ビアンエッセイ♪

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Nomal Runa&Emi PARTV /映美 (07/05/07(Mon) 04:39) #18961
Nomal From Emi to Runa /映美 (07/05/07(Mon) 21:13) #18963
Nomal 映美さん♪ /昴 (07/05/09(Wed) 01:03) #18980
Nomal 昴さんへ^^ /映美 (07/05/11(Fri) 23:59) #19007
│├Nomal 映美さん♪ /昴 (07/05/15(Tue) 01:31) #19040
│└Nomal ありがとうございます^^ /映美 (07/05/15(Tue) 18:36) #19043
Nomal 登場人物紹介&ご挨拶 /映美 (07/05/12(Sat) 00:27) #19008
Nomal 【Two this time】  /映美 (07/05/16(Wed) 02:35) #19048
│├Nomal 映美さま /レオ (07/05/17(Thu) 12:01) #19053
│└Nomal レオさんへ^^ /映美 (07/05/18(Fri) 02:04) #19056
Nomal 映美さん♪ /昴 (07/05/28(Mon) 01:23) #19156
│└Nomal 昴さんへ♪ /映美 (07/05/31(Thu) 00:49) #19180
Nomal 【mellow Love】 /映美 (07/05/31(Thu) 01:09) #19181
Nomal 【Tell me why】 /映美 (07/06/01(Fri) 04:20) #19200
Nomal 映美さん♪ /昴 (07/06/14(Thu) 01:42) #19273
│└Nomal 昴さんへ^^ /映美 (07/06/21(Thu) 11:37) #19295
Nomal はじめまして /ジゼル (07/06/14(Thu) 10:07) #19278
│└Nomal ジゼルさんへ^^ /映美 (07/06/21(Thu) 11:51) #19296
Nomal 【Talk to me】 /映美 (07/06/21(Thu) 12:00) #19297
Nomal ん〜 /ジゼル (07/06/24(Sun) 10:29) #19318
│└Nomal ジゼルさんへ^^ /映美 (07/07/02(Mon) 14:43) #19386
Nomal 【emotional heart】 /映美 (07/07/03(Tue) 02:35) #19395
Nomal 【A lonely heart】 /映美 (07/07/05(Thu) 14:18) #19400
Nomal 【A good old voice】 /映美 (07/07/05(Thu) 16:40) #19403
Nomal 【I meet you again】 /映美 (07/07/07(Sat) 08:27) #19410
Nomal 映美さん♪ /昴 (07/07/10(Tue) 01:56) #19437
│└Nomal 昴さんへ^^ /映美 (07/07/20(Fri) 04:39) #19504
Nomal 【Magic of the love】 /映美 (07/07/20(Fri) 05:13) #19505
Nomal 【Night to forget you】 /映美 (07/07/21(Sat) 05:00) #19506
Nomal 【With you tonight】 /映美 (07/08/14(Tue) 17:41) #19766
Nomal 映美さん♪ /昴 (07/08/21(Tue) 00:40) #19817
│└Nomal 昴さん^^ /映美 (07/08/28(Tue) 04:13) #19931
Nomal 【Sercret rendez-vous】 /映美 (07/08/28(Tue) 04:48) #19933
Nomal 1周年おめでとうございます♪ /昴 (07/09/13(Thu) 01:14) #20017
│├Nomal 映美さん /レオ (07/09/13(Thu) 02:01) #20019
││└Nomal レオさんへ^^ /映美 (07/09/17(Mon) 01:27) #20047
│└Nomal 昴さんへ^^ /映美 (07/09/17(Mon) 01:19) #20046
Nomal 【I'm lost in your eyes】 /映美 (07/09/22(Sat) 03:25) #20066
Nomal 【Stop motion〜first sigh〜】 /映美 (07/09/24(Mon) 02:00) #20080
Nomal 【Stop motion〜two heart〜】 /映美 (07/09/25(Tue) 11:57) #20083
Nomal 【Stop motion〜coming-out〜】 /映美 (07/10/19(Fri) 02:09) #20214
│└Nomal NO TITLE /ジュン (07/10/31(Wed) 16:14) #20250
│  └Nomal ジュンさんへ^^ /映美 (07/11/12(Mon) 15:27) #20291
Nomal 【Stop motion〜I want to hug you〜】 /映美 (07/11/12(Mon) 17:32) #20292
Nomal 【Stop motion〜Solve magic〜】 /映美 (07/11/28(Wed) 02:39) #20323
Nomal 【〜Back in love with you 〜】 /映美 (07/12/06(Thu) 17:11) #20340
Nomal 【〜 Sleep slowly tonight〜】 /映美 (07/12/16(Sun) 22:58) #20414
│└Nomal 映美さん /レオ (07/12/17(Mon) 21:09) #20418
│  └Nomal レオさんへ^^ /映美 (07/12/21(Fri) 02:35) #20423
Nomal 【〜Two wineglasses〜】 /映美 (07/12/21(Fri) 03:03) #20424
Nomal ちょっと早いけど・・ /昴 (07/12/23(Sun) 23:41) #20430
│└Nomal 昴さんへ^^ /映美 (07/12/31(Mon) 04:28) #20438
Nomal 【〜Lost love talk〜】 /映美 (07/12/31(Mon) 04:54) #20439
Nomal 【〜Past love〜回想@〜ルナとマユ〜】 /映美 (08/01/09(Wed) 00:15) #20450
Nomal 【〜Past love〜回想A〜ルナとマユ〜】 /映美 (08/01/13(Sun) 02:49) #20454
Nomal 【〜Past love〜回想B〜ルナとマユ〜】 /映美 (08/01/30(Wed) 03:43) #20529
Nomal 映美さん♪ /昴 (08/02/04(Mon) 02:17) #20544
│└Nomal 昴さん^^ /映美 (08/02/11(Mon) 03:05) #20557
Nomal 【〜Past love〜回想C〜ルナとマユ〜】 /映美 (08/02/11(Mon) 03:59) #20558
Nomal 【〜Past love〜回想D〜】 /映美 (08/03/17(Mon) 00:51) #20735
Nomal 【〜Past love〜回想E〜】 /映美 (08/03/22(Sat) 23:18) #20747
│├Nomal せつない… /レオ (08/04/01(Tue) 00:52) #20765
│└Nomal レオさんへ^^ /映美 (08/04/08(Tue) 22:58) #20781
Nomal 【〜Her Lingering scent〜@】 /映美 (08/04/09(Wed) 03:59) #20782
Nomal 映美さん♪ /昴 (08/04/15(Tue) 23:59) #20794
│└Nomal 昴さんへ^^ /映美 (08/04/25(Fri) 01:42) #20807
Nomal 【〜Her Lingering scent〜A】 /映美 (08/04/25(Fri) 02:30) #20808
Nomal 【〜Her Lingering scent〜B】 /映美 (08/04/26(Sat) 02:06) #20809
Nomal 【〜Her Lingering scent〜C】 /映美 (08/05/24(Sat) 00:08) #20840
Nomal 【〜Her Lingering scent〜D】 /映美 (08/06/06(Fri) 01:38) #20888
Nomal 【〜Her Lingering scent〜E】 /映美 (08/06/09(Mon) 17:50) #20917
Nomal 【〜believe in love〜@】 /映美 (08/06/10(Tue) 03:35) #20921
Nomal 【〜believe in love〜A】 /映美 (08/06/12(Thu) 02:50) #20922
Nomal 【〜believe in love〜B】 /映美 (08/06/13(Fri) 13:10) #20924
Nomal 【〜believe in love〜C】 /映美 (08/06/18(Wed) 17:15) #20930
Nomal 【〜believe in love〜D】 /映美 (08/06/19(Thu) 03:19) #20934
│├Nomal NO TITLE /m (08/06/22(Sun) 21:58) #20941
││└Nomal mさんへ^^ /映美 (08/06/26(Thu) 13:53) #20952
│└Nomal こんばんは^^ /レオ (08/06/23(Mon) 21:40) #20947
│  └Nomal レオさんへ^^ /映美 (08/06/26(Thu) 14:05) #20953
Nomal 【〜believe in love〜E】 /映美 (08/06/27(Fri) 03:06) #20955
│└Nomal せつない /おお (08/06/27(Fri) 05:50) #20956
│  └Nomal おおさんへ^^ /映美 (08/07/01(Tue) 22:59) #20974
Nomal 【〜believe in love〜F】 /映美 (08/07/07(Mon) 12:01) #20983
Nomal 【〜believe in love〜G】 /映美 (08/07/09(Wed) 01:12) #20985
Nomal 【〜believe in love〜H】 /映美 (08/07/18(Fri) 04:31) #21005
Nomal 【〜believe in love〜I】 /映美 (08/07/20(Sun) 23:44) #21012
Nomal 【〜Only you〜ふたつの理由〜@】  /映美 (08/07/29(Tue) 03:31) #21021
Nomal 【〜Only you〜そばにいて〜A】 /映美 (08/07/31(Thu) 05:01) #21028
Nomal 【〜Only you〜ピロートーク〜B】 /映美 (08/08/04(Mon) 23:34) #21036
Nomal 【〜Only you〜pale moonの夜〜C】 /映美 (08/08/21(Thu) 12:12) #21082
Nomal 【〜Only you〜最後の夜〜D】 /映美 (08/09/12(Fri) 17:58) #21101
Nomal 【〜Only you〜only love you〜E】 /映美 (08/09/21(Sun) 03:56) #21116
Nomal 【〜Only you〜あなただけ愛してる〜fin〜エピローグ【epilog.. /映美 (08/09/26(Fri) 01:56) #21139
│├Nomal 映美さんへ /咲 (08/09/29(Mon) 13:25) #21145
│└Nomal こんにちは^▽^ /レオ (08/09/26(Fri) 15:46) #21140
Nomal 筆者より^^〜あとがき〜 /映美 (08/09/26(Fri) 16:41) #21141 完結!
Nomal 完結おめでとうございます /昴 (08/09/27(Sat) 01:51) #21142
Nomal ありがとうございます^^ /映美 (08/10/03(Fri) 19:25) #21147 完結!
Nomal 男性人形 /好恵 (12/05/17(Thu) 10:51) #21525 完結!


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■18961 / 親階層)  Runa&Emi PARTV
□投稿者/ 映美 ファミリー(191回)-(2007/05/07(Mon) 04:39:45)
    管理人さま
    またひとつ新規で場所をお借りいたしますm(__)m

    昨年9月から書き始めたRuna&Emi
    予想外な長編になってしまいました

    完結まであとすこし書かせてください^^
    新たに、スレッドをPARTVで作成させて頂きました

    読者の皆様
    Runa&Emiと映美ともう少しお付き合い下さいませ
    宜しくお願い致しますm(__)m


                   映美    
[ □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■18963 / 1階層)  From Emi to Runa
□投稿者/ 映美 ファミリー(192回)-(2007/05/07(Mon) 21:13:30)
    To Runa


    ねぇ・・・ルナ

     
    貴女は遠い場所でこの物語を見てくれてるの?


    なんだか そんな気がするの


    『バッカねぇ 何 小説なんか つらつら書いてんの〜』


    きっと…あきれて笑ってるんでしょうね^^


    ねぇ・・・ルナ


    この物語にはね いろんな想いが詰まってるの


    勿論 全部が実話じゃないってこと


    気付いてくれてるでしょう


    あのシーンにあのセリフなのはね


    理由を教えたら


    なるほどEmi(映美)らしいって笑ってくれるよね



    ねぇ・・・ルナ


    あなたの声が聞えた


    『ちゃんと完結するのよ 知ってるでしょう 私は中途半端なこと嫌いだからね』


    相変わらずクールな笑顔が浮かんだ


    大丈夫 分かってるわ


    だから 最後まで見守っていてね…。



                  From Emi(映美)


     

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■18980 / 1階層)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(375回)-(2007/05/09(Wed) 01:03:18)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    前スレの100レス目のプレゼントありがとう

    『私の中で次に書きたい物語があるので…』って
    すごいですね!最近すっかり書けない昴です(>_<)

    『ちゃんと完結するのよ 知ってるでしょう 私は中途半端なこと嫌いだからね』
    映美さんのルナさんが、リツコさんの瞳以上に昴を弾きます

    そうだ。ちゃんと完結しなきゃ・・・
    映美さん
    もし映美さんが先に完結したら
    昴のところにも応援に来て下さいネ
    昴はあの日から、ちゃんと見守っていますよ
    ちゃんと完結までネ^^


[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 19040 ] ▼[ 19043 ]
■19007 / 1階層)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ファミリー(193回)-(2007/05/11(Fri) 23:59:18)
    昴さん^^ こんばんは


    PartVのコメント第一号
    ありがとうございます^^

    “リツコさんの瞳以上に弾きます”…って
    物語のセリフをよく覚えてくださっていますね^^
    それはリツコさんだからかな?^^; 

    その“弾く”意味は
    昴さんも完結目指して頑張って下さい…なのでしょうか^^

    勿論 応援しにいきます
    でも…きっとスローペースなわたしなので
    昴さんが先に完結しちゃうかもしれませんね^^;

    相変わらず お忙しいようですが 
    くれぐれもお身体には気をつけてください^^

    いつもお言葉をありがとうございますm(__)m


                映美

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19007 ] / 返信無し
■19040 / 2階層)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(380回)-(2007/05/15(Tue) 01:31:16)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    最近書けてない昴にルナの瞳が弾いたのは
    もちろん完結を目指して頑張れ!ですよ

    それはリツコさんだからかな?^^; 
    って・・・そういえば昴の昔の彼女にリツコさんがいて
    ルナが『リッコ』と呼ぶ度に・・・って書いた事がありましたね(苦笑)
    よく覚えていらっしゃるんですね

    どちらが先に完結しても応援し合いましょうね^^
    ここで出逢った書き手同士として
    ここで出逢った友人として

    映美さんの支えになんて言いながら
    実は映美さんに感想を書きたくて
    更新を頑張ったりもしたので
    映美さんも昴の支えですよ^^
    これからも頑張りましょうネ
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19007 ] / 返信無し
■19043 / 2階層)  ありがとうございます^^
□投稿者/ 映美 ファミリー(196回)-(2007/05/15(Tue) 18:36:26)
    昴さん

    早々のレスありがとうございます

    まだ物語もupしていないのにコメント頂きまして
    なんだかすみませんm(__)m
    早くupしなきゃ…ちょっと焦っています^^;

    もちろん憶えています リツコさんのこと(笑)

    昴さんには名前の勘違いがきっかけで
    読者さまになって頂いたんですもの^^

    『リッコって呼ぶルナにドキッとしました』
    のコメントを頂いたとき また名前関連での偶然に
    不思議なご縁だなって思ってましたから…^^
    これからも『リッコ』は完結まで何度か出てきますが…あしからず(苦笑)


    それと昴さん もう1年書き続けてるんですよね
    凄いですよね ほんとに私は尊敬の眼差しです^^

    私も半年以上だなんて 実感ないんですが^^;
    なにはともあれ お互い完結に向かって焦らず慌てず
    マイペースで頑張っていきましょうね^^


                        映美
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19008 / 1階層)  登場人物紹介&ご挨拶
□投稿者/ 映美 ファミリー(194回)-(2007/05/12(Sat) 00:27:00)
    筆者より ご挨拶m(__)m


    いつも【ルナ&エミ】を読んで頂きありがとうございます

    PartVだなんて…まさかこんな長い物語になるなんて^^;
    自分でも想像もしていませんでした

    途中 私自身も物語も何度も立ち止まりながらここまできました

    そろそろ…終りに近づいてきました
    このツリーで完結を致します
    もう少しルナとエミ そして映美とお付き合い下さいませm(__)m



    PartV始まり前に…登場人物を簡単にご紹介いたします



    エ ミ…商社勤務のOL ルナを一途に愛する女性


    ル ナ…広告代理店勤務のキャリアウーマン クールでカッコいい女性


    リツコ…カメラマン ルナの学生時代からの親友   


    トオル…シンジの友人 ミュージシャン ビアンなエミに想いを寄せている

     
    マ ユ…トオルのバンドにいたバイセクシャルな女性 トオルの元カノ


    亜紀子…エミの同僚で親友 


    シンジ…亜紀子の恋人 

         
    あゆみ…エミの会社の同僚



    ≪Part U Vで登場≫


    ミチコ…ビアン疑惑大?!のエミの従姉


    ミサオ…ダンス講師 エミの元恋人?



