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Nomal Re[1]: 心のアルバム /彩 (06/04/07(Fri) 12:11) #14189
│└Nomal 初めまして☆ /みぃ (06/04/07(Fri) 16:06) #14190
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Nomal 亀レス♪彩さん、みぃさん、きのさん、有貴さんへ /雅 (06/04/08(Sat) 16:08) #14196
Nomal NO TITLE /雪見 (06/11/01(Wed) 01:01) #17142
Nomal ウルウル /m (06/11/02(Thu) 16:13) #17156
Nomal (┬┬_┬┬) /伊里 (06/11/04(Sat) 22:01) #17170
Nomal 雪見さん、mさん、伊里さんへ /Miyabi (06/11/05(Sun) 05:24) #17173


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■14126 / 親階層)  心のアルバム
□投稿者/ 雅 一般♪(1回)-(2006/04/07(Fri) 08:01:46)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    消失したここの板で、途中まで(30話位?)投稿させていただいていました小説です。
    以前、沢山の感想をいただいていましたので、大変申し訳なく思い、この度HPにて完結いたしましたので、まとめて投稿させていただきます。

    是非感想などお寄せいただければ幸いです。(^^)


[ □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14127 / 1階層)  1
□投稿者/ 雅 一般♪(2回)-(2006/04/07(Fri) 08:04:09)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    そっと、目を閉じてみたら



    そこに現れたのは


    古ぼけた表紙の1冊のアルバム・・・。



    開けてみましょうか。。




    思い出の1ページ。


[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14128 / 1階層)  2
□投稿者/ 雅 一般♪(3回)-(2006/04/07(Fri) 08:05:30)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    あの頃・・・

    女性を愛することなんて、ありえないと思っていた。


    ただ心の中は、

    ぽっかりと穴が開いたように・・・


    寂しいのに、それを口にすることさえせず

    気乗りしない誘いも、断ることもできない。


    「今日、皆でケーキ食べに行こうって話あるんだけど、行く?」


    「うん。じゃ、頑張って早く仕事終わらすね。」


    楓は、私と違って明るく活発で、同期の中でもリーダー的存在だった。


    終業のチャイムが鳴って暫くすると、電算室の扉が開いて楓がひょこっと顔を覗か

    せた。


    「可憐。終われそう?」


    「うん。後、10分くらいで終わるかな・・」


    「じゃ、先に更衣室行って着替えて待ってるから。」


    可憐が頷くと、楓は微笑んで部屋の扉を閉めた。


    可憐は、小さくため息をついた。

    今日は、朝から体調が余りすぐれなくて、たまにクラッと目眩がする。

    少し熱っぽい。

    昔から、そういうことを他人に漏らすようなことに慣れてない。


    可憐は、打ち出しした書類のチェックをし、電算の電源を切った。


    更衣室に向かうと、女の子達の賑やかな笑い声が廊下まで響いていた。

    いつもの光景・・・。

    扉を開けると、化粧直しをする女性達で一杯になっていた。


    「お疲れ。遅かったね。他の皆は、先に店行って席確保してるってさ。」

    楓はそう言って、更衣室脇に置いてある長いすに腰掛けた。


    可憐は、ロッカーの鍵をあけ、制服を脱いだ。

    「可憐ちゃん。その下着とっても可愛いね。」


    隣のロッカーの同じ課の先輩が、可憐のブラを見てにっこり微笑んで言った。

    余りにまじまじと見つめられ、可憐は、顔を赤らめて慌てて黒いセーターを

    かぶった。


    可憐は、慌てて簡単に化粧を直して楓のところへ行った。

    「ごめんね。待たせちゃって・・・。」


    楓は、微笑んで

    「構わないよ。気にしないで。奈子先輩ももう来るはずだから。」


    「お待たせ。ごめんね、遅くなっちゃって。」

    お洒落な黒いセーターにベージュのパンツをはいた背の高い女性・・・。


    「奈子先輩。お疲れさまです。」

    楓が、ニコニコと立ち上がって言った。


    可憐は、その人に軽く会釈した。


    「お待たせ。」

    その女性は、可憐を見て、にっこりと笑って言った。


    こんな綺麗な人、会社にいたんだ・・・。

    目が大きくて、色白で・・・、スタイルも抜群で。。

    可憐は、その人に見とれていた。


    その時・・・

    それに気づいたのか・・・

    奈子先輩が、可憐の方を見て、フフっと微笑んだ。


    ハッと

    可憐は顔を赤らめて、目を伏せた。


    それがあの人との始まりの日・・・。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14129 / 1階層)  3
□投稿者/ 雅 一般♪(4回)-(2006/04/07(Fri) 08:06:25)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    お店に着くと、同期の面々が、しっかりと席を確保し、一人が、こっちに気がつい

    て、大きく手を振り手招きをしていた。


    「ワァー、奈子先輩だぁ〜」


    結構、同期たちは、彼女の事を知っているようで、奈子先輩は、同期に手を引かれ

    て席についた。

    楓はその隣の席についたので、余った端の席に可憐は腰かけた。


    「ここのミルフィーユが絶品らしいよ。どうする?」

    楓が、私に聞いてきた。


    「じゃ、それにする。レモンティで。」


    可憐は、ジャケットを椅子にかけた。

    余り食欲もないけれど、食事よりは甘いものの方がましだった。


    奈子先輩の参加で、同期たちは沸いていた。

    可憐は、運ばれてきたミルフィーユを口にしながら、その様子を笑いながら見て

    見ていた。


    少し、身体が、だるいな・・・。


    そんな可憐の様子に気づく者など誰一人いなかった。


    「美味しかった〜。ねね、後、皆で食事でもいかない?」

    同期の1人が、皆に声をかけた。


    楓が、今日は都合が悪いからと断った。

    可憐も、楓が断ったので、これ幸いと


    「私も、今日は・・・。」


    結局3人程が、食事に行くことになり、駅で皆別れた。

    可憐は皆と、電車の方面が逆方向だった。


    「じゃ、また明日ね。」

    可憐は、ホームへの階段のところで、皆に手を振った。


    「私も、こっちなの。じゃ、また明日ね。」

    奈子先輩が、そういって私の傍へ来て、皆に手を振った。


    「奈子先輩お疲れさまでーす。可憐、お疲れー、またね。」

    同期たちは、にこやかに手を振って、歩いて行った。


    「大丈夫?少し顔色悪いよ」

    奈子先輩は、優しく可憐の顔を見て、声をかけた。


    「大丈夫です。ありがとうございます。」

    可憐は、少し恥ずかしそうに、頭をペコリと下げた。


    ホームの椅子に奈子先輩と可憐は腰かけた。

    向かいのホームでは、賑やかそうに同期たちが騒いでいる。


    「賑やかねぇ。フフ」

    奈子先輩は、微笑んだ。

    向かいの電車が、到着し、電車の窓ガラス越しに、同期が手を振っていた。

    奈子先輩と、可憐も、にこっと笑いながら、手を振った。


    「次の駅で降りましょ。送っていってあげるから。」


    「えっ?」

    可憐は、驚いた。


    奈子先輩は、にっこり微笑んで

    「私の家、隣の駅前だから。顔色悪いし、車で送っていってあげる。」


    「そんな、悪いですから、いいですよ。大丈夫ですから。」

    可憐は、遠慮ぎみに奈子先輩に言った。


    「そんな遠慮なんていらないわよ。こんな時は先輩に甘えなさい。フフ」


    結局可憐は、言われるがまま、次の駅で降りた。


    「すみません・・。じゃ、お言葉に甘えます。」


    奈子先輩は、にっこり微笑んで、そっと可憐の肩を軽く抱きかかえるように歩いた。

    可憐は、緊張した。


    駅からほんの2,3分。

    「ここ、私の家。」


    こじんまりとした、5階建てのマンション。

    「ちょっと休憩したらいいよ。その後で送っていくから。」


    奈子先輩の部屋・・。

    きちんと整えられていて、女性らしい。

    クラッ・・・

    また目眩。。


    「遠慮は無用だから。真っ青だよ・・・。ベッドに横になってなさい。」

    脱いだ上着を、奈子先輩は、ハンガーにかけてくれた。


    「でも・・・」


    奈子先輩は微笑んで

    「気にしなくていいから。少し頭下げたほうがいいよ。ねっ」


    こんな風に気にしてくれる人いるんだなぁ・・・って

    何も言わなくても、気がついてくれる人・・・


    可憐は、なんだかほっとした不思議な気持ちだった。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14130 / 1階層)  4
□投稿者/ 雅 一般♪(5回)-(2006/04/07(Fri) 08:07:22)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「ンン・・・。あっ、すみません。」

    可憐は、慌てて起き上がった。


    奈子先輩は、ベッドを背に、本を片手に持ってコーヒーを飲みながら、

    振り返って、にっこりと微笑んだ。

    「余りによく眠っていたから・・・。よく眠れた?」


    「はい。少し楽になりました。」

    可憐は、時計を見ると、既に8時を回っていた。


    「お腹すかない?お鍋でもどう?材料ならあるのよ。一人で食べても

    美味しくないし。ねっ。」


    奈子先輩はそういうと、立ち上がって台所に行った。

    モデル級に綺麗な人が、こじんまりとしたキッチンでスエット姿で

    料理してるって、何となく滑稽な感じがした。


    「いつも自分で作るんですか?料理。」


    奈子先輩は、笑いながら

    「見えない?でも結構ほとんど家で作って食べてるのよ。」


    いいお嫁さんになるんだろうなぁ・・奈子先輩って。。


    「さ、用意完了。」


    「何か運びましょうか?」


    「じゃ、コップとお茶碗と。はい、これもお願いね。」


    小さい食器棚には、ペアのマグカップが並んで置いてあった。

    やっぱり彼氏いるんだ・・。こんなに綺麗な人、ほっとかないよね。


    鶏肉と野菜が入ったお鍋と、野菜の盛られた皿が運ばれてきた。


    「さ、どんどん食べてね。」

    奈子先輩は、微笑んで可憐に言った。


    「はい。じゃ、いただきます。」


    可憐は、ぺこりと頭を下げ、お鍋に手をつけた。

    とっても温かくて、鶏肉も柔らかくて、とても美味しい。

    ふと、見ると奈子先輩が、微笑んで可憐を見つめていた。


    「美味しそうに食べるね。見てて気持ちいい。」


    可憐は、顔を赤らめて、俯きながら野菜を一つまみ口へ運んだ。


    「あのさ・・。無理しちゃだめよ。いっつも無理して周りに合わせる

    必要なんてないんだから。」


    奈子先輩は、食べながら可憐に呟いた。


    いっつも・・・。

    全然気がつかなかったけど、楓と一緒にいる時の私、どこかで

    見られてたのかも知れない・・・。


    「そんな風に見えますか?」

    可憐は、奈子先輩を見て言った。


    奈子先輩は、微笑んで頷いた。とても優しい目だった。

    可憐は、それ以上、その話には触れなかった。

    同じ会社の先輩・・・それも、楓と同じ課の先輩。


    「ごちそうさまでした。とっても温まりました。美味しかったです。」


    「やっぱり二人で食べた方が美味しいね。付き合ってくれてありがとう」

    そう言って奈子先輩は笑ってくれた。


    食べ終わって、ゆっくりお茶を飲んだ後、奈子先輩は時計を見てた。

    「じゃ、そろそろ送っていきましょうか。」


    「いえ、電車まだありますから、電車で帰ります」

    可憐は、すっと立ち上がった。


    「今日は、寒いしね。体調の悪い時は甘えたらいいのよ。」

    奈子先輩は、ウインクして可憐に言った。


    結局、奈子先輩に車で送ってもらうことになった。

    車で30分。助手席で、奈子先輩の運転する横顔を見た。

    鼻が通っていて、少し茶色い髪のウェーブが女らしくて・・・

    運転してる横顔もとても素敵だった。

    バックミラーに映る奈子先輩の目、とても綺麗・・・。


    その時、バックミラー越しに奈子先輩と目が合った。

    可憐は、慌てて目を反らせた。


    「そんなに見られると穴があいちゃう。フフ」


    バレてた・・。

    可憐は、とても恥ずかしくて何を言っていいのかもわからなかった。


    可憐の家についた時、母が車の音に気付いて、外に出てきた。


    「お母さん、会社の先輩に送ってもらったの。」


    母は、丁寧に頭を下げて、家でお茶でもと奈子先輩を誘った。

    奈子先輩は、もう遅いので、またあらためますと、頭を下げ

    そのまま帰っていった。


    可憐は、家に入ってから、部屋に戻って、今日のことを思い出していた。

    奈子先輩・・・、ほんと素敵な人・・・。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14131 / 1階層)  5
□投稿者/ 雅 一般♪(6回)-(2006/04/07(Fri) 08:08:07)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    次の日、可憐は急ぎの仕事が入って、残業だった。

    夜9時すぎ、ようやく仕事が終わった。

    同じ課の先輩3人も一緒だったが、会社の門の警備室の所で、可憐は携帯電話

    を忘れたのに気がついた。


    「すみません。先に行ってください。忘れ物ありますから。」


    「遅い時間だから、ここで待っててあげるから、早く取っておいで」


    可憐は、慌てて更衣室に戻った。

    人気のない更衣室。

    結構寂しい雰囲気・・・。


    ロッカーを開けると、上棚に、携帯があった。

    早く戻らなくちゃ。

    その時、


    ガチャ・・・。


    いきなり更衣室の扉が開いた。

    可憐は、ビクッとした。


    「あら・・。そんなお化けでも出たような顔しないの。ウフフ」

    そこには、奈子先輩が立っていた。


    「あっ・・・。お疲れさまです。」

    可憐は、ペコリと頭を下げた。


    「残業?珍しいわね。」


    「はい。あっ、夕べはありがとうございました。」


    奈子先輩は、にっこり微笑んだ。


    「今日の予定は?」


    「特に何もありませんけど・・・」


    「じゃ、一緒に雑炊食べましょう。夕べの残りのお鍋のだけど。」


    「でも・・2日もご馳走してもらうなんて、悪いですし・・・。下で、同じ課の先輩が

    待ってるんです。」


    「それは構わないの。遠慮しないで。私の駅の改札で待ち合わせましょう。私もす

    ぐ追いかけるから。」


    奈子先輩はそういうと、自分のロッカーへと歩いて行ってしまった。

    可憐も、先輩が待ってるので、慌てて下へ降りた。


    今日も奈子先輩の家で、食事・・・。

    本当に迷惑じゃないかしら・・・。


    可憐は、そんなことを考えながら、先輩達と駅に向かった。


    でも、可憐は、何だか嬉しかった。

    そんな時、先輩が


    「一緒にご飯食べに行く?」


    「すみません。私、予定があって・・。」


    「明日休みだもんねぇ〜。彼氏とデート、ゆっくり楽しんで。じゃ、お疲れさま」


    先輩達は、そう言って手を振って、駅前の店へと消えていった。


    彼氏か。。違うのに・・・。ウフフ。

    可憐は、一人微笑みながら、電車を待っていた。


    駅のホームで、奈子先輩と一緒になった。

    今日は、少し風が強くて、奈子先輩の髪が、ふわっと風で舞った。

    柔らかなウェーブの髪を手で押さえる仕草は、何か映画みたいに綺麗で

    少しの間、見とれてしまった。

    一瞬だったけど、風に乗って、髪の甘い香りが漂ってきた。


    いい匂い・・・。


    奈子先輩が、こっちを見て、にこっと笑った。

    可憐は、恥ずかしくなって、すぐ目を逸らした。


    奈子先輩に、見つめられると・・・。

    緊張してしまう・・。

    何か変だ、私・・・。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14132 / 1階層)  6
□投稿者/ 雅 一般♪(7回)-(2006/04/07(Fri) 08:09:09)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    2度目の奈子先輩の家・・・。


    「すぐ作るからね。ちょっと座って待ってて。」


    そう言うと奈子先輩は、服を脱ぎだした。

    可憐は、目のやり場に困った。

    白い肌に、チラリと見えた、胸の谷間・・・。

    そんなの、女同士だから、当たり前の光景なのに・・・。


    そんな可憐を見て、奈子先輩が、ちらっと見て微笑んだ。


    奈子先輩は、スエットに着替えるとキッチンの前に立った。


    何気なく、可憐は部屋を見渡した。

    すると、部屋の隅の棚の上にある、小箱に目が止まった。

    小さいけど、茶色のその小箱には、繊細な彫刻が施されてあって、

    とても素敵だった。


    「あっ、オルゴール?先週気に入って買ったのよ。開けてみてごらん。」


    可憐は、そっとそのオルゴールを手にとって、蓋を開けてみた。


    綺麗な音色・・・。

    聴いたことのない曲なんだけど、どことなく懐かしいような・・・

    温かい、優しい音色だった。


    「これ、何ていう曲ですか?」


    「それね、ヘンデルの私を泣かせてくださいっていう曲なの。珍しいでしょ。」


    確かに珍しい。普通オルゴールの曲の定番って何種類かあるけれど

    その曲は、聴いたことがない。


    「すごく綺麗な曲ですね。」


    「ええ。だから飛びついて買っちゃったの。フフ」


    そうこう言ううちに、雑炊が運ばれてきた。


    「お待たせ。熱いうちに食べましょうね。」

    卵がふわっとしていて、その上に刻み海苔が入っていた。


    「美味しい。」


    「ありがと」

    奈子先輩は、嬉しそうに微笑んだ。


    「ねぇ。明日とか予定あるの?」


    「特にないですけど・・・。」


    「良かったら、今日泊まらない?お母様には、私からもお願いしてあげるから。」


    「でも・・・ご迷惑じゃ・・・」


    「その方が楽しいし。ねっ?」


    奈子先輩は、電話を差し出して、可憐に渡した。


    「あ・・お母さん?今仕事終わったんだけど、今日、奈子先輩の家に泊めて

    いただこうかと思ってるんだけど・・・。」


    すると、奈子先輩がすぐに電話に出てくれた。


    「夕べは失礼しました。もう遅くなりましたし、良ければってお誘いしたんで

    す。・・・はい。全然私は、構いませんので。・・・はい。わかりました。失礼しま

    す。」


    電話を切ると、奈子先輩は、

    「よろしくお願いしますって。じゃ、これで決まりね。」


    母は、結構うるさい人だけど、同じ会社の人だし、夕べの礼儀正しさで、安心して

    いるのだろう。


    「じゃ、今日はお言葉に甘えます。」

    可憐は、ペコリと頭を下げた。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14133 / 1階層)  7
□投稿者/ 雅 一般♪(8回)-(2006/04/07(Fri) 08:10:09)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「ご馳走さまでした。とっても美味しかったです」

    「いえいえ。どういたしまして。」

    奈子先輩は嬉しそうに、微笑んだ。


    「ちょっと待っててもらっても、いいかな?」

    「いいですよ。」


    奈子先輩は、冷蔵庫から何やら袋を取り出した。

    「すぐ戻ってくるから。」

    そう言うと、そのまま出て行ってしまった。


    何所にいったんだろ・・・。

    可憐は、暫く待っていたけど、なかなか帰ってこない先輩が気になった。


    ちょっと外覗いてみよう・・・。

    可憐は玄関を出て、マンションの周りを見渡してみた。

    すると、1階の奥まった所に、奈子先輩のスエットがちらっと見えた。

    可憐は、下に降りてそっと、覗いてみた。


    あ・・真っ黒い子猫だ。

    奈子先輩は、餌を食べている子猫を、静かに見つめていた。

    優しい横顔・・・。


    「クロちゃん。今日はとっても可愛い人がうちに泊まるんだよ」

    子猫は、小さくニャァと言って、奈子先輩の足元に擦りよっている。


    可愛い人って・・・・私?

