ビアンエッセイ♪

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

[ 最新記事及び返信フォームをトピックトップへ ]

■8275 / inTopicNo.1)  Everytime
  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(1回)-(2005/03/26(Sat) 12:29:23)


    忘れかけていた歌や言葉たちは

    春の優しい風にのって舞い戻る。



    愛しい人の香りや表情が

    鮮明に蘇るのは何故だろう


    since

    いつからだろう

    こんなにこんなに"愛"というものを知ったのは。


    いつからだろう

    "愛しい"だなんて思うようになったは。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8276 / inTopicNo.2)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(2回)-(2005/03/26(Sat) 12:30:43)


    「ただいまー」

    鍵を開けて、少し疲れた声で言ってみる。

    誰もいない部屋からは返事が返ってくるわけではないけど。
    わかってても言いたくなるんだよね。


    いつもより風が強くて、綺麗な雪も荒々しく見えていた今日は
    冬の寒さ以外にも、何か他の、冷たさのようなものがある気がした。


    部屋の電気をつけると
    殺風景な様子が現われて、余計に冷たく感じてしまう。

    チャラチャラと指で鍵を回していたら、鼻歌が自然と流れる。



    何かいい気分。

    そのまま、コーヒーでもいれようかと思った。

    〜♪


    鞄の中が騒がしくなる。

    あっ‥電話?

    鍵をテーブルに置き
    すぐに鞄の中をあさってみるが、
    焦っているとなかなか見つけだすことが出来ない。


    やばっ切れちゃう!


    〜♪――‥

    「あっ。」


    手探りでやっと見つけたのに。
    切れちゃった。

    「チェッ。」


    静かになった携帯を開き、着信履歴を見てみる。



    少しだけの期待が、私の胸を襲う。



    けれど、
    あぁ、また‥か。



    ―非通知設定―



    うまい具合に期待が裏切られてしまう。


    誰なんだろう。前からあったけど、最近は特に多いな。

    「ストーカーかな?」


    そんなことを呟いてみるが、本当は大して気にしていない。
    だからそのまま鞄ごとソファに放り投げる。




    何期待してんだろー。


    なんとなく、そんな自分に嫌気がさした。



    もう自分の心の中は整理したはずなのに。


    ちゃんと受けとめられたはずなのに。





    どうして私は。





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8277 / inTopicNo.3)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(3回)-(2005/03/26(Sat) 12:32:05)