    ≪Part Vで登場予定≫


    サオリ…キャリアウーマンで人妻 ルナの元恋人



    ※ PartVは登場人物に変更ありかも?です ご了承願います




                           映美
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 19053 ] ▼[ 19056 ]
■19048 / 1階層)  【Two this time】 
□投稿者/ 映美 ファミリー(197回)-(2007/05/16(Wed) 02:35:23)

    秋を感じる風が吹く 8月最後の週末
    電車を降りるとすっかり日暮れ色に街が染まっていた


    ルナのマンションに向かう私は自然に早足になっていた


    途中にある あのコンビニ前で立ち止まった


    《そうだ…ルナなにか欲しいものあるかな〜》



    ルナにcallする



    『もしもし ルナ〜♪ 今 着いたの コンビニで何か買っていこうか?』


    『あっ エミィ ちょうどよかった〜! 煙草 買ってきてほしい あっ…それにお酒のアテもね〜♪』


    『ハイハイ〜♪ 煙草はいつものメンソールね  えっと お酒のアテ?…うん 適当に買っていくね』


    《うふっ ルナったら煙草とお酒のアテって…なんだかオヤジのおつかいみたいよ(苦笑)》


    切れた携帯につぶやき コンビニのドアをくぐる




    〜Hold me 抱いて〜♪


    店内に流れる有線の音楽にふと耳を傾けた


    《…あっ この曲》


    あの夜と同じラブソングが流れていた


    ルナの部屋ではじめて過した夜を思い出しちょっぴり顔が赤くなった



    《う〜ん お酒のアテってどんなのがいいのかな?》


    珍味が並ぶコーナーでしばし悩んでると 隣に立つおじさんがにっこり笑って話しかけてきた


    『おねえさん 何飲むの? ビールだったら これとこれが合うな 美味しいよ〜』
    『ん〜と もし焼酎だったら 絶対 これだな〜! 洋酒はわかんねえけどさ…』


    おじさんは並ぶ珍味の中から2.3個手にとって私に差し出した


    《きっと おじさんの好物なのだろう 珍味かぁルナには合わない気も…(苦笑)まっいいか美味しそうだし…》


    『あ…ありがとうございます』


    にっこり頷く…おじさんのおすすめ珍味をそのまま受け取りかごの中に入れた






    ピンポ〜ン♪



    鳴らすインターホンに応答はなく…すぐドアが開いた


    『いらっしゃい…エミィ』


    ルナの顔を見るのは2週間ぶりだった


    たかが2週間 
    なのに…なんだか随分会っていない気がした


    玄関に入って
    コンビニの袋を差し出すとルナはサンキュ〜と頬にkissをくれた


    『ルナ…』


    離れるルナの腕を引き…おもわず胸に顔を埋めた


    『あはっ エミィ…どうしたの?』


    『会いたかったの ルナ…』


    目を閉じてルナの胸の温かさと柔らかさを感じていた


    ルナが恋しかった

     
    ルナのぬくもりが欲しかった



    先週 トオルのライブに行った日

    途中…ミサオとの思いがけない再会をしその懐かしい瞳に心が揺れた

    ライブでエミさんに贈るよとLOVESONGを歌ったトオル

    “エミさんの好きな人知ってるよ それでも好きなんだ”
    トオルの熱い視線に戸惑った


    私の心の中にいるのはルナだけ 誰もいらないの・・・ 
    心が揺れないようにしっかりと抱きしめていてほしかった



    包まれた腕の中で優しい声が響いた


    『私も…エミィに会いたかった…』


    互いの腕で互いを力強く抱きしめた…


    ルナの手が動いた時 手に持つコンビニ袋が壁に擦れた


    …あっ…

    おもわず顔を見合わせた
    アイスが溶けたあの夜を思い出し同時に苦笑い


    『…アイスは買ってないよね?』


    ルナの慌てる目に腕が緩んだ


    『うふっ ルナ 大丈夫〜♪ 珍味は溶けないから…』


    『えっ…何 珍味っ??』


    コンビニ袋と私の顔を交互に見る?(はてな)顔のルナが可笑しくて
    そしてとても愛しくて…おもわず頬にkissのお返しをした


    〜Two this time〜ふたりのこの時間


    ねぇ ルナ 今夜もわたしを酔わせて…



[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19048 ] / 返信無し
■19053 / 2階層)  映美さま
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2007/05/17(Thu) 12:01:41)
    2007/05/17(Thu) 19:53:34 編集(投稿者)

    はじめまして。
    先日、映美さんの小説「Runa&Emi」を知り、
    読ませて頂きました。

    愛する人を想う、切なさ、愛おしさ…
    終わったあの頃の恋を、
    そして、まっすぐに夢中で愛したあの人を思い出し、
    心震えました。

    ほんとによい作品ですね。
    今後も応援しております。
    お身体気をつけて、顔晴ってください。
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19048 ] / 返信無し
■19056 / 2階層)  レオさんへ^^
□投稿者/ 映美 ファミリー(198回)-(2007/05/18(Fri) 02:04:09)
    レオさん^^ はじめまして


    ご感想を頂きとても感激しています^^

    【ルナエミ】を読んで頂きまして
    そして拙い物語にお褒めのお言葉も
    重ねて ありがとうございますm(__)m

    レオさんも、ルナとエミに重なるような
    切ない恋愛をされたのですね
    レオさんのコメントを読んでいて
    わたくしと同じ想いをお言葉に感じ
    私も心が震えました…。

    あんなに愛し合っていたふたりなのに
    あんなに愛してくれていたのに…

    もしあの頃に戻れるのなら…と

    物語の中にいろんな想いを詰め込んでいます

    ホントに長い物語になっていますが^^;

    あともう少し…完結まで
    お付き合いを頂ければ嬉しいです

    レオさん ありがとうございましたm(__)m

                 映美

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 19180 ]
■19156 / 1階層)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(385回)-(2007/05/28(Mon) 01:23:08)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    昴の大好きないいシーンですね^^
    濃厚な官能シーンをたっぷりとお願いします<(_ _)>

    映美さんも次の投稿が200投稿目ベテラン入りですね
    おめでとうございます^^
    半年間コツコツと
    映美さんの努力は昴が一番に拝見しているつもりです
    お互いに完結目指して頑張りましょうネ^^
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19156 ] / 返信無し
■19180 / 2階層)  昴さんへ♪
□投稿者/ 映美 ベテラン(200回)-(2007/05/31(Thu) 00:49:45)
    昴さん こんばんは^^


    次の投稿が200でベテラン入りですね
    …とのお言葉で気付きました^^;
    毎度ながら投稿数を見てないわたし
    え〜って感じで驚いています

    それにしても私がベテランだなんて
    まったくもってふさわしくないですが^^;

    では 教えてくださった昴さんに
    記念すべき私のベテラン入りの200投稿目
    を感謝の意味を込めてプレゼントいたします^^


    それと…昴さん
    今回のルナエミはですね…濃厚な官能シーンは
    ご期待に沿えてません^^;すみませんm(__)m

    ですが…ご期待のシーン いずれどこかの場面で
    たっぷりと(*^_^*)描く予定です

    お楽しみにしていてくださいね^^


    最近はホントにスローペース更新ですが
    お互い頑張りましょうね 昴さん


    いつも温かいお言葉ありがとうございます^^


                  映美    


[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19181 / 1階層)  【mellow Love】
□投稿者/ 映美 ベテラン(201回)-(2007/05/31(Thu) 01:09:39)

    部屋に響く…mellowなLove song


    『エミィ ワインでいいでしょう?』


    グラスをテーブルに置くルナの前に立ち
    わたしはキャミソールの紐を落とす


    『ねぇ…お酒より…先にルナに…酔いたいの…』






    ルナはKissの途中


    BGMのボリュームを少し上げる


    そう…それが…合図


    長いKissからはじまる ふたりの甘美な時間


    Deepに絡まりあう舌先にあふれる唾液は媚薬にかわる 


    あぁ ルナ… 


    今夜も貴女の魔法で私の全身が溶けていく 


    わたしを酔わせて…


    そして狂わせて…






    どれくらい…時間が過ぎたのだろう


    重なった身体はまだ波打っていた…


    わたしは陶酔の海のなか何度も溺れた


    甘く痺れたままの身体は
    ルナの体温に包まれていた


    足元に絡むシーツをはねながら
    ルナがベットから落ちたブランケットを
    引きあげ肩にかけてくれた


    目を閉じて心地よい余韻と温もりを感じていた


    『エミィ…』


    ルナが指先で私の髪を梳く


    ゆっくり目を開けると
    ルナの瞳が真上にあった


    『ねぇ…ルナ』


    『…ん…何…?』


    真上から見下ろすルナの目蓋に指先で触れる


    『…ルナの黒い瞳が好き(微笑)ちょっと潤んだこの瞳が好き
    ねぇいま瞳に映る私はルナの中で泳ぐ人魚みたいよ…』


    『ふふっ…エミィ 泳げないくせに…(苦笑)』


    『そうよ〜意地悪ね でも ルナの中でなら溺れても平気よ…』
    『いつだって…私はルナに溺れてるわ…』


    ちょっぴり恥らいながら目蓋から指を滑らせ唇をなぞる
    その私の指をルナは唇で捉え噛んだ


    『…アァン ルナ 強く噛まないで…』



    ルナとこんな戯れの時が一番幸せだった 
    二人の愛はゆるぎないもの 


    どんなことがあっても
    離れない…


    そう信じていたのに
    なのに…

    ほんの些細なことで…
    ふたりの愛に亀裂がはいるなんて…






    ルナはベッドから下りバスタオルを差し出す


    『エミィ〜 もう一度シャワーしてきなよ それからあの珍味(笑)食べよ〜』


    『うん…じゃあ ちょっと休憩ね〜(笑)』


    『そうね…休憩ね(笑)ねっ…一緒にシャワーする エミィ?』


    『ううん ひとりで入ってくる 待っててね ルナ〜♪』





[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19200 / 1階層)  【Tell me why】
□投稿者/ 映美 ベテラン(202回)-(2007/06/01(Fri) 04:20:27)

    ルナはワイングラスを揺らしながら…
    お皿に盛られた珍味を摘んで口に運んだ


    『ねっ エミィが選んだの?…この珍味(苦笑)』


    『ううん おせっかいなおじさんが…美味しいってすすめるから 断れなくて買っちゃったの』


    『うん たしかに美味しい  それにワインにもとても合う(笑)』


    ルナは笑いながら…ほんのり赤くなった私の頬を撫でた
     
    ねえ そろそろ休憩終ろうか…?
    ベットに戻る?