    可憐は、少し気恥ずかしくなった。


    気づかれないように部屋に戻らなきゃ・・・。

    可憐は、そっと部屋へ戻った。


    暫くすると奈子先輩が戻ってきた。

    「ごめんね、少し遅くなちゃったね。」


    奈子先輩はそれ以上何も言わなかったけど、

    また1つ、奈子先輩を知ることができたようで

    とても嬉しかった。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14134 / 1階層)  8
□投稿者/ 雅 一般♪(9回)-(2006/04/07(Fri) 08:10:55)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    その夜、可憐は、奈子先輩と同じベッドで眠った。

    初め、ベッドで一緒に寝るって聞いた時は少し緊張したけれど、

    奈子先輩は、とっても温たかくて、次第に緊張もほぐれて、とても気持ち良かっ

    た。


    「ン・・・。」


    可憐は、夜中に目が覚めて、何気なく隣で眠っている奈子先輩を見た。

    奈子先輩は、とても静かに、優しい顔で眠っている。


    薄暗い部屋の中だったけど、

    微かな光でも

    何て、綺麗な人・・・。


    その時、パッと奈子先輩の目が開いた。


    「どうしたの?眠れない?」


    「・・・いいえ。ちょっと目が覚めただけですから。」


    奈子先輩は、ぐっと可憐の腕を引き寄せた。


    「腕枕して眠らせてあげる・・・」


    奈子先輩、寝ぼけてる?


    「あっ・・・」

    奈子先輩の柔らかい唇が、可憐の唇に触れた。

    温かい・・・。

    可憐は、不思議と抵抗もしなかった。

    相手は女性なのに・・・。

    きっと寝ぼけているんだ・・・。


    そのまま、可憐は奈子先輩の腕の中で眠った。


    朝、目が覚めたら、隣に奈子先輩はいなかった。


    「おはよう。夕べはよく眠れた?」

    奈子先輩は、優しい笑顔で現れた。

    可憐は、夜中の事を思い出した。

    普通の表情の奈子先輩・・・。

    きっと、覚えてないんだ・・・・・。


    「はい。よく眠れました。」


    「良かった。今ちょうど朝食できたとこだから。一緒に食べよっか」


    テーブルにスクランブルエッグと、サラダ。コーヒーにトースト。


    「じゃ、いただきます。」

    可憐はペコリと頭を下げて、コーヒーを一口飲んだ。


    可憐は、ふと奈子先輩を見た。

    食べている奈子先輩の唇・・・。

    夕べの・・温かかった唇・・・。


    私、何考えてるんだろう。

    奈子先輩は、寝ぼけてただけなのに。。


    「夕べ、あれからすぐ寝息が聞こえてたよ。ウフフ。」


    夕べって、どの夕べですか?

    可憐は、顔が真っ赤になったのが自分でわかった。


    「は・・はい。」


    「温かく眠れたでしょ。」

    奈子先輩は、にこっと笑った。


    覚えてるのか、覚えてないのか・・・

    微妙・・・。


    可憐は、そのまま黙って朝食を食べた。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14135 / 1階層)  9
□投稿者/ 雅 一般♪(10回)-(2006/04/07(Fri) 08:11:32)
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    二人で、話をしていたら、気がつくと、もう3時だった。

    「今から、ちょっとお出かけしない?」

    奈子先輩は嬉しそうに可憐に言った。


    「いいですよ。どこか行きたいとこあるんですか?」


    「ま、それは行ってのお楽しみ。歯ブラシとかは洗面所においといたから。後

    は、その辺りのもの勝手に使って。ウフフ。」


    可憐が、洗面所に行くと、そこには新しい箱に入ったピンク色の歯ブラシと、コッ

    プが置いてあった。

    奈子先輩は、ブルーの歯ブラシ。


    何か、恋人同士みたい・・・。

    可憐は、一人笑みを浮かべた。


    「用意できた?」

    洗面所でお化粧してたら、奈子先輩が覗きに来た。


    「はい、もう終わります。」


    「そんなたいしたとこ行くつもりないから、化粧しなくても良かったのに。」


    奈子先輩は、お化粧してなくても、綺麗だからいいけど・・・。

    可憐は、鏡に映った自分の顔を見てそう思っていた。


    「早くいかないと、時間なくなっちゃうよ。」


    奈子先輩は、どうやら急いでいるらしい。

    可憐は慌てて、口紅をひいた。


    奈子先輩は、ジーンズに白いニット。その上にジャケットをはおった。

    スラリと長身だけに、ジーンズ姿は見ごたえがある。


    「さ、行きましょうか。」


    車に乗って高速に乗って小1時間。

    波止場に到着した。

    冬の海にしたら、結構穏やかで、久しぶりだな・・・。海見に来るのって。


    奈子先輩は、海ギリギリのとで、車を止めた。

    周りを見ると、結構釣りを楽しむ人たちが、車を横付けにして楽しんでいる。


    「さ、今から夕食のおかずを調達するわよ。」


    「えっ??」


    どこをどう見ても、奈子先輩は釣りをするような風には見えない。

    冗談いってるんだろうな。


    奈子先輩は笑いながら、トランクを開けると、竿と、クーラーボックスを取り出し

    た。

    可憐は、目を疑ったけど、どうやら間違いないらしい。


    「はい、これ。可憐ちゃんに貸してあげる。ウフフ」


    奈子先輩に1本の竿を手渡された。

    先の針のところに、作り物の魚がついてある。


    「こうやって、持って、そうそう。そして、この瞬間に糸を離す。なかなか上手じ

    ゃない。」


    手取り足取りで教えてくれる奈子先輩。

    そっと、手に触れる、奈子先輩の温もり・・・息遣い・・・。

    可憐は、そっちの方に気を取られて、緊張した。

    奈子先輩に聞こえないかな・・・。この心臓の音・・・。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14136 / 1階層)  10
□投稿者/ 雅 一般♪(11回)-(2006/04/07(Fri) 08:12:16)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「さ、今みたいにして、投げるの。そして、ゆっくりリールを巻いてみて。」

    奈子先輩は生き生きとした表情で笑みを浮かべた。


    奈子先輩に言われるがまま、見よう見真似で、竿を投げてみる。

    奈子先輩みたいに遠くには投げれないけど、何とか飛ばすことができた。


    ゆっくりリールを巻いて・・・。あっ。

    いきなり、重みがかかって可憐の身体が、一瞬ぐらっとした。


    「きたのねっ。さ、ゆっくりでいいから、竿を引きながら巻いていくのよ。」

    奈子先輩が、竿を置いて可憐を見守っている。

    可憐は、必死で、リールを巻いていった。

    竿が、しなって、今にも折れそう・・・。重いっ・・・。


    バシャバシャバシャ

    真下で、何か長い魚が暴れている。


    「そのまま、竿ごと、一気に上げるのよ。頑張って。」

    奈子先輩が、背中にぴったりくっつくように、手を添えてくれた。


    「せーのっ。」

    一気に竿を上げると、そこには、えたいの知れない魚・・。

    奈子先輩は手際よく、軍手をはめて、ペンチで針をはずした。


    「この太刀魚、すっごいいい型ね。すごいよ。」


    1メートルはある、ヒレがビラビラと波打つように動く光った魚。

    可憐は、その蠢く魚が、太刀魚だということを初めて知った。

    スーパーの切り身しか見たことがなかったから、正直驚いた。


    「二人分なら、これ1本で十分ね。」

    奈子先輩は、軽くウインクした。


    そのまま、クーラーに入れて、片付けをし、車の中から、夕暮れを見ていた。


    「驚いた?」

    奈子先輩が、助手席の可憐を覗き込むように言った。


    「まさか、本当に食料を調達するとは思いませんでした。フフ」


    「好きなのよ。釣り。会社の人には言ってないけど。」

    そう言って、奈子先輩は可憐に微笑んだ。


    奈子先輩のまた一つ、秘密を知ったようで、可憐は嬉しかった。

    沈む夕日は、海と空と、二人を紅く染めていた。


    「綺麗だね。」

    奈子先輩は、じっと沈んでいく夕日を見て呟いた。


    可憐は、その横顔を見つめた。

    夕日に照らされる奈子先輩も、とても素敵だった。


    その瞬間、奈子先輩の手が、可憐の右手を包んだ。


    「冷たいね。ごめんね。寒かったかな?」

    奈子先輩の手は、とても暖かかった。


    「暖めてあげるね。」

    奈子先輩はそう言って、微笑んだ。


    可憐は、異性との感情に似た、心の動揺を覚えた。

    好きかも・・・・知れない・・・・。
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▲[ 14126 ] / ▼[ 21512 ]
■14137 / 1階層)  11
□投稿者/ 雅 一般♪(12回)-(2006/04/07(Fri) 08:12:50)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    夕日が沈み、その後、奈子先輩の家に戻った。

    奈子先輩が作ってくれた、太刀魚の刺身と天麩羅で、夕食をとった。

    可憐は、ずっと奈子先輩を直視することができなかった。


    「どうだった?自分で釣り上げた太刀魚のお味は。フフ」

    奈子先輩が、嬉しそうに聞いてきた。


    「とても美味しかったです。」


    「やっぱり新鮮だと違うでしょ?」


    平然と話す奈子先輩。

    可憐は、とても複雑な気持ちだった。


    一緒にいれるのが、嬉しい。

    でも女性。

    なのに、好き。

    紛らわしい行動。

    でも平然。


    「今日は家へ帰さないと、お母さんに叱られるわね。」

    午後8時。時計を見て、奈子先輩が言った。


    「じゃ、そろそろ送っていくね。お母さん心配するといけないから。」


    車がどんどん家に近づくにつれ、

    可憐は、とても寂しい気持ちになった。


    もう少し傍にいたい・・・


    「今日はありがとうね。ほんと楽しかったよ。」


    「あっ、あの・・・」


    可憐は、言葉に詰まった。

    奈子先輩は、ん?と、可憐の顔を覗き込む。


    「あ、あの・・・良かったら、私の部屋でお茶でも飲んで帰ってください」


    奈子先輩は、にっこりと微笑んで頷いた。


    あと少しだけでも、一緒にいれる・・・。

    奈子先輩の笑顔、もう少し見ていたいから。。
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▲[ 14137 ] / 返信無し
■21512 / 2階層)  女性用風俗
□投稿者/ 紀子 一般♪(1回)-(2012/05/16(Wed) 15:13:04)
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    私を満足させてくれる男性様を募集しています。(*´ェ`*)♪ http://www.fgn.asia/

    (携帯)
完結!
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14138 / 1階層)  12
□投稿者/ 雅 一般♪(13回)-(2006/04/07(Fri) 08:13:34)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    家に着くと、母が玄関まで出てきた。

    「すみません。ご迷惑かけました。」

    「いえいえ。遅くまですみませんでした。」


    さすが、奈子先輩。

    こういう挨拶は、抜かりない。


    「お母さん、今日釣りに連れて行っていただいて、太刀魚の料理をご馳走に

    なったの」


    「まぁ、それは、どうもありがとうございました。良かったら、どうぞお茶でも

    召し上がってください。可憐、あがっていただいて。」


    母は上機嫌だった。

    見た目も綺麗、それに同じ会社の先輩でもあり、礼儀正しい奈子先輩を

    好意の目で見ているのが、よくわかる。


    「じゃ、どうぞ。狭い部屋ですけど。」

    可憐は、自分の部屋に奈子先輩を通した。


    「可憐の甘い香りがするね。ウフフ」

    部屋に入ってすぐ、奈子先輩はにこっと笑ってそう言った。


    甘い香り・・・。


    私の香りを覚えてくれている・・・。

    それだけでも、心が高鳴った。


    トントン。


    母が、お茶菓子と、紅茶を運んできてくれた。

    どうぞごゆっくり、母は、そう言って笑って部屋を閉めた。


    「すみません。寒いでしょ?すぐヒーターつけますから。」

    可憐は、ヒーターをつけた。


    「!」


    奈子先輩が、そっと後ろから可憐を抱きしめた。

    可憐の、心臓の鼓動がいきなり早くなる。


    「温かいよ。こうしてたら。」

    そっと耳元で奈子先輩が囁いた。


    可憐は、そのままじっと動けなかった。


    「じゃ、せっかくだからお茶いただこうかしら。」


    「はい。」


    奈子先輩は、にっこり微笑んでいた。


    二人は、暫く沈黙だったけど・・・

    奈子先輩の目は、温かかった。


    トントン・・・部屋をノックする音。

    母だった。


    「可憐。もし良かったら、今日はうちに泊まっていただいたら?明日お休みだ

    し。お父さんが、そうしてもらえって。」


    「いえ、そんなご迷惑でしょうから・・・」


    「そんな気を使わないでくださいな。ね。可憐。そうしていただきなさいな」


    母はそう言って、部屋を出た。


    「でも、ご迷惑じゃないかしら。」

    奈子先輩は、少し困った顔で可憐に言った。


    「うちは全然かまいませんよ。いやですか?」


    「そんないやじゃないけど・・・。じゃ、今日は、お言葉に甘えようかな。」

    奈子先輩は、そう言って微笑んだ。


    今日も、先輩と一緒に過ごせる・・・。


    顔には出さなかったけど・・・

    とても嬉しかった。


    その夜、私がお風呂に入っている間、父と母は奈子先輩を囲んで、ワイワイと賑や

    かに話をしていた。

    父も釣りが好きで、どうも釣りの話で盛り上がっていたらしい。


    二人が部屋に戻ると、母がお布団を敷いて用意してくれていた。

    奈子先輩が、お布団に腰掛けるのを確認して

    「じゃ、電気消しますね。」


    電気を消して、可憐が、ベッドに入ろうとした時、

    そっと手を引っ張られて、そのまま抱き寄せられた。


    カーテンの隙間から漏れてくる月明かりが二人を照らした。

    「好きよ・・・。可憐・・・。」
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14139 / 1階層)  13
□投稿者/ 雅 一般♪(14回)-(2006/04/07(Fri) 08:14:11)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    可憐は、引き寄せられたまま、奈子先輩の胸の中に顔を埋めた。

    奈子先輩は、そっと可憐の頬を撫でた。

    薄暗い中、見つめ合う二人・・・・。

    二人の間に、言葉などいらなかった。


    そっと、奈子先輩が可憐の唇にキスした。

    柔らかい唇・・・。


    可憐は、溢れ出す喜びの感情で一杯だった。


    「好きなの・・・。可憐のことが。。」

    そう言いながら、奈子先輩は、可憐を布団へと押し倒した。


    いい・・。

    もうどうなっても・・。


    可憐は、奈子先輩に身を任せた。


    ゆっくりとパジャマを脱がされて、それに合わせて、這うように、奈子先輩の舌先

    が、可憐の耳下から、そっと首筋へと降りていった。


    「ンっ・・」


    奈子先輩の指先が、可憐の乳房を捕らえた。

    女性は触れられた初めての感覚・・・。


    男性より優しく、そして女性の柔らかい感触が、電流でも流れたように

    可憐の身体を駆け抜けていった。


    奈子先輩は、くすっと笑った。

    そして耳元で囁いた。


    「声も、とても可愛いわ。」


    奈子先輩もスエットを脱いだ。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14140 / 1階層)  14
□投稿者/ 雅 一般♪(15回)-(2006/04/07(Fri) 08:14:56)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    薄明かりの中で見る奈子先輩の身体の線は、たまらないほど

    色っぽかった。


    そのまま奈子先輩は、可憐の上に肌を重ねるように抱きしめ

    そして、キス・・・。

    可憐の唇に舌を挿しいれ、可憐もその舌を受け入れた。


    二人は、お互い貪りあうように、唇を求め合った。

    奈子先輩の右手が、可憐の乳房を包み込むように弄った。


    「・・・・ンン・・」


    階下にいる両親がいる。

    それが更に、可憐の興奮を高めた。


    「綺麗な乳首・・素敵よ。可憐。。」


    奈子先輩の唇が、可憐の乳首を優しく含んだ。


    「ンン・・ハァッ・・」

    声にならない声・・。

    容赦なく、乳首に舌先を絡めてくる。


    可憐は、自分の下半身から蜜が溢れ出すのがわかった。

    奈子先輩の手が、股間へと伸びてくる。


    「そこは・・アッッ」


    可憐は、こんなに感じているというのが、指で、奈子先輩に知られるのが

    恥ずかしかった。


    「可憐・・・。すごく感じてるのね。嬉しいわ。」


    股間の草むらを、掌で、ゆっくり弄り、指先は、その草むらの割れ目へと

    伸びていった。


    「ンンンンッ」


    可憐の身体はもう既に溶けてしまいそうだった。

    奈子先輩の指先が、滑らかに動くだけで、すぐにイってしまいそうになる。


    これが・・・女性の感触。。


    「すごい・・こんなに濡れちゃって。。」


    声が響かないように、耳もとで囁く奈子先輩の熱い息が、耳を刺激する。


    ピチャ・・ピチャ・・・

    部屋に可憐の蜜と奈子先輩の指の絡む音が響きわたった。


    「いやらしい音。。綺麗にしてあげるわね」


    そういうと、奈子先輩は、可憐の股間を大きく開いて、草むらを掻き分けた。


    チュッ・・・


    「アァァ・・ンンッンッンン」

    可憐は、身体に力が入った。

    巧みな奈子先輩の舌使いに、可憐の身体は敏感に反応した。

    どんどん上り詰める・・


    アァ・・・

    今まで感じたことのない感触のエクスタシー・・・。


    目の前が真っ白になって、可憐の身体の力が抜けた。


    でも、奈子先輩の舌の動きは、止まらなかった。


    可憐は絶えれなくなって、腰を引こうとした。


    でも、奈子先輩は、しっかりと開いた脚を固定し、流れ出す蜜を

    丁寧に吸い上げていく。


    「アァァアッ」


    声を押しこらえるにも限度があった。

    身体は、ビクンビクンと痙攣を起こし、快楽の波がまた襲ってきた。


    「ダメです・・これ以上したら・・・声・・ンン」


    その時、奈子先輩の唇が可憐の唇を塞いだ。

    そして・・・


    ヌプッ・・・

    奈子先輩の指が、可憐の蜜の泉へと挿し込まれた。


    「ン・・ンゥ・・アァァ」

    塞がれた唇の間から、あえぎ声が漏れる。


    リズミカルに動く指。

    しっかりと腕で抱えられ、捕らえられたスポットをずらすことさえ

    許されなかった。


    すごい・・・すごすぎる・・・

    こんなに女の人が気持ちいいなんて・・・。


    どんどんとまた、上り詰めていくエクスタシー。


    「アァァ・・ンンンンー」


    可憐の身体は、海老のように反り返り、果てた。


    奈子先輩は、可憐に囁いた。


    「私もイキそう。。」


    そういうと、可憐の股間に、自らの股間を擦り付けて

    動き出した。


    「ハァハァ・・・ンン」


    可憐の身体がビクビクと奈子先輩の硬くなった突起を感じる度に

    痙攣する。

    可憐は、再びその擦れ合った恥部の温かみと快感に溺れていった。


    奈子先輩の息があがる。

    そして、更に動きは激しくなった。


    クチュクチュ…ピチャッ


    蜜と蜜が重なり合う音が、部屋に響き渡る。


    「もうイっちゃう・・・ハァハァ」


    奈子先輩は、激しく擦り、そして果てた。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14141 / 1階層)  15
□投稿者/ 雅 一般♪(16回)-(2006/04/07(Fri) 08:15:40)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    その夜・・・

    二人は生まれたままの姿で眠った。

    シングルの布団に包まり、

    冬の寒さなど忘れたように、

    抱き合ったまま二人は眠った。


    可憐は夢を見た。


    そこは、深い森・・・・。

    あれは・・・

    つがいの白い小鳥?