    「ちょっと、、柚羅さーん?」


    「えっ?」

    可愛らしい女性の声でハッとする。

    あっ‥今仕事中だっけ。

    忘れてた。


    「ほら、全然進んでないじゃないですか。もう。」

    休憩のお茶を運びにきた亜紀は、
    頬を膨らまし、何だか怒ってるみたいだ。


    そのまま私の横に腰を下ろしハサミを手に取り、
    綺麗な色画用紙を切り始める。


    「まさか、明日お遊戯会だってこと忘れてませんよね‥?」


    それでもまだうわの空の私に、恐る恐る亜紀は聞いた。


    「あっ‥。」


    忘れてた。


    お茶を飲もうとした手を、パチッと叩かれる。


    「もう、休憩なしですよ!何か‥最近柚羅さんおかしいですよ。」


    いきなり叩かれたもんだから‥びっくりした。



    確かに、変かもな。



    けどソレは。




    「何でもないよ。工作が苦手なだけ。」





    「‥嫌味ですか?」


    私より工作が苦手な亜紀はまた頬を膨らます。

    「あっ‥」

    思わず笑ってしまった。


    先程まで綺麗な長方形だった色画用紙は、
    うさぎだか、くまだか、犬だか、
    ‥わけのかわらない、不思議な形を作っていた。


    「あぁ‥ごめん‥」


    必死に笑いを堪えてみせるが、亜紀はまた頬を膨らます。


    「いいんです、子供たちはわかってくれるんだから。」


    そう言うと亜紀は怒ったように顔を背けた。




    「あっでもこの間亜紀が作った‥キリンだっけ?
    あれ優太君に馬って言われてたよね。」


    言った瞬間、亜紀にギロッと睨まれる。


    でも負けない。


    「あんなに特徴的な動物なのにね。」



    「―‥もう!」


    堪り兼ねた亜紀が大声を出した途端、


    お昼寝中の子供たちがモソモソと動き始める。



    「亜紀先生静かにしてくださーい。」


    わざとらしく言ったら、


    亜紀はまた頬を膨らませた。




    亜紀のせいだ。





    亜紀のせいだ。






    亜紀のせいなんだ。





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8278 / inTopicNo.4)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(4回)-(2005/03/26(Sat) 12:34:15)


    柚羅さん‥

    また考え事してる。


    お昼寝の布団をテキパキと片付けているけれど、

    何だか、背中が小さく見える。



    何かあったのかなぁ‥。



    「あきせんせェー」


    ぼんやりそんな事を考えていたら、
    泣きながら千尋ちゃんがエプロンの裾を引っ張ってきた。


    「んっ?どうしたの?」


    すぐに私はしゃがみこみ、千尋ちゃんと視線の位置を合わせる。


    「ゆうたくんがぁ‥」


    そう言うと千尋ちゃんは、ヒクッと喉をならし、
    大きな声で泣きだした。


    あまりの泣き声の大きさに、柚羅さんがコチラを振り返る。

    「大丈夫です。」と私は目で伝えて、泣きじゃくる千尋ちゃんを抱えあげた。



    「‥っ――。」


    また優太君にいじわるされちゃったんだね。


    優しい声でそう言ってあげると、
    千尋ちゃんは、少しづつ、少しづつ、おとなしくなる。


    「大丈夫。先生が守ってあげるからね。」



    頭をポンポンと撫でてあげると、


    千尋ちゃんは、安心しきったような笑顔を見せた。




    可愛いなぁ‥。






    こんなに自分の気持ちを素直に出せるのは、






    子供の特権だな。って思った。






    自分が素直になれない分。






    私は子供にソレを求めているんだろう。





    だからこの仕事を始めたんだ。



    あっ、そうだ‥!


    千尋ちゃんを下ろしてあげて、

    大丈夫だよ、って言った。


    逃げ回る優太君を必死で追い掛けて、


    やっと捕まえた。



    「優太君っ‥足早い‥」



    抱き上げて肩で息をしながら私が言うと。



    「おめーがおそいんだよ。」


    おめーって‥。


    しかも図星じゃん。


    でも一応、私あなたの先生なんですけど。


    まだ4歳のくせに‥


    くーっ生意気――。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8279 / inTopicNo.5)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(5回)-(2005/03/26(Sat) 12:35:56)
    2005/03/29(Tue) 16:55:34 編集(投稿者)

    「そんな言葉使わないでくださいー。
    先生は優太君より力、強いですから。」


    そう言って抱き上げた優太君をギュッと抱き締める。

    ちょっと強めに。



    優太君はジタバタと腕の中でもがいているけど、


    動けないみたい。



    「ねっ?強いでしょ?」


    「――ッ!はなせよ!」



    「ちゃんと千尋ちゃんに謝るって約束したら離してあげる。
    優太君はココで一番のお兄さんなんだから、優しくしてあげなきゃ。」



    またギュッてすると、優太君はやっと観念したみたいで。


    「わかったから、はなせよ!」


    だから離してあげた。

    背中をポンポンと押してあげると、素直に千尋ちゃんの元へと向かう。



    「ごめん。」


    そっけなくそれだけ言うと、逃げていってしまった。



    恥ずかしがり屋さんなんだよね。



    それは千尋ちゃんもきちんと理解してるみたいで、


    逃げていった優太君を追い掛けて、


    「ゆるしてあげるよ」って笑顔で言っていた。



    子供なのに大人より大人なんだ。


    すごいなぁ‥。



    あっ‥!感心してる場合じゃなかった。



    「柚羅さん!」



    振り返って、柚羅さんに声をかける。




    けれど‥



    私が呼ぶ前から。







    柚羅さんは冷たいような、淋しいような瞳で






    私を見つめていた。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8291 / inTopicNo.6)  NO TITLE
□投稿者/ 真 一般♪(3回)-(2005/03/26(Sat) 18:29:50)
    続き楽しみです。頑張ってください!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8294 / inTopicNo.7)  真さん
□投稿者/ 菜々子 一般♪(6回)-(2005/03/26(Sat) 21:57:24)
    読んでくれてありがとうございます(*^-^*)