    そんな会話になるはずだったのに…





    『…昨日ね リッコと会ったわ・・・』


    ルナの言葉に私はハッとした 
    そうだった…
    先週、Barでリツコさんと会ったことをルナに話していなかった


    ルナとの甘美な時間に夢中で
    頭の中から…その言わなきゃがすっかり消えていた


    ルナとはあれから忙しくて話す暇もなかった
    ならばメールの短文でも報告すればよかったかもしれない
     
    なぜだろう…
    ルナが休日返上で仕事中に“私は友人達とライブいくの”
    そんな浮かれたメールを送るのは少し躊躇ったし…
    なによりも文字の会話は解釈の仕方で誤解も少なくない
    だから会ってルナの顔を見ながら話したかった


    先に切り出されちゃった…


    私はグラスのワインを飲み干し座りなおした


    『ルナ あ、あのね 話そうって思っていたの…』


    『…ん…なにを?』


    先週の土曜 亜紀子たちとトオルのライブに行ったこと
    会場でマユに会ったこと
    そして、帰りに寄った例のBARでリツコに偶然会ったこと
    順番に思い出しながら喋る私は…なぜか早口になっていた


    『そうだったの…』


    ルナは表情を変えることなくうなづいた


    『ごめんね ルナ…』


    『別に…あやまらなくてもいいんじゃない…』


    『…うん…』


    ルナの瞳に一瞬よぎった影を感じた
    ふたりの間に流れる空気が重くなった気がした


    『……』



    言葉が出てこない
    数分関の沈黙の時


    音を絞ったBGMがアコースティックギターの
    イントロから始まる〜tell me why〜に変わった


    ルナは煙草を一本取り出し火を点けた


    『ねぇ エミィ…まだ報告してないことあるでしょ?』


    『……』


    ルナが指してるのは
    それはトオルのことだろう…


    自分でもわかってた
    何故言えなかったんだろう…


    『ルナ…あのね…』 『マユに会ったわ…』


    ルナと私は同時に口を開いていた





[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 19295 ]
■19273 / 1階層)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(389回)-(2007/06/14(Thu) 01:42:02)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    2007/06/14(Thu) 01:43:45 編集(投稿者)




    え〜っつ!
    濃厚な官能シーンじゃなかったんですんね
    省略ですか?って書き込んだ日が懐かしいですね

    やっとなんとか更新出来ましたので
    これからは、もう少し頑張って更新のペースをあげたいと思います

    映美さんも無理しないでマイペースで頑張りましょうね
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19273 ] / 返信無し
■19295 / 2階層)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(203回)-(2007/06/21(Thu) 11:37:04)
    昴さん^^

    いつもコメントありがとうございます^^

    あはっ^^; 
    今回は昴さんのご期待に沿える様な
    シーンではなくてすみませんm(__)m

    最近、仕事が忙しくてなってきまして
    なかなか 更新もできてませんがマイペースで
    頑張って書いていきます^^

    どうか気長に見守っていてくださいね(苦笑)




                    映美
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 19296 ]
■19278 / 1階層)  はじめまして
□投稿者/ ジゼル 一般♪(1回)-(2007/06/14(Thu) 10:07:49)
    いつも楽しみに読んでます。タイトルの『Tell me why』って言葉は私の好きな曲のサビの部分に出てくるので結構好きです。なのでコメントしてみました。
    ちなみに、その曲は女性が歌ってるわけではありませんが。。。
    続きも読みたいです。頑張ってください♪

    (携帯)
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19278 ] / 返信無し
■19296 / 2階層)  ジゼルさんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(204回)-(2007/06/21(Thu) 11:51:13)
    ジゼルさん はじめまして^^


    いつも『ルナ&エミ』を読んで頂きありがとうございます^^

    毎回、物語のシーンに思い浮かんだ曲や歌詞を
    ヒントにタイトルをつけています^^

    『Tell me why〜』はちょっと古い洋楽の
    実はイントロではなくサビの部分なんです…

    ジゼルさんがお好きな曲の〜Tell me why〜は
    違っていたらすみません^^;
    もしかしてJ-POPシンガーの男性 K・Hさんの曲でしょうか?
    私もその曲好きなので…サビのフレーズがすぐ浮かびました^^

    最近 更新もホントすすんでいませんが(汗)
    引き続き気長に読んでいただければ嬉しいです^^

    コメント本当にありがとうございましたm(__)m



                 映美

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19297 / 1階層)  【Talk to me】
□投稿者/ 映美 ベテラン(205回)-(2007/06/21(Thu) 12:00:20)
    2007/06/21(Thu) 12:11:44 編集(投稿者)




    『…えっ…』


    『…何?…』


    再び・・ルナと私は同時に声を出した


    目を合わせながら…互いの次の言葉を待った


    『あっ ルナ…ごめんね…先に話して…』


    下を向く私に少し苛立ったルナの声が聞えた


    『エミィ どうして…ごめんって言うの なにか悪いことした?』


    まっすぐみつめるルナの目が悲しく映った


    『…だって ルナ 聞いたんでしょう?』


    『・・・・・』


    数十秒間 二人は沈黙したままだった






    ルナの吐き出す煙草の煙りが漂う…


    『ねぇ エミィ 私と…どこか遠慮しながら付き合ってる?』


    (ううん…そんなことない…)


    声が出ず首を左右に振る私




    煙草を灰皿の中でもみ消すルナの指先の動きを 只、見つめた 


    『私が仕事忙しくたって…言えばいいじゃない 聞いてほしいことあるの 話したいことあるのって
    少しぐらいの我儘だってかまわない 何でも素直にぶつけてくればいいじゃない…』


    今、目の前のクールな瞳に映る私は泳げない人魚だった


    (ルナ…好きだから 愛してるから だから…だから言えないこともあるの…わかって…)


    心の中で答える私は ルナの瞳の中の冷たい海のなか沈んでいくようだった


    『……』



    小さな溜息をつきルナは
    空になった私のグラスにワインを注いだ


    『エミィ…飲んだら?』


    『…うん ありがと…』


    グラスに揺れるワインが私の心をも赤く染めていくようだった


    BGMのチャンネルをチェンジし…
    ルナはお皿の珍味をつまみ ふっと笑った



    『私は リッコに会ったって言っただけなのに…』



    『えっ・・』



    『仕事で出向いたビルで偶然会ったの 次の打ち合わせで急いでたから・・挨拶 交わしただけよ
    すれ違いざまにリッコが“こんどエミさんも連れて一緒に食事行こう”って言ったからそれをエミに伝えたかったのよ・・・』



    (そうだったんだ…わたしったら…)





    ルナはもう一本煙草を取り出し火を点けた



    『昨日ね マユに話があるからって呼び出されたのよ…』





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▲[ 18961 ] / ▼[ 19386 ]
■19318 / 1階層)  ん〜
□投稿者/ ジゼル 一般♪(2回)-(2007/06/24(Sun) 10:29:41)
    お返事うれしいです。少し古い洋楽というのと、
    サビだというところは合っているのですが、
    残念ながら歌っている人が違うみたいですね。だから曲も違いますよね(>_<。。
    私が好きな曲は5人組が歌っているので。
    その曲は中学の時に初めて買った洋楽で
    だからよくおぼえてます。買ったのはアルバムですけど。
    今でも、たまぁ〜に聞いたりします。

    早く次が読みたくなりますね。続き楽しみにしてます

    (携帯)
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▲[ 19318 ] / 返信無し
■19386 / 2階層)  ジゼルさんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(206回)-(2007/07/02(Mon) 14:43:54)

    こちらこそお返事嬉しいです^^

    えっ…ジゼルさん
    私の好きな曲もサビで
    5人組が歌っていて…古い洋楽ですよ^^

    ちなみに私はその曲のシングルを持っています

    もしや同じ曲なら
    聴いていた年代もジゼルさんと
    同じくらいだな〜って思ってました^^

    私はジゼルさんがお好きな曲が
    J-POPのK・Hさんの曲かなと勝手に勘違いしてましたm(__)m

    歌はいろんなドラマを生み出してくれますね

    また良い曲をヒントにストーリーを描いてみたいです

    この【ルナエミ】ほんとに更新スローですが^^;
    お時間許すかぎり読んでいただければ嬉しいです

    コメントありがとうございました^^


                  映美



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▲[ 18961 ] / 返信無し
■19395 / 1階層)  【emotional heart】
□投稿者/ 映美 ベテラン(207回)-(2007/07/03(Tue) 02:35:37)

    ―そうなんだ ルナはマユさんに会ったんだ


    『トオルがLOVESONGを捧げたい女性ってエミさんだったんですね…』


    ライブが跳ねたあと会場で声をかけてきた 鋭いマユの瞳が浮かんだ





    ワイングラスを口に運ぶルナの瞳は哀しく光った


    『あのギターピックは彼(トオル)のだったんだね…』



    (…あのギターピック?)

    あぁ そうか…
    ステージに駆け寄りギターピックをトオルに渡したところ
    一部始終を見ていたマユがルナに話したんだ
    “あのギターピック”の意味を…そう解釈した


    私は知らなかった…
    ルナの部屋で過した夜
    落ちたバックから転がったギターピック
    それをルナが手にして見たことを…



    『そっか 全部マユさんが報告したんだ…』



    表情を変えずスマートに煙草を吸うルナの指先を見つめた



    『エミィ LOVESONGで心が揺れた?』



    『ううん 揺れてなんかいないわ…。 ねぇ マユさんはルナに何を話したの?』



    『エミィが私に言えなかったことよ…』



    2本目の煙草をルナは灰皿でもみ消した



    …ふと思った
    マユはいったいなんのつもりで
    ルナを呼び出してまでそんなことを話すのだろう


    嫉妬?
    それとも…?


    ―そうだ…今夜こそルナに訊かなきゃ
    ルナとマユさんの関係


    『ねぇ ルナ訊いてもいい?マユさんはルナの恋人だったの?』



    メンソールの煙草をまたケースから一本取り出し
    一呼吸おいてルナは答えた


    『恋人じゃなかったよ…』


    『そうなんだ…』


    『けど…一度だけ…』


    『…一度だけ?』


    『マユを抱いたわ…』


    躊躇なくあっさり答えるルナの言葉に私は耳を疑った


    『抱いた…って…』



    突然のルナの衝撃的な告白に手にもったワイングラスが震えた



    『ね…ねぇ…ルナはマユさんを愛してたの?』


    『ううん…』


    ルナは首を振った


    『…ルナは愛していなくても抱けるの?』


    『そうね…そんなこともあったわ…』


    ショックだった


    涙が一気に溢れ出した


    『なんだか…悲しいわ』


    『…でもね…あのときは仕方なかったのよ』


    『言い訳なんか訊きたくないわ!』


    『そう…じゃあ 言わないわ』



    ルナは煙草を置きグラスのワインを口にした
    そのクールな瞳はワインの赤に染まって見えた




    『すごくショックよ ルナ…』
    『私が誰かにほんの少し心揺れたくらいどうだっていうの!』
    『ルナがそんなことできる人だったなんて…!』
    『マユさん きっと今もルナの事好きなのよ なのに…』


    やり場のない悲しみが攻撃的な言葉に代わった
    それをルナにいくつもいくつもぶつけた


    『・……』


    『言いたいことはそれだけ?
    もう終ったことじゃない…今更どうしろっていうの?』


    ルナは目を閉じた



    開けた窓からの涼しい夜風が二人の髪を靡かせた…



    こんな重い空気の中 今夜はこの部屋で過したくなかった
    なによりも心も身体も今は、ルナを受入れられない



    『…帰るわ ルナ…』



    私は、ルナの部屋を飛び出した



    ルナは追ってはこない
    引き止めもしない


    わかっていた…


    あの時だってそうだったから


    だから…ふりかえらなかった


    駅へ急ぐ自分の足音だけが
    虚しく夜道に響いていた…


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▲[ 18961 ] / 返信無し
■19400 / 1階層)  【A lonely heart】
□投稿者/ 映美 ベテラン(208回)-(2007/07/05(Thu) 14:18:33)

    帰るわ…


    涙目で立ち上がるエミに言葉も掛けず…


    メンソールシガレットを片手に
    ただ黙って慌しく出て行くその背中をルナは見送った


    閉まるドアの音が響いた…





    灰皿の中の吸殻を数えながらルナは後悔した


    どうしてひきとめなかったんだろう…
    どうして追いかけていかなかったんだろう…


    今更遅いね…



    エミィ…今夜は注意もしてくれなかったね 


    煙草に火を点ける度
    ”ルナ また吸うの〜身体に毒よ〜はい今日はもうおしまい”
    そう言いながら煙草ケースを閉じるエミの顔が浮かんだ




    テーブルの二つのワイングラスを見てルナは苦笑した


    まるであの日と同じね


    いつかマユが訪ねてきた朝 
    エミは部屋を飛び出していった


    あの時もテーブルにはワイングラスが二つ並んでいた





    エミの飲み残したワイングラスを見つめ呟いた


    エミィはいつも最後までちゃんと話を訊かないまま
    勝手に勘違いしてしまうね
    エミィはいつも物事を悲観的に捉えてしまうね

    マユとのこと…確かに軽率だったって反省してる

    でもそれはエミィと出逢うずっと前の出来事

    やっぱりいいわけになるかもしれないけど
    誘われてお酒の酔いの勢いもあったし
    マユも私も あの夜はお互い特別寂しかった

    それはどうしてだったか・・・ 
    エミィにこんどちゃんと話すからね





    やれやれ・・・とやっと立ち上がり
    グラスを台所に運び開いた窓とロールカーテンを閉めた


    “いつだってクールなルナが好きよ…”


    エミのいつものセリフがよぎった


    ねぇ…エミィこれでよかったの?

     
    私だってどんなときも
    クールでいれるわけないじゃないよ


    ルナはもういちどカーテンを開き霞んだ月を見上げた



    〜Lonely Heart〜
    そう…きっと貴女も私も〜

    そんな曲がBGMから流れていた



    さて…ご機嫌斜めの彼女には
    どんなタイミングでメールすればいいのかな…


    ルナは携帯を開いた…


    『…あれ?』


    着信履歴が一件画面に出ていた
    サイレントモードにしていたから気付かなかった


    『きっとエミね…(苦笑)』


    …ん?


    だが、ルナの電話を鳴らした相手はエミではなかった…


[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19403 / 1階層)  【A good old voice】
□投稿者/ 映美 ベテラン(209回)-(2007/07/05(Thu) 16:40:01)
    2007/07/05(Thu) 23:12:50 編集(投稿者)




    最終のひとつまえの電車がホームに滑り込んできた


    私はすぐ乗り込まず
    発車ぎりぎりまでホームで迷っていた


    ジリリ〜と響くベルとともに
    あきらめて…飛び乗った


    ホントはこの電車をやり過ごそうと思った…



    最終電車まで待つつもりだった


    それは 心のどこかで待っていたから…


    もしかして…
    ルナが追いかけてくるかもしれない

    もしかして…
    あの時みたいにメールで
    呼び戻してくれるかもって



    やっぱりそんなわけなかったね
    ルナはいつもクール ううん…今夜は特に冷たい(苦笑)



    もう涙もとまっていた



    乗客もまばらな車内

     
    私はわざとルナのマンションが
    見えない窓側に座った



    電車が揺れる度
    何度も無意識に携帯電話を開いた



    そのたびに小さな溜息がこぼれる



    ”私ったらそんなに気になるなら
    自分からかければいいじゃない…”


    ”ううん かけない だって私は悪くないもん”


    強気の私と意地っ張りの私が押し問答していた



    けどやっぱり…マユとルナのことはショックだった



    『マユを一度だけ…抱いたわ』



    しかも愛していなかったなんて
    なんだかとても悲しい…



    『もう終ったことよ 今更どうしろっていうの?』



    それはルナの声にも重なった



    たしかに終ったこと わたしと出逢う前のこと
    今更 ルナを責めてもしかたないこと



    なのに私は、なにを勝手に傷ついているんだろう



    仕方なかったのよと話すルナの声に耳を塞ぎ
    ただ、やりきれなく悲しくて衝動的に部屋を飛び出してきた



    もっと冷静になって最後までルナの話を訊けばよかった



    ・・・後悔していた 
    ・・・反省していた



    でも今夜はもう戻れない






    なんだかこのまま帰りたくないな…
    だって今夜はルナのところに泊まるつもりで出てきたから



    私はふっと思い出した


    …あっそうだ…ミチ姉とこに行こう〜


    従姉のミチコは一人暮らしだった
    今までも嫌なことあったらミチコのところへ相談しにいったり
    何度か泊めてもらったりしていた
    私にとっては本当の姉のような存在だった


    携帯を開きミチコに発信しようっと思ったとき
    着信画面に変わった



    画面に見覚えのない11桁の番号が点滅していた


    …ん…この番号は?