    誰?

    籠と網を手に持った、数人・・・

    その森に入っていく。


    その鳥に気づいたその数人・・・。

    そっと、その鳥たちに近づいていく・・。


    ダメだよ、逃げないと!

    小鳥さん

    早く気づいて。


    ハッ

    可憐は目が覚めた。

    時計を見ると、朝7時。

    何かイヤな夢だった。


    階下で物音が聞こえる。

    父と母が起きたのだろう。


    ふと隣を見ると、裸の奈子先輩がうつむき加減に、

    気持ちよさそうに眠っていた。

    乱れた髪が、シーツの上に広がっている。


    柔らかい髪・・・・。


    可憐は、愛おしく、その髪にそっと触れた。


    奈子先輩の指が、ピクッと動いた。


    この指は・・・

    夕べ

    私の全てを知った指・・・


    可憐は、そっとその指にキスした。


    そして、パジャマを着て、自分のベッドへともぐりこんだ。

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■14142 / 1階層)  16
□投稿者/ 雅 一般♪(17回)-(2006/04/07(Fri) 08:16:22)
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    トントン

    軽いノックの音。

    そっと部屋の扉が開いた。


    母だった。


    「起きてた?ちょっと今からおばあちゃんの家に出かけてくるけど

    夕方には戻るから」


    「うん。わかった。いってらっしゃい。」


    「朝食テーブルにおいてあるからね。」


    母は、そう小声で言うと、にっこり笑いながらそっと扉を閉めた。


    階下から、玄関の閉まる音が聞こえた。



    暫くすると、奈子先輩が目を覚ました。


    「おはよう。」


    「おはようございます」


    可憐は、少し恥ずかしくて、少し目を逸らしなが答えた。


    「良く眠れましたか?」


    「うん。誰かさんの肌がとても気持ちよくて、ぐっすり眠れたわよ。」


    奈子先輩は、可憐の顔を覗き込むようにして言った。


    可憐は、自分の顔が紅潮するのがわかった。


    「親達、祖母の家に出かけましたから。ゆっくりしてくださいね」


    「えっ?もう出かけたの?」

    奈子先輩は、大きく伸びをしながら時計を見て言った。


    「行動、早いんですよ。うちの親。」


    「そうなんだぁ。」

    奈子先輩は、そう言うといきなり、可憐の腕を引き寄せた。


    「じゃ、もっとこうしていたいな・・・。」


    そう言って、奈子先輩は、可憐に被さるように、そっとキスした。


    奈子先輩の柔らかい髪が、可憐の顔にかかった。

    可憐は、そっと目を閉じた。



    朝の光が、差し込む部屋の中は、二人の体液の混じり合う香りと、

    シーツの摩れる音・・・

    そして、激しい吐息と呻くような喘ぎ声がこだましていた。



    もう・・・



    心も、そして身体の隅々まで・・・


    私の全てが、溶けてしまう・・・。


    ハァァ・・


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■14143 / 1階層)  17
□投稿者/ 雅 一般♪(18回)-(2006/04/07(Fri) 08:16:56)
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    奈子先輩の甘く、激しい攻めに

    可憐は、起き上がる力さえ無くしてしまっていた。


    「可憐・・・ 大好きよ。」

    奈子先輩はそう言って、可憐の頬にキスした。


    その日、昼に母が作ってくれた食事をしただけで、それから何度も何度も、奈子先

    輩に抱かれた。

    部屋には、何とも言えない女性特有の臭気がこもり、可憐は、身体がいうことをき

    かない程の脱力感に襲われた。


    夕方、両親が帰ってくる前に、奈子先輩は帰って行った。


    奈子先輩が帰ってから、可憐は再びベッドに戻った。

    身体がだるかったせいもあるけれど、もう少し先輩との余韻を感じていたかった

    から・・・・。


    ベッドに入って、目を閉じて、そっと自分の乳房に触れてみる。

    身体が、まだ余韻が残っているのか、先輩に抱かれた感触が蘇ってくる。

    自分の下半身が、それだけで濡れてくるのがわかった。


    可憐は、我慢できずに、右手をパンティの中に滑り込ませた。

    草むらの割れ目に指を這わせると、既に蜜で溢れ、そのすべりで

    ますます快感が走った。


    「アッァ・・・」


    先輩の指の感触・・・

    そして、先輩は、私のここに顔を埋めて・・・


    可憐の左手は、乳房を弄り、そして右手の指は激しくピチャピチャという

    音を立てながら、大きく腫上がったコリっとした先端を刺激した。


    「アァァァ、せ・・せんぱい、ハァァッ」


    先輩の舌の感触が、先端に蘇る・・・

    アァ・・

    もっと抱かれたい・・・

    貴女のその舌と唇で、

    舐めて。。

    そして、激しく吸ってほしい・・・。


    可憐の身体は、大きく固くなった乳首を強調するかのように

    大きく身体を反らせた。


    先輩の指がほしい・・・


    可憐は、蜜で塗れた指を蜜壺へと滑り込ませた。


    「ハァァァァン」


    可憐は腰をうねらせ、そして激しく指を出し入れする。


    アァァン、先輩

    可憐はこんなに淫乱・・・

    貴女の指を

    もっと、奥まで


    奥まで・・・・。


    「アァァァァッァーン」


    可憐は大きな声をあげ、そのまま力尽きてしまった。

    今まで、自分で慰めてきた時、こんなに感じて、声まであげたことなんて

    一度もなかった。



    奈子先輩・・・

    私の心も身体も・・・


    私の細胞の全てもが

    もう、貴女の虜です・・・。
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■14144 / 1階層)  18
□投稿者/ 雅 一般♪(19回)-(2006/04/07(Fri) 08:17:42)
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    次の日・・・

    可憐はいつもより少し早めに出勤した。

    いつも、私が更衣室に入って行く時には、奈子先輩はいないから・・

    早めに出勤してるに違いない。


    「おはよう。今日は早いじゃない。」

    同じ課の先輩が更衣室に入った瞬間言った。


    「おはようございます。今日は早起きしちゃったんですよ。」


    可憐は、先輩に挨拶しながら、何気なく先輩を探した。


    あっ・・いた。

    奥の方のロッカーで、紺色のブラジャー姿の先輩。

    会社のブラウスに着替え、ボタンを下から留めている。


    チラチラと、気づかれないように、可憐も上着を脱いで、制服に着替えていた。

    いつもなら、周りを気にして、胸を隠すように着替えるのに

    奈子先輩を意識して、ブラジャー姿でブラウスを羽織った。


    奈子先輩は、軽く化粧直しをした後、可憐の前を通り過ぎようとした。


    「お・・おはようございます。」


    奈子先輩は、可憐をちらっと見て


    「おはよう。」


    ただそれだけ言って、何もなかったように通り過ぎた。


    可憐は、ぎゅっと心臓が疼いた。


    私・・・

    避けられてる・・・


    可憐は、今にも泣き出したい気持ちだった。

    どこかで期待していた

    あの優しい笑顔で、微笑みかけてくれることを・・・



    「可憐、おはよう。早いねぇ。」

    沢山の社員に紛れて、同期たちが一斉に入ってきた。


    可憐は、うんと、笑顔で頷いた。


    これが笑顔の限界。


    奈子先輩・・・。

    私、もう壊れてしまいたい


    一体、どうしたのですか?


    可憐は、その日ずっと、少し沈み加減で仕事をこなした。

    何をしてても、浮かんでくる朝の光景・・・


    「どうしたの?可憐。風邪でもひいた?」

    帰り際、同期の楓が少し心配そうに言った。


    「ううん。大丈夫。」


    「それならいいんだけどね」



    いつも通り、笑顔で話す楓。

    更衣室は、ザワザワと、女達の匂いでむせそうなくらいだった。

    暫く静かに、一人でいたい・・・


    「じゃ、可憐、今日は奈子先輩とお茶してかえるから、先でるね。」


    え?

    奈子先輩・・・。


    可憐は動揺が隠せなかった。

    奈子先輩を、目で追って探す。


    人ゴミの中を掻き分けるように、奈子先輩が出てきた。


    通りすがり、周りのざわめきに紛れて、奈子先輩が耳元で囁いた。


    「家で待ってて。」


    そっと手に渡された、1本の鍵。


    そのまま、奈子先輩は何事もなかったように、楓と一緒に更衣室を出て行った。


    可憐は、言われた通り、そのまま奈子先輩のマンションに行った。


    何を言われるんだろう・・・。

    そんないいことであるはずがない・・・。


    週末のことは、忘れて・・・

    そんなことを言ってくるのだろうか。。


    一人、寒い部屋で待っていると、色々なことが頭に浮かんでくる。


    楓とお茶・・・。

    もしかして、私にしたのと同じような事を

    楓にもしているのだろうか・・・。


    あの指で・・・。

    そして、あの唇で・・・。
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■14145 / 1階層)  19
□投稿者/ 雅 一般♪(20回)-(2006/04/07(Fri) 08:18:19)
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    ガチャ・・。


    玄関の鍵が開いた。


    「ごめんね。少し遅くなった。」


    時計を見ると、午後7時。会社を出て約2時間・・・。

    奈子先輩は、コートを脱いで、ヒーターのスイッチを押した。


    「寒いのに・・・。ヒーターも入れなかったんだ。」


    可憐はただ無言に、奈子先輩の顔を見ていた。

    普通と変わりない・・・。


    するといきなり奈子先輩は、可憐を抱きしめた。


    「こんなに冷たくなって・・・。」


    優しい笑顔の奈子先輩。

    可憐は、今にも泣いてしまいそうな気持ちだった。


    「奈子先輩・・・。」


    可憐は、奈子先輩の胸の中に顔をうずめた。


    「どうしたの?寂しかった?」


    優しい目で、奈子先輩は可憐を見つめた。


    「何か・・・奈子先輩が遠くに行ってしまうじゃないかって・・」


    奈子先輩は、可憐の目を見つめて言った。

    「こんなに好きなのに・・・。わかってないのね。」


    奈子先輩の顔がゆっくりと近づいてくる。

    可憐は、そっと目を閉じた。


    温かい先輩の唇。

    さっきまでの不安は何だったんだろう・・・。


    全ての不安が、その唇の温かさでかき消されていった。

    奈子先輩は、キスしながら、可憐をベッドへと導いた。


    「好きよ・・・。とっても。」


    「私も・・・大好きです・・」



    そのまま二人は激しく肌を重ねあった。


    乱れるシーツ・・。

    響き渡るベッドの軋む音。

    恍惚の喘ぎ声・・。


    激しいエクスタシーとともに、可憐の爪は奈子先輩の背中へと

    食い込んでいった。


    残したかった・・・。

    私の証を、貴女の身体に。
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■14146 / 1階層)  20
□投稿者/ 雅 一般♪(21回)-(2006/04/07(Fri) 08:18:54)
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    奈子先輩は、優しく抱きしめてくれていた。


    「お腹すかない?」


    「うん。」


    奈子先輩は、ベッドから起き上がった。

    背中には、私のつけた無数の爪痕・・。

    少し血がにじんでいる。


    「先輩・・・。背中・・」


    奈子先輩は、にやっと笑って言った。

    「結構、痛かったわよ。ウフフ」


    可憐は立ち上がって、奈子先輩の背中にそっと寄り添った。

    「ごめんなさい・・・」


    可憐の舌先が、爪痕の上を這っていく。


    「アッァン」


    奈子先輩の肌に鳥肌が立ち、可憐の方に振り向いた。


    「そんな事したら、またしたくなっちゃうわよ」


    露わになった奈子先輩の乳首が反り立っている。


    「奈子・・先輩・・・・。」


    そっと可憐は、奈子先輩の乳首を口に含んだ。


    綺麗で柔らかな、ツンと上を向いた胸・・・。


    「アァァン・・可憐・・」


    奈子先輩は、可憐の頭に手を添え、ゆっくりと自らの茂った草むらへと

    可憐の舌を誘った。


    いい香り・・・。先輩の匂い・・・。


    可憐は、その茂みに舌を這わせた。


    「アァァァン、いいわ・・そこ、すごくいい。」


    初めてだったけど、自分がしてもらって気持ちいい事を

    先輩にもしてあげたい・・・。


    そして

    先輩の全てを

    舌と指で知りたかった・・・・・。


    その後・・・

    二人は、眠ってしまった。

    エクスタシーは眠りを誘う・・・。


    トゥルルルル・・・

    携帯の音で、可憐は目を覚ました。


    時計は既に11時をまわっていた。


    「もしもし・・」


    母からだった。

    残業って言っていたが帰りが遅いので電話をかけてきたらしい。


    奈子先輩は、よく眠っている。

    可憐は、起こさないように、静かに服に着替えた。


    帰り間際、そっと奈子先輩の唇にキスした。


    おやすみなさい・・・。


    ふと・・・

    部屋にかかっている奈子先輩のコートが目にとまった。


    先輩の香り・・・。


    あれ?この香り・・・・。


    肩のところのこの匂いって。。。


    楓の・・・・匂い?


    どうして・・・・。
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■14147 / 1階層)  21
□投稿者/ 雅 一般♪(22回)-(2006/04/07(Fri) 08:23:26)
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    可憐は、帰り道、あのコートの香りの事が頭から離れなかった。

    ガランとした最終電車の中で、男の肩に女の子が頭を埋めて、見詰め合って話しを

    している。


    奈子先輩・・・

    もしかして、あんな風に、楓と・・・。


    まさか・・・

    そんなことはない。


    でも・・・

    今日の朝の会社での表情・・・

    あれも、何か関係あるの?


    あれは私の思い過ごし・・・。

    それなら、今夜だって誘ってくれなかっただろうし。

    きっと気のせいだ・・・。


    心の中で繰り返される、自問自答・・・。


    そこに何も真実を見ることはできないのに。。



    鼻に残る・・あの匂い。


    こんな風に考えている自分がとても嫌だった。



    奈子先輩に聞いたら、何て答えるんだろう。。

    でも、そんな事を考えているなんて知られたくない。

    イヤな女だって思われたくない・・・。


    駅から家までは少し距離があるので、タクシーに乗った。

    タクシーが家の前に着くと、家から母がでてきた。


    「遅かったわね・・・」


    「うん。急ぎの仕事だったの。疲れた・・。」


    母の視線が気になった。

    仕事で遅くなるっていってもこんなに遅くなったことは1度もない。


    母は、結構昔の女性っぽくて、そのあたりの考え方には、とても

    厳しい人だった。


    部屋に入って服を脱いだ。

    身体から、立ち込める奈子先輩の香り。。



    可憐はお風呂に入らずに、そのままベッドにもぐりこんだ。

    不安の消えない中で、奈子先輩の香りが身体に染みついているのは

    かすかな救いだった。


    今日、先輩に抱かれた・・・証。


    あの指で、そして唇で

    この身体を愛撫した証・・・。


    可憐は、その香りを何度も確かめながら、

    いつの間にか夢の世界へと入っていった。
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■14148 / 1階層)  22
□投稿者/ 雅 一般♪(23回)-(2006/04/07(Fri) 08:27:20)
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    次の朝、いつもの時間に電車に乗り、

    いつものように出勤して、いつものように仕事をこなした。


    心の中が穏やかだ・・・って言ったら絶対嘘になる。

    でも・・・

    思い出す度に、まだ身体に残っている先輩の感触が

    そのイヤな気分を少し和らげくれた。


    その日の仕事が終わって、更衣室に行った。

    少し、時間が遅めだったので、人もまばらだった。


    着替えていると、楓が更衣室に入ってきた。


    「お疲れ。可憐も遅かったんだね。」


    「うん。今日は少し最後バタバタって仕事がはいちゃって。」


    「そうなんだ。うちもトラブルがあったらしくてね。やっとさっき終わったのよ」


    着替え終わって更衣室を出る時、奈子先輩と、数人の先輩たちが更衣室に入ってき

    た。


    「お先に失礼しまーす。」


    楓が先輩たちに声をかける。

    可憐も、軽く頭を下げて、挨拶した。


    ちらっとしか見れなかったけど

    奈子先輩の顔は、いつものように穏やかな表情だった。


    何となく、可憐はほっとした。




    会社を出て、駅に向かう途中


    「ね、可憐・・・」


    楓が、いきなり真面目な顔で言った。


    「あのさ・・・。ん・・・、やっぱいいや。」


    「どうしたの?」


    「やぁ・・ん・・・あのさ、誰にも言わないでくれる?」


    「うん。誰にも言わないけど・・・。」



    ちょうどその時、駅の改札についた。

    「ん・・。やっぱいいや。気にしないで。じゃ、可憐。また明日ね。」


    可憐は、楓の言いかけてた事が奈子先輩の事なのではと、想像した。


    ホームへの階段を登ると、電車が発車しかけていた。

    可憐は慌てて飛び乗った。


    奈子先輩に会いたい・・・。

    そうだ。先輩の降りる駅で、少し待ってみよう。


    可憐は、先輩の降りる駅の改札前にあるコンビニで少し時間潰しをしていた。

    そこなら、寒さも感じずに先輩が降りてくるのが見えるから。


    昨日先輩に渡された合鍵はあるけれど、勝手に先輩の家に上がりこむのは、

    抵抗があった。


    4本目かの電車が駅に到着した。

    可憐は、ファッション雑誌を立ち読みしながら、ガラス越しに

    先輩の姿を探していた。


    あっ・・・・。

    その時、奈子先輩が、改札から出てきた。


    その隣には楓の姿があった。


    可憐は、呆然と二人を見つめていた。


    どうして?