    スローペースですが頑張りますので、最後までお付き合い頂けるとありがたいです‥☆

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8295 / inTopicNo.8)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(7回)-(2005/03/26(Sat) 21:58:09)

    「柚羅さん‥?」


    亜紀の声で、またハッとする。


    「あっ‥どうした?」



    無意識に



    亜紀の姿に釘づけになっていた。









    「あー今日飲みに行きません?」


    二人の間に流れた気まずい空気。


    亜紀はソレを晴らすかのように明るく言った。


    「えっ何で?」


    「いや、そんなあからさまに嫌な顔しないでくださいよ‥。」


    亜紀が皮肉っぽく笑う。


    「違う違う!亜紀から誘われるの初めてだから。ちょっと驚いたの。」


    「本当ですか?
    今日、私がココに来て一ヵ月記念日なんですよ。だから。」


    背中をポンッて叩かれる。


    「柚羅さんなら覚えてくれてると思ったのになぁ。」


    優しい笑顔。



    亜紀の笑顔って安心するんだよな。



    「えっ早いねェ。もう一ヵ月か。」


    本当早いなぁって思う。


    「えぇ。だからパーティーしましょう?」


    「パーティー?」



    何故にパーティー‥?


    しかも二人で?



    でも亜紀らしいなって思ったから。



    「うん、いいよ。」

    快くOKした。



    「良かった。じゃあまた後で‥☆」


    そう言って亜紀は子供たちを集めた。


    「はーい、集まってください。
    今日は何の絵本がいいかな?」


    子供たちは亜紀の前にチョコンと座り、見るからにワクワクしている。


    私もまだ歩けない子供を二人、両腕に抱いて、

    後ろの方に腰をおろした。



    今日はアンパンマンか。




    ってあれ?昨日もアンパンマンじゃなかった‥?




    まぁ飽きないんだろうね。みんなの目、キラキラ輝いているもん。




    部屋に響く亜紀の声。





    子供たちが最後まで黙って聞いていられる声。





    優しい優しい声。





    後輩なのに尊敬しちゃうよ。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8296 / inTopicNo.9)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(8回)-(2005/03/26(Sat) 21:59:43)
    2005/03/29(Tue) 16:59:56 編集(投稿者)

    「んーっ。」

    家に着いて一服。


    亜紀が来るまであと一時間くらいかな‥?


    "終わったら迎えに行きますね。"


    今日は亜紀が遅番で。


    私の方が先にあがった。



    働いているのは私と亜紀の二人だけ。
    それと私たちを雇っくれている清水さん。



    小さな小さな託児所だから。


    その人数で十分だったりする。



    けど正直しんどいなー。



    だって亜紀が来るまで休みなんてなかったし。



    毎日遅番だったんだよ?





    けどそれでも続けているのは。

    清水さんの人柄と

    子供たちの笑顔があるから。




    「んーっ。」

    なぁんてね。


    そんな事、絶対に口にはしないけど。



    感謝してますよ。



    〜♪


    「おっ?」

    電話。亜紀からだ。


    「はいはい。」


    <あっ柚羅さんですか?>


    「えぇ、そうですとも。」



    亜紀の声。


    本当に優しいな。




    <今から迎えに行きますよ?>


    「えぇ、いいですとも。」


    何か電話で会話って、久しぶりかも。



    <ははっ、じゃあ行きますね。たぶん10分くらいで着きますから。>


    亜紀の笑顔が頭に浮かぶ。


    「あーい。」



    電話を切って、



    ふと思った。





    こういう言葉にできないような気持ち。





    すごく久しぶりだ。と。







    私は一体、







    亜紀に何を求めているのだろう。






    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8297 / inTopicNo.10)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(9回)-(2005/03/26(Sat) 22:01:25)