    誰 間違い電話かしら?


    躊躇いながら…通話ボタンを押した



    『…もしもし』


    『あっ もしもし エミさんですよね?』


    やけに明るい声が響いた


    『はい…』


    『エミ〜♪ わたしわかるよね?』


    『…え…あ、あの』


    『やだな〜エミ〜 忘れちゃったの? 私よ ミ・サ・オ!』


    そうだった…ちょっとハスキーなその声はミサオだった


    『あっ ミサオさん〜♪』


    ハッと声のトーンが上がった口元を慌てて押さえた


    私は自分が電車の中にいることを一瞬忘れていた


    ふと周りを見回した


    幸い車内の乗客もまばらで眠っている人
    同じく携帯を眺めてる人
    私の声にふり向き気にする人は誰もいなかった


    だが電車の中で会話はタブーだ


    『あの…ミサオさん いま私 電車の中なんです 
    もうすぐ駅に着きますから かけなおしていいですか?』



[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19410 / 1階層)  【I meet you again】
□投稿者/ 映美 ベテラン(211回)-(2007/07/07(Sat) 08:27:04)
    2007/07/07(Sat) 08:31:28 編集(投稿者)



    駅のホームに降りすぐミサオにcallした


    3度目のcall音が弾んだハスキーボイスにかわった


    『遅くにゴメンネ エミ〜!
    わたしったら思い立ったらすぐ行動に移しちゃうんだよね(苦笑)』


    『ところでエミ こんな時間に電車に乗ってたなんて お出かけだったんだ?』


    『ええ…ちょうど今 帰るとこだったんです』


    『はは〜ん さてはデートの帰りだな〜(笑)いいな〜 ねっあのとき話してた 彼女〜♪』



    『…はい そうなんだけど…』



    答える声が消えそうに小さくなっていく



    『どうしたの〜エミ〜? なんだか元気ないぞ〜!』



    そうよ…元気なわけないわ


    ミサオは続けた


    『あのね〜思い立ってエミに電話したのはね 近いうち会えないかな〜って思って
    え〜と 早速だけど明後日の夜なんかどう?』


    『…明後日 ええ 私は大丈夫ですよ』


    そうだった…
    トオルのライブに急いでたあの日
    途中 思いがけないミサオとの再会をした
    そのとき携帯の番号を交換しまたゆっくり会おうと約束していたのだった


    『ねぇ エミ〜 いまから家に帰るんだよね?』


    『…ええ…』


    『実は今、寂しくひとり飲んでるだ〜 ねっ エミ 一緒に飲まない?』


    『えっ…』


    『あはっ 私ったら〜こんな時間に何誘ってるんだろ ごめ〜ん! ちょっと酔ってるかも 許されたし(苦笑)』

     
    ハスキーボイスが懐かしく耳に響く


    その声に私はミサオにとても会いたい衝動に駆られた


    それに…今夜は帰りたくなかった


    …迷わず返事をした


    『ミサオさん 私も…とても飲みたい気分なの…』







    ―今夜の月は霞んでいた

    〜I meet you again〜

    孤独な二つのハートの隙間に流れる酔い水

    今夜は貴女に逢いたいと誘う…






    その頃ルナは…着信履歴の相手を確認して
    CALL BACKしていた


    『もしもし…もしもし…』


    繋がっているはずなのに声は聞えない


    電話の向こうでは
    談笑する声や賑やかな音が飛び交っていた


    『もしもし〜』


    『マユ?』


    『あ〜ルナ かけくれたんだ〜♪』


    『なんだか賑やかね…。もしかして また飲んでる?』


    『正解〜♪飲んでまぁす』


    …きっとマユは酔ってるんだろう


    『はぁ〜(溜息)…で…用件はなんなのマユ?』


    『……』


    『えっなに?…聞えないわ〜』


    周りの雑音に掻き消されてマユの声がよく聞えなかった


    ルナは声のトーンをあげた


    『マユ…お酒に呑まれないようにって 何度も忠告したよね 
    私が言ったこと何も守れていないね…』


    『え、守れてないって何を?』


    マユの耳には届いていないようだった


    時計はまもなく午前零時を示しそうとしていた


    『マユ また、終電に乗り遅れて誰かの部屋に泊めてもらう気?』


    『……』


    『酔っ払いの相手してるほど…暇じゃないから 切るね』


    携帯のボタンを押しかけた時


    『待って…切らないでルナ…』


    鮮明にマユの声が聞えた


    どうやら…賑やかな場所から移動した様子だった


    『何?』


    『エミさんに謝っておいてほしいの わたしが……』


    そのとき…電話の向こうでマユを呼ぶオトコの声が聞えた


    “お〜いマユ 今夜は泊まるんだろ?そろそろ帰ろうか〜”


    たぶん受話器を手で塞いだのだろう
    その声に返答するマユの声は聞えなかった


    『ルナ…ごめんね じゃあ切るね』


    『ちょっと待ってマユ!』


    ルナは、強い口調で告げた


    『そのオトコのところへ泊まるならうちにおいで!』


[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 19504 ]
■19437 / 1階層)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(393回)-(2007/07/10(Tue) 01:56:22)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    前回から随分と間を空けてしまいました
    映美さんは頑張っていらっしゃるのに

    最初の頃に言ってた 昴を支えに
    今ではおこがましい気がしてなりません

    どちらが先でしょうね?
    完結目指して頑張りましょうネ♪
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19437 ] / 返信無し
■19504 / 2階層)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(212回)-(2007/07/20(Fri) 04:39:56)
    コメントありがとうございます^^

    いえいえ 昴さんも頑張ってらっしゃるじゃないですか^^


    昴さんおこがましいなんて言わないでください^^;

    いつも温かいお言葉が励みになっていますから
    だから私は、ここまで書き続けてこれたんです
    これからも見守っていてくださいね^^

    お互い無理しないで自分のペースで
    このまま完結まで頑張りましょうね^^


                  映美


[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19505 / 1階層)  【Magic of the love】
□投稿者/ 映美 ベテラン(213回)-(2007/07/20(Fri) 05:13:44)


    店のドアを開いたと同時に
    午前零時を告げる時計の音が響いた


    いらっしゃいませ〜♪


    『あっ エミ〜♪ こっちよ〜』


    店のオーナーの声に続きハスキーな声が響いた


    奥のカウンターから手招きするミサオの顔が見えた



    …電話を切って15分後に
    私はミサオのいるBARに辿り着いていた



    偶然にもこのBAR 降りたターミナル駅のすぐ近くだったのだ



    隣に座る私を眩しく見つめながらミサオは微笑んだ


    『エミ〜ほんとに来てくれたのね〜♪ 午前零時の鐘とともにやってきた 私のシンデレラさん(笑)』


    私は店内の壁時計を見上げた



    『午前零時…ほんとですね もうすっかり魔法もとけました(苦笑)』



    『あはは そっか〜とけたのは彼女のかけた魔法だな(笑) じゃあ 今度はわたしがかけるからね』



    ミサオは意味深に笑いグラスを揺らしながら私を見つめた


    私は思わず自分の頬を両手で覆った


    まだお酒も入っていないのに…私の頬はなぜか熱く紅潮していた




    …それにしてもこんなシチュエーション
    彼女とケンカして家に帰りたくない夜に
    タイミングよく昔の恋人から誘われてって…まるでドラマね…(苦笑)


    私はドリンクメニューを開いたままボーっとそんなことを考えていた


    『ねっ エミ〜 何飲むの 決まった?』


    ミサオの声にハッとした


    『あ…じゃあ あのカシスソーダで…』

     




    『あ〜あ〜もう〜』


    トイレに立ったミサオが戻ってくるなり
    テーブルに突っ伏した


    『えっ ミサオさん?大丈夫ですか〜酔って気分でも悪いの?』


    『大丈夫よ〜 これくらいのお酒で私がダウンするわけないのエミも知ってるでしょう(苦笑)』


    顔を上げて頬杖をつき余裕の笑みを浮かべた


    そうだった
    ミサオは酒豪だったんだ



    『やっぱあの時 エミも一緒にロスに連れて行けばよかったかな〜』



    『えっ…』



    『ねっ エミ〜 今夜かけてもいい? 〜Magic of the love〜』



    私の頬にミサオが指先で触れた




[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19506 / 1階層)  【Night to forget you】
□投稿者/ 映美 ベテラン(214回)-(2007/07/21(Sat) 05:00:23)


    きっと酔っているのだろう…


    魔法をかけてあげると…ミサオが私の頬をなぞる


    その指先の熱さに胸が震えた


    …それは あの時と同じ熱さだった





    ミサオがロスに旅立った日の事をわたしは思い出していた


    空港で最後の別れの時 


    『エミも一緒に連れて行きたい…』


    『嘘…そんなこと 今更…一緒にだなんて 
    本気じゃ…ないなら 言わないで…くだ…さい…』


    嗚咽しながら途切れ途切れに繋がらない私の言葉に
    ミサオは首を左右に振り…ポツリと言った


    『本気よ…』


    涙でミサオの顔が歪んでいた…


    『他の人の見送りを断ったのは
    エミとふたりになりたかったからよ』


    『もう…遅いわ…』


    私の頬に流れる涙をミサオは指先で何度も拭ってくれた
    そして濡れたままの頬にミサオは口づけをした


    …さよなら エミ




    離陸した飛行機が雲の向こうに
    見えなくなってもわたしは動けなかった


    何時間泣いたのだろう


    あの日 一生分の涙を流して別れた人
    二度と逢うことはないと思っていた人


    なのにどうして…
    これは運命の悪戯なの…


    いまは愛する人がいるのに…


    なぜ 貴女は再び私のもとに現れたの…


    今夜 同じぬくもりに触れた時
    再び呼び覚まされた感情



    …お願い
    私の中からルナを追い出さないで



    だが…誘惑の魔法はすでにかけられていたのだった



    『頬熱いね…エミ〜酔ってる?
    …それとも私の魔法にかかってるのかな…ふふっ』



    『ね、エミ〜 彼女のこと教えてほしいな…』



    ミサオのハスキーな声に弱かった


    その声に誘導されるように
    ルナとの出逢いから…今夜の諍いの理由まで
    わたしは全て話していた


    ミサオは私の話を始終笑顔のままで頷き訊いていた


    持ったままのカシスソーダは溶けた氷ですっかり薄くなっていた



    2杯目に頼んだのはミサオが選んだカクテル
    それは…やけに赤くて
    一口飲むたびに身体が酔いの赤に染まりそうだった





    『ね、エミ〜 出ようか…そろそろCLOSEだし…』


    『…ええ…でもどこへ?』


    ミサオが小声で囁いた



    『眠れる場所を探そう…』



    …ルナ  今夜は私 
    貴女を忘れてしまうかもしれない






[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19766 / 1階層)  【With you tonight】
□投稿者/ 映美 ベテラン(216回)-(2007/08/14(Tue) 17:41:28)
    2007/08/14(Tue) 21:45:14 編集(投稿者)







    『うっ…なんか肌寒いね〜』


    Barの外に出るとミサオが両腕をさすった
    すっかり秋を感じさせる夜風は半袖の肌に冷たい


    「ほんと…もう秋ですね…」


    歩き出すミサオの背を見ながら私は携帯を開き
    時間を見るふりをしてメールと着信履歴をチェックした


    (…はぁ やっぱり…)


    …ルナからは何も連絡がきていなかった


    『ふふっ…彼女の魔法は待てど…電波にも届かないって感じね・・・』


    ミサオの声に慌ててわたしは携帯を閉じた






    ほろ酔い気分のふたりはネオンの街をしばらく泳いでいた


    ミサオのセリフ(眠れる場所をさがそう・・・)が
    頭の中でリピートしていた…。


    (今夜は私の壊れそうなこのHEARTが眠りたい場所を探しているのよ…)


    浮かんだルナの顔が滲んだ…






    『ね〜エミ…あそこいってみよか』



    ミサオが指す看板目指して歩く
    程なく辿り着いたそこはヨーロピアン調の外観がお洒落なHOTEL

     

    『いいじゃん ここにしょう♪…てか わたしちょっと変装しなきゃかな〜』
    呟やきながらサングラスをかけるミサオ



    「ミサオさん…」


    『…ん?』


    エントランスに入りちょっと躊躇う私の様子にミサオが
    レンズ越しに見つめる


    「あはっ なんて顔してるのエミ〜 まだまだエミと話したいだけ で…眠くなったら寝ようね。 大丈夫・・・彼女裏切るようなことはしないからさ〜(笑)』


    そんなやりとりをしてると私達の前を通り過ぎ
    怪訝そうに振りかえりながら男女のカップルが入ってきた



    そのカップルが数メート先の案内版で立ち止まる
    男性がパネルで部屋を選んでる間
    女性の方がチラリと私たちに視線を送った


    その視線に…私は咄嗟にミサオの腕に手を廻した


    カップルはエレベーターに向かう際
    女性だけが再度 私たちの方をチラッと見る

    そして密着してる私達の様子に納得の笑みを浮かべ頷いた


    『ふふ…恋人同士に見えたのかな・・』


    ミサオの言葉にハッとして腕から手を離した


    『さっ…エミ 行こう 怪しまれないうちにね(笑)』


    ミサオが私の手とり再び自分の腕に巻いた


    『部屋に入るまでこうしてなきゃね(笑)』



    With you tonight
    〜今夜はあなたといたい〜



    こんな風にミサオとふたりになること
    私は予感していたのかもしれない


    きっと あの再会の日から…





[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 19931 ]
■19817 / 1階層)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(400回)-(2007/08/21(Tue) 00:40:18)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    エミ・・・ダメだよ、ルナ以外の人と・・・

    お久しぶりですね♪映美さん
    なんか昴が感想を書く時って
    いつもいつも【いいところ】な気がします
    結構ハラハラドキドキして読ませて頂いていますから
    映美さんの意のままの読者ですね 昴って

    8月ももうすぐ終わりですね
    去年の9月13日に、ここで映美さんにお会いしてもうすぐ1年ですね

    完結目指して お互いに頑張りましょうネ♪
    映美さんにエールを込めて 昴の400投稿目をプレゼントしました


[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 19817 ] / 返信無し
■19931 / 2階層)  昴さん^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(217回)-(2007/08/28(Tue) 04:13:07)
    昴さん お久しぶりですね^^

