| やばっ‥柚羅さん怒ったかな?
お酒って恐い。
調子にのりすぎちゃった。
ちょっとムッとしたような顔で、柚羅さんが寝室に向かったから。
そんな事を、考えてしまっていた。
でも。
乾いた髪を撫でながら、寝室へと足を踏み入れた。
柚羅さんは、フカフカの布団に顔を埋めて。
とっても可愛い笑顔を見せていた。
‥良かった。怒ってないみたい。
「ゆーらさん♪」
だからそう言って近づいたら、
柚羅さんは怒ったような顔を見せて、
スグに外方を向いてしまった。
えぇー。
「ちょっ、何怒ってるんですか?」
あまりの豹変ぶりに驚き、
布団を上げながら、私は聞いた。
「知らないっ。寝るんでしょ?黙って入れば。」
んつ?柚羅さん‥。
‥もしかしてイジけてる?
照れたような横顔と、照れたような声。
そうだと確信できたから。
ものすごく柚羅さんを愛しく感じた。
「柚羅さん‥。」
外方を向いた柚羅さんの隣。
そっと布団に入って。
後ろからギュッと抱き締めた。
「――!?」
柚羅さんの体が強ばって。
だけど私は自分の気持ちに逆らう事が出来なくて。
「亜紀、まだ酔ってるの?」
振り向きもせずに囁いた言葉。
「酔ってません。」
それを否定する。
伝えるはずではない言葉。
口に出してしまいそうで。
「先輩をからかったらイケナイよ?」
「からかってません。」
恋しくて、愛しくて。
「‥じゃあ‥何で―」
「――好きなんです。」
もう‥勢いだった。
言うつもりなんかなかったのに。
すぐに、後悔した。
どうして言ってしまったんだろう、と。
私の言葉に。
柚羅さんからは何の反応もなくて。
私は、言葉の代わりに。
柚羅さんを、もっと強く抱き締めた。
柚羅さん、お願いだから。
笑い飛ばしてよ。
黙ったままの柚羅さんの背中。
もっともっと強く抱き締めた。
(携帯)
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