    「柚羅さーん!」


    亜紀が車の中から手を振ってる。


    だから私も手を振る。


    亜紀は、その可愛らしい外見に似付かわしくない、



    大きな四駆の車に乗っている。



    何で?って聞いたら、少し照れたように笑っただけで。



    車はどんどん夜道を進んで行って、
    どこかの駐車場に入る。


    んっ‥?


    亜紀はそこに車を入れると、

    「着きましたよ。」

    って笑顔で言った。


    えっ?だってココ。


    マンションの駐車場だよ?



    「あれ?私の家じゃ不満でした?」


    呆気にとられている私に、亜紀はからかうように言った。



    「えっ!?あぁ、飲みに行くって言ったから、
    てっきり飲み屋にでも行くのかと思ったよ。」

    私はちょっと驚いた顔をしながら、亜紀に言った。



    「そんなに驚かないでくださいよ。
    飲み屋よりきっと楽しいはずですよ?」


    亜紀は苦笑しながら、


    器用に車を駐車場に収めた。



    何か以外。


    亜紀って運転下手そうなのにな。


    うまいもんだ。





    って‥!




    あたし亜紀の家に行くの?





    でも亜紀はもう車を下りていて。


    「行きましょう?」


    なんて笑顔で言うから。






    私はついていくしかなかったんだ。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8304 / inTopicNo.11)  Re[2]: 7
□投稿者/ プラス 一般♪(2回)-(2005/03/27(Sun) 01:03:09)
    読ませていただきました★☆
    おもしろいです!!(≧∀≦)こういう話好きです♪
    続き楽しみにしてます!!
    ところで菜々子さんて前SMエッセイの方に書かれていた方と同じ人ですか??
引用返信/返信 削除キー/
■8305 / inTopicNo.12)  プラスさん
□投稿者/ 菜々子 一般♪(10回)-(2005/03/27(Sun) 02:21:23)
    読んでくれてありがとうございます(*^-^*)

    気に入って頂けたようですごく嬉しいです‥☆

    はい、普段はSMエッセイの方で書かせて頂いています‥(苦笑)その菜々子です。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8337 / inTopicNo.13)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(11回)-(2005/03/28(Mon) 23:30:05)
    自動ドアが開いて。