    400投稿目(すごいですね^^;)
    プレゼントしていただきありがとうございますm(__)m

    ほんとに季節もいくつか過ぎて
    気がつけば間もなく1年ですね
    早いですね…

    ほんとに
    いつになれば完結できるのでしょうね…(苦笑)


    相変わらずマイペース更新ですが引き続き
    温かく見守っていてくださいね^^

    昴さんの物語も楽しみしています^^
    お互い頑張りましょうね

    まだ残暑厳しい日々が続いていますのでお体ご自愛ください


    コメントありがとうございましたm(__)m


               映美

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■19933 / 1階層)  【Sercret rendez-vous】
□投稿者/ 映美 ベテラン(219回)-(2007/08/28(Tue) 04:48:37)



    部屋に上がるエレベーターのなか…
    ミサオが腕に廻した私の手に片方の手を重ねた



    『こんなHOTELにくるのって なんだか久しぶりだな〜(苦笑)』



    『ねっ エミ〜 彼女と来たことある?』



    「いえ…ないです…」



    『そっか〜』



    触れている
    ミサオの手が熱く感じる


    ♪〜


    エレベーターが目的の階に到着した


    ドアが開くと同時に
    するりとミサオから腕から手をほどき
    高鳴る胸に手をあてた


    少し遅れて歩く私をミサオが振り返る


    『あはっ 私だってドキドキしてるよ〜エミ(苦笑)』


    (もしかして この胸の鼓動…ミサオに聞えてたのかな…)





    赤い絨毯の廊下を進み点滅している号室の前でミサオが立ち止まる



    『ここだね…。 さ〜どうぞ 私のシンデレラさん〜(笑)』




    白いドアを開き私を促すミサオ



    一瞬ルナの顔が過ぎった…


    (…ルナ…ごめんなさい…でも大丈夫よ 今夜はただ眠りたいだけだから)







    ミサオが冷蔵庫から二つの缶をもってソファの私の隣に腰を下ろした



    『はい エミ〜♪』



    手渡されたのはよく冷えた缶入りコーヒー



    『ビールやカクテルもあったけど もうお酒は飲まないでしょ?』



    「ええ…ミサオさんは?」


    『う〜ん ホントはね まだ飲みたいけどさ〜
    これ以上飲んで酔うと自分を見失ってしまいそうだし…コーヒーで我慢するわ(苦笑)』


    プルタブを引きながら 乾杯〜♪とミサオが缶コーヒーを軽くぶつけた






    ふたりで缶コーヒーを一口飲みテーブルに同時においた



    そのタイミングに思わず顔を見合わせ笑った




    テーブルの灰皿を見てふと思った…
    (そういえばBarでもミサオは1本も煙草を吸っていなかったみたい…)



    「ミサオさん 煙草やめたんですか?」



    『うん〜、やめたよ ロスに行ってから慣れない環境で精神的ストレスでお酒と煙草の量が増えちゃってね ちょっと身体壊したの  …んで煙草はやめたんだ でもね お酒はやめられなかったぁ(笑)』




    「そうだったんですか…」



    『エミはよく心配してくれてたね いつも煙草とお酒の量減らしてって言ってくれたよね…。あはっロスではそんな心配してくれる人いなかったからさ…』



    ふっと寂しげな目をするミサオに胸が締め付けられた



    『ねぇ エミの彼女は煙草吸うの?』



    「ええ…」


    『じゃあ 同じセリフ言ってんだね きっと…(苦笑)』



    「…」



    わたしは黙って頷いた





    『来週の木曜日、ロスに帰るね…』


    「えっ もう 帰っちゃうんですか…」


    『うん 向こうの教室も心配だしね』


    ミサオが今回、日本に帰国した理由は
    なんでも両親が離婚するとかしないとかの揉め事に加え
    入院中の叔母の容態が思わしくないと心配事が重なった為だったらしい


    『母がね〜父と離婚するんだって何度も国際電話よこすからさ〜
    もう30年も連れ添ったんだから 我慢したらって言ったらさ
    お前は結婚してないからわかんないんだ…からはじまってお説教のオンパレードよ
    たまったもんじゃないわ(苦笑)今夜もね 母とケンカして家にいたくなくてさ それでひとりで飲みに出てきたんだ〜』


    「そうなんですか…、いろいろ心配ですね」


    『うん 仕方ないさ〜 まっ生きてりゃ自分のことだけじゃなくてさ 色々あるもんよ〜』



    ミサオのハスキーな声が響く度に胸がざわめく


    二人が並んで座っている
    この大きな赤いソファがまた
    妙に妖しい雰囲気を演出しているようだった






    ミサオがテーブルの上に置かれたリモコンを手に取り
    MUSICチャンネルを廻す…



    〜Sercret rendez-vous〜


    〜止められない 今夜の秘密のランデブー〜♪



    そんな曲に…ミサオはチャンネルを合わせた




    『ね、エミ〜彼女が愛していない人を抱いたって聞いてショックだったって言ったよね?』



    「…うん」



    『…私だって…抱いたことあるよ』



[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 20019 ] ▼[ 20046 ]
■20017 / 1階層)  1周年おめでとうございます♪
□投稿者/ 昴 大御所(407回)-(2007/09/13(Thu) 01:14:50)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    映美さんが
    こちらに投稿されて
    今日で1周年ですね

    (その時はまだ映美さんではなかったけれど 笑)


    勘違いからの出逢いでしたね


    1年前を懐かしく振り返ります


    お仕事のご都合でしょうか?

    以前よりも更新がゆっくりになったように感じますが
    (↑昴も人のことは言えません(>_<)

    お身体に変わりはありませんか?



    きっと昴の他にも沢山の方々が読んでいらっしゃいますよ


    お互いにゆっくりでも
    完結目指して頑張りましょうね


              昴




[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20017 ] / ▼[ 20047 ]
■20019 / 2階層)  映美さん
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2007/09/13(Thu) 02:01:17)
    あちらの星からワープして参りました(笑
    いつも楽しく拝見させて頂いております^^

    誤解から生まれた二人の小さな溝
    これ以上大きくならないで・・と心が逸ってしまいます^^:
    ルナとエミのすれ違いや不安、読んでいてとても共感できます
    恋愛って、楽しいだけじゃないってこと
    そして、エミとミサオさん
    ミサオさんってとても色っぽく感じるんですが^^
    この会話の続きが、エミを動かすんでしょうか・・?

    今日で・・・
    投稿1周年だったんですね! 私も、昴さんに肖って^^
    一周年おめでとうございます♪〜☆,°・ ‥.
    これからも更新楽しみに、また応援しております

    映美さん、お仕事お忙しそうですね
    夜風も涼しくなり、過ごしやすくなってきました
    今夜は少し肌寒いですね
    風邪など召されないよう、お身体ご自愛なさてください^^
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20019 ] / 返信無し
■20047 / 3階層)  レオさんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(221回)-(2007/09/17(Mon) 01:27:19)
    レオさん こんばんは


    お祝いコメントありがとうございますm(__)m


    えっ あちらの星からワープされたんですか〜?

    う〜ん なるほど^^
    どの星かわかりました…(苦笑)

    きっと…あの流れ星にのってこられたのですね^^

    レオさん
    シークレットゾーンではいつもご感想頂き
    ありがとうございます^^

    わたしの拙い物語『ルナエミ』に
    いつも共感していただくレオさんの御意見・ご感想は
    とても励みになります
    本当にありがとうございます^^

     
    そうですね
    ミサオは女らしい色っぽさはまったくないのですが
    とってもセクシーな女性です(*^_^*)

    今後のミサオとエミの展開はレオさんの
    予想通りでしょうか…

    お楽しみに^^

    引き続きスローな更新ですが書いていきますので
    気長にお付き合い頂ければ嬉しいです 


    秋の夜風に油断してお風邪など召しませんように^^


                        映美





[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20017 ] / 返信無し
■20046 / 2階層)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(220回)-(2007/09/17(Mon) 01:19:15)
    昴さん こんばんは 

    コメントありがとうございます^^ 
    一周年覚えてくださっていたなんて とても感激ですm(__)m

    昴さんは『ルナエミ』読者第一号様でしたね

    …1年前
    HNの勘違いで昴さんがレスくれたあの日を…
    懐かしく思い出しました^^

    あれからもう1年ですか…

    季節は巡り…
    物語の始まりの秋にまたもどりましたね
    早いですね(苦笑)
    この恋の話はいったい
    いつ終るのでしょうって感じですね


    時は過ぎるのはとても早くて
    物語りはついていけなくて困ったもんです^^;

    まさか…2周年おめでとうございます…
    (苦笑)なんてことにならないように
    完結できるように頑張りますね


    朝晩涼しい季節ですが
    日中はまだ気温が高かったりの日々ですので
    体調崩さないないようにご自愛くださいませ^^


                  映美

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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20066 / 1階層)  【I'm lost in your eyes】
□投稿者/ 映美 ベテラン(222回)-(2007/09/22(Sat) 03:25:43)



    『一度だけ…抱いたことあるよ 愛してもいない人をね…』


    「……」


    『なんとなく成り行きでね…。あのときは無性に寂しかったんだ』


    私はミサオから視線を逸らした


    「……」


    『あはっ 最低だね〜あたし…』



    どんなリアクションをすればいいんだろう…
    頭の中で言葉を探した



    『でもね誤解しないでね エミ! その時は好きな人がいなかったからよ
    恋人がいたら絶対しないよ!いくら酔っててもね(苦笑)』




    『エミの彼女だってそうでしょう…それってエミと出会う前のことでしょ?』


    「…うん」


    こっくり頷く私の肩をポンポンとミサオが軽く叩く


    『じゃあ 問題ないじゃない(苦笑)過去の事じゃん 許してあげなよ〜エミ 
    彼女だって、きっと私と同じようなときがあったんだと思う…なんとなくわかるんだ〜』


    (あのときはしかたなかったの・・・)と話しかけたルナの言葉を遮った
    自分を思い出していた



    私は涙が出そうになり唇をかみしめた



    …ほんとは全部 許してる
    愛しているから

    …どんなことだって受け入れられる
    愛しているから




    言葉が途切れてしばらく無言の二人







    流れるBGMの曲が途切れた時
    ハスキーボイスが低く響いた


    『今回ね 日本に帰国した理由 実はもうひとつあるんだ…』


    「・…もうひとつ?…って?」


    ミサオが私を見つめた


    『…エミに会いたかったんだ…』


    ハスキーな声と惹きつけるその瞳に
    早鐘のように私の胸が鳴っていた


    『そろそろ 魔法かけてもいい? 今夜、エミが彼女の事忘れる魔法…をね』


    ミサオの指先が頬に触れた

    その指先の温もりがミサオの魔法だったのだ
    私はもう動けなくなっていた


    『愛していない人はもう抱かない…。 でも愛する人がいるひとを抱くのはやはりいけないことかな…』


    かつて焦がれた黒い瞳が目の前にあった


    「ミサオさん…」




    〜when I'm lost in your eyes〜

    わたしは貴女の瞳に夢中になり…
    その瞳のなかでわたしは迷っている〜♪


    BGMからはそんな歌が流れ…


    私の脳裏には…あの夜が映し出されていた




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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20080 / 1階層)  【Stop motion〜first sigh〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(224回)-(2007/09/24(Mon) 02:00:05)



    ミサオの魔法で、今 動けなくなってる私


    脳裏のスクリーンで巻き戻し映し出される
    出逢いから〜あの夜の場面






    頭の中でSTOPを押した
    ――まずミサオとの出逢いを再生してみた




    短大を卒業し社会人になったばかりの春


    友人マリが通うダンス教室の発表会に足を運んだ日の事
    開演前 マリの教室の控え室を探していた


    (…どこだろう どの部屋かな?)


    いくつかのドアの前で迷っていると後ろから声がした


    『どなたに御用ですか?』


    ふり向くと黒のレオタード姿のスレンダーな女性が立っていた


    「あの、○○マリの友人なのですが…」


    『あ〜 マリね! マリならこの部屋にいるわよ ちょっと待っててね』


    その人は目の前のドアをあけ入っていく






    ほどなく出てきたマリが大袈裟に私に抱きついた


    「エミ〜! 来てくれたんだぁ〜」


    「最後まで いられないからさきに渡しておきたくって〜」
    マリにお祝いの花束を差し出した


    「ありがとう エミ〜♪ あっそうだ〜 ちょっときて〜」


    マリが部屋の中へと私を引っ張っていく 


    そして、立ち止まったのはさっきの部屋を教えてくれたレオタードの人の前だった


    『エミー 紹介するわ〜 私の講師よ〜♪』


    (えっ…この人 講師だったんだ…)



    『よろしく ミサオです♪』
     

    そのひとは会釈しながらじっと私を見つめた


    その黒い瞳はまるで強い磁力を放ってるように
    私を強く惹きつけた…


    (なに ドキドキしてるんだろう…わたしったら…)


    『エミー ミサオ先生のステージもちゃんと見て帰ってね!』


    マリに言われなくても プログラムでミサオの出番を探すつもりだった





    ミサオのダンスに私はカルチャーショックを受けた


    無駄のなく引き締まった肉体がリズムに合わせて躍動する
    その美しい動きがたまらなくセクシーだった


    その日から すっかり私は、ダンスの虜…
    いや…ミサオの虜になってしまっていた


    それから何度かマリのレッスンを見学にいくという口実で教室に通った
    レッスンを窓越しに眺めながら目で追うのはマリではなくもちろんミサオの姿ばかり…

    気のせいなのかミサオが時折 私の方に視線を送ることがあった
    目が合って思わず逸らすことが何度もあった

    もしかして…ミサオさんも私を気にしてくれてるのかな
    ううん そんなわけないよね 自惚れだよね…そう自分にいい聞かせながら
    ミサオにはずっと好きの光線を送っていた

    私は不思議なくらい気になった人はかなりの確率で
    自分と同じセクシャリティーだったりする きっと自然と引き寄せられるのかもしれない

    だから今度も確信していた 
    ミサオさんもきっと…そうなんだってこと



    それから2ヵ月後の事だった


    マリからできちゃった結婚するから
    会社もダンスも辞めるんだと聞かされ驚いた


    マリがダンス辞めるなら もう教室には行けない
    ミサオの姿も見れなくなるんだ…私は落胆した





    …少し早送りしてみる





    ミサオと偶然に会ったのは、
    お気に入りのアーティストの新譜の広告につられて入ったCDショップだった


    あ、あのひとは…ミサオさん


    視聴コーナーでヘッドフォンをはずし立ち上がるミサオが視界に入った


    声かけなきゃ…




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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20083 / 1階層)  【Stop motion〜two heart〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(225回)-(2007/09/25(Tue) 11:57:06)