    さっき楓、向かいのホームにいたはず・・。


    奈子・・・先輩・・・・。


    可憐は、暫く同じ姿勢で固まったままだった。

    可憐の頭の中は、真っ白だった。

    悲しいというより、何も考えられない状態だった。


    暫くたって、可憐は駅のホームに向かった。

    風が強くなってきて、その冷たい風が、さらに可憐の心に

    寂しさを募らせた。


    目に焼きつく二人の姿・・・。

    仲の良い先輩後輩・・・。可憐には、それだけとは到底思えなかった。


    時間がたつにつれ、可憐の目からジワジワと涙が溢れ出てきた。

    周りに気づかれないように、ハンカチでそっと拭っても拭っても、

    その泉の流れは、停まることを知らなかった。


    この気持ち・・・

    どう処理したらいいんだろう・・・。


    可憐の手に冷たいものがあたった。

    そっと顔をあげると、雪がチラチラと舞っていた。


    奈子先輩・・・。

    今、

    何をしていますか?
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■14149 / 1階層)  23
□投稿者/ 雅 一般♪(24回)-(2006/04/07(Fri) 08:27:55)
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    その時、ポンと肩を叩かれた。

    ハッ。

    後ろを振り返ると、にっこりと微笑む楓がそこにいた。


    「どうしたの?何かあった?」


    「・・・。楓こそ、どうしたの?反対方面じゃなかったの?」

    可憐は、溢れてくる涙を拭きながら、答えた。


    「寒いしさ、時間あるなら、ちょっとお茶でもしない?」


    楓に誘われるまま、可憐は、改札を出て、駅前の喫茶店に入った。


    「雪だね。」


    「うん・・・」


    二人の間に、何とも言えない空気が漂っていた。


    「今日さ、奈子先輩のマンションにいる子ネコ見にきたんだ。頼まれててさ。うち

    で飼うかも知れない」


    可憐は楓の顔を見た。


    「可憐なら口固いし、信頼してるから言っちゃうけど。私、奈子先輩の事、

    好きみたい・・・。片思いなんだけど。。おかしいでしょ?」


    「そんなことないよ・・・。」


    片思い・・・。

    先輩と楓・・・何もなかったんだ。。

    可憐は心の中で少しほっとした。


    「でも、奈子先輩には・・・・。忘れられない人がいるんだよね。振られたんだ。夕べ

    私。」


    可憐は、耳を疑った。


    「先輩さ・・・。2年前まで、一緒に暮らしてた人がいたらしいんだ。結婚する予定

    だったんじゃないかな?一生一緒にいようって思ってたらしいから。」


    そう言えば・・・

    可憐は、ふと奈子先輩の家にあった、ペアの食器を思い出した。


    「バイクの事故で亡くなったらしいよ・・・。それからは誰とも付き合わない

    らしいけどね」


    楓は、運ばれてきた紅茶にたっぷりミルクを注いだ。

    私の知らない、奈子先輩の過去・・・。


    奈子先輩・・・。


    「先輩に、女性同士だから憧れみたいなもんでしょ?って笑い飛ばされた

    んだけどね。うまくはぐらかされちゃったんだけどさ。」


    その人のこと・・・。

    それも、結婚したいと思うくらい好きな人だったんだ・・・。


    それからも続いた楓の自分話には、相槌は打つものの、全く耳に入らなかった。


    可憐の殆ど口をつけなかった紅茶が冷えてきた頃、二人は喫茶店を出た。


    「今日のことは、内緒にしててね。じゃ、また明日」


    楓は、にこっと笑って、向かい電車に乗った。


    楓を乗せた電車が行った後、可憐は再び改札へと向かった。


    逢いたいよ・・・。

    先輩・・・・。


    可憐は、そのまま奈子先輩のマンションへと向かった。
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■14150 / 1階層)  24
□投稿者/ 雅 一般♪(25回)-(2006/04/07(Fri) 08:28:28)
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    奈子先輩のマンションにつくと、にゃぁと黒い子猫が傍にやってきた。


    あ…。先輩が餌やってた子猫だ。。


    「ほら、こっちおいで。」


    子猫は、可憐の足元に、擦り寄ってきた。

    可憐は、ひょいと子猫を抱き上げた。


    「寒いよね・・・。」


    可憐はコートの中に子猫を入れて、子猫を温めていた。

    すると、後ろから


    「クロちゃ〜ん。もぉ、何処行ったのかしら・・・。」


    後ろを振り返ると奈子先輩が立っていた。


    「あの…。ここにいますけど。」

    可憐は、コートの中からひっこり顔を覗かせてる子猫を指さした。


    奈子先輩は少し驚いたような顔をしていた。


    「玄関開けたら、いきなり飛び出していったのよ。さ、おいで。」


    可憐は、そっと子猫を先輩に渡した。


    「寒かったでしょう。家に入って休んでいって。」


    奈子先輩は子猫を抱えて、にっこり微笑んだ。


    奈子先輩の家に入ると、暖房がきいててとても暖かい。


    「そこのハンガー勝手に使ってて。今お茶入れるから」


    ふとテーブルを見ると、飲みかけの紅茶の入ったカップが二つ。

    多分、楓と先輩が使ったものだろう。。


    「さっき、楓と会いました・・・。」


    「そう。」


    奈子先輩は、それ以上何も言わなかった。


    「さ、温かいほうじ茶。」


    「ありがとうございます。」


    可憐は、コートをハンガーにかけて、温かいほうじ茶を飲んだ。

    身体が、冷え切っていて、ほうじ茶が、口から喉、そして食道を通っていく

    のがわかる。


    「で・・・。今日はどうしたのかな?」

    奈子先輩は、子猫を膝に抱きながら、可憐の顔を覗き込んだ。


    「楓から、聞きました。。楓、先輩のこと…」


    奈子先輩は笑って答えた。

    「あっは。あの子おしゃべりねぇ。でも、言っとくけど、何もないわよ。

    楓ちゃんとは」


    「あの…」


    「何?」

    不思議そうな顔で、奈子先輩は、可憐の顔を見た。


    「あの…。やっぱりやめときます。」


    「何?気持ち悪いじゃない、言ってよ。可憐」


    「先輩の過去の話…」


    「楓ちゃんから聞いたのね。聞きたい?」


    「・・・」


    奈子先輩は、子猫を撫でながら静かに話しはじめた。
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■14151 / 1階層)  25
□投稿者/ 雅 一般♪(26回)-(2006/04/07(Fri) 08:30:31)
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    あれは・・・

    高校2年の冬季講習。


    「奈子。今日は急ぎだから、先出るね。」


    「うん。じゃ、また明日」


    受験を控えて、仕方ない。。

    そう思いながらも、

    何か、心に虚しさを感じてた。


    「ほら、これ。落し物」


    肩をポンと叩かれ振り向くと、

    私の手袋を持った

    ロングヘアの可愛い、女の子。


    「あ、ありがとう・・」


    その女の子は、手袋を手渡すと、にっこりと微笑んで

    そのまま、講習室から出て行った。


    次の日、講習が終わって、

    一緒に講習に通ってる友達と、駅前のクレープ屋に寄った。


    「ね、奈子さ、最近中山君と、連絡とってるの?」


    「ううん・・・忙しいしね。」


    「中山君も、奈子も、国公立目指してるんだもんなぁ。恋愛どころじゃない

    か・・。私には無理かな。そんな風に割り切ちゃうって。」


    奈子は、フフと笑った。



    ほんとは・・・


    「2年の冬までの期限付きで付き合わない?」


    ずっと好きだった中山君・・。

    だから、OKした。


    この1年間、とっても楽しかったし本当に好きでいてくれてるって実感もあった。


    初めて、男性を知ったのも彼。


    終業式のあの日まで・・

    すっかり忘れちゃってたのよね。。


    期限付きだったってこと。


    「今日で終わりにしよう。冬季講習とかで忙しくなるし。明日からはお互い

    別々で頑張ろう。」


    にっこりと笑いながら、終業式の後のデートで言われた言葉。。

    正直・・・かなりショックだった。


    でも

    そんなこと、人に言って聞いてもらっても

    かえって、自分を傷つけるだけ。


    だから、誰にも言わなかった。


    クレープ屋を出て、家に帰る途中

    電車の窓から外を見ていたら、いきなり雪が降ってきた。


    大きなぼたん雪。

    あっという間に辺りが雪景色に変わっていく。


    駅を降りて、家へ帰るまで5分。


    どてっ。

    「キャー!!」


    奈子は、鉄板の敷いてある所で、いきなり足が滑った。


    「痛っ。」


    足を挫いたのか、足首に激痛が走った。


    「大丈夫?」

    通りすがりの、バイクに乗った女性が、声をかけてくれた。


    バイクを降りて、フルフェイスのヘルメットを取ったその女性・・・


    「あっ。」

    昨日、手袋ひろってくれた、あの子。


    「大丈夫?立ち上がれる?」


    「うん。ちょっと痛いけど、何とかなる。」


    「家この近く?」


    「うん。。あそこに見えてる茶色の屋根の家。」


    結局、雪で危ないからと、その子に肩を借りて、家まで連れて帰ってもらう羽目と

    なった。


    「ほんと助かった。ありがとう。」


    「うん。構わないよ。」


    そういって、彼女はにっこりと微笑んだ。


    「もし時間あるんなら、お茶でも入れるよ。家誰もいないし。」


    「そ?じゃ、熱いコーヒーでもいただいて帰ろうかなぁ。バイクまわしてくるわ」


    それが、彼女との出会いだった。
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□投稿者/ 雅 一般♪(27回)-(2006/04/07(Fri) 08:31:11)
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    「どうぞ。インスタントだけど」

    奈子が、コーヒーカップを差し出した。


    「あ、ちゃんとシップしといたほうがいいよ」

    熱いコーヒーを一口飲んで、その子は言った。


    まだ少し痛むが、滑った直後よりはずいぶん痛みも楽になってきていた。

    物置から薬箱を出して、シップを取り出すと

    その子は、


    「巻いてあげるから、私、結構上手だよ。フフ」

    綺麗なロングヘアを左手でかき上げながら笑った。


    「そうだ、私、小出 椿。椿でいいよ。古臭い名前でしょ?」

    奈子の右足首にシップを巻きながら、言った。


    「私は、友永 奈子。奈子って皆呼んでる。」


    「そうなんだ。奈子も、鉄板の上とか滑りやすいから、気をつけないとダメだ

    よ。はい。できあがり。」


    ほんと、手馴れた感じで、綺麗に包帯が巻けている。


    「上手だね。看護婦さんみたい。」


    「ハハハ。父母ともに医者でね。こういうのは子供の時からの見様見真似。」


    椿は、少し照れながら、髪をかき上げて言った。


    「も、もしかして、すぐそこの、小出病院の娘なの?」


    「うん。そうだよ。ちょっと呼ばれて、病院に行った帰り通りがかったの」


    「そうだったんだぁ。」


    小出病院は、奈子も子供の時からかかりつけで、よく親に連れていかれてた。


    「じゃ、椿はやっぱり医学部志望なの?」


    「ん。人間じゃなくて、動物の方を目指してるんだけどね」


    色々、塾の話や、志望校のこと・・・

    暫く、二人で話しをした。


    椿は、とっても話しやすくて、

    他の学校の子だったということもあってか、素直に話せた。


    「彼氏とかいないの?」


    奈子はその質問に少し躊躇したけど、今まで誰にも話せなかったこともあって

    まるで、機関銃のように、泣きながら椿に話した。

    椿は、その話っぷりに少しびっくりした表情だったけれど

    黙って、話を聞いてくれた。


    「私だったら・・・奈子にそんな傷つけるような事しないけどなぁ」


    椿は、そう言って、優しく肩を抱いてくれた。

    奈子は、椿の胸の中で泣いた。


    今まで布団の中で、一人で泣いていたけど

    泣ける場所があるという安堵感を

    奈子は、その時初めて知ったのだった。


    奈子が、そっと顔をあげると

    椿が優しい目で微笑んでいた。


    そして、

    そっと軽くだけど

    奈子の唇に、キスした。


    奈子は、びっくりした。

    女性にキスされたのは初めてだった。


    でも・・・

    不思議と、全然イヤじゃなかった。


    それから椿とは、

    塾で少し話す程度で、冬季講習が終わると、塾に椿の姿はなかった。


    多分、冬季講習だけを、この塾で受講したにすぎなかったんだろう。


    少し寂しい気がしたけれど、

    それからの受験勉強で、その記憶もどんどんと遠のいていった。
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□投稿者/ 雅 一般♪(28回)-(2006/04/07(Fri) 08:31:54)
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    それから・・。4年。

    結局、某私大の推薦で大学に入学して、

    それまでの受験勉強からの開放感で、大学生活は遊びまくった。

    背も高いし、回りから担がれて、

    1年の時、ミスコンなるものに出場させられ、優勝してからというもの

    モデル事務所に所属したりして、

    お金もだけど、男にも不自由しなかった。


    レースクイーンにも事務所からの薦めで応募したら

    あっさりと優勝。


    ちょうど、その後、昔振られた、中山くんと同窓会で顔を合わせた。


    「レースクイーンやってるんだって?驚いたよ。」



    その日・・

    別に、今そんな気持ちとかじゃなかったけど

    懐かしい気持ちだけで

    中山君と、ベッドインした。


    「すっかり、ベッドテクニックもお手のものだね」


    フフと奈子は、鼻で笑った。


    そういうアンタは最低よ?

    彼女いる癖に

    女一人、イカすこともできないなんて。


    あの頃の私は、

    少し、イヤなタイプの高慢チキだったかも知れない。


    4回生になった時、就職活動で回りの話はもちきりだった。

    奈子は、モデル業のほうも、結構忙しくしてたので

    余り、実感はなかった。

    両親からも、そんな仕事は若いときだけなんだからと

    普通の就職を勧められていた。


    そんなある日、モデル事務所からの紹介で、

    あるホテルで、プロダクション関係の人と食事をした。


    その日は、そんなに飲んでなかったのに

    急に足がふらついて、一人で立てない状況だった。


    「上に部屋をとってあるから、そこで少し休んで帰りなさい。」


    その人に、抱えられるように、ホテルの部屋へと連れていかれた。

    はめられた。。

    心の中で、奈子は思った。


    案の定・・

    ホテルの部屋で、その人に抱かれた。


    「君・・今度のN社のCMの仕事してみないか?」


    ベッドで、その人が言った。

    この人に取り入れば、きっと大きな仕事がまわってくる・・

    だから、事務所も、私に紹介してくれたに違いない。


    ふとその時・・・

    自分のやってることが、単なる娼婦に見えた。


    「今日、何か私に飲ませました?」


    「どうしても君を手にいれたかったから、少しウォッカの量を多くしても

    らった。」


    どうりで、足がふら付いたわけだ。

    やっぱり見知らぬ人と、カクテルなんて飲むものじゃない。


    帰り際、

    「正式には、来週に事務所通じて、CMの件依頼入ると思うから。楽しみにしてなさ

    い」


    そう言って、その人は去っていった。

    結構、いい男だったな。フフ。
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□投稿者/ 雅 一般♪(30回)-(2006/04/07(Fri) 08:36:13)
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    その日・・・

    何となく、自分が売春でもしたような・・

    とても虚しい気分がした。


    抱かれることは、別に初めてでもない。

    でも・・

    自分が望んだ上で、抱かれた訳ではなかったから

    こんな、気持ちになるんだろうか・・。


    奈子は、服を着て、ホテルの部屋を出た。


    ホテルのエレベーターボタンを押した。

    少し酔ってはいるけど、もう大丈夫だ。


    エレベーター扉が開いた瞬間

    「あっ!」


    二人ともが、指差しあって、叫んだ。


    それが、椿との再会だった。


    「奈子ちゃんだったよね。元気?びっくりしたよ」


    「うん。椿ちゃんこそ元気?」


    椿の笑顔は、全く変わっていなかった。

    お化粧もしてるし、少し大人っぽくはなっているけど。


    「どうしたの?こんなとこで。」

    奈子は、少し躊躇したが、仕事、とだけ答えた。


    「椿ちゃんは?」


    「うん。知り合いが、ここに泊まる予定だったんだけど。急に、帰ることになっち

    ゃって。だから、私一人、ここへ泊まっちゃおうかと思ってね。もったいない

    し。」


    笑いながら、髪をかきあげる椿を見た時、

    懐かしいなぁと思った。

    癖も変わってない。


    「時間あるなら、部屋にくる?」


    「うん。」


    何だか、ほっとしたようなそんな気分がした。

    部屋に入ると、さっき抱かれた部屋と、同じ作り。


    「奈子さ・・・。また何かヤな事あるんでしょ?」


    奈子はびっくりした。

    それは図星だったから。


    「さ、前みたいに話しちゃっていいよ。」


    椿の笑顔を見たとたん・・

    何が悲しいのか、自分でもわからないけど

    涙がいっぱい溢れてきて、止まらなかった。


    椿は、そっと奈子をベッドへ腰掛させて、隣に座ってそっと肩を抱いた。

    奈子は、昔みたいに、話さなかったけど

    ただ、そっと傍にいてくれている椿の温かさが

    身にしみて嬉しかった。


    椿もそれ以上、何も聞かなかった。

    多分・・・

    言いたくないことなんだろうと、察してくれたのだろう。


    少し落ち着いてきた時、

    椿は、そっと立ち上がって、紅茶を入れてくれた。

    ホテルのティーバックだったけど、

    温かくて、とっても美味しかった。


    「今日、泊まっていかない?良かったらだけど。私もちょっと色々あってさ。

    傍にいてくれてると嬉しいんだけど。」


    そんな経緯で、その日、二人でそのホテルで過ごすこととなった。
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□投稿者/ 雅 一般♪(31回)-(2006/04/07(Fri) 08:36:55)
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    これ使っていいよ。