    見るからに高級。



    私が初めて見た機械の前に亜紀は立って、


    何かボタン押してる。




    慣れた足取りですたすたと歩いて行く亜紀に



    私は戸惑いながらついていく。




    「なんか柚羅さんがそんな顔しているのめずらしいですね。」



    エレベーターの中で、


    亜紀はクスクスと笑いながら言った。




    そんなこと言われたって。



    以外やら何やら。





    普段はクールに決めている私だって、



    驚きを隠せない。






    いや、クールではないんだけど。





    「どうぞ。」


    部屋の前につき、亜紀は鍵を開け、私を中へと通す。




    いやいや‥。



    「‥何だコレ?」



    部屋をちょっと進んだら



    高級感のある部屋だな、って感じがしたのに。




    その壁には、折り紙の鎖の輪。



    あのカラフルなやつ。




    いやいや‥。



    「えっ?だってパーティーだって言ったじゃないですか。」


    そう言うと、また亜紀は可愛い笑顔を見せた。



    綺麗なガラスのテーブルの上には、



    お菓子やお酒が入った袋が




    そりゃあもう。どっさりと置いてあった。




    「今日は少し早く上がったんで、準備に気合い入れてみました。」


    笑いながらながらクッションに手を伸ばし


    「ココ、どうぞ。
    ちょっと、着替えてきますね。」


    そう言って隣の部屋に消えて行く。



    私は言われたまま、クリーム色のクッションの上に座った。



    すげェー。



    私のおんぼろアパートとは全然違うな。




    あっ管理人さんごめんなさいね。



    不審者のように、キョロキョロとしていたら



    「そんなに見ないでくださいよ。掃除していないんですからー。」


    隣の部屋から戻ってきた亜紀が言った。


    亜紀の方を振り向いたら、


    またプゥーっと頬を膨らませていた。





    けれど、昼間見るのとは違う。





    いつもは二つ結びの髪が





    サラサラと流れていた。






    ただそれだけなのに。







    私はまた亜紀を見つめてしまっていた。





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8338 / inTopicNo.14)  
□投稿者/ 菜々子 一般♪(12回)-(2005/03/28(Mon) 23:31:29)

    「えっ?何かついてます?」


    柚羅さんがまじまじと見つめてくるから。


    ちょっとびっくり。




    「あっ‥‥
    うん‥‥目とか鼻とかついてるよ。」


    そう言うと柚羅さんはクスクスと笑い始めた。


    「もう!」



    また昼間みたいな淋しい目をしていたくせに。


    ちょっと心配しちゃったじゃないの。



    「よーしっ飲みますよ!柚羅さん、何飲みます?」


    「んー?じゃあビールでお願い。」


    「はーい。」



    ガサゴソと袋の中をあさって。


    柚羅さんのために買ったビールを手に取る。




    ‥。



    ちょっと悩んで。




    一気に五本取り出した。




    両腕いっぱいに持ったそれを



    柚羅さんの前においてみる。



    「あぁ、ありがとう。って、、亜紀さん?」



    優しく微笑んでいた顔が、少し困ったように変わる。




    それが面白くて。



    「えっ何ですか?」


    わざとらしく言ってみる。



    「いや、あたしはいいんだけどさ。
    ‥おかしくなっても知らないよ?」



    そう言って、意味深に妖しく笑う柚羅さんに




    不覚にもドキッとしてしまった。





    あー‥柚羅さんには口で勝てそうにないな。




    すぐ柚羅さんの空気に呑まれちゃう。




    「亜紀は何飲むの?」


    一本目のビールに手をかけながら。


    ―プシュ―っていい音。



    「えーっと、あたしは‥」


    そう言って、自分のために買っておいたものを探し出す。



    「これっ♪」


    それを取り出して、自分の前にドンっと置いた。



    「って‥、それ。ジュースじゃん。」


    呆れたように柚羅さんが言う。



    「だって、お酒飲めませんもん。」


    自信満々に言ったら、



    また笑われてしまった。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8343 / inTopicNo.15)  こんばんわ
□投稿者/ パディ 一般♪(22回)-(2005/03/29(Tue) 00:51:45)
    はじめまして、夜分にすみません。
    好きな人(っつか後輩なんですが)も来月4月から幼稚園で働く幼稚園教諭(保育士さんかな?)なので読みいってしまいました。これからも、読みたいですが、奈々子さんペースで更新よろしくお願いします。
引用返信/返信 削除キー/
■8352 / inTopicNo.16)  パディさん
□投稿者/ 菜々子 一般♪(13回)-(2005/03/29(Tue) 14:05:04)
    読んでくれてありがとうございます(*^-^*)

    初めまして☆

    そうなんですか‥大切な人に関わるお話が、菜々子の駄文で大変申し訳ないです。。
    保育士は私の憧れなので、パディさんの好きな人が羨ましい、、(苦笑)

    少しでも満足してもらえるように頑張りますので、最後までお付き合い頂けたら幸いです。スローペースになりがちなので、気合い入れて頑張ります。

    感想ありがとうございました(*^-^*)

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8367 / inTopicNo.17)  10
□投稿者/ 菜々子 一般♪(14回)-(2005/03/29(Tue) 22:20:25)

    「そう言えば、歓迎会の時も飲んでなかったもんなぁ?」


    思い出すなぁ。

    亜紀、異常にオドオドしてたっけ。



    「あっはい。でもお付き合いの時は飲むんです。無理矢理。」


    「えっじゃあ何で飲んでなかったの?」



    そう言うと、亜紀は困ったように笑ったから。



    「あぁ、清水さん、顔恐いもんね。」



    悪いけど、清水さんのせいだと思った。




    「いやっ‥清水さんはすごく優しかったんですけど‥。」


    「んっ?」


    「柚羅さんが‥」



    あらあら私のせい?




