| ベッドに移動して。
力尽きるまでに、郁を抱いた。
「ねェお姉さん。」
時間が流れて。
二人でゆっくりと天井を見上げていた時。
「んっ?」
郁は。"特等席"だと言い張る私の腕の中で。
「郁以外にも、女、いるでしょ。」
無邪気な笑顔でそう言う。
「‥恋人は、作らない。」
まぁ適当に。
「それじゃあ答えになってないよー。」
何が楽しいのか、郁は笑いながら。
ゴロン、と私側へ頭を寄せる。
「郁はね。今は、ソレでもいいの。お姉さんと一緒にいられればいいの。」
クスクスと私の髪を触りながら。
「そっか。」
郁につられて私も笑う。
何だか、本当に子どもみたいな娘だな、って思ったりして。
「お姉さんね。前の郁みたいなんだよ。 だから、ゆっくり待つの☆」
「前の郁?」
そりゃヤバイだろ。
周りにはそんな風に見えるのか、と
私は少し困りながら笑った。
「何かね。淋しそうな目、してるよ。」
郁はその澄んだ目で私を見つめて。
そんな事はないはずだと、自分では思っているのに。
まるで図星をつかれたように、私は黙り込んでしまった。
「お姉さんが郁を救ってくれたから。 今度は郁が、お姉さんのために何かしてあげたいんだ♪」
照れたように笑いながら、私の胸に顔をうずめる。
「こらっ。」
からかうように頭つつくと、
郁は幸せそうな笑顔を見せる。
そんな風に
素直に甘えられる郁が、すごく羨ましく思えた。
(携帯)
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