    CDショップを出て向かった先は
    ミサオの行きつけのBARだった


    ミサオがスマートに煙草を吸う横顔に
    ドキドキがとまらない

    あの日からずっと会いたいと願った奇跡
    それがこんなに早く訪れるなんて…

    ミサオの小麦色の肌が触れる程の距離にあった
    これって夢かもしれない…思わず頬を軽くつねってみたりした

    こんなにとんとん拍子にことが運んじゃうなんて
    まるでドラマみたい…




    テーブルにミサオがさっき買った2枚のCDを並べた
    こんどダンスで使う曲を選ぶんだと言う


    『ね、エミさん これとこれ…ジャケットはどっちがお好み?』


    一枚はセピア色で映し出されていたどこか異国の街の風景

    一枚は黒背景のなかに描かれたシンプルな赤いハートのイラスト


    「そうですね〜 どっちも綺麗ですね〜(微笑)でもわたしはこっち…」


    私は赤いハートを指差した


    黒の背景が…ミサオの黒のレオタードに見えたのだった
    赤いハートは私…
    黒のミサオに抱かれてる…燃える赤のハートの私…
    そんなことを想像したりしてみた
    はっ…として 赤面する (なに考えてるんだろう…私 ) 


    ミサオが私の指先見つめ うんうんと頷いた


    『ハート選んでくれると思ってた…(微笑)』


    ミサオの黒い瞳に見つめられ
    赤のハートから指が動かなかった…


    「じゃあ このハートから曲 選んじゃおうかな〜♪」


    持った煙草を灰皿に置き
    ミサオは私の人差し指に指を重ねた


    流れるSwing Jazzのメロディーが会話を途切れさす






    ―頭の中でシーンが早送りされる…



    『エミは、もう酔っちゃった?』


    いつのまにか、ミサオは私のことをエミと呼んでいた


    ミサオの声が耳元で響くとなんだかとても心地よかった


    私を酔わせてるのは
    そのハスキーな声でもあった


    身体が熱く火照ってきてるのがわかった


    軽い眩暈がしたのは
    お酒の酔いのせいじゃない


    気がつくと 私はミサオの腕の中にいた…





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▲[ 18961 ] / ▼[ 20250 ]
■20214 / 1階層)  【Stop motion〜coming-out〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(228回)-(2007/10/19(Fri) 02:09:53)


    カーテンの隙間から射す微かな光に
    目を開けると自分の部屋とは違う天井が見えた


    …えっ ここは…?


    半身を起こした時 ずれた毛布から
    なにも身につけていない肩や胸があらわになった


    えっ わたしったら…何も着てない?


    慌てて毛布で胸を覆い薄暗い部屋を見回した



    隣で眠るミサオの横顔を見たとき
    私は はっきりと目が醒めた


    そうだった…ここはホテルの部屋なんだ


    昨晩 偶然会った ミサオと閉店までお酒を飲んで

    すっかり酔った
    ミサオと私は千鳥足で店を出た…


    そこまでは憶えていたのだが…









    ―頭の中で巻き戻しボタンを押した


    BARカウンターの場面…でまず停止釦を押した




    二人で選んだハートのジャケットのCDをマスターに頼んでかけてもらった


    アップテンポなダンス・コンテンポラリーな曲
    スローなソウルフルなラブバラードが順に流れている 

    そのメロディーをミサオが目を閉じて聴いていた
    時折 テーブルの上で指先でリズムをとっているのは 
    頭の中でフリをイメージをしているのだろう


    ステージで踊るミサオのセクシーな肢体が脳裏をかすめた



    「ミサオさん ダンスはいくつからされてたんですか?」



    『う〜ん 本格的に始めたのは高校出てからかな…。私ね5才から小6までバレエ習ってたんだ…。
    いや 習わされてたっていうのが正しいかな〜。  母は私をバレリーナにしたかったらしいけどね(笑) 
    私 プリエだの!パッセだの! 決まったポーズとるのが苦手でどうも好きになれなくて いやいやレッスンに通ってたんだ。 
    そーいえば わざと無理な運動して足傷めて発表会でれませんってこともしたわ〜
    悪い子だったんだ 私(笑)おかげで柔軟な身体になれたことだけは感謝してるけどね(苦笑)形にとらわれない自由な表現できるダンスに出会ったとき 
    私の求めてたものはこれだ! 自分の夢 ダンスで叶えようって強く思ったんだ…』


    「そうですね たしかにミサオさんはバレリーナってイメージじゃありません…(笑)」


    『そうでしょ…(笑)』



    「この前のステージでのミサオさん とてもカッコよかったです(赤面)私 夢中で…見てました」



    『そうなんだ 夢中になってくれて…ありがと(微笑)』


    ミサオの見つめる瞳とハスキーな声に耳朶まで熱くなっていた


    「あ、あの そ、それで…ミサオさんの夢って? どんな夢なんですか…?」


    『う〜ん それはね…
    叶ったら教えてあげる だから今はひ・み・つ(笑)』

     

    私が一杯のカクテルをもてあましてるのに ミサオは既に3杯目の水割りをオーダーしていた



    「ミサオさん ピッチ上がってますけど 大丈夫ですか?」



    『あはっ 大丈夫よ 自慢じゃないけどお酒は強いからね〜!…って…思い切り自慢してるね(笑)』


    ミサオの吐き出す煙草の煙が鼻先をかすめても平気だった
    (…苦手なはずなのに…)
    その横顔にもっと近づきたいと思った





    『ね、エミは恋人いるの?』



    「えっ いいえ いません…」



    『そっか〜!』



    グラスを見つめながらミサオは更に質問をする


    『あのさ〜エミ エミは…男と女どっちが好き?』


    「えっ…どっちって…それはどういう意味ですか?」


    ミサオは意味には答えず続けた



    『わたしはね 男女どちらでも恋愛対象…って考えだよ 
    あっ これって〜coming-out〜してるってことかな?(苦笑)』



    「じゃあ私も…〜coming-out〜します…ミサオさんだけに…(微笑)」


    ふたりの視線が 
    見つめあうから…
    絡みあうに…かわった瞬間だった





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▲[ 20214 ] / ▼[ 20291 ]
■20250 / 2階層)  NO TITLE
□投稿者/ ジュン 一般♪(1回)-(2007/10/31(Wed) 16:14:45)
    はじめまして!いつも読んでます。

    ミサオのセクシーさに読む度にドキドキしてます(#^.^#)
    この続きがとっても気になり毎日更新チェックしてる私です!!

    いま、ハタと気付きましたが、このお話はパートVなんですね〜??
    TもUも すんません読んでませんです(汗)では最初からじっくり読んできまーす!!

    次回更新を楽しみに待っています!


    (携帯)
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▲[ 20250 ] / 返信無し
■20291 / 3階層)  ジュンさんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(229回)-(2007/11/12(Mon) 15:27:43)
    2007/11/12(Mon) 17:02:12 編集(投稿者)


    ジュンさん^^

    いつもお読みいただきありがとうございます^^
    毎日更新チェックしていただいてるんですねm(__)m

    こんなスローペースな展開に…更新と(苦笑)
    本当に怠慢な筆者ですね 申し訳ないですm(__)m

    ここ最近 仕事が忙しくて時間ゆっくりが取れなくて…
    私のいくつかの書き途中の物語はすべて止った状態なんです^^;

    ジュンさん 
    パートI、Uをお読みいただけたのでしょうか^^?

    そうなんです この物語はパートVなんです^^
    途中からお読み頂いたジュンさんは、ミサオとエミの恋物語だと
    思われたかもしれませんね?(苦笑)

    実は もう1年以上ここで書かせていただいてます^^;
    長い物語に完結の道のりはまだ先のようです…

    これからは、時間にすこし余裕ができそうなので
    執筆 頑張りますので 引き続きお付き合い下されば嬉しいです。

    寒い季節です お体ご自愛ください 

    コメントありがとうございましたm(__)m


                映美
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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20292 / 1階層)  【Stop motion〜I want to hug you〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(230回)-(2007/11/12(Mon) 17:32:05)



    絡み合った瞳のなかで赤いカクテルが揺れた


    流れていたメロディーが途切れて
    ほどなくマスターが手にしたCDを持ってきてミサオに差出した


    『はい ミサオちゃん 12曲終了〜♪』


    『あっ マスター サンキュー♪ 無理言ってごめんね』


    『どういたしまして〜! と・こ・ろで…お二人がリピートしてほしいLove message
    …じゃないや 訂正(笑)Love songは見つかったかい?』


    マスターは髭をたくわえた顎を撫でながらミサオと私に交互に微笑んだ


    戸惑い顔の私にミサオが耳打ちする


    『マスターはね、実はゲイなの…。 だから気のしないでいいよ…エミ(苦笑)』


    ミサオの息がかかった時、私の思考はショートし始めていた







    途切れたメロデイーが再び奏ではじめた
    ハートのCDジャケットの中のタイトルをミサオがなぞり示す


    『この曲…リピートしてもらおうかな〜♪』


    〜I want to hug you〜♪


    そしてそのタイトルを声に出してミサオは読んだ


    『I want to hug……Emi…』


    (わたしはエミを抱きたい…)
    心の中で訳してみた…



    …本気なの?ミサオさん 酔った勢いで誘ってるの


    答えを聞くのが怖くて口に出せなかった


    こんなスマートな誘い方するなんて
    きっと私だけじゃないはずね…


    恋愛上手なのは引き込まれる話術の中にも窺える


    …でも そんな ミサオさんが好き たまらなく好き


    (わたしはエミを抱きたい…)

    …YESといったら軽い女だと思われちゃうかな…
    ううん それでも構わない


    わざと目の前の熱い視線を逸らし…俯いた


    「…」


    『ふふっ エミは可愛いね〜』


    俯いたままの私の髪を指先でかき上げながらミサオが囁く


    『エミ〜 今夜は帰らない?』


    「…」


    『…返事聞けるまであと何分待てばいい?(苦笑)』


    私は、残りのカクテルを飲み干し
    ミサオの目をまっすぐ見つめて頷いた







    rendez-vous
    愛の場所を求める恋人達がさまよう週末の夜の街


    すっかり酔った私はミサオの腕にまきついていた


    『あ〜ちょっとエミ〜 STOP〜!』


    急に立ち止まったミサオが
    バックして転がったヒールを拾いそしてかざした


    『ほら〜エミ 大丈夫〜?ヒール脱げちゃったのも 気付かないの〜(苦笑)』


    「あ…、ごめんなさい なんだか体が宙に浮いてるみたいで…感覚がないの〜どうしょう〜」


    ミサオが笑いながら私の頬を撫でた


    『(笑)私のペースに合わせて飲んじゃだめだっていったのに〜
    ほら〜 片方脱げたガラスの靴 履かせてあげるよ 酔っ払いのシンデレラさん(笑)』



    私はひどく酔ってるのに、まるで素面顔のミサオ
    …ほんと ミサオさんってお酒強い(苦笑)
    でもね 酔ってるのは お酒じゃなく ホントはミサオさんによ…










    ーたどりついた先は…シティホテル


    ツインルームに入りロックをかけて

    次のドアを開けようとした時

    「あ…」


    足がもつれとっさにミサオの腕を掴んだ
    そして二人してフロアに転がった


    『大丈夫〜 エミ〜?』


    抱き起こそうとするミサオの首に大胆にも私は手を廻した
    今なら、どんな言葉を発しても酔いのせいにできるだろう


    「すっかり…酔っちゃっいました…。 …ミサオさん…に…」


    『そうか〜エミをすっかり酔わせちゃったんだ〜』


    苦笑いするミサオの黒い瞳が目の前にあった


    今夜はこの瞳がたまらなく欲しかった…
    いま私を支えてるこの腕…

    この腕の中で溶けてしまいたい…





    冷えたミネラルウオーターを飲み干すと一気に
    お酒の酔いだけが…醒めたように感じた



    グラスを置きベットサイトのミサオの隣に座ると
    華奢な腕が強く私を引き寄せた



    『私 エミにどうやら惚れちゃった みたいだ…』


    ハスキーな声が熱い吐息にかわった


    耳元に這う唇を感じた


    耳朶を甘く噛まれた時 お酒の酔いは溶かされた





    そんな場面の最中…



    …頭の中のスクリーンが突然 ザァーっとノイズ音と共に砂嵐になった




    誰かが停止釦を押した



    『エミ…』






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■20323 / 1階層)  【Stop motion〜Solve magic〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(231回)-(2007/11/28(Wed) 02:39:29)


    『エミ?』


    目の前で黒い瞳が揺れていた


    そう…
    映像をSTOPさせた声はミサオだった
    (今 目の前にいるのは現在(い・ま)のミサオさんなんだ…)


    『エミ…ぼんやりしちゃって どうしたの?』


    「思い出してたんです」


    『ん? なにを…』


    「…前にもこんなシーンがあったなって…」


    『…こんなシーン…?』


    「お酒に酔って…それからふたりでホテルに辿りついた夜のこと…」


    『う〜ん…(苦笑)』
    ミサオは頬に手をあて天井を見上げた


    「もう 忘れちゃったんですね?」


    『……』


    ミサオは笑みを浮かべながら目を閉じた


    BGMから流れてる歌はサビを繰り返していた


    ♪〜わたしは貴女の瞳に夢中になり 
    あなたの瞳のなかで私は〜♪



    やがてメロディーが途切れて…
    ミサオの唇が動いた


    『忘れるわけないじゃない…』


    そのハスキーボイスは
    途切れた映像をふたたび再生させる






    3年前…ミサオとのあの夜のこと





    シャワーを浴びようかと腕を解こうとするミサオに私はわざと寄りかかる


    『エミ〜大丈夫?…まだ酔いが抜けてないの?』


    「ええ そうかも…」


    (私のウソつき…酔いなんか とっくに醒めてるくせに…)