    「あっ怒んないでくださいよー。」


    不思議がっている私の顔が、亜紀には怒っているように見えたらしい。


    「怒らないよ?」


    だから優しくそう言ってやる。


    亜紀は"良かった"と言うふうに笑顔を見せて、

    また話始めた。




    「あのですね柚羅さん、初めすごく恐かったんです。しゃべってもくれないし、笑ってもくれないし‥。」




    あーそっかそっか。


    そう言えば私、人見知りだっけ。



    「だからすすめられても、お酒飲める雰囲気じゃなくって‥。」



    はー亜紀はそんなにまで緊張してたんだ。私のせいで。



    一応、挨拶したはずなんだけどなー。やっぱり笑顔が必要だったか。




    無愛想な自分。



    頑張れっ。



    「それに清水さんも柚羅さんも綺麗すぎて‥。」


    「えっ?」


    「間に入れませんっっ!て感じでした。」




    そう言って亜紀は照れたように笑った。



    綺麗って?


    清水さんはわかるけど。


    私も?



    「照れるなぁ。ははっ。ありがとね。」



    お酒のせいもあるかな。




    何だか素直に嬉しいと思った。




    「って柚羅さんペース早すぎません?」



    あっ。亜紀に言われて気がついた。




    ビール二本目、飲み終えそう。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8368 / inTopicNo.18)  11
□投稿者/ 菜々子 一般♪(15回)-(2005/03/29(Tue) 22:21:47)

    「明日に残さないでくださいよ?」


    柚羅さんのことだから。


    明日がお遊戯会なこと、また忘れていると思って。



    「わかってるってー。」



    そんな事言ってるけど、



    普段は絶対見せない、

    上機嫌の笑顔。




    あー酔ってますよね?
    絶対。




    「明日はどのくらい集まるんだろーね。」



    言いながら、三本目に突入する柚羅さん。




    「いつもはどのくらいの人が来るんですか?」



    お遊戯会は毎年一回。



    だから私は経験したことがない。



    「んーっ?前は、確か近所のおじいちゃん、おばあちゃんが10人くらい来てたよ。」



    クビッと喉を鳴らし、少し考え込んでいる。



    「あっ結構多いんですね。」


    この託児所に子供を預けている親は、


    何かと事情が多い。って前に清水さんが言ってた。




    保育園とは違うから。


    お遊戯会と言っても



    親の参加は今までに一度もなかったらしい。



    だから、子供好きの近所の人々が



    毎年楽しみにしている



    町内行事となった。らしい。




    「亜紀は初めてなんだっけ?コレが結構楽しいんだよー。」



    柚羅さんはフフンっと笑って見せる。




    「でもあんまり練習とかしてないですよね?」


    そうそう。


    今日だって。



    明日はお遊戯会だって言うのに、子供たちに特別な練習をさせたわけではない。



    ただ飾りを作ったり、



    柚羅さんが司会進行を考えていたりしていただけ。




    「だから楽しいんだって。保育園と違うから。自由に気楽。それがウチのモットーだって、清水さんが言ってた。」


    「何ですかソレ‥。」


    「ははっ。子供たちのありのままの姿の方が、近所の人達には嬉しいみたいだよ。」



    ほぉー。なるほど。




    清水さんも考えるな。





    「亜紀にもわかるさ。」


    そう言って笑う柚羅さんは



    本当に子供が好きなんですね。




    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8429 / inTopicNo.19)  12
□投稿者/ 菜々子 一般♪(16回)-(2005/04/02(Sat) 23:21:42)
    2005/04/02(Sat) 23:23:16 編集(投稿者)