    1つづつしかない備え付けの浴衣とバスローブ。

    何となく、奈子は、バスローブを手にとった。

    シャワーを使って、何となくすっきりした。


    ふと・・・

    数年前の、あの柔らかい優しいキスを思い出した。

    女の子とした初めてのキス。。


    奈子と入れ替わりで入った椿は、残った方の浴衣をまとい、

    気持ちよさそうな清々しい顔で、バスルームから出てきた。


    「はぁ、すっきりした」


    冷蔵庫から、おもむろにミネラルウォーターを取り出し、

    1本を備え付けのコップに入れて、奈子に差し出した。

    椿は、喉を鳴らせながら、一気にゴクゴクと飲み干した。


    「今日人が泊まる予定だってってのね、あれ嘘なんだ」


    「え?」

    奈子は、さっぱり椿の言っている意味がわからなかった。


    「ちょっと疲れちゃってさ。少し頭休めにここ予約してたの。

    いつも、疲れがたまると、ここに泊まるの。

    ほら、すごく夜景が綺麗に見えるでしょ?」


    そういって、椿はカーテンをあけた。

    最上階に近いこの部屋からの眺めは確かに素晴らしい。

    でも、奈子はそれよりも、椿の行動に興味があった。


    「で、椿はやっぱり獣医学科に進んだの?」

    椿は、無言だった。

    どうやら少し事情があるらしい。


    「何かあった?」


    「ん・・・」


    ちょっと考えるようして、俯き加減に椿は言った。


    「辞めちゃったの。大学。」


    「えっ?」

    奈子は、少し驚いた。


    「ちょっと問題起こしちゃってさ、いれなくなったんだ。学校に。」


    「何があったの?イヤなら話さないでいいけど・・」


    椿は、奈子の方を見て、苦し紛れな顔でにこっと微笑んだ。


    「私、先生を殺しちゃったんだ。」


    奈子は絶句した。

    頭の中が混乱して、次の言葉がでてこなかった。


    「大学に入学して、講師の先生だったんだけどね。。

    お互いに、何処となく惹かれあって、付き合いだしたんだけど。

    ほんと、一緒にいれる時間が楽しくて、そして愛おしかった。

    年上だなんて、ちっとも感じさせない可愛い人でさ。

    私の運転するバイクの後ろに乗るのが好きで、よく走ったの。

    ・・・でもね・・・」


    椿は、言葉が詰まった。

    目には、うっすらと涙が光っていた。


    「私の悪ふざけ・・で。。掴まっていた・・・はずの手が。。」


    椿は、それ以上何も言えなくなっていた。

    奈子は、その先は、聞かなくても理解できた。


    奈子は、そっと、椿を抱きしめた。


    「もういいよ。椿・・・」
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■14156 / 1階層)  30
□投稿者/ 雅 一般♪(32回)-(2006/04/07(Fri) 08:37:33)
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    それから・・・

    二人は、自然な形でベッドを共にした。

    それは

    とても、とても悲しくて

    虚しいそれまでの自分自身をなだめるかのように・・・


    ただ、それだけのための

    激しく、悲しい愛撫だった。


    でも、奈子にとっても、

    さっきまでの意思とは関係ない、男とのベッドの記憶が

    激しい愛撫で、頭が真っ白になって

    どんどんかき消されていくのが

    心地よかった。



    「ごめん・・・」

    椿は呟いた。


    「ね、椿の好きだった人って、女の人だったの?」


    椿は、静かにうなづいた。

    椿は、好きになった人はいつも女性だったらしい。


    「私、女の人に抱かれたの初めてだよ。」

    奈子は、少し微笑んで、椿に言った。


    椿は、それについては、何も言わなかった。


    「あの時さ・・・何でキスしたの?」

    奈子の質問に、天井を見ながら、椿が答えた。


    「可愛いって思ったから。」



    その日から・・・

    二人でたまに会うようになった。

    いつも連絡は、椿からだけだったけど・・


    何故なら・・・

    椿の連絡先は、わからなかったから。



    「奈子、最近少し変わったね」

    大学の友達たちに言われた言葉。


    自分では余り気づいていなかったけど、

    椿と会うようになってからというもの、椿以外の人に身体を許す事はなかった。


    モデル事務所から以来されたCMの依頼も

    あの忌まわしいことでの代償なだけ・・

    だからその仕事は断った。


    「もったいないよ。こんなチャンスなかなかないよ。」

    事務所の社長に散々いわれたけど、

    断固として、意思を曲げることはしなかった。


    就職活動も真面目にした。

    幸い、今の会社に内定をもらった。

    両親も、そのことをとても喜んだ。


    椿はといと・・

    後でわかったことだけど、親の経営する病院の事務局で働いていた。


    あの事故のことで、学校でかなりの噂になり、

    両親にも、セクシャリティがばれてしまったらしい。


    当初、両親もかなり傷ついている娘の心中を察して、その話に触れないでいたら

    しいが、早く結婚させたほうが、娘のためだと、落ち着いた頃には

    見合い話を何度となく持ってきた。

    その度に、言い争いが絶えないらしく、

    それに疲れた時、度々、家を抜け出して、あのホテルで過ごしていると

    いうことだった。


    連絡先も教えてくれなかったのは・・

    両親の目が相当厳しいらしく、奈子に迷惑をかけたくないという椿の配慮だった

    のだった。
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□投稿者/ 雅 一般♪(33回)-(2006/04/07(Fri) 08:57:54)
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    大学の卒業式も終わり・・

    社会人1年生になった時、二人の関係もすっかりと定着したもの

    となっていた。

    でも、奈子の中では、その定着した関係が、どういう関係であるのか

    とても、疑問で、それを考えると、何とも言えない不安な気持ちが芽生えだして

    いた。


    ある日・・・

    いつものようにベッドでの情事が終わって、


    「ねぇ・・私たちの関係って何なのかな?」

    奈子の言葉に、椿の返事はなかった。


    奈子の心は締め付けられるように重く苦しかった。

    この気持ちは・・


    そう・・自分の思いに、はっきり気づいた瞬間だった。


    「あのさ・・。来週の奈子の誕生日まで、その返事待ってくれる?」


    別れ際、椿はそういい残して家へ帰っていった。


    今日は特に・・・

    それぞれの家へ帰っていく瞬間がとてもいやだった。

    寂しいような、悲しいような

    何とも言えない、この気持ち・・・。


    それから1週間。

    椿からの連絡もなく・・・


    今日は、私の誕生日。

    忘れちゃってるのかな・・椿・・。


    仕事が終わって、門を出ると

    そこには、にっこりと笑った椿が立っていた。


    「お疲れ♪」

    奈子は、驚きを隠せなかった。


    「どうしたの?そんなびっくりした顔して。。」

    椿は、照れくさそうに髪をかきあげて、笑った。


    「忘れちゃったのかと思ってた・・」


    「忘れる訳ないじゃない。何いってんの?」


    椿はそう言って、奈子の頭をコツンと小突いた。


    「今日はね・・。ま、私についてきてよ。ねっ?」


    電車に乗って、数十分。

    椿は、行き先を全く教えてくれない。


    何なんだろう・・。何処に行くんだろう・・。


    駅を降りて、暫く歩くと

    マンションの前で立ち止まった。


    何も言わない椿に、黙って奈子はついて行った。


    椿が鍵を開けて、玄関から中に入ると・・

    ピンクの薔薇の飾られたテーブル。


    その上には、バースデーケーキと食器とスプーンとシャンパングラスが

    並べられてあった。


    「これ・・・」


    奈子は、びっくりして椿の顔を見た。


    「親説得して、マンション借りた。料理そんな上手じゃないから、ビーフシチュー

    しか作れなかったんだけど。」


    奈子は、とても嬉しかった。

    椿が自分のために、料理作ってくれて・・

    忘れてなかったんだ・・。


    「ねぇ。一緒に住まない?奈子。これがこないだの質問の答えだよ。」


    奈子の目から、涙が一気に零れ落ちた。


    私の気持ちに、気づいていたんだね・・。


    椿は、そっと奈子の涙を指で拭った。


    「お誕生日おめでとう。奈子。」

    そう言って、そっと奈子の唇にキスした。
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■14158 / 1階層)  32
□投稿者/ 雅 一般♪(34回)-(2006/04/07(Fri) 08:58:51)
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    その日・・

    椿の彼女なんだって実感しながらの誕生日は、

    今までのどの誕生日より、嬉しくて、そして幸せだった。


    椿の作ってくれたビーフシチューは、人参の皮が剥かれてなくて

    少しびっくりしたけど、

    一生懸命作ってくれたんだな・・って思うと

    とても微笑ましくて、くすっと笑ってしまった。


    「何?美味しくない?」

    椿が心配そうに覗き込んだ。


    「ううん。すごく美味しいよ。」


    椿は、私が食べるのを、優しい目でじっと見つめていた。


    「同棲のこと、家の人のこともあるだろうから、慌てないでいいから。

    ここでゆっくり待ってるから。」


    「うん」


    その後・・

    真新しい香りのする部屋で、二人は抱き合った。


    「また、バイクに乗ってみようかな。」

    椿は、奈子に呟いた。


    バイクという言葉は、二人の中では禁句のようになっていた。

    奈子は、驚いて、椿の顔を見た。


    「やっとさ、思い出になったの・・。今日、先生のお墓に奈子の事、報告してきた。」


    「そっか・・。」


    奈子が、うなづくと、椿は、ぎゅっと奈子を抱きしめた。


    「奈子、大好きだよ。愛してる・・。」



    奈子にとっても、椿はかけがえのない存在だった。

    あの日、椿に出会わなかったら、

    きっと

    イヤな自分のままだったかも知れない。



    それから半年が過ぎ・・

    ようやく、両親がシブシブながら、椿との同居を認めてくれた。

    もちろん、愛し合ってるとは話さずに、友達と一緒に住むということだけ

    話した。

    よく知ってる病院の娘が、同居相手だということで

    身元もしっかりしているしと、何とか両親の許可がおりたのだった。



    引越しも無事に済み・・。

    一緒に暮らしだして、初めての夜だった。


    「ねぇ・・」


    「ん?」


    「ずっと一緒にいてね・・。椿・・。」


    椿は、にっこりと微笑んで、そっと奈子を優しく抱きしめた。



    それが、二人で過ごす最後の夜となった。
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■14159 / 1階層)  33
□投稿者/ 雅 一般♪(35回)-(2006/04/07(Fri) 08:59:33)
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    奈子は、早起きして、スクランブルエッグと、サラダを用意して、

    コーヒー豆を挽いていた。


    「おはよ・・朝起きたら、部屋温めてくれる人がいるって最高。」

    椿が、寝ぼけながら、奈子の後ろから抱き付いて、頬にキスした。


    「おはよう」

    奈子は、少し照れくさい笑みを浮かべていた。


    「今日は朝から嬉しそうだね。朝食まで作ってくれてるんだ」


    奈子は、にっこりと頷いて、挽けたコーヒーを箱から取り出した。


    「いい香り・・・」

    椿は、挽きたてのコーヒに顔を近づけて、大きく息を吸い込んだ。


    「ちょっと待っててね。すぐコーヒー入れるから。」


    奈子は、何となく、新妻の気分だった。

    新婚さんってこういう感じなんだろうなって・・。


    二人で朝食を食べて、お互い仕事の行く準備をした。

    出勤は、椿の方が15分程早い。


    「じゃ、私そろそろ出るから。今日は、帰り9時くらいになるから。」


    「いってらっしゃい。気をつけてね。」


    「ほーい。」


    椿は、少し照れくさそうに、いつものように髪をかきあげて微笑んだ。


    「何か忘れてない?」


    「え?」


    奈子は、考えてみたけど、さっぱりわからなかった。


    すると椿は、ぐっと奈子を引き寄せて、


    「いってらっしゃいのキス。」


    そして、そっと奈子の唇に口づけた。


    「じゃ、行ってきまーす。」


    椿は、振り向きもしないで、走りながら手を軽く振って

    廊下を走って行った。


    奈子は、マンションの廊下から、椿がバイクに乗って出勤するのを

    見送った。


    それにしても、今日は少し冷えるな・・。

    天気も余りよくないし。

    椿帰ってくる時、雨降ってないといいけど・・。


    会社の帰り・・

    駅の裏にあるスーパーで夕食の買い物をしていた。


    何にしよっかな・・。


    そうだ・・。今日は寒いし、おでん鍋にしよう。


    色々材料を買ったけど、結構大きな荷物になった。


    寒さのせいで、荷物が余計に重たく感じる。

    余りに手が痛かったので、途中で立ち止まって荷物を置いた。


    あ・・。

    綺麗・・。


    鮮やかに咲くその花に見入っていたら、その家の玄関から老婆が出てきた。


    「綺麗でしょう?」

    にっこりと、その老婆は微笑んだ。


    「ええ。見入っちゃいました。」


    「良かったら、差し上げましょうか?私も丁度切りにきたんですよ。」


    老婆はそう言うと、花切りバサミで枝を切り出した。


    「いいんですか?ありがとうございます。」


    「お若い方なら、椿よりバラの方がお好きでしょうに。」


    椿・・・。


    「さ、早く持ってお帰りなさい。すぐ雨が来ますよ。」

    老婆は椿の枝を数本、奈子に手渡した。


    「ありがとうございます」


    奈子は老婆に深々と頭を下げ、両手一杯の荷物を下げて

    マンションへと帰宅した。
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■14160 / 1階層)  34
□投稿者/ 雅 一般♪(36回)-(2006/04/07(Fri) 09:00:12)
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    家へ帰ってすぐ、老婆に頂いた椿を花瓶に生けた。

    椿に椿か・・・フフフ。

    奈子は、テーブルに飾った鮮やかに咲く椿を

    暫く眺めていた。


    その時・・・

    いきなり窓の外から、雨の打つ音が聞こえてきた。


    やっぱ雨だ・・。


    椿が帰ってくる頃には、やむといいな。。

    風邪引いちゃう。


    すると、いきなり地響きのような、大きな雷の音が聞こえた。


    椿、今日は遅くなるって言ってたけど・・逆に良かったかも。

    まともに帰ってきてたら、今頃ズブ濡れだわ。


    時計を見ると、午後6時半をまわった所だった。


    その時、花瓶に生けた椿の花が1つ

    ボロッと落ちた。


    こんなに綺麗に咲いてて、まだ枯れてもいないのに

    ボロっと取れちゃうんだね・・。この花。

    奈子は、その落ちた花を片付けて、夕食の仕度を始めた。


    午後9時。そろそろ椿の帰ってくる時間・・。

    さっきまでの雨はすっかりやんでいた。

    奈子は、おでん鍋を温めて椿の帰りを待った。


    午後9時半・・。

    遅いな・・。仕事長引いてるのかな。


    午後11時。

    もうっ遅い・・。

    こんなに遅くなるなら、連絡くらい入れてくれたっていいのに。


    そうしているうちに、奈子は転寝してしまっていた。

    時計を見ると、午前1時をまわっていた。


    どうしたんだろ・・椿。

    何だか変な胸騒ぎがした。

    連絡とってみようかな・・。椿怒るかな。


    やっぱり、病院に電話してみよう。。


    番号案内で小出病院の番号を調べ、電話入れてみた。


    「あの・・友永と申しますが、小出 椿さん、まだそちらにいらっしゃいます

    か?」


    夜診救急受付の人らしき人が、何やら口ごもった感じで言った。


    「お知り合いの方でしょうか?」


    「はい・・。」


    「私の方では、詳しい事は答えかねますが・・。」


    「はい?どういう事なのでしょうか?同居しているものなのですが、帰りが

    遅いので、仕事中ご迷惑かと思ったのですが、電話させていただいたのです。」


    「そうですか。そういうご事情なら・・。」


    「えっ?」

    次の瞬間、奈子は自分の耳を疑った。


    「もう1度、聞こえにくいのですが、もう1度おしゃってください」


    「椿さんは・・・お亡くなりになりました。」



    ・・・・・

    つ・・・・

    ・・・・・

    椿が・・・

    ・・・・・


    死んだ・・。




    奈子は、そのまま何も言わず、電話を切った。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14161 / 1階層)  35
□投稿者/ 雅 一般♪(37回)-(2006/04/07(Fri) 09:00:46)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    奈子は、呆然と電話の前で座り込んだ。

    その時、玄関のインターホンが鳴った。


    「椿・・!」


    奈子は、走って玄関の鍵をあけ扉を開けた。


    そこには、椿ではなく、見たこともない中年男性が立っていた。


    「奈子さまでいらっしゃいますね?私、高瀬というものです。

    急ぎのご連絡と、お渡ししたいものがございまして参りました」


    「・・・・」


    「奈子さま・・落ち着いて、聞いてください。実は、お嬢様は、午後6時29分

    事故のため、お亡くなりになりました。

    昨日、お嬢様から、もし自分に万が一があった時は、奈子さまに必ず連絡する

    ようにと・・。それと、このお手紙を渡してほしいとお預かりいたしておりま

    した。」


    その男性は、奈子に封筒とメモを手渡した。


    「奈子さま、葬儀のご予定は、メモに書いてあります。では私、すぐ戻らねばなり

    ませんので、失礼いたします・・」


    深々と頭を下げて、その男性は静かに扉を閉めた。


    奈子は、今起こっている現実を、まだ信じられずにいた。

    でも・・

    これが現実。。


    これ・・が・・


    げ・・ん・・・じ・・つ・・




    たった一人残された部屋のテーブルには、

    ニ客の色違いのお茶碗とお皿とお箸・・


    そして・・

    その中央に置かれた花瓶には

    椿の花が咲いていた。



    ひっそりと、ただ静かに・・。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14162 / 1階層)  36
□投稿者/ 雅 一般♪(38回)-(2006/04/07(Fri) 09:01:21)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    メモに書かれた葬儀に参列したことは覚えているけど…


    その日の記憶といえば・・


    沢山の病院関係者らしい人々の群れ、そして

    大きな祭壇に飾られた、椿の写真





    共に生きていこうとした人の

    亡骸に手を触れることも許されず


    現実かどうかもわからないままに


    ただ呆然と


    進んでいく読経。




    たった一言・・・


    冷たくてもいいから


    そっと肌に触れて




    さよならって

    ありがとうって


    どうして

    何も言わずに逝っちゃったのよって


    叫びたかった・・・・・・・。



    あの日の記憶は、ただそれだけ・・。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14163 / 1階層)  37
□投稿者/ 雅 一般♪(39回)-(2006/04/07(Fri) 09:01:55)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    1週間後・・・


    手紙を届けてくれたあの男性が、部屋を訪ねてきた。


    「少しお痩せになりましたね。」


    奈子は腫上がった瞼を閉じ、ただ黙っていた。


    「今日は、ここの部屋の事で参りました。院長から、荷物を片付けて引き払うよう

    にと言われまして・・」


    奈子のバッと重い瞼が開いた。


    愛する人がいなくなったというのに、ただ悲しむ時間でさえ与えてはくれないの

    か・・。


    椿・・・。



    「その件につきましては、私のほうから家主に、連絡する予定でございます。

    私どものほうで、多少の配慮はさせていただけるはず・・。

    先に、引き続き奈子さまがここにお住みになるのかどうか・・、それを確認するた

    めに参りました。」


    「・・・そんなこと、まだ・・考えられません・・・。」


    「そうですか・・・」


    その男性は少し困った顔をして考えている様子だった。


    「では、今月の末にもう一度、ここへ参りますので、それまでにどうされるのか

    決めておいてください。」


    玄関を出る時、その男性が言った。


    「お嬢様からの封書、お読みになりましたか?」


    「・・まだ・・読んでません・・」


    「何かお書きになっているはずです。万が一の時にと、おしゃっていましたの

    で。」


    男性は、深々と頭を下げ、玄関の扉を閉めた。



    椿のいなくなったこの部屋で

    私は・・




    奈子は、開けられずにいた封書を手に取った。




    貴女の・・


    最初で最後の手紙・・・



    そして、最期のメッセージ・・



    開けれずにいたけど・・



    聞かせて。。


    貴女が何を望んでるのか・・。



    私、今


    何も決めれないよ・・・。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14164 / 1階層)  38
□投稿者/ 雅 一般♪(40回)-(2006/04/07(Fri) 09:02:35)
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    奈子へ


