ビアンエッセイ♪

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■9635 / inTopicNo.61)  Re[1]: Everytime
  
□投稿者/ 匿名 ちょと常連(81回)-(2005/05/23(Mon) 00:17:40)
    いつも楽しみにしてます!
    亜紀と柚羅の今後がとても気になります(^^)
    ぁと質問なのですが郁って子は今現在柚羅と付き合ってるんですよね?過去の話じゃないですよね?
    理解能力不足でごめんなさいm(__)m
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■9636 / inTopicNo.62)  ぁっ!!!
□投稿者/ 匿名 ちょと常連(82回)-(2005/05/23(Mon) 00:18:22)
    タイトル書き直すの忘れてましたιすいません
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■9654 / inTopicNo.63)  匿名さん
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(53回)-(2005/05/23(Mon) 22:43:40)
    初めまして☆御覧頂けて光栄であります(*^o^*)

    えっと‥郁の話は過去ではありません☆ココで書いているのは現在の郁と柚羅の関係であります。でも二人は恋人未満でして‥付き合ってはいないです(苦笑)

    ややこしくて申し訳ナイです・゚・(ノД`;)・゚・

    もっと読みやすくなるよう努力致しますので、これからもお付き合い頂けたら幸いです☆
    感想、ありがとうございました(*^-^*)♪

    (携帯)
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■9662 / inTopicNo.64)  ★菜々子さんへ★
□投稿者/ つちふまず 大御所(825回)-(2005/05/24(Tue) 09:57:41)
    お久しぶりです(^O^)
    お元気でしたか?

    読ませて頂いております。
    なぜなら?
    清水さん大好きですワタシ(^O^)
    撃ち抜かれております♪
    ちょっと視点が違うのかな…。

    菜々子さんの小説、すごく好きです。時間の流れが独特というか。空気がそうなのかも(^O^)

    私は基本的にテンポが早すぎるので(笑) 菜々子さんみたいに書けません(*_*) だから羨ましくてなりません☆

    これからも楽しみに待ってますね!

    (携帯)
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■9667 / inTopicNo.65)  つちふまずさん
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(54回)-(2005/05/24(Tue) 19:26:32)
    お久しぶりデス☆☆菜々子は相変わらずのバカ元気でございます(笑)

    まっ‥まさか、つちふまず様に読んで頂けているとは‥。そして嬉しい感想まで頂けて、感涙してしまいそうな菜々子ですΣ(*゚□゚)☆
    独特ですか‥?自分では自覚無しであります(苦笑)

    ちょうどハックナイン様宛て(笑)の感想と他作品の感想を書こうと思っていました♪
    長くなりそうなので‥HPのほうに書き込み致します☆

    ではでは‥感想、ありがとうございました(*^o^*)最後までお付き合い頂けたら光栄です♪

    (携帯)
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■9668 / inTopicNo.66)  40
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(55回)-(2005/05/24(Tue) 19:27:34)

    「まぁ忘れろっては言えないけどさ。‥そろそろいいんじゃない?新しい恋するのも。」


    いつも私につきまとうのは綾香の影。


    「あんたのせいじゃない。」


    痛い、痛い思い出。



    清水さんの声が優しく心に響くけれど、どうにも出来ない過去。



    ‥綾香は私のせいで。


    私が綾香を愛してしまったせいで。



    ‥胸が苦しくなる。


    うまく声を出せなくて、喉からかすれた音だけが外へと出る。


    「柚羅‥?」


    清水さんは私の背中にそっと手を置くと。


    「あんたのせいじゃない。」


    もう一度、強く言った。




    「‥恐いんです。」

    やっと出た声。


    「何が?」


    周りの雑音もBGMも。
    全てが止まってしまったように。


    「また‥愛した人を失うのが‥愛することが――」



    ねェ、いつから私はこんなに臆病になってしまったのだろう。

    いつから私は‥。



    淡い水色の清水さんのカクテル。
    赤く光る私のグラス。


    じっと見つめていたら眩暈を覚えた。



    どこかで聞いたような‥透き通る歌声を聞きながら。




    私は椅子から落ちて。
    床に倒れこんだ。



    『‥?柚羅――っ!?』



    周囲の騒めきと。
    慌てたような清水さんの声が遠くに聞こえたけど。




    もう辛いの。
    胸が苦しいの。




    だから私は、
    そのまま自分の意識を手放した。






    (携帯)
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■9734 / inTopicNo.67)  菜々子さん
□投稿者/ みー 一般♪(1回)-(2005/05/27(Fri) 16:56:43)
    柚羅さん…
    だ、大丈夫ですか(>_<)