    一時も離れたくなかった


    このままずっとミサオの腕の中に収まっていたかった


    『…ちょっと窓あけて風にあたる?』


    窓際に立つ二人のシルエットは
    一つになっていた


    ミサオの熱い吐息が耳元に感じ…
    そして唇を捉われた瞬間 全身が震えた…


    それから… 
    どれくらいの時間

     
    互いの唇を貪りあっていただろう



    濃厚なくちづけを交わしながら
    夢中で互いの衣服を剥ぎ取っていた

    ミサオのしなやかな指先が
    身体のラインを滑り…舌先が全身を這う…

    ふたりの吐息と…
    切なく喘ぎ響く声は部屋中の雑音をすべて掻き消す…

    …とめどなく押し寄せる快感の波のなか
    ミサオの褐色の肌に爪をたて夢中でしがみついていた

    やがて…真っ白な海が見えたとき
    私は意識を失い そのまま夢の中に落ちていった…




    その夜から…

    1年後にミサオがロスに旅立つまで
    そんな夜を幾度 過ごしただろう




    ―3年前の映像はそこでSTOPされた







    『私も思い出してたよ…』


    ミサオが肩に手を回し私を抱き寄せる


    『ねっエミ…。今夜だけこのまま魔法にかかったままでいてほしい
    大丈夫 ちゃんと彼女のところには帰してあげるから…』


    抱き寄せる力はあの日より強く感じた


    懐かしい腕のぬくもりが私を包む
    懐かしい声が…耳元に響く


    私は動けずにいた…

    ううん 
    きっと動きたくなかったのかもしれない


    ふたりは瞳を探りあった

    そして唇が重なるまで…あと数センチ



    ミサオの黒い瞳のなかに…
    ルナの潤んだ瞳が映った気がした

    (ルナ…)

    そしてルナの声が聞えた気がした


    (エミィ…)


    「ルナ…」


    私は無意識にルナの名を呼んでいた…



    ミサオは腕をゆっくり解く


    『そっか…やっぱ 彼女の魔法には敵わないんだね・・・(苦笑)』





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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20340 / 1階層)  【〜Back in love with you 〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(232回)-(2007/12/06(Thu) 17:11:12)



    肩を抱いていた腕が離れ小さな溜息がもれた


    『彼女…ルナって名前なんだ・・・』

    「…」

    黙って頷く私にミサオは苦笑いをした


    『彼女の名前 あえて聞かないでいたのにさ〜!あ〜あ しっかり憶えちゃったじゃない〜』 


    「・・ごめんなさい」



    『きっと…彼女…今、エミのことを想ってるんだよ…。 
    やれやれ やっぱ負けちゃったか〜 私のかけた魔法も解かれちゃったしね…』


    『私ったらどうかしてるね 彼女いる人を誘惑しちゃダメだよね
    今夜は酔っ払ったかな〜!あ〜私ったら お酒弱くなっちゃったのかな〜(笑)』


    ミサオの笑う瞳が寂しげで
    思わず華奢なその腕にもう一度寄りかかりたくなる衝動を抑えた



    〜Back in love, back in touch〜♪
    〜Back in love with you  I wanna be…〜♪


    部屋の中 二人の沈黙の間に
    静かに流れてるメロディーが切ない




    ふたりは赤いソファに深く座りなおした
    テーブルの飲みかけの缶コーヒーにミサオが手を伸ばす


    『ずっと…後悔してた エミを置いてロス行った事… 
    エミに恋人が出来たって聞いた時 "よかったね〜”なんて笑顔で言ったけどね 内心辛かった…』

    「…」

    私に話す間を与えずにミサオはしゃべり続けた…

    『今夜 一緒にお酒飲もうって誘ったら エミが彼女とケンカしてっていうから…
    もしかして今夜は…復活愛ありの予感ありかも〜ちょっと期待した自分がいたよ(笑)』


    私も、予感してたのかもしれない…そのハスキーな声と見つめる瞳に触れられることを


    『知ってるでしょ〜エミ ちょっと強引な私の性格〜(笑)』


    強引・・
    そのセリフでふっと脳裏に浮かんだのは空港でのミサオとの別れの場面だった


    「強引なら…あの時・・」

    『…ん?…』

    「あの時 どうして…強引に連れて行ってくれなかったの・・」


    あの日 ミサオは自分の夢に向かって飛び立とうとしていた 

    “エミも連れて行きたい…”ドラマチックな台詞を残すミサオに“もう遅いわ…”と涙で責めた
    返事を待つ…沈黙の間に搭乗アナウンスが流れた時
    ミサオは 私の手を哀しく振りほどいた
    そして涙の粒を拭い“さよなら・・・エミ”と頬に最後のkissをした

    ゲートに向かうミサオの背中に心で叫んだ

    "あなたは私より…ダンスと夢が大事なんでしょう…”





    遠い日に望んだ強引な腕は今夜また・・・私から離れた


    『・・ごめんね エミ…』


    目を伏せたその横顔が哀しげだった


    「ミサオさん ごめんなさい…私」


    ミサオはソファから立ち上がり窓のカーテンを開けた 
    隙間から見えた空は夜明け色だった


    『夜明けだね…』



    「…ほんとですね…少し眠りましょうか…」


    私もミサオの立つ窓に近づいた


    『エミ…彼女のところへお帰り・・・』


    窓から空を見上げ呟いた ミサオの背中が震えていた…




[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 20418 ]
■20414 / 1階層)  【〜 Sleep slowly tonight〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(233回)-(2007/12/16(Sun) 22:58:37)
    2007/12/17(Mon) 01:05:36 編集(投稿者)





    ミサオの背中にわたしはそっと寄り添い
    明けていく空を肩越しに眺めた


    『今回も強引になれなかったね ダメだな〜わたし(苦笑)』


    「…昔のことを責めたりして ごめんなさい…ミサオさん…」


    『ううん…わたしこそ謝らなきゃ…。一杯泣かせたね…ごめんねエミ…』


    ミサオは肩に置いた私の手に自分の手を重ねた


    『あの時 エミを一緒に連れて行きたいって本気で思った エミを愛していたから…。
    でもね…やっぱできなかった…。まだ私は夢を叶える途中だったから 
    でも…もし…私がオトコだったらね きっとさらってた…』


    ミサオの気持は痛いほどわかっていた。
    女同士であるが故に…
    感情だけに走れない現実が待っていること…。

    あの時 未来なんて考えていなかった
    只 一緒にいたいという願望だけだった

    泣いてばかりいた

    ミサオが選択した答えは
    今となって思えば 正しかったんだ

    ロスに行き夢を叶えられた ミサオ
    新しい恋に出逢えた 私

    お互いが幸せを掴んだんだから

    ミサオさん…あなたに出会えてよかった
    一生に一度の恋をしたって思ってた
    呼吸もままならぬ位 何度も肌を重ね過した夜
    愛してた とても…。
    愛してくれて ありがとう


    ミサオの背中の温もりを感じながら涙があふれた







    『もう朝だけど…少しだけ眠ろうね』



    ミサオが洗面所に向かったとき
    バックから電源Offになったままの携帯を取り出した


    メールが1通ルナから届いていた

    戻っておいでの文字はなくちょっと寂しかったけど
    ルナのクールな優しさが伝わった 

    目が醒めたら帰るね 
    待ってて ルナ…

    あっ こんな時間に返信したら
    夢のなかにいるルナを起しちゃう…


    書きかけたメールを削除して携帯を閉じた

     



    ベットサイトのアラームをAM9:00にSETして

    『これでOK〜♪』


    ミサオがダブルベットに転がった


    私も服のままミサオの隣に横になった


    思い出話の途中…
    ウトウトと眠りに落ちる寸前の私に
    ミサオは頬にそっとくちづけをした 



    “〜Sleep slowly tonight〜おやすみ エミ”









    ―その頃 ルナの部屋では…


    マユがベットで眠っていた


    ソファでウトウトしていたルナはふっと目が覚めた


    時計を見ると午前6:00
    ロールカーテンの隙間からの朝の光が微かに射していた


    テーブルの上の携帯を手に取り開いた


    エミからは何の連絡もはいってなかった


    戻っておいでって言わなかったから きっと拗ねてるのだろう(苦笑)



    う〜ん…

    ベットで眠るマユが寝返りをうった


    ルナは、ベットのマユに呟いた


    やれやれ こっちの彼女も困ったもんだ(苦笑)





[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20414 ] / ▼[ 20423 ]
■20418 / 2階層)  映美さん
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2007/12/17(Mon) 21:09:03)
    こんばんは 映美さん^^

    いつも楽しく拝見しております
    何だか ほっとしてる反面、すこしせつなくなってしまいました
    優しいな… ミサオさん
    思い返し気づくことって、ありますよね。。
    つづき、楽しみにしております 
    無理しないで、映美さんのペースでがんばってください☆

    とっても寒くなりました〜 冬本番です^^;
    そうそう、ちゃんと厚着してくださいね(笑 
    年末、忙しい日々が続きそうですが
    体調崩さないよう、気をつけて下さいね^^
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20418 ] / 返信無し
■20423 / 3階層)  レオさんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(234回)-(2007/12/21(Fri) 02:35:36)
    レオさん こんばんは^^

    おひさしぶりですね^^

    コメントありがとうございます

    毎度の事ながらのスロー更新
    ほんとに申し訳ないですm(__)m

    優しい大人のミサオに…
    またもエミの心が揺れるシーンが?!
    あるかも…ないかもで…(苦笑)
    そんな予告でレオさんをヤキモキさせておきますね^^

    さて、長〜いミサオとエミのシーンから
    今度はルナにスポットをあて物語を展開していきます。

    ルナの元恋人も登場します…お楽しみに〜♪

    星の輝く場所で書かれた レオさんのお話拝見しました
    ステキなお話ですね^^
    続き書いてくださいね 待っています^^


    ほんとに、寒くなりましたね(>_<)

    この大事な時期に風邪の菌の侵入を許してはいけません^^
    温かくして過してくださいね

    もうすぐX'masですね
    素敵なX'mas nightをお過ごし下さい^^


                 映美

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■20424 / 1階層)  【〜Two wineglasses〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(235回)-(2007/12/21(Fri) 03:03:05)


    メンソールシガレットに火を点け
    ベットで眠るマユと時計を見ながら呟いた…


    …とうとう 眠れなかったよ エミィ


    煙草を燻らしながら
    エミが部屋を飛び出してからの数時間を思い出していた




    エミを呼び戻そうと開いた携帯にはマユからの着信履歴が…


    …マユから?なんの用だろう…


    今夜の諍いの原因がマユだけに気になり コールバックした


    「ルナ〜、かけてくれたんだ〜♪」


    マユの弾んだ声に酔ってる様子が分かる
    声の向こうでは賑やかな雑音が響いる きっとバーか居酒屋にでもいるのだろう
    酔っ払うと…電話かけるのはマユの癖だった
    要領を得ない会話に…酔っ払いの相手はごめんだからと切りかけた時
     
    「切らないで! ルナ!」 「エミさんに謝ってほしいの…」

    『謝るって何を?何のこと?』

    そんな会話の途中 受話器の向こうでオトコの声が聞こえた
    "マユ〜今夜も泊まるんだろう〜♪”


    電話を切ろうとするマユを今度は私が引きとめた


    「マユ…うちにおいで!」


    電話を切ってからハッと思った
    私ったら、エミを呼び戻すつもりだったのに…


    携帯をもう一度開き 思案したが…


    やっぱり 酔った勢いでオトコの部屋に
    泊まろうとするマユを今夜は放っておけなかった…。


    仕方ない 今夜はエミにはクールでいるよ 許してね



    TO…エミ

    エミィ ちゃんと電車に乗ったのかな?
    家に着いたら今夜はゆっくり眠ってね

    明日ゆっくり話そう

    おやすみ エミィ

              ルナ




    それから数十分後…チャイムが鳴った
    ドアスコープにはマユの姿が映っていた





    「ルナ ありがとう〜!嬉しかった〜」


    部屋に入るなり マユは腕を絡ませてきた


    「すぐ タクシーに飛び乗ってきたの〜(笑)」
    ルナがおいでって誘ってくれるなんて〜夢みたい〜」


    しゃべり続けるマユの腕をほどき ソファに座らせた


    『誤解しないでマユ 誘ってるわけじゃないし 優しくしてるわけでもないよ』


    「相変わらず冷たいな〜(苦笑) でもそんなルナのクールなとこがね やっぱ好き」


    『マユ 今夜はお説教されるの覚悟できたんでしょうね』


    「分かってるわ… 私 ルナの言うことしか素直に聞けないもん(苦笑)」


    『素直に聞いてるんだったら、どうしておなじ事繰り返すんだろうね…』


    「う〜ん…(苦笑)」


    首を傾げ誤魔化し笑いをするマユに…
    溜息をつきながらキッチンに入った







    『酔いを少し醒ましなさい〜!お説教はそれからね』


    ミネラルウオーターを入れたグラスをマユの前に置いた


    「…エミさん 来てたんだね…」


    テーブルに並んだ ふたつのワイングラスにマユは気付いたらしい


    『…うん 来てたよ』


    「帰っちゃったんだ…。もしかしてケンカでもしたの?」


    『…まあね』


    「もしかして また私のせいで?」


    『ううん…』

    本当はマユのことが原因だった
    …があえてこの時点では言わなかった


    マユはテーブルの脇に置いていたワインボトルを手にとり
    ふたつのワイングラスにワインを注いだ


    「ねえ〜ルナ 私とも飲んでほしい 乾杯しよ〜♪」



    『まだ 酔いたいのマユ?』



    「ええ 酔いたいわよ…ルナも酔わせたい…」



    マユはグラスのワインを一気に飲み干し
    潤んだ瞳で腕を絡ませてきた…



    「ねぇ ルナ お説教なら…べットのなかでして…」







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▲[ 18961 ] / ▼[ 20438 ]
■20430 / 1階層)  ちょっと早いけど・・
□投稿者/ 昴 大御所(419回)-(2007/12/23(Sun) 23:41:13)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/

    昨年の『何日か早いけど・・』って言う感想を書いてから
    もう1年が経ったんですね

    お久しぶりですね

    この週末も土曜日は休日出勤で
    今日と明日が久しぶりの連休です

    素敵な聖夜をお過ごし下さいネ♪

    ちょっと早いけど・・
    ルナとエミと映美さんに

    Merry Christmas

    年の瀬の慌しい季節になりましたので
    ご無理をなさらずに ご自愛下さいネ♪
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20430 ] / 返信無し
■20438 / 2階層)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(236回)-(2007/12/31(Mon) 04:28:25)
    こんばんは^^昴さん

    お久しぶりです
    メッセージありがとうございますm(__)m

    クリスマスも過ぎ…
    気付けば 今日は大晦日です^^

    こんな時間に起きてちゃ…お肌によくないですよ
    …ってまた言われちゃいますね(苦笑)