    これを読んでいるということは、もう、この世で、奈子に自分の言葉で伝えること

    ができなくなってるんだろうな・・。


    明日から、一緒に暮らすことになって

    ちゃんと書いておかなければ・・って思ってね。

    じゃないと、多分、余計辛い思いすると思ったから。


    前にも話したけど、先生を亡くしてしまった時、

    あんなに愛し合っていたけれど、最期の時、手を握ってあげることさえ

    できなかった。


    私も、まだ両親に奈子のこと話せてないんだけど、今話しても、多分

    また見合いどうのって、引き離そうとするに決まってるから。

    だからさ、二人で歳を重ねて、いつか認めてくれるように

    ゆっくりと話していこうって思ってる。


    奈子にも、それは一緒に暮らしだしたら、話そうって決めてることなんだけどね。


    これを読んでいるってことは、きっと

    まだそれが叶ってない・・・。


    多分、私が急にいなくなって

    どうしていいのか、わかんなくて、きっと泣いてるんだろうな・・。


    泣きたいだけ、泣いて(笑)


    こんな事、いったら怒るかも知れないけど、

    辛い時さ、涙堪えるくらい、辛いもんないから。

    だから、一杯泣いていいよ。


    でも、これだけは分かっててほしい・・。

    ほんと、奈子と一緒時間を過ごす事ができたこと・・

    とても感謝してる。


    だからこそ、

    奈子には幸せになってほしいの。


    いつか、必ず、私が過去に変わる時がくる。

    人間ってうまくできてるよ。

    時間は、必ず過去に変えてくれるから。


    遠くからだけど、その日を心待ちにしてると思う。

    だってさ、悲しいよ?好きな人が悲しんでる姿見てるのってさ。


    これからの出会いの中で、

    奈子が心を許せる誰かができた時、私も遠くで笑ってる・・。

    奈子の笑顔が大好きだから。


    その日が来る事、いつまでも見守っているから。


    一人で泣いてるかもしんないけど、一人じゃないから。

    奈子が泣いてる時、必ず傍でいてるから。

    多分、見えてないかも知れないけど(笑)


    現実に、傍にいてくれる誰かが現れるまで、傍にいるつもり(笑)


    その日が来ること、待ってるから・・・。


    こないだ、ふと考えて、マンション借りるの私の名義になってたからさ

    一応、家主さんには、こないだ、話してあるんだ。

    女の子なら・・ってことで、了解は得てある。


    でも、私としては・・

    引き払ってほしいってのが本音。


    でないと、いつまでも思い出が残ってしまうから。

    思い出は、心の中だけにしまっておいてほしいの。

    一歩一歩でいいから・・

    少しづつ前に歩いていってほしいから。


    何てひどいこと言うんだって、奈子の怒る顔が目に浮かぶけど(笑)


    あとは、奈子の好きにすればいい。


    それと・・

    奈子に秘密の小箱をあげよう(笑)

    ってたいしたもんじゃないけど、それ受け取ってほしい。


    押入れの奥に、私の衣装ケースがある。

    そこに、お菓子の缶が1つ埋もれてるから。

    それ、あげる(笑)


    結局たいした事、書いてないね(笑)今読み返してみたけど。

    もっと、こましな事書けって、怒って読んでるかな?(笑)



    ま、この手紙は、信頼できる人に預けるつもりだから、その人が色々と配慮してく

    れて、私に何かあった時は、連絡してもらうように、頼むつもり。


    これからの人生、

    奈子が幸せになれますように・・。


    ほんと、幸せな時間を・・

    ありがと。


    椿
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14165 / 1階層)  39
□投稿者/ 雅 一般♪(41回)-(2006/04/07(Fri) 09:03:12)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「お辛かったでしょうね・・・」

    可憐がそういうと奈子は、にっこりと微笑んだ。


    「確かに辛すぎた。でもね・・時間って不思議よ。ゆっくりと思い出に変えてく

    れるわ・・」


    「で、そのお菓子の缶には、何が入ってたんですか?」


    「実はね・・まだ開けてないの・・」


    少し俯き加減に言う奈子先輩は、少し寂しそうな顔をしていた。


    それから奈子先輩は、にっこり微笑んだけど・・

    無理してるのが、すごくわかった。


    可憐は、今も箱を開けれない奈子先輩の気持ちが少し分かるような

    気がした。


    この人を・・暖めてあげたい・・。

    そう思った


    でも・・・



    それと同時に、すごく可憐の胸が痛んだ。


    だって・・

    私では、きっと奈子先輩の心を占める事は難しいって事に気づいてしまったから。


    奈子先輩の全てが知りたくて

    聞きたかった過去・・


    暖めてあげたいって思った・・

    それは本当・・。


    でも・・


    聞かなかったほうが


    何も知らなかったほうが・・



    私には

    幸せだったかも知れない。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14166 / 1階層)  40
□投稿者/ 雅 一般♪(42回)-(2006/04/07(Fri) 09:03:44)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    その日、可憐は奈子先輩の家に泊まった。

    家には、奈子先輩が電話を入れてくれた。

    幸い雪がひどかったので、それを理由に奈子先輩は母にうまく話してくれた。

    母も、奈子先輩なら安心なのか、余りご迷惑かからないようにね

    とだけ言って機嫌よく了承してくれた。


    その夜、可憐は、自分から奈子先輩を求めた。

    奈子先輩は少し驚いた様子だったけれど、優しく可憐を受け入れた。


    ゆっくりと奈子先輩の唇に自らの唇を合わせ

    そして、柔らかい髪に指を滑らせた。


    奈子先輩の細い腕が、可憐の首筋に絡みついた。


    温かい・・

    今この人は・・私の腕の中にいる


    でも・・

    この人の心の中には


    心の中には・・・


    そんな事が、こうやって貴女を感じさせていても

    よぎってくる


    すごく悲しくて・・そして寂しくて・・


    貴女の乱れる髪と、恍惚に浸った顔、腰をくねらせながらの喘ぎ・・


    そして

    流れ出す蜜を舌と指で確認しながら・・・


    「ハァハァ、可憐・・・アァァッ、ンアァァァァァ」


    立ち込める・・

    二人の汗と、体液の香り・・



    貴女の中から、私以外の全てを忘れさせたい



    今は・・

    今だけは・・・


    私だけのもの


    今だけは、誰も見ないで・・・

    私だけを感じて・・


    ねぇ・・先輩・・
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14167 / 1階層)  41
□投稿者/ 雅 一般♪(43回)-(2006/04/07(Fri) 09:04:21)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    そのあと・・・

    奈子先輩の寝息が聞こえてきた・・


    ぼんやりと周囲を照らしたままのライトに手を伸ばすと

    奈子先輩は、寝返りを打って可憐の胸に顔を埋めた。


    きっと今まで寂しかったんだろう。

    今まで、この美貌でならいくらでも男性からの誘いもあったに違いない。


    じっと奈子先輩の顔を見つめていると、閉じた目尻に涙らしきものが溜まって

    いるのが見えた。


    何の涙?

    椿さんのこと・・思い出したから?


    可憐はそっと奈子先輩の乱れた髪をそっと撫でた。


    「ン・・・可憐・・・」


    薄っすらと奈子先輩の目が開いた。


    「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」


    「ううん・・・眠れない?」


    奈子先輩は、ベッドから起き上がって素肌の上にガウンを羽織った。

    冷蔵庫から、ミネラルウォーターの瓶を持ってきて、喉を鳴らしながら半分を一気

    に飲んだ。


    「飲む?」


    奈子先輩はそういうと一口含んで、可憐の唇を塞ぎ、そっと流し込んだ。

    まだ冷たさの残った水が、唇の端から流れ、可憐の胸を伝った。

    伝った水の感触と奈子先輩の色っぽさが相乗して、妙にエロティックさを感じた。


    奈子先輩は、それを敏感に感じとったのか、薄暗いの中

    可憐の唇の端から、水の伝った跡をゆっくりと人差し指でなぞった。


    「アッ…」


    その人差し指は、可憐の乳首の際を微妙にかすりながら、可憐の身体を

    甘い刺激として反応させた。


    「可憐・・・。可愛い。」


    肌蹴たガウンから奈子先輩の綺麗な形の胸が、薄暗い中でも強調されて見えた。


    可憐は、奈子先輩を見つめた。そして、ゆっくりと奈子先輩に誘導されるが

    ままに、ベッドへ横たわった。


    奈子先輩の温かい舌は、可憐の全身をくまなく這って、可憐の一番敏感な

    既に濡れそぼっている股間の谷間を押し開き、そこを口に含んだ。


    可憐の身体は、電流が流れたように反り返り、部屋中に響き渡るような

    快楽の恍惚の叫びがこだました。


    「可憐、大好き・・大好きよ」


    溢れ出る蜜壺に生暖かな指を差し入れ、その奥をまるで生き物が動いているような

    手つきで快感の絶頂へと導いた。

    奈子先輩の唇は、片時も敏感に大きく腫上がった突起から離れることはなかった。

    蠢く舌先・・・


    「アァッァァ、ハァ、アァァァアーン、もうダメェェ」


    ベッドのシーツを鷲掴みながら、可憐は恍惚の絶頂を迎えたのだった。



    「可憐・・貴女は・・貴女だけは絶対に、私から離れないで・・」


    奈子先輩は、そう言って可憐の唇にキスした。

    その唇は、ほんの微かだったが、震えているように感じた。


    愛してる・・

    奈子先輩・・・。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14168 / 1階層)  42
□投稿者/ 雅 一般♪(44回)-(2006/04/07(Fri) 09:04:53)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    会社での奈子先輩は、やはり私になんて手の届くはずのない人で

    いつも颯爽と歩く姿は、余りにも凛として


    この人にとって、私が本当に必要かどうか・・・


    それでさえも分からなく自分がいた。



    それから数ケ月の時がたち・・


    人事異動の時期。

    会社内では、誰がどこに飛ばされるとか、そんな話題で持ちきりだった。



    「何か、海外から、すっごいエリート帰ってくるかも知れないんだって」


    楓が、仕入れたその情報は、現実のものとなった。




    『小島 司』


    ミルウォーキー帰りのスーパーエリート、性別は男。歳は、30代前半ってとこだろ

    うか。噂によるとまだ独身らしい。

    髪は短く、背が高くてスラッと長い脚、ほりの深い顔は、日本人離れしている。

    入社3年目にして、ミルウォーキーの支店に営業として抜擢され渡米。

    幼少の頃から、英会話にはたけているらしく、はっきりと物を言う性格と、

    目覚しい営業成績。

    社長のお墨付きという新しい営業本部長・・・


    何と秘書に、奈子先輩を指名したらしく、来月から、奈子先輩は秘書室に異動とい

    う発表があった。


    「すごいよね〜。さすが奈子先輩。秘書室行きか〜」


    楓は、その発表を聞いて、かなり興奮状態だった。

    可憐の心中は、少し複雑だった。


    一番近くにいるのに、

    一番遠い存在。。


    奈子先輩の過去を知ってからというもの、その気持ちがどこか見え隠れして・・


    ますます遠い存在になりそうな

    そんなイヤな予感が、可憐の胸をよぎった。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14169 / 1階層)  43
□投稿者/ 雅 一般♪(45回)-(2006/04/07(Fri) 09:06:01)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「はぁ、何で私なのかしら・・。あの本部長、さっぱり分からないわ。」


    奈子先輩は、ベッドで肘をつきながら、可憐に呟いた。


    「仕事できるから。皆そういってるよ。」


    奈子先輩は、すこし沈んだ声の可憐に気づいてか、にこっと笑いながら、

    可憐の鼻をつまんだ。


    「んっ!」


    奈子先輩は、苦しくて横を向く可憐を抱き寄せ、そのまま可憐の唇を塞いだ。



    「な〜に?心配でもしてんの?」


    ニヤリと笑って耳元で囁きながら、その右手は、可憐の太股を妖しい手つきで

    撫であげていく。


    奈子先輩の唇が、可憐の腹部を這う頃には、可憐の蜜壺から溢れんばかりの

    蜜が流れ出していた。


    「もう・・可憐ったら。こんなに溢れて・・」


    奈子先輩に見つめられてると思うと、それだけで溢れてくる。


    奈子先輩の唇や舌の感触は、可憐の身体に刻み込まれていて、

    それらに犯される前に、敏感に身体が反応してしまうのだった。


    「アァァァッ」


    溶けそうになる・・身体の奥から・・

    朦朧とする意識の中で


    激しい愛撫の音が、耳を刺激して

    身体の奥に感じる貴女の蠢く指の温かさ・・


    私だけのもの・・



    そう



    私だけのもの・・・。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14171 / 1階層)  44
□投稿者/ 雅 一般♪(48回)-(2006/04/07(Fri) 09:10:35)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    奈子先輩が秘書室に異動になったその日



    いつものように楓と待ち合わせて、食堂へと向かった。



    「可憐。ほらっ、奈子先輩と、小島本部長よっ!」



    楓が指差す方を見ると、既に食事を済ませて、コーヒーを飲んでいる二人の姿があった。



    何となく・・

    見てて、気分のいいものじゃない。



    私、妬いてる?



    「お似合いよね。。悔しいけどさ。」



    楓のその言葉が、可憐の耳に残った・・。




    お似合い・・。



    その言葉って、


    私と奈子先輩じゃ、どう間違ったって有り得ない。



    やっぱり、同性って不利・・。

    同性ってだけの問題じゃないんだけど・・・。




    食事をしている可憐の隣を、二人が通り過ぎて行った。



    奈子先輩の視線を一瞬だったけど感じたような気がした。


    でも、可憐は、振り向くこともしなかった。




    そんな時、同期の一人が言った。


    「小島本部長を結婚させるために、日本に帰したらしいよ、社長。」



    「じゃ、白羽の矢は奈子先輩ってこと?」


    楓は、身を乗り出して同期の話に耳を傾けている。



    今、何も聞きたくない・・


    その場から、立ち去りたい・・



    可憐は、ただひたすらそう思った。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14172 / 1階層)  45
□投稿者/ 雅 一般♪(49回)-(2006/04/07(Fri) 09:11:12)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「可憐?どうしたの?」


    奈子先輩の言葉で、ふっと我に返った。


    「えっ?別に何もないよ・・・」


    「最近変だよ?何か気にいらないことあるんじゃないの?はっきり言ってよ。可憐」



    最近、そんなことが度々あって、二人の関係が少しづつ歯車がかみ合わなくなっていたのは事実だった。



    奈子先輩には・・

    もしかしたらあの人のほうが幸せになるのかも知れない・・


    私が奈子先輩から離れたら、もしかしたら・・・




    そんなことが、可憐の頭の中をグルグルと周り、素直な気持ちで、

    奈子先輩と接することができなくなってしまった自分がいた。


    優しい奈子先輩の笑顔を見ていると、余計に、私はこの人の幸せの邪魔者ではないのかと・・



    奈子先輩の未だ心の奥底にある辛い思い・・


    私は思い出に変えてあげることはできるのかな?




    奈子先輩にとっては

    もしかしたら・・


    幸せな家庭を築くこと・・

    それが何よりの癒し、何よりの幸せなのかも知れない・・



    それには、私は・・




    私は・・


    邪魔・・・。




    薄い月明かりの中、物音と言えば、カチッカチッと時を刻む目覚ましと、

    隣で眠る奈子先輩の寝息だけだった。



    可憐はそっと、奈子先輩の手に自分の手を重ねて

    今ある温かみを感じていた。


    奈子先輩・・・。


    一筋の涙が、ポトっと 二人の繋いだ手に流れ落ちた。



    可憐の心の中の雨雲は

    どんどんと広がり・・



    遠くから雷雨の夜が迫ってきていることを

    二人はまだ、知らなかった。
[ 親 14126 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 14126 ] / 返信無し
■14173 / 1階層)  46
□投稿者/ 雅 ちょと常連(50回)-(2006/04/07(Fri) 09:11:48)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「可憐、おかえりなさい。今日も遅かったのね・・」


    母は、少し心配そうな顔をして、玄関まででてきてそう言った。


    「うん。最近、仕事忙しくって。」


    そういうと、可憐は、そのまま2階の自分の部屋へと駆け上がった。


    母はとても敏感だから、私が、誰かに抱かれてきたことくらい、きっと薄々感づいているに違いない。

    そう思うと、帰宅してすぐは母の顔を直視できなかった。



    服を脱いで、鏡に自分の下着姿を映してみる。


    鎖骨の際に、奈子先輩がつけたキスマークがまだはっきりと残っていた。



    本当に、奈子先輩は、私でいいのかな・・。


    そっと、そのキスマークを指で撫でながら、可憐は独り想いにふけっていた。


    可憐は、その後、そのままお風呂場へと行った。


    ゆっくりお風呂に浸かりながら、目を閉じて考えていた。



    こんなことばっかり考えてる自分が・・すごく嫌い・・。

    こんなんじゃ、本当に奈子先輩に嫌われてしまう。



    可憐は、そんな自分を消すかのように、いつも以上に泡を一杯にして、ゴシゴシと身体を洗って、綺麗に洗い流した。


    お風呂から上がると

    「可憐、ちょっと話があるんだけど」


    可憐は、母に気づかれないように平静を保って、母のいるリビングに足をむけた。


    「何?話って」


    母は、可憐の顔をじーっと見つめてこう言った。


    「ねぇ、お母さんに内緒にしてることある?お父さんに内緒でいいから、お母さんには、そろそろ話してくれてもいいんじゃないの?」


    「何言ってるの?お母さんったら。」


    可憐は、笑って母に言って、冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出し、それを一口飲んだ。


    「最近の可憐見てたら、それくらい解るわよ。

    内緒にされてるほうが、心配で心配でたまらないの。

    可憐は、まだ結婚前の娘なのよ。ちゃんとしたお付き合いをしてるの?