    柚羅さんの部屋を訪ねた女性は誰なんでしょ(*_*)

    続き楽しみにしてます☆

    (携帯)
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■9750 / inTopicNo.68)  みーさん
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(56回)-(2005/05/27(Fri) 22:23:25)
    読んでくれてありがとうございます(*^o^*)☆

    更新遅くて申し訳ナイです(T_T)菜々子も柚羅が心配で‥お話書きながら、登場人物に入り込んでしまっている作者です(苦笑)

    長くなりそうですが‥最後までお付き合い頂けたら嬉しいデス♪
    感想、ありがとうございました☆☆

    (携帯)
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■9781 / inTopicNo.69)  41
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(57回)-(2005/05/28(Sat) 21:39:26)

    とあるファミレス。
    私は名前も知らない女性と向かい合い座っていた。


    「何食べる?」

    「‥。」

    「いらないの?」


    言いながら彼女はメニューを私に手渡そうとする。


    「‥ハンバーグ。」


    ソレを受け取る前に答えた。


    おなかがすいていたから、自分の食べたいものを言っただけなのに。


    彼女はキョトンとした表情を見せてから、
    "子どもね"と言う顔で笑う。


    ‥何か悔しい。


    「ソレ、睨んでるつもり?」


    からかうようにクスッと笑うと、テーブルの上のボタンを押し、ウェイトレスを呼び出した。


    聞きたい事も言えないし、悔しいし。
    いろんな思いを含めてジッと彼女を見つめていただけなのに。


    「‥あなたは柚羅さんのお友達ですか?」


    "ハンバーグセットとコーヒーを一つ"


    可愛らしいウェイトレスに笑顔で注文を済ませた彼女に、遠回しに質問をぶつけた。

    "昔の恋人じゃありませんように"と願いながら。


    「まぁ、そんな所かしら。」

    なんて笑いながら。


    微妙な答え。


    「‥私に何か?」


    誰にしろ、私の知り合いではないのだから。

    ココまで連れてきた理由を知りたかった。



    張り詰めたような雰囲気の中、まわりの雑音をかき消すように彼女の声が響く。


    「柚羅の事、好き?」


    彼女は澄んだ瞳で運ばれてきたグラスを見つめると。

    中の氷をカランと鳴らす。


    質問したのは私なのに。
    わけのわからない質問。



    「柚羅のこと、好き?」


    質問に答えない私に、彼女は視線を合わせてもう一度聞いた。



    その表情があまりにも真剣だったから。


    「‥はい。」

    何でこんな事を知らない人に言わなきゃいけないのか。
    そう思ったけれど、私は答えた。



    「そう。」


    聞いた答えに彼女はニコリと笑う。


    「なら、二度と柚羅に近づかないで。」


    そしてその笑顔のまま。
    理解出来ない事を口にした。


    「えっ?」


    何を言っているの?


    「言いたかった事はソレだけよ。」


    瞳が笑っていない。

    その綺麗な顔で、冷たい声で。


    背筋が冷たくなる。


    "お待たせしました。"


    頼まれたコーヒーを運んできたウェイトレス。

    その異様な雰囲気に、作った笑顔を不思議そうに歪めていた。




    (携帯)
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■9894 / inTopicNo.70)  42
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(58回)-(2005/06/01(Wed) 20:46:58)

    「‥どうして?」


    少しの沈黙の後、私は彼女に問う。


    「どうしてあなたにそんな事言われなきゃいけないの!?」


    頭に血が上っていくのを感じた。


    目の前のテーブルにドンッと手をつき、思いきり彼女を睨み上げる。


    自分は名前すら名乗らないくせに勝手な事を言うな。



    彼女は驚いたような顔を見せると。


    「怒らないでほしいな。ただ柚羅のことが心配なだけなの。」


    観念したかのようにそっと口を開いた。


    「心配?」


    何を言っているの?あたしがお姉さんに何かしたって言うの?


    彼女はチラリと私に目をやると、コーヒーカップを片手に持ち。


    「柚羅は妹の恋人だった。」


    話し出した過去。


    彼女の瞳が悲しみのような色で曇っていく。



    「柚羅は私達の元を逃げるように去った。それから4年、やっと見つけたわ。
    ‥その後、何ヵ月か柚羅を見てきたの。」



    ‥何?