    「あっうそ。もうこんな時間?」


    二人でいろいろ話していたら、


    時計は零時をまわっていた。



    「んーっ?泊まっていってくださいよ〜」


    自分だけ飲むのはつまらないから、一本だけ、亜紀に飲ませた。



    まだ半分も飲んでいなくせに、亜紀の顔は真っ赤に染まっていて。


    甘えるような声で言う。



    「大丈夫。お風呂ちゃんと使えますよ?」


    なんて言いながら、壁に取り付けてある機械をピッピッと押している。


    「ほら、これでお風呂の準備OK☆」


    「いやいや、泊まるって言ってないッスよ‥。」


    「嫌ぁ!泊まるんです。」



    ぶーっと顔を歪めた亜紀。

    あぁ、飲ませたのは失敗だったか‥?



    「ねぇー?柚羅さぁ〜ん」



    「わかったわかった‥。」


    必死に私の腕を掴み、懇願する亜紀に、


    私はため息混じりに言った。



    「やったぁ♪」


    へへっ、と亜紀は可愛い笑顔を見せる。


    そんな笑顔を見ると、私まで笑顔になってしまう。



    「柚羅さんお先にどーぞっ。」


    そう言って、バスルームを指差す亜紀。



    その髪を優しく撫でて、私はバスルームへと向かった。






    「ふぅーっ。」


    暖かいお湯に浸かると、




    ホッとするな。




    お湯で顔をそっと撫で、髪をかき上げる。






    あぁ、ダメだ。





    黙っていれば黙っている程




    亜紀の笑顔が頭を過る。







    亜紀の存在が、





    私の中で大きくなっていく。






    ダメなんだ。








    私はもう、








    誰も愛したくなんかないのに。





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■8589 / inTopicNo.20)  13
□投稿者/ 菜々子 一般♪(17回)-(2005/04/08(Fri) 19:56:01)
    「あー気持ち良かったぁ♪」


    「お帰りー」


    濡れた髪を、タオルで拭きながら、


    満足顔で亜紀が部屋へと入ってきた。


    「やっぱり、ぬるめのお湯が好きだなぁ。」


    お風呂上がりの亜紀に、


    思わずドキッとしてしまう自分がいた。



    私のあとに風呂に入り、


    ゆうに50分は過ぎている。


    ぬるめのお湯に、ゆっくりと浸かってきた模様。



    「あっ‥また飲んでるんですか?
    もう終わりですよ!明日に残っちゃいますってー。」


    私の右手にビールを見つけ、亜紀は呆れたように言い


    飲みかけのビールを取り上げた。



    もうほとんど入ってないけどね。



    「もうっ。」


    軽くなった缶を左右に揺らしながら、

    亜紀は頬を膨らませた。



    「んーっ、寝る!」


    また飲んだら、すっかり眠くなってきた。


    だから大きく背伸びをしながら勢いよく言うと。


    「はいはい、ソコのベッドにどうぞ。」


    クスクス笑いながら亜紀が寝室を指差す。



    「んっ?」


    「だからソコですって。」


    ドアを開き、寝室に見えるのは、


    セミダブルのベッド。
    それ一つだけ。


    「えっ。亜紀はどこで寝るの?」


    ドレッサーの前で髪を乾かし始めた亜紀に、


    振り返って私は聞いた。



    「一緒に寝ます。」


    そう言ってフッと笑った亜紀。



    いやいや‥。





    「先に寝てて大丈夫ですよ。」


    戸惑う私に亜紀は笑顔で言う。




    ダメだ‥。




    亜紀の笑顔に惑わされる。





    亜紀も酔ってるし。


    私も酔ってる。



    亜紀は特別な感情なんて、ないのだから。



    もう投げやりな、そんな気持ちを、巧く隠しながら、



    私は寝室へと足を踏み入れた。



    ダテにクール、気取ってませんから。





    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/

次の20件>

トピック内ページ移動 / << 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 >>

[このトピックに返信]
Mode/  Pass/

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

- Child Tree -