    最近心配なのよ・・。可憐の表情が、どことなく暗いし、何かあったんじゃないかって・・」


    母は、寝ている父に聞こえないように、コソコソと可憐に話つづけている。


    「ほんと、そんな人いないわよ。奈子先輩にお世話になってるのはお母さんにも、ちゃんと話してるじゃない。それ以上は、何もないよ。」


    母はまだ疑っているような眼差しだったけど、可憐が余りにもはっきり言うので、仕方なく引き下がった様子だった。


    本当は、言ってしまいたかった。


    その相手は、奈子先輩なの・・って。


    でも、そう正直に言えない相手であることは、前から重々承知してたことだ。


    母から疑いの目で見られ、色々勘繰るように聞いてこられると、

    同性を好きになってしまったという愚かさと、悲しさと、母への申し訳ないという気持ちで一杯になった。


    母は本当の事を知れば、何て答えるんだろう。

    きっと、ケモノを見るような目で私を見るに違いない。


    「お母さん。男の人なんて今考えられないから、心配しないで・・。」


    その言葉は嘘じゃないの・・。

    今は奈子先輩の事で、頭が一杯なの・・。

    ごめんなさい・・。


    母は、にっこり笑って頷いた。

    「じゃ、週末、奈子さんお呼びしなさい。お父さん、出張でいないし、美味しいもの作ってあげるから。

    いつもお世話になってばっかりじゃ、申し訳ないじゃない。ねっ」


    母はそう言うと、もう寝なさいよと一言言って、部屋へと戻って行った。


    可憐も、そのまま電気を消して、部屋へ戻った。

    何だか、胸の中で、変な塊がつっかえているような、そんな息苦しさを感じた夜だった。
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□投稿者/ 雅 ちょと常連(51回)-(2006/04/07(Fri) 09:12:25)
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    「週末家に泊まりに来る?母がきてもらえって」


    「そっか。でも、可憐の声聞けないのもヤだなぁ。」


    奈子先輩は、にやっと笑って、可憐を抱き寄せた。



    「アァン、さっき終わったばかりなのに・・これ以上したら・・」


    そんな可憐の言葉など、聞こえていないふりをして、
    可憐の耳元に、舌を這わせた。


    「だって、ここも・・・ほら。」


    奈子先輩のしなやかな指が、可憐の蜜の溢れる股間へと伸びていく。


    「あっ…」


    その指は完全に可憐の身体を知り尽くしていた。

    流れ出る愛液を指に絡ませ、その滑りを巧みに使って可憐を身体の芯から熱く溶かしていった。


    「アァァッ、アーン、ダメ、もう…ハァーン」


    動きを止めようとベッドに少し起き上がった可憐の股間を大きく開かせ、奈子は、すかさずそこに顔を埋めた。


    エクスタシーの大きな波が、再び可憐を襲った。




    私の股間に顔を埋め、そして私の愛液に塗れた奈子先輩・・・



    この瞬間だけは、全てを忘れて

    そして、


    この瞬間だけは・・

    何も考えないで、ただ私の愛液に塗れて


    私の喘ぎと


    私の奥深くが、熱くなってうねる波を


    感じていてほしいの・・・。



    可憐は大きく身体を仰け反らせてエクスタシーをむかえた。



    「私金曜は、ちょっと都合悪いんだ、だから、土曜の夜、可憐の家に行くよ。」



    動けなくてぐったりしている可憐の耳元で、奈子先輩はそっと、囁いた。



    「・・金曜日って、何かあるの?」



    可憐は、かすれた声で奈子先輩に聞いた。


    ちょっと一呼吸あって、奈子先輩は答えた。


    「うん。本部長と私の歓迎会。こればっかりは逃げれないからさ」


    「そう・・・」


    可憐はそのまま目を閉じて、それ以上、その話には触れなかった。
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■14175 / 1階層)  48
□投稿者/ 雅 ちょと常連(52回)-(2006/04/07(Fri) 09:13:04)
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    金曜日・・。


    可憐は、朝から気分が浮かなかった。

    今日は、奈子先輩と本部長の歓迎会。


    二人が並んで笑って食事する光景・・。


    想像したくもないのに、想像してしまう。


    ダメだ・・。こんなんじゃ。

    気分かえなきゃ。


    可憐は、そう思いながら洗面所で顔を洗った。

    ふっと、鏡に映った自分の顔を見た。

    そして、顔をパンっと叩いて、出勤の用意をした。



    その日、可憐の課は、トラブルがあって、とても忙しい一日となった。

    他の事を考える暇もないくらい、バタバタと忙しかったので

    逆に、救われたと可憐は思った。



    時計を見ると、10時をまわっていた。



    もう、奈子先輩、歓迎会に行ってるんだろうな・・・。



    可憐は、更衣室で制服を着替えて、そのまま会社を後にした。


    電車に乗って暫らくすると、奈子先輩の家の駅に停車した。


    可憐は、何も考えず、そのままホームに降りてしまった。


    少しでいいから、奈子先輩の顔見れたらいいな・・。


    そんな事考えていたら、可憐は、奈子先輩の家へと、自然に足が向いてしまっていた。


    「・・!」


    奈子先輩のマンションの前に到着した瞬間、可憐は、そっと、手前にあるゴミ置き場にしゃがむように隠れた。


    奈子先輩と、本部長・・。


    どうして、本部長がこんな所にいるの・・・・?


    どうして・・。



    どうして・・・・・。




    イヤ・・。イヤァーっ。


    可憐は、そのまま二人を見ることなく、駅に向かって走って行った。


    可憐の頭に、笑顔の奈子先輩と、本部長の後姿が、悲しいくらい鮮明に焼き付いていた。


    家へ帰ってお風呂に入った。

    髪、身体・・・。いくら洗っても、その記憶が消えることはなかった。

    それどころか、二人が愛し合う姿まで、勝手な妄想が可憐の心を痛めつけた。


    あの柔らかい髪を、透けるような白い肌も、

    そして形のいい乳房も・・。


    可憐は、その妄想をかき消すかのように、棚の中にある父のお気に入りのブランデーをグラスに並々と注ぎ


    ぐいっと一気に飲み干した。


    疲れもあったのか、数分で酔いがまわり、クラクラしてきた。


    母に見つからないように、そっとグラスを洗い、フラフラしながら、階段を登ってベッドへと滑り込んだ。


    奈子先輩・・。


    奈子・・・せんぱ・・・い・・



    可憐は、そのまま深い眠りに落ちていった。
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■14176 / 1階層)  49
□投稿者/ 雅 ちょと常連(53回)-(2006/04/07(Fri) 09:13:44)
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    「可憐、奈子さんから電話よー」

    階下からの母の声で、可憐は目が覚めた。


    時計を見ると、お昼を過ぎていた。

    可憐は、ゆっくりと1階に降りていった。



    電話に出ると、奈子先輩の声は明るかった。

    4時過ぎには、家に来るという電話だった。


    その事を母に告げ、そのまま可憐は、ベッドに戻った。


    可憐は、夕べの出来事を思い出していた。

    どんな顔して、奈子先輩に会えばいいんだろう。


    明るい電話の向こうの奈子先輩…。


    いらないこと考えないでおこう、そう可憐は思った。



    夕方、奈子先輩はケーキを買って可憐の家へとやってきた。


    「いらっしゃい。どうぞ入って。今母、お買い物にいってるの。」


    可憐は普段と変わらないように奈子先輩に振舞った。

    奈子先輩は何も気づいていない様子で、いつもと同じように、

    可憐を抱きしめて、唇にキスした。

    それから間もなく母が帰ってきた。

    母は、奈子先輩の手土産のケーキと紅茶を入れてくれた。


    「奈子さん、秘書課へ移られたんですってね。」

    母は、奈子先輩に、何気なく会社の話にもっていって可憐の最近の会社の様子を伺おうとしていた。


    勘のいい奈子先輩は、うまく話しをしてくれて母は、それに納得した様子だった。

    それから、3人で鍋を囲んで、母の昔の恋愛話で話が盛り上がり、リビングは、和やかな雰囲気が漂っていた。

    お風呂からあがると、母はおやすみと寝室へと戻っていった。

    可憐と奈子先輩も、お茶を用意し電気を消して2階へと向かった。

    部屋に戻ると、既に母がお布団の準備をしてくれていた。


    お茶をテーブルに置いた瞬間、奈子先輩は、可憐を引き寄せた。


    「どうしたの?何か今日様子がおかしいわよ」


    気づいていたんだ…。可憐はそう思った。

    でも可憐は、何も答えなかった。


    そのまま、可憐は奈子先輩に抱かれた。

    いつも以上に激しく可憐の身体は敏感に反応した。

    階下の母に気づかれないように、可憐は必死で溢れでてしまいそうになる声を押し堪えた。


    それを気づいている奈子先輩の表情は、妖しい微笑みを浮かべていた。

    その舌は、可憐の敏感な部分へと侵入し、容赦なくその中芯へ刺激を緩めることはなかった。


    「アァァァッ」


    シーツを握り締める可憐の顔は恍惚に歪み、大きな喘ぎ声を部屋へ轟かせたのだった。


    可憐の中へとゆっくりと入ってくる奈子先輩の生温かい指の感触は、まるで電流を流すスイッチのように、

    可憐の身体は、大きく仰け反り、ビクビクと奈子先輩の動きに合わせるように、リズムに乗って反応した。


    その時だった。


    ガチャ。


    その瞬間、二人はその音の方向を見た。


    そこには、今まで見たことのないような悲壮な顔をしたの母の姿があった。

    そのまま扉を閉めた母の、階段をかけ下りる音だけが部屋に響き渡った。

    皮肉にも、明々と照明が二人の白い肌を煌々と照らしていた。


    二人は無言のままだった。


    奈子先輩は黙ったまま服を身につけ、そのまま部屋を去って行った。

    可憐も、引き止めることもなく、ただ呆然とその後ろ姿を見つめていたのだった。
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■14177 / 1階層)  50
□投稿者/ 雅 ちょと常連(54回)-(2006/04/07(Fri) 09:14:16)
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    次の日の朝、可憐はトイレに行こうと階下へ降りると、リビングで頭を抱えるようにしている母の姿がチラリと見えた。


    ごめんなさい…。可憐は心の中で母に呟いた。


    トイレを済ませた可憐が部屋へ戻ろうとした時だった。


    「可憐…。ちょっと…来なさい。」


    可憐は、黙ったまま母の前に腰掛けた。

    母は眉間に皺を寄せ、暫らくの間、沈黙の時間が流れた。

    可憐も、何も言わずただ黙って俯いていた。


    「どういうことなの…」

    初めに沈黙を破ったのは母の低い声だった。


    「弁解はしない…。でもね、好きなの、奈子先輩の事が」


    母は、いきなり声を荒げて言った。

    「何言ってるのっ!女同士でそんなの許される訳ないでしょう!気持ち悪い事言わないでちょうだい!」


    そう言い捨て、母は寝室へと入っていってしまった。


    気持ち悪い…。


    その母の一言が、ずっと可憐の耳から離れなかった。


    可憐は、旅行用バッグに荷物をまとめて、家を出た。

    奈子先輩に電話したが、繋がらなかった。


    避けられているのかな…。


    可憐の心は、行き場のない寂しい気持ちで一杯だった。


    可憐は、繁華街をただウロウロと彷徨い歩いていた。

    でも、可憐の目には、どんな光景も目に映らなかった。

    夜になって呆然と向かった先は、奈子先輩のマンションだった。

    可憐の行き場所は、そこしか残されていなかった。


    部屋の中から、薄っすらと明かりが漏れているのが見えた。

    可憐は、インターホンを押した。

    でも、何の反応もなかった。


    もしかしたら、近くのコンビニにでも行ってるのかも知れない。


    暦上春とはいえ、まだ肌寒い中を1時間近く扉の前で奈子先輩の帰りを待っていた。

    可憐の手は、悴んで冷え切っていた。


    待っても待っても、奈子先輩が現れることはなかった。


    可憐は、肩を落としてマンションから立ち去ろうとした。

    そのとき、可憐の前にタクシーが1台停まった。

    中から、本部長に抱えられるように、酔いつぶれた奈子先輩が出てきた。


    奈子先輩は、驚くような顔で可憐の顔を見つめた。

    そして、呟くように言った。


    「帰りなさい…」


    そして、本部長に抱えられ奈子先輩の部屋へと二人は消えて行った。


    どうして…。どうしてなの?


    可憐は、そのまま駅へ向かって歩いて行った。

    まるで魂のないただの抜け殻のように、ただ呆然と可憐は歩いていた。


    可憐の行き場所は、もうどこにもなかった。


    その時、携帯電話が鳴った。家からだった。

    その電話に出る気力もなく、ただ涙がどんどん溢れてくるばかりだった。


    でも、何度も何度も携帯電話は鳴り続けた。

    可憐は、電話に出た。

    母の声だった。


    「帰ってきなさい。夕ご飯食べてないんでしょ。」


    可憐は、大声で泣き崩れた。
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■14178 / 1階層)  51
□投稿者/ 雅 ちょと常連(55回)-(2006/04/07(Fri) 09:14:45)
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    あの日以来……

    可憐は、奈子先輩を避けていた。

    会社ですれ違っても目を合わせることすらせず、何度も鳴り響く携帯電話の着信に耳を傾けることもなかった。


    決して奈子先輩を忘れた訳ではない。

    忘れる事などできるはずもなかった。


    奈子先輩に逢って確認したいと思う自分と、二人の関係を知った時の泣き崩れた母の顔、

    そしてあの日マンションの前で奈子先輩に排除された余りにみじめな自分が交差して

    どうしたらいいのかさえ可憐にはわからなかったのだった。


    あの日から、2週間が過ぎようとした時だった。

    お風呂からあがって部屋に戻った時、携帯の着信音が鳴った。

    見知らぬ携帯番号からの着信……。


    電話を取ったが、全くの無言。

    その奥から、微かな音が聞こえていた。

    可憐は、静かにその奥の声に聞き耳を立てた。


    それは奈子先輩の家にあるあのオルゴールの音色だった。


    「……奈子先輩?」


    しかしその声に奈子先輩の反応はなかった。

    お互いに無言のまま、時間が経過していった。


    どれくらい時間がたっただろう。

    その沈黙を破り、かすれた声で奈子先輩が一言呟いた。

    「貴女も、私から離れていってしまうのね…約束したのに……。」


    そして、電話は切れた。


    可憐は、そのままベッドへ倒れこみ、目を閉じて、ずっと考え込んでいた。


    奈子先輩…。


    「お母さん、ちょっと出掛けてくる」


    可憐は、母に一言告げるとそのまま玄関にいった。

    母は、おそらく察しがついたのだろう。


    「可憐…。今だけじゃなく、将来お互いにとって何が一番幸せなのか。それを考えなさい。」


    母は、俯きながら小声で呟いた。


    可憐は、走って駅に向かった。

    息を切らせながら最終電車に飛び乗り、奈子先輩のマンションへと向かった。


    やっぱり…

    奈子先輩に、逢いたい……。
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■14179 / 1階層)  52
□投稿者/ 雅 ちょと常連(56回)-(2006/04/07(Fri) 09:15:24)
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    可憐は、息を切らせながら、奈子先輩のマンションに辿り着いた。


    何度インターホンを押しても、中から誰も出てくる気配はなかった。


    でも、部屋の中に奈子先輩は必ずいる。


    可憐は、何度も扉を叩きながら言った。


    「奈子先輩。可憐です。奈子先輩、開けてください」


    それでも、中からは何の反応もなかった。


    同じマンションの人が近所迷惑だと言わんばかりに、チラリと扉を開けて可憐の様子を伺っている。


    可憐は、マンションの扉の前で、そのまま座り込んだ。



    カチャ…


    可憐の背中が少し押された。


    可憐は、慌てて立ち上がって扉を開けた。


    そこに立っていたのは、髪の毛が乱れ、バスローブを羽織った奈子先輩だった。


    奈子先輩は、表情もなくただ無言で立ちすくんでいた。


    可憐は、何気なく足元を見た。


    そこには男性ものの靴が並べて置かれていたのだった。


    「奈子先輩……。」


    呆然と可憐は、奈子先輩の顔を見上げた。


    無表情のまま、奈子先輩は一言呟いた。



    「もう…遅いよ。……可憐。」



    可憐は、そのまま走り去った。ただその場の状況から目を背けたかった。


    きっと、部屋の奥にいた人物は、あの人に違いなかった。


    可憐は、ひたすら向かうあてもなく走った。目の前はぼやけて何も見えない状態に等しかった。



    ドンッ!


    可憐は何か硬く冷たいものにぶつかった。

    痛い…。


    見知らぬ人の声で


    「大丈夫ですか?」



    その声がどんどん遠くなっていく。


    その言葉の記憶を最後に、可憐は意識を失ってしまった。
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■14180 / 1階層)  53
□投稿者/ 雅 ちょと常連(57回)-(2006/04/07(Fri) 09:16:10)
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    「ン……」


    「気がついたかな?」


    淡い緑っぽいカーテンの引かれた見覚えのない天井。

    そこに年配の白衣を着たおじさんが、にっこり優しそうに微笑んでいた。


    「あの…私……」


    「すごい勢いで走ってたでしょ?私の目の前で電信柱にぶつかったのは覚えているかな?」


    何か冷たい硬いものにぶつかったのは覚えているけど、それっきり記憶がない。


    「念のために検査したけど、脳には特に異常はみられないから。暫らく安静にしておけば大丈夫だよ。頭は痛むかい?」


    「少し痛みますけど……。大丈夫です。すみません。ご迷惑おかけして……。」


    可憐は、ベッドから身体を起こした。頭がズキズキと痛む。

    先生は、その様子ですぐわかったのか、もう少し休んでいきなさいと言ってくれた。


    先生は、そのままカーテンから出るとすぐ若い女性の看護士さんが入ってきた。

    「どなたかに連絡しましょうか?」


    可憐は、静かにいいえとだけ答えた。


    「じゃ、帰る時声かけてくださいね。」


    そう言うと、看護士さんは、そのままカーテンの外に出て行った。



    奈子先輩……。


    記憶がよみがえってくるにつれて、再び可憐の目に涙が溢れた。


    その時、先生がカーテンの内側に入ってきた。

    可憐は、涙を隠そうと慌てて涙を手で拭った。

    先生は、ベッドの隣に置いてある椅子にそっと腰かけた。


    「何か事情があるみたいだね。でも、無理はしちゃいけないよ。

    今日は、電信柱で良かったけど、あれが車だったら取り返しのつかないことになっていたかもしれないからね。」


    そう言って先生は、にっこり微笑んだ。

    すごく優しい目の先生だった。


    「家はご両親と一緒に住んでるのかな?」

    可憐は、コクリと頷いた。


    「私にも、君と余り変わらない娘がいてね。事故で亡くてしまったんだけどね。余り親に心配かけちゃダメだよ。ハハハ。」


    「先生……。」


    「何かな?」


    先生は、優しい目で可憐を見た。


    「世間から認められない恋愛って、やっぱり親不幸ですよね……。」


    先生は、少し黙って考えていた。そしてゆっくり話し出した。


    「私の娘も人様には余り大きな声では言えない恋をしていたようだった。

    親として、反対もした。普通の幸せをと親としては望んだし、その件では何度も口論になったよ。

    でもね、亡くしてから思えば、生きててこそって思うよ。

    私は、娘が本当に好きだった相手に逢ってみたいとこの頃になって思うよ。

    娘がどんな風に笑って過ごしていたのか、色々話を聞いてみたくてね。

    娘が亡くなった後、幸せになっているのか、どうなったんだろうかと気になったりもして。

    あんなに反対したのに、幸せだった娘の影をどこかで探しているのかな。

    私は、反対も賛成も言える立場ではないけれど、そんなものだよ。

    余り、君の質問の答えになってないか。ハハハ」



    先生は、少し寂しそうな表情を浮かべていた。


    「ごめんなさい。変な質問して……。何となくわかったような気がします。」


    「じゃ、私はそろそろ家に帰らせてもらうとしましょうか。君も、ご両親に連絡しなさいよ。きっと心配なさっているだろうからね。」


    立ち上がった先生の白衣についているネームバッチには

    <総院長 小出>と書かれていた。


    先生はにっこり軽く手を振ってカーテンの外に出て行った。


    ふと、奈子先輩から聞いた椿さんの話を思い出していた。

    きっと椿さんのお父さんも、そんな風に今思ってるのかも知れない、可憐はそう思った。



    可憐の涙は、いつの間にか消えていた。

    先生のお陰だな、可憐はそう思った。



    奈子先輩は、あの人で幸せなのかな。

    もう遅いって奈子先輩言ってたけど、

    後悔したくないから


    もう、私……


    逃げない。
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■14181 / 1階層)  54
□投稿者/ 雅 ちょと常連(58回)-(2006/04/07(Fri) 09:16:42)
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    可憐は、病院の前に停車していたタクシーに飛び乗った。