    私は無言のまま、彼女をジッと見つめる。

    予想外の答えに、頭の中が混乱している。


    「本当は、あなたのことを知ってる。もちろん、柚羅との関係も。」


    私を知っているの‥?
    お姉さんとの事も?



    言っていることがイマイチ理解できなかった。



    懐かしむような瞳。


    彼女に、悪意はないかのように感じた。


    頭にのぼった血がそっと、元に戻っていく。



    「‥どうして?お姉さん去ったのはどうして?」


    別れただけなら、お姉さんがこの人達の元を去る必要はない思ったから。

    口にした私の質問。


    彼女はまた困ったように笑い。


    「妹はね。死んだの。」


    周りの音を全て包んでしまうような声で呟いた。




    (携帯)
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■9895 / inTopicNo.71)  43
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(59回)-(2005/06/01(Wed) 20:48:09)

    「えっ?」


    「事故だった。けれど柚羅は自分を責めた。」


    戸惑う私に少しだけの笑顔を見せながら。


    「柚羅のせいじゃないのに‥あの娘は去った。
    柚羅を見ていて思った。まだ、綾香のことを忘れていないんだって。」


    そこまで話すと彼女はそっと息をついた。
    そのままコーヒーを一口だけ口にする。


    「‥で、でも‥」


    「柚羅の気持ちは分からない。けど、あなたが柚羅に必要だとは思えないの。」



    私の言葉を遮り、彼女の冷たい声音。



    "お待たせしました。"


    丁度、先程のウェイトレスがいい匂いのハンバーグセットを運んできて、私の目の前にそれを並べる。



    「あなたは子どもすぎる。本当に自分が柚羅にふさわしいと思うの?」




    痛いところを突いてくるな‥。なんて他人事のように思おうとしたけど。
    うつむいていたら、涙が込み上げてきた。


    彼女に見られないように必死で我慢して。
    けれどハンバーグの湯気が目の前を覆うから。


    「もう柚羅に近づかないで。」



    ―トドメ―


    気が付いたら、私は店を飛び出していた。


    涙が、止まらない。






    (携帯)
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■9906 / inTopicNo.72)  菜々子さんへ
□投稿者/ エビ ちょと常連(70回)-(2005/06/02(Thu) 00:38:03)
    こんばんは、初めまして。エビといいます。

    Everytime、ずっと読んでます。
    確か、1話目がアップされた時からリアルタイムで(笑)

    人の死を扱うって、結構難しいことだと思うんですが、この小説の中ではとても自然に感じられて。
    繊細さが素敵だなあと。


    私的には亜紀ちゃんに早く戻ってきてもらいたいところ。

    “あき”は私の好きな名前でもあるので(笑)


    続きも期待しています(^-^)
    失礼しました。



    (携帯)
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■9925 / inTopicNo.73)  エビさん
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(60回)-(2005/06/02(Thu) 22:54:49)
    初めまして♪こんばんわ。

    リアルタイムで読んでいてくださったんですか?すごく嬉しいデス、ありがとうございます(*^o^*)
    亜紀、この後出てきます。お待たせ(?)しました♪

    何だか重い内容で‥皆様に見捨てられないか心配な菜々子であります(苦笑)だからそう言って頂けると安心致します♪

    んー‥実は菜々子もエビ様の作品「シエスタ」をリアルタイムで読んでいたり(笑)完結してから感想入れようと思ったのですが‥今度、お邪魔させて頂きますね☆

    このまま、ウチの亜紀(と柚羅と清水さんと郁/笑)も暖かく見守って頂けると幸いです。感想、ありがとうございました☆

    (携帯)
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■9974 / inTopicNo.74)  44
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(61回)-(2005/06/04(Sat) 15:36:17)

    清水さんから電話がきた。


    頭の中が柚羅さんでいっぱいで。
    胸が痛くて。
    仕事を休んだ夜。


    清水さんから電話がきた。



    "亜紀すぐに病院にきて。柚羅が‥倒れた。"


    布団にくるまっていたら、携帯が鳴って。
    そのまま繰り広げられる会話に耳を疑って。
    けれど清水さんの声が恐いくらいに寂しくて。


    "‥すぐに行きます。"


