雑誌に紹介されていた。確かランジェリーの会社だ。 彼女は私に近づくと耳元で囁いた。 「連絡頂戴ね。待ってるわ。」 彼女は意味深に微笑み去っていった。 私はしばらく動けずにいた。
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