    向う先は唯一つ。


    タクシーの中で可憐は静かに目を閉じていた。


    この後起こりうる色々な場面の空想が頭を過ぎる。

    今までの可憐なら、きっとその空想に恐れをなして、

    そのまま運転手に行き先を変更を告げていたに違いなかった。



    伝えるべき事だけは、今、伝えておきたい。

    貴女がどの道を選択するにしても……。



    「お客さん、具合は悪いですか?」

    心配そうに、ミラー越しに見ながら、タクシーの運転手が可憐に声をかけた。


    「いえ。大丈夫です。」


    「それならいいんですが。もうじき着きますよ。」


    運転手は見慣れたマンションの前で料金メーターを止めた。

    「お気をつけて。」

    タクシーの運転手は、そう言うと扉を閉めて去っていった。



    可憐はマンションの扉の前で、一回大きな深呼吸をした。

    そして、インターホンを押した。

    何も反応はなかった。


    可憐はもう1度インターホンを押してみた。

    窓から薄明かりが洩れているのが見える。

    何気なく、ドアノブに手をかけるとカチャっと扉が開いた。

    隙間から玄関がみえたが、あの大きな靴はなかった。


    可憐は、そっと中の様子を伺った。

    中から、こもるような奈子先輩の泣き声が聞こえた。


    「奈子先輩。可憐です。」

    可憐が声をかけたが、何も返事はなかった。


    可憐はそっと奥へと進んだ。

    ランプの灯りを一つつけたままの薄暗い部屋。

    布団の中から聞こえる奈子先輩の泣き声だけが部屋に響いていた。


    可憐はゆっくりベッドに腰かけ、布団ごしに奈子先輩をそっと優しく包み込んだ。


    「奈子先輩……。遅くなってごめんなさい」

    泣き声がピタリと止まり、ビクっとする奈子先輩が布団越しにわかった。


    二人はそのまま暫らく動かなかった。

    ただただ、布団ごしにゆっくり伝わってくる奈子先輩の温かみを

    可憐は心と肌で感じていた。


    「奈子先輩……。全てを認めた上で、貴女を愛したい。

    過去も、今起きていることも全部含めて、貴女を愛していたい。

    それだけを……伝えに来たの。」


    布団越しに奈子先輩の身体が小刻みに震えていた。


    可憐は、ゆっくりとその布団を剥いだ。


    そこには、髪は乱れ、瞼が腫れて涙に塗れた奈子先輩の姿があった。

    可憐は、乱れた髪を優しく指先で整え、涙が溢れるその瞼を唇で包んだ。


    小刻みに震える肩をしっかりと抱いたその細い腕は、

    全てを包みこむかのように優しく、そして決して緩むことはなかった。


    奈子先輩は、それまで溜めていただろうであろう全ての思いを、

    溢れ出る涙を慟哭の叫びと共に可憐の胸の中へと流していったのだった。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14182 / 1階層)  55
□投稿者/ 雅 ちょと常連(59回)-(2006/04/07(Fri) 09:17:17)
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    あの日の私を、


    暖かな日差しの中に流れる澄んだ小川みたいだったと

    奈子先輩は、そう言った。


    無数の悲しみの雫も、その小川にゆっくりと流れ込みその澄んだ小川の流れによって、

    その悲しみの雫も洗い流されていくようだったと。



    奈子先輩は、紙袋を一つ私に手渡した。


    「これ、貴女に預けておくわ」


    中を見ると、あのオルゴールと奈子先輩の押入れにしまわれていたお菓子の缶が入っていた。


    「でも、これ……。」



    奈子先輩は笑顔で言った。


    「帰ってきたら一緒に開けよう。だからそれまで預かっていて。

    オルゴールは貴女にあげるわ。」


    空港のゲート前で奈子先輩は、しっかり私を抱きしめてくれた。

    可憐の目には涙で一杯だった。

    奈子先輩は、そっと顔を右手で引き寄せてその涙を唇で覆った。


    「お・か・え・し」


    沢山の人が、二人を見て驚いたような顔をしてただ見つめていた。

    二人は、その光景など目に映らなかった。

    ただ二人の瞳には、愛する人の顔が映し出されていただけだった。


    「じゃ、行ってきます」


    あの人は、大きく手を振って、笑顔で旅立って行った。



    会社では、一身上の都合となっていたが、急な退職で

    本部長と結婚のための海外留学などと、暫らくの間色々な噂が飛び交っていた。


    「奈子先輩さ、何か寂しかったな。クロの事頼むわねしか言ってくれなかったんだもんなぁ。」


    楓は、食堂でボソッと呟いた。

    可憐は、にっこり微笑んだ。


    家へ帰ると、1枚の絵葉書が机に置かれていた。

    誰からの便りか、可憐はすぐにわかった。


    それから、奈子先輩は毎週のように絵葉書を送ってくれた。

    いつも母は、何も言わずそっと机の上にその絵葉書を置いてくれていた。


    その絵葉書には、愛の一つも囁いていてくれるような気のきいた文章など

    どこにもない簡単な文面だったけれど

    最後に必ず、いつも笑顔でという言葉が添えられていた。


    可憐は、いつまでもその絵葉書を優しい目で見つめていた。
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■14183 / 1階層)  56
□投稿者/ 雅 ちょと常連(60回)-(2006/04/07(Fri) 09:17:52)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「そんな素敵な恋、されたんですね」

    ヘルパーの女性が笑顔で言った。


    にっこりとベッドに横たわりながら、老婆は笑った。


    「その続き、聞きたくて?」


    「ええ。聞いていいなら是非に。その間に、髪を整えましょうね。

    今日はお孫さんいらっしゃる日ですし。」



    ヘルパーの女性は、脇にあるリモコンを使って、ベッドを少し立てた。


    そして、老婆の髪を丁寧にゆっくりと梳かしていた。




    それから2年。

    その日は突然やってきた。


    奈子先輩からの便りは意味不明な絵葉書を最後に、プッツリとこなくなってしまったのだった。

    可憐は、心配でたまらなかった。


    奈子先輩、今何をしているの?

    本当は何かあったんじゃないの?

    病気でもしてるんじゃ……。


    こんな短い文章じゃ、何かさっぱりわからない。

    可憐は、最後に来た絵葉書を何度も読み返していた。



    ------


     前から、心に芽生えたことがあって

     それが本物かどうか、確かめに行こうと決めました。

     もし、それが本物だったら

     どうか、私を思い出として、そっと心のアルバムにしまっておいてください。

     あのオルゴールと缶と一緒に。

     いつも笑顔で。 Nako



    -------



    可憐は、貯金と夏のボーナスをはたいて夏期休暇を使って、奈子先輩の仕事先を訪ねていく事にした。

    そこに行けば、何か分かる……。


    可憐は、あの日見送った空港からミルウォーキーに飛び立った。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14184 / 1階層)  57
□投稿者/ 雅 ちょと常連(61回)-(2006/04/07(Fri) 09:18:23)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    空港に着いた時、後ろから肩を叩かれた。


    「あれ?君は確か……。」


    振り返ると、小島本部長だった。

    可憐は、びっくりした。あの日以来、特に小島本部長と会話する事もなかったし、無意識に可憐は、この人を避けていた。


    本部長は、休暇を使ってのんびり過ごす予定らしい。

    そう言えば、日本に戻ってくるまで本部長は、ミルウォーキーで生活していたということを可憐は思い出した。


    「もしかして、奈子君に会いに来たのかい?」

    可憐は、少し驚いた表情で頷いた。


    本部長は、空港内のカフェに可憐を誘った。


    「あの……。本部長は奈子先輩の居場所ご存知なんですか?」


    本部長はゆっくりと話をしてくれた。

    あの後、奈子先輩から付き合う事はできないと断られた事、

    そして、暫らく日本を離れて気持ちの整理をしたいと話していた事。


    そして奈子先輩に知り合いを通じて、日本人企業の仕事を紹介したこと。


    何より驚いたのが、奈子先輩は、申請のために1度日本に帰国していたということだった。


    「君の事、聞いてきていたよ。」


    「どうして会いに着てくれなかったのでしょうね……。」


    可憐にはかなり複雑な思いだった。

    小島本部長には連絡して、どうして私には連絡をくれなかったのか。


    「会ってしまうと心が揺らいでしまうかも知れないって言っていたよ。」


    本部長は、ゆっくりコーヒーに口をつけた。


    「今、何をしているんですか?奈子先輩」


    本部長は、少しの間黙っていた。


    「チェックインしたらロビーまで迎えに行くよ。宿泊先は?」


    可憐は、宿泊先のホテル名を告げると、奇遇にも本部長と同じホテルらしい。


    結局その足で、二人でホテルにチェックインして、少し休憩してからと、午後3時にロビー前でと約束をした。


    予定時刻に、ロビーに行くと既に本部長が待っていた。


    レンタカーを借りたらしく、本部長の案内でどこかに向かった。


    本部長はただ黙ったまま、車を走らせた。小一時間程で、車はそこに到着した。


    そこは、学校ではなくて、教会のような何かの施設のようだった。

    子供達が無邪気に遊んでいるのが見えた。


    「ここは、事情があって親が育てられない子供達が生活する施設だよ。」


    本部長は、そういうと施設へと歩いて行った。

    可憐も、本部長の後について入った。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14185 / 1階層)  58
□投稿者/ 雅 ちょと常連(62回)-(2006/04/07(Fri) 09:18:52)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    本部長は、堪能な英語で施設の受付で何やら話しをしていた。

    すると中から一人の金髪の女性がでてきた。

    どうやら、奈子先輩のいるところへ案内してくれる様子だった。

    一番奥にある部屋の前でその女性は立ち止まった。


    すると、数人の黒いベールを被った修道女が乳児たちにミルクをあげている最中だった。

    一人だけ、シンプルな黒の上下を着た女性がいる。

    それは、紛れもなくあの人だった。


    可憐は、暫らく黙ったまま、部屋の窓から中の様子をじっと見ていた。


    「修道院でいう、志願期だそうだ。神に召されてこの生活を望んでいるのか確認する期間らしい。

    面会はなるだけ控えてほしいとの話だ。」



    可憐は、そんな本部長の説明など耳に入らなかった。



    奈子先輩は、優しい笑顔で乳児にミルクをあげていた。

    まるでお母さんのような笑みを浮かべて。

    あんな穏やかな顔の奈子先輩を見たのは初めてだった。



    幸せなんだね……。奈子先輩。

    私より、この大勢の子供のお母さんになるのを選んだんだね。



    可憐の目から、涙が零れ落ちていた。


    本当なら悲しいはずなのに、それは安堵感にも似た幸せの涙だった。


    「面会の申し込みをするかい?難しいかも知れないが」

    本部長はそう言ったが、可憐は首を横に振った。


    本部長は、ポケットからハンカチを出して、そっと可憐に手渡した。


    そして、優しくその肩に手を置いて、奈子先輩に気付かれないように、その施設を後にした。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14186 / 1階層)  59
□投稿者/ 雅 ちょと常連(63回)-(2006/04/07(Fri) 09:19:29)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「あの時、もう私の元へは戻ってきてくれないってはっきりわかったの。」


    老婆は目を閉じて暫らく沈黙した。



    「はい、これで年寄りのお話は、おしまい。」


    老婆はおどけたように微笑んで言った。


    ヘルパーの女性は髪を梳かし終えて髪を1つに綺麗にまとめた。

    ちょうどその時、部屋をノックする音が聞こえた。


    「小島さん。いらっしゃいましたよ。」



    楽しそうな賑やかな声が病室に響いていた。

    「おばあちゃん、このオルゴール聴いてもいい?」


    「いいわよ。」

    老婆はヘルパーの女性を見て微笑んだ。


    柔らかな春の日差しが、病室に差し込んでいた。

    老婆は、そのオルゴールの音を聴きながら、

    静かに、目を閉じていた。



    きっと、

    心のアルバムを開いているに違いない。

    あのオルゴールの音色とともに。




    -----END-----
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14187 / 1階層)  あとがき
□投稿者/ 雅 ちょと常連(64回)-(2006/04/07(Fri) 09:21:19)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    2006/04/07(Fri) 09:22:37 編集(投稿者)

    長い時間をかけて、ようやく「心のアルバム」完結しました。


    今回描きたかったのは、


    女性を愛したがゆえにおこってくる様々な事、家族、

    そして、人には皆、色々な愛の形があって、そして色々なドラマがあるっていうことを


    何かの形で表現できたらいいなと思い執筆させていただきました。


    今までの作品より、丁寧にゆっくり仕上げたつもりです。


    最後のシーンで、可憐の苗字を見て、え?って思われた方も多いはず。


    ちょっとそんな遊び心も入れてみたりなんかして(笑)


    お気づきの方も多いと思いますが、可憐が病院に運ばれた先…

    あれは、椿さんのお父様の病院でした。


    皆様気付いていらっしゃったのかな?


    最後のほうは、体調不良などで、かなりゆっくりの更新で、大変お待たせしちゃいましたね。


    59ページにもなってしまいましたが、

    「心のアルバム」皆様の心にどう映ったのでしょうか?


    是非BBSに感想いただけたら嬉しいです。


    私たちにも、これから様々な心のアルバムが刻み込まれていくでしょう。

    嬉しいこと、悲しいこと、楽しかった事……etc。


    大事にしていきたいですね。



    読者の皆様の温かい励ましで、無事完結することができました。

    改めて感謝申し上げます。

    本当に、ありがとう♪


    --- 雅(Miyabi) ---
完結!
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▲[ 14126 ] / ▼[ 14190 ]
■14189 / 1階層)  Re[1]: 心のアルバム
□投稿者/ 彩 一般♪(1回)-(2006/04/07(Fri) 12:11:27)
    はじめまして。雅さんの小説以前から読ませて頂いていました。
    今回のも良い作品ですね。
    最後まで読むことができ、嬉しく思います。
    次回作も楽しみにしてますね♪

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▲[ 14189 ] / 返信無し
■14190 / 2階層)  初めまして☆
□投稿者/ みぃ 一般♪(3回)-(2006/04/07(Fri) 16:06:14)
    最初から話を読ませていただきました!!とってもいい話で、私はこの話が大好きです(^O^)/ 次の話を楽しみにしているので、頑張ってください☆彡

    (携帯)
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▲[ 14126 ] / ▼[ 14192 ]
■14191 / 1階層)  (T∀T)
□投稿者/ きの 一般♪(1回)-(2006/04/07(Fri) 21:44:31)
    切ない(T∀T)でも、素敵なStoryでした……切ない(T∀T)

    (携帯)
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▲[ 14191 ] / 返信無し
■14192 / 2階層)  NO TITLE
□投稿者/ 川原有貴 一般♪(1回)-(2006/04/07(Fri) 21:53:31)
    初めまして☆彡物語すごいおもしろかったです。あっ私もHP見てます♪♪これからも頑張ってくださいね!

    (携帯)
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■14196 / 1階層)  亀レス♪彩さん、みぃさん、きのさん、有貴さんへ
□投稿者/ 雅 ちょと常連(65回)-(2006/04/08(Sat) 16:08:36)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    皆様、こんにちは&初めまして(^^)

    彩さん、以前から私の作品を読んでいただいてとの事、
    ありがとうございます&とても嬉しいです♪

    みぃさん、作品を大好きだと言っていただけるって作者冥利に尽きます♪
    ありがとうございます。(密かに感激するMiyabiです(笑))

    きのさん、少し切ない展開になりましたか?(笑)

    有貴さん、HPにもいらしてくださっているとの事、
    昨日8万HIT達成で、これも皆様のお陰です♪ありがとうございます(^^)


    皆様の感想に支えられて、この作品も完結をすることができました。

    一気にUPでおまけに全60ページ。
    長かったので最後まで読んでいただくだけでも大変だったのではと
    思います。

    HP内で、皆様に椿が残した「秘密の小箱」には何が入っていたと思うかを伺ったりして、小説って読み手の方々の解釈って色々なんだなぁと、
    楽しく聞かせていただきました。

    皆様は、何が入っていたと思いますか?(笑)

    もしお時間があれば是非お声、聞かせてくださいね♪


    次作につきましては、既にHPにてUPさせていただいている途中なので、
    こちらへの投稿については検討中でございます。


    最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました(^o^)/


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▲[ 14126 ] / 返信無し
■17142 / 1階層)  NO TITLE
□投稿者/ 雪見 一般♪(1回)-(2006/11/01(Wed) 01:01:08)
    はじめまして。
    切ないけど読み終えた時じーんときました。
    長いものは読まないのですが先がとても気になって一気に読んじゃいました。
    ほんと良かったマジ感動。(ノ><)ノ

    (携帯)
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■17156 / 1階層)  ウルウル
□投稿者/ m 一般♪(2回)-(2006/11/02(Thu) 16:13:30)
    すっごくよかったです。
    最後まで読んでウルウルしてしまいました。
    二人の心の中がよく表現されていて、私も可憐に感情移入して読ませていただきました。
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■17170 / 1階層)  (┬┬_┬┬)
□投稿者/ 伊里 一般♪(1回)-(2006/11/04(Sat) 22:01:34)
    今、将来の事とか悩んでていろいろな生き方あること考えさせられました。
    読んでるうちに可憐と自分がダブって最後泣きました(┬┬_┬┬)
    素敵な作品ありがとうございました。これからも頑張ってください。

    (携帯)
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▲[ 14126 ] / 返信無し
■17173 / 1階層)  雪見さん、mさん、伊里さんへ
□投稿者/ Miyabi 一般♪(1回)-(2006/11/05(Sun) 05:24:18)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    長いお話を読んでくださり、そして感想いただきましてありがとうございます♪
    だいぶ前に書いたお話だったので、ここの板に投稿していらっしゃる○さんに聞いて感想いただいてることを知りました(汗)
    今でもこうして読んでくださって感想いただけること、嬉しく思います。

    HPの方に図書室(小説)、そしてティールーム(ショート)に今までここへ投稿させていただいていた作品、そして新しいものも含めておいてありますので、
    お時間があるときにでも、お立ち寄りください。


    http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/



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