| 三階から一階への階段を駆け降りて、廊下の突き当たりへと急ぐ。その部屋は、あたしの大好きな人の聖地なの。 引き扉を開けようと取っ手に手をかけた瞬間、 「先生っ…あたし先生のことが…!!」 中から他の女生徒らしき声が響いてきた。 「やっば…」 あたしは慌てて扉に背を向け、柱の影に隠れた。どうやら、告白の場面に丁度良く居合わせてしまったみたい。やれやれ、とその場に腰を降ろして、やりとりに終始を着くのを待つことにした。 部屋の中で、女生徒と思われるかん高い声と、大人の女性を連想させる甘くもやや低い声の押し問答が続いた。そして、やや間が空いて。 ガラッ!! 扉が勢い良く開けられ、女生徒が顔を手で覆って、鉄砲玉の様に飛び出してきて走り去っていた。音にびっくりして、あたしは顔を見ることはできなかったけど…女生徒は多分泣いてたんじゃないかな。そんな気がする、多分。…でも、可哀相とは思えなかった。
(携帯)
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