    病院の名前を聞くだけで精一杯だった。
    恐いくらい寂しい声の清水さんに、
    それ以上は聞けなかった。



    近場にあったどうでもいいような服に腕を通し、車のキーを手に取る。けど。


    やだ、震えてる‥


    カタカタと、テーブルとキーがぶつかり合う音。


    不安で、たまらない。



    「柚羅さん‥。」


    この時間の、車の通りは少ない。
    目の前には数台の車が見えるだけの殺風景な大通りが広がっていて。


    薄暗いコンクリートの道。遠く続く一本道。



    「柚羅さん‥」


    ギュッと握ったハンドルが冷や汗でしめる。


    「柚羅さん‥。」


    踏み込むアクセル。
    グンッとスピードが上がって。


    「柚羅さん。」


    何度もあなたの名前を呟いて。


    「柚羅さん‥!」


    何度もあなたを思い浮べる。



    病院に行けば、きっと柚羅さんは笑っている。


    何度もあなたの名前を呟いて。
    私はそう信じているの。




    ふと、幼少時代を思い出した。



    二度と戻らない母親を待ち続けた。
    信じる事しかできない私。




    あの頃から成長できていない。
    信じる事しかできない私。



    不安で、たまらない。






    (携帯)
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■10158 / inTopicNo.75)  45
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(63回)-(2005/06/14(Tue) 00:16:02)

    あぁ。足、痛い。
    勢いで飛び出したのはいいけど。


    頬に残る涙を伝った跡が、風で乾いて。
    何か虚しい気持ちになった。


    点々と並ぶ街灯。
    数人が行き交うコンビニの前に座り込んだ。


    「何処行こう‥。」


    お姉さんの部屋の鍵は返しちゃったし。

    家、しかないか。



    あまり気持ちは乗らなかったが、ココに居てもどうしようもない。


    少し考えてから立ち上がり、普段は通らない道程を
    家へと向かい歩き出す。


    「んー‥」


    "ふさわしくない"、か。


    彼女の言った、恐ろしく核をついた一言。


    そんなのわかってるもん。お姉さんに不釣り合いなんて、ずっと前から自覚している。
    私が子どもなことくらい、わかっている。


    でも‥


    お姉さんは私と一緒に居てくれた。
    傍に居てくれた。


    あんなに綺麗な人が、どうして一緒に居てくれるのは今でも分からないけれど。


    傍に、いてくれた。


    「なんかなぁ‥」


    お姉さんの前カノの事‥聞いちゃった。
    聞かないほうが良かったかも。って
    今さら後悔しても、ね。



    自然と足取りが重くなる。
    飾りのように明かりを灯した街灯を見つめながらフラフラと歩いて。



    「うわぁっ!!」



    通りの少ない車道。
    突然、私の横を猛スピードで通っていった四駆。


    「びっくりした‥」


    驚いて思わず声をあげた。



    「何なんだよっ。」


    もう投げやりな気持ちになってきて。独り言も波に乗る。


    朝の嬉しい気持ちは、何処か遠くに飛んでいってしまった。



    逢いたい、な。
    今すぐお姉さんに。






    逢いたい。






    (携帯)
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■10160 / inTopicNo.76)  Re[2]: 45
□投稿者/ さとみ 一般♪(1回)-(2005/06/14(Tue) 00:28:31)
    待ってました!!
    このお話マジ好きです:▽;
    どの子も好感が持てて、だから切なくて、、
    これからも頑張ってください!!
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■10162 / inTopicNo.77)  さとみさん
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(64回)-(2005/06/14(Tue) 07:18:45)
    初めまして♪お早い反応ありがとうございます(*^o^*)なのに更新遅くて申し訳ないです(T_T)
    忙しいなぁ‥なんて思っていたら10日も空いてしまっていて‥ダメダメ菜々子です(涙)
    マジ好きッスか♪嬉しいお言葉、ありがとうございます☆柚羅たちみんなに好感を持って頂けて嬉しいです。

    頑張りますので完結までお付き合い頂けたら幸いです♪ありがとうございました☆

    (携帯)
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■10281 / inTopicNo.78)  46
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(68回)-(2005/06/18(Sat) 17:38:21)

    「‥清水さん!」


    大きな総合病院の緊急用の入り口。
    その玄関の外の脇にある喫煙スペース。


    「あー亜紀。」


    煙草をくわえながら、妙に寂しそうな顔の清水さんがソコに居た。


    「あっの‥柚羅さんは‥?」


    そばに駆け寄り、彼女に問う。


    息が切れてしまっているのは走ったせい?


    ‥それとも、この不安のせい?



    「んー、ストレスだろうって。体とかじゃなくて、心、みたい。」


    フーッと煙を吐きながらそう言って、困ったように笑った。


    「あっ‥良かった‥」


    のかな?
    けど体は大丈夫なんだ。


    うん‥良かった‥。


    「ただ、倒れた時に頭打ったから。一応その検査もするってさ。」



    そう言いながらも、彼女の声音から異常は出ないだろう、と感じとれた。


    さっきまでの重たく不安な心が一気軽くなったけど。

    "心"に不安が残る。


    このまま体に異変が出なくても。
    心の異変は、見ることが出来ないから。



    「大丈夫、安心してていいよ。」


    清水さんはそう言って私の頭を2・3回ポンポンと撫でると、
    いつもの笑顔をむけた。


    「悪いね、体調悪いのに呼び出しちゃって。」


    「いえ‥大丈夫です。」


    その笑顔にまた安心する。


    「2〜3日は入院しなきゃいけないらしいからさ。
    明日から仕事、大丈夫?」


    「はい。大丈夫です。」



    夜の外の冷たい風が、二人髪をなびかせた。





    (携帯)
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■10308 / inTopicNo.79)  47
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(69回)-(2005/06/19(Sun) 16:06:38)

    「良かった。今日は面会とか出来ないみたいだから。明日にでも来てやって、な?」


    彼女は"呼び出したのにごめんね"といったような表情。
    自分のほうがよっぽど疲れているハズなのに、こんな私を気遣ってくれる。


    「あっ‥はい!」


    だから私も精一杯それに答える。けれど、


    「‥そんな不安そうな顔するなよ。」


    やっぱり不安は隠せなかったみたいで。


    私をジッと見つめていた清水さん。


    「あたしはね、柚羅はあんたを待っている、って思うんだ。」


    突然、真剣な顔つきでそう言うと
    私の横へと移動し、右腕で肩を優しく抱き締めた。


    ―‥?
    思わずドキッとしてしまうけど


    ‥煙草、くさい。
    でも決して嫌ではない。
    だって、優しい香りも交ざっているから。


    「まぁ‥あくまでも私的な意見だがね。‥憶測さ☆」


    そのまま私の顔を覗き込むと、イタズラっぽく笑ってみせた。


    「じゃあ、お先に失礼♪」


    戸惑う私を尻目に、彼女は優しく微笑み、その場を去った。


    駐車場、その暗やみに消えていく彼女の背中を見つめながら。
    その言葉の意図がジワジワと心に伝ってきて。


    改めて、彼女の存在の大きさを感じた。



    ‥ありがとう、清水さん。



    「よしっ!」


    両頬をパチンっと叩いて、気合いを入れる。
    さっきまでウジウジしていた自分が馬鹿らしい。


    明るく明るい。私の唯一の長所を。
    無くしてしまうところだった。



    明日仕事が終わったら。
    柚羅さんに、逢いに来よう。





    (携帯)
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■10323 / inTopicNo.80)  48
□投稿者/ 菜々子 ちょと常連(70回)-(2005/06/20(Mon) 22:40:45)

    "Everytime I try to fly.

    I fall without my wings .I feel so small.

    I guess.
    I need you baby."


    〜♪


    あーコレ。亜紀の車の中で流れてた歌だ。


    あ、そういえば‥あのバーでも流れてたな。
    だから聴いた事ある感じ、したのか。



    やっぱり綺麗な曲。
    透き通るような歌声。



    だけど、あの時の亜紀の寂しそうな笑顔。
    泣きだしそうな横顔が、同時に頭を過る。



    そう思ったら、胸が痛くて苦しくなった。
    だから清水さんの声すら耳に入らなくて。



    あれ‥その後は?



    思い出せない‥。



    変な空間。
    体が重いのに、浮いているような不思議な感覚で。
    閉じたままの瞼は持ち上がらない。



    なんだコレ。夢か?




    "Everytime I try to fly.

    I fall without my wings .I feel so small.

    I guess.
    I need you baby."


    〜♪



    耳に聞こえるのは。
    壊れたオルゴールのように、同じフレーズばかり。




    ‥夢だ。






    "飛ぼうとすれば、落ちてしまう。
    翼のない私は、ちっぽけに見える。

    あなたが必要なの、絶対。"




    だって亜紀の声が聞こえるから。





    "あなたが必要なの"





    今にも泣き出してしまいそうな亜紀の声が。






    (携帯)
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