    お掃除などをして気がつけばこんな時間でした^^;
    今年最後のご挨拶をしたくてここに立ち寄りました

    とうとう物語も年を越してしまいますが…(苦笑)
    焦らずマイペースで執筆して行きます

    今年1年『ルナエミ』を
    見守ってくださり本当にありがとうございましたm(__)m

    引き続き来年もよろしくお願いします

    全国的にとても寒いお正月になりそうですね^^;
    風邪など召されませんよう お身体ご自愛くださいね

    では…
    良いお年をお迎え下さい^^


           映美



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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20439 / 1階層)  【〜Lost love talk〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(237回)-(2007/12/31(Mon) 04:54:52)
    ワインの酔いでマユの言動は更に大胆になる


    「ルナを酔わせたい…理性失くすくらいにね
    そしたらあの時みたいに…抱いてくれるかもしれないから…」


    再びワインを注ごうとする腕を掴みグラスを取り上げた


    『マユ いい加減にしなよ!』


    「・・・」


    強い口調に絡んだ腕は力なく離れ…
    ソファから絨毯の床に滑るようにマユは座り込んだ


    『あなたは何を求めてさまようの…? 夜毎 お酒を煽って身を持ち崩して 
    自分をそんなに追い込んでどうするの?』


    「自分でも…どうしてだか…わかんないの…」

    消え入りそうな声で
    うなだれたマユの背中が震えていた


    『お説教も今夜限り…! わたしはもうあなたには何も言わない!』


    こんな台詞 もう何度目だろう…

    もうひとつのワイングラスに注がれた
    ワインを揺らしながらためいきをついた


    揺らすグラスにエミの顔が浮かんだ



    「ルナ…聞きたいの…。マユさんとはどういう関係だったの ルナの元恋人?」


    『恋人じゃなかった…けどね……一度だけ…マユを抱いたわ』


    「愛していないのに…抱いたの? なんだか悲しい…ルナってそんな人なの…」


    今夜のエミとの諍いはそんな会話から始まった…








    マユとの出会ったのは2年前
    担当してる雑誌の企画で、あるアマチュアバンドを取材した
    そのグループの紅一点でキーボード奏者だったのがマユだった。


    インタビューに答えるマユは、ポニーテールがよく似合う
    笑うと頬にエクボができる 小柄な可愛い女性だった

    "私、人の心に響くようなそんな曲をたくさん弾きたいです”


    明るく夢を語ったあの時のマユは瞳は輝いてた


    取材から1ヶ月後…ルナ宛にライブのチケットが送られてきた


    【私の最後のライブになります ルナさんをご招待します 
    ご都合よければ 是非来てください  by マユ】

    最後? どうしたんだろう?
    気になった私は、入っていた予定の都合をつけてその日ライブに駆けつけた


    ライブが跳ね、他のメンバーが楽屋に戻っていく中 マユがステージから降り駆け寄ってきた


    「ルナさん 来てくれてありがとうございます。あの…このあとお時間空いてますか?」


    『ええ、時間はいいけど…?マユさんは打ち上げとかあるんでしょ?』


    「大丈夫です!また後日 送別会があるし… だから今夜は断りました〜」





    会場近くのCAFEでマユを待っている間
    私は長いメールを書いていた…相手は…当時の恋人…サオリ


    書いたメールを読み直し削除した
    (…やっぱり 直接話そう…)
    溜息まじりのひとりごとをコーヒーと一緒に飲み込んだ


    コーヒーカップをテーブルに置いた時
    息を切らせてマユがやってきた


    「…ルナさん 遅くなってごめんなさい〜」







    『今日のライブ よかったわよ…でも 最後って…どうして?』


    カフェオレを一口流しこんでから…マユが深呼吸した


    「実は…私 失恋しちゃったんです…。だから…もうキーボード弾きたくなくて…」


    マユの話によると 同じバンドのドラマーがマユの恋人だったらしい
    実はその彼に他に付き合ってる女性がいたと知り…ショックでバンドを辞めると決心したらしい
    う〜ん よくある話だなと思いながらも…この手の話の聞き役も慰め役も私はとても苦手だった


    『大丈夫 またいい人きっと現われるよ…』


    そんなありきたりの言葉しか出てこない


    「…うん…」


    しばらく俯いていたマユが顔をあげた


    「あの…ルナさんには いま 恋人いるんですか?」


    『う〜ん…まあ いないといえば嘘になるかな…』


    「そうですよね いるに決まってますよね〜ルナさんすてきだもん!
    どんな彼なのかな〜ルナさんの恋人って」


    『でもね 私も…まもなく失恋組みになるかもしれない(苦笑)』


    「え〜どうしてですか?」


    どうして…って どんな彼って
    いえるわけないじゃない…

    実は恋人は彼じゃなくて 彼女だということ


    そして…その彼女が人妻だということも…




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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20450 / 1階層)  【〜Past love〜回想@〜ルナとマユ〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(238回)-(2008/01/09(Wed) 00:15:20)
    2008/01/30(Wed) 04:41:10 編集(投稿者)




    どうして?と
    何度も質問するマユにとっさに取り繕った


    『う〜ん どうしてって…実は 片思いだからね
    それに そのひと既婚者だし だから…もうあきらめるつもり(苦笑)』


    「それは辛いですね〜……。でも、大丈夫 ルナさんなら
    またきっといいひと現れますよ〜」


    さっき私がマユにかけた言葉がそのまま返ってきた


    『あれっ いつの間にか私が慰められてるね(笑)』


    「ほんとですね〜(笑)」


    そんなことで笑いあってから マユは、なにか吹っ切れたのか
    さっきまでの落ち込んだ様子が一変して…明るく喋りはじめる


    マユの話に相槌をうちながら、頭の中ではサオリとの今後のことばかり考えていた。
    最近は、すれ違いばかり 会えない日が続いていた…

    彼女の今の生活環境を考えると…やはり私が離れなきゃいけないのかな
    ちゃんと話し合いしなきゃ・・・そんなことばかりが頭の中巡っていた



    ・・・途中 会社から電話が入り
    急遽はいった仕事で打合わせに向かうことになった


    『マユさん ごめんね ゆっくりできなくて』


    そう言いながら胸の内ではこの場を
    抜けられることに少しホッとしていた


    CAFEを出たところで それじゃあと手を振ると
    マユがなにか言いたげに目で私を引き止めた


    『どうかした マユさん?』


    「あの〜ルナさん またお話できますか?
     私の相談相手になってほしいんです」


    『ええ 勿論 いいですよ 私でよければ』






    そんな返事をしてから2週間後
    偶然…マユと再会することになる


    あるBARのカウンターで
    ひとり水割りを飲んでいた夜の事

    今はひとり…だが 1時間前 隣にサオリが座っていた

    【もう 私たち別れましょう……こんな繰り返しは辛くなるだけ
    迷ってても答えは一緒だもの…】

    サオリは落ち着いた口調でルナを見詰め告げた
    そして…静かに席を立ち店から出て行った


    引き止める言葉はもう出てこなかった
    今度こそ…もう戻れないと思った


    必死に涙を堪えながら水割りを流し込んだ



    店のドアが開く音がするたび
    もしや…サオリが戻ってきたのかもとふり向いた


    何度目かのドアが開く音
    男女のグループが店内に入ってきた


    「あれっ ルナさん?ルナさんじゃないですか〜」


    名前を呼ぶ方に振り返ったが…
    その女性が誰だかすぐにわからなかった


    声の主が近づき 真横に立った時にマユだとようやくわかった


    酔いのせいなのか マユの顔がすこしダブって見えた


    『あ〜、マユさん(笑)』


    「ルナさん おひとりなんですか?」


    左右の空いた席を目で示し苦笑いをした


    『ええ ご覧の通り ひとり〜』

    酔いがかなり回っていたのにちがいない
    挨拶をし仲間のもとへ戻ろうとするマユの手を引き、一緒に飲もうと誘った
    少し困惑顔のマユだったが、少し待っててくださいと仲間の座る席に
    何か告げに行き すぐまた戻ってきた・・・


    「ルナさん…なにかあったんですか?」


    心配顔で覗き込むマユにグラスを掲げた


    『とうとう失恋組の仲間入り〜(苦笑)乾杯しましょ マユさん』



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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20454 / 1階層)  【〜Past love〜回想A〜ルナとマユ〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(240回)-(2008/01/13(Sun) 02:49:57)
    2008/01/30(Wed) 04:42:36 編集(投稿者)





    マユはグラスを持って仲間の輪から抜けてきた


    「ルナさんは 片思いで自分からその人をあきらめたんですよね?」


    『ええ そうよ どうして?』


    「なんだか〜とっても落ち込み度が深く感じるんですが〜 もう何年も付き合った人と別れたような…」


    マユの言葉にちょっと慌てた…
    痛いとこを突かれた
    傷心度が表情に出ていたのだろうか…


    『そうかな〜…でもね 片思いでも 私の場合は落ち込み度は深〜いよ(苦笑)』


    マユが次の質問をする間を与えず続けた


    『ねえ マユさん 失恋話ばかりじゃお酒も不味くなるから
    振られて乾杯〜にしておきましょうよ そうそう この前のライブのね……』


    サオリの話題に触れられないように音楽の話に切り替えた






    「ルナさんとなら…安心してとことん飲めそう」


    部屋でまた飲みなおそうとマユを誘ったのは
    酔いのせいもあった…が…
    今夜はひとりになりたくなかった
    誰でもいいから傍にいて欲しかったからだった


    酔いのせいだろう
    部屋に入ると軽い眩暈がしてベットに倒れこむように転がった


    「ルナさん 大丈夫?」


    『サオリ…』


    見下ろすマユが…サオリの顔に映ったのだろう
    無意識に名を呼んでしまった

    首を傾げたマユの顔に気付きハッと身体を起こした


    『ごめん 何いってんだろう私… かなり酔っ払いだね(苦笑)』


    ベットから下り 少しふらつきながらベランダに向かった


    『ちょっと…外の風にあたってくるね』

    「私も…」

    マユもあとをついてベランダに出てきた


    空に浮かんだ月を眺めていると…
    このベランダでサオリとよく月を仰いだことを思い出した

    BARを出て行くサオリの背中を思い出し胸が締め付けられた
    ふいに込み上げる涙を堪えながら自分に言い聞かせた

    私は泣いたりしない…


    しばらく外の空気にふれてると酔いもだんだんと醒めてきた


    『さっ マユさん 部屋に入って飲みなおしましょ』




    ブランデーをグラスに注いで、煙草を取り出した時マユが聞いた


    「ルナさん 気付いてないんですね…?」

    『えっ 何を?』

    「さっき BARでも…私に サオリ…って言ってましたよ」



    BARで呼んだのはまったく記憶になかった
     

    不覚だった…


    『…』


    「サオリさんが…恋人だったんですね?」


    マユの窺う瞳に…煙草のけむりを吐きながら冷静に答えた


    『2度も訊かれたんなら ごまかせないね 参ったな(苦笑)』


    煙草の灰が落ちそうなのに気付き灰皿を慌てて寄せる


    「実は 私も女性に恋したことあるんです。
    どことなくルナさんに似てる人だったな〜」


    自分は異性愛者…だが、女性にも恋心を抱いたことが何度かあるんだという
    いわゆるマユはバイセクシャルだった


    「私 サオリさんに似てるんですか?」


    『う〜ん…全然 似てないね(笑)』


    「なんだ〜そうですか…似てるから呼ばれちゃったんだと思ったのに〜(笑)」





    ぎこちない空気が流れてた
    気分を変えようとコンポをオンにしFMにチャンネルを合わせた

    流れる音楽が気分をほぐしてくれたのか 
    グラスの氷がなくなると
    それじゃあ…ストレートでとふたりで競うように飲んだ

    さすがにボトルも軽くなると酔いもまわる




    ふとFMから流れるメロディーに
    グラスを持つ手がとまった


    サオリが好きでよく聴いていた曲が流れていた


    マユがそのメロディーを口ずさむ


    「この曲 私 弾いたことあります」


    『そ…そうなの…なんてタイトルだったっけ?』


    「え〜と…」


    答えるマユの唇を見つめた…


    どうしたんだろう…私


    なんだかとても切なくも寂しい気分になった


    そんな気持がマユにも伝わったのか…


    「酔えば 酔うほど寂しくなりませんか ルナさん…」


    マユの潤んだ瞳が目の前に接近したとき…私の中で理性が弾けた




[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■20529 / 1階層)  【〜Past love〜回想B〜ルナとマユ〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(241回)-(2008/01/30(Wed) 03:43:31)
    2008/01/30(Wed) 04:44:34 編集(投稿者)






    「私も寂しい…ルナさん」


    マユはテーブルにグラスを置くと甘えるように肩に頭をのせた


    柔らかな髪が頬に触れたとき…
    小柄なマユをそのまま腕の中に包み込んだ


    酔いも紛れさせてくれない この虚しい寂しさ
    分かり合えるのは…ここにいるお互いしかいない


    今夜はただ…抱きしめあう温もりだけが
    心の痛みを癒してくれる そう思った


    熱い吐息が絡みあい
    …ベットの上で重なるふたりを
    カーテンの隙間から月がみていた



    翌朝…



    目覚めると香ばしい匂いが部屋に漂い キッチンから鼻歌が聞こえた



    テーブルの上のグラスと空になったブランデーのボトルが
    昨夜の出来事を鮮明に思い出させた



    (そうだった…昨夜はマユと…)



    起きた気配に気づいたマユがキッチンから はにかんだ笑顔を見せた。



    「おはようございます♪ 泊めてもらったお礼に朝食でも作ろうって
    頑張って早起きしちゃいました〜♪ あっ勝手にキッチン入ってすみません」



    『ありがとう いいわよ 気にしなくても… あっ 私はコーヒーだけでいいよ」



    ベットから下り 洗面所に向いながら私は痛みを感じた
    それは…二日酔いの頭痛と一夜の過ちを悔む胸の痛みだった。



    向かいでコーヒーを飲む マユの顔に再びサオリが重なった 
    私は首を振った (しっかりしなきゃ…)
    まだまだ彼女(サオリ)が消えないんだ 消えてくれないんだ
    愛しい人が胸を締め付ける…。




    コーヒーカップを持ったままボンヤリする私を見詰めるマユ
    その視線が熱く感じた



    「ルナさん 大丈夫ですか?まだ酔い抜けませんか?」



    心配そうに覗き込む目の前の瞳に詫びた
    酔って寂しいからと軽率な行動をした自分を心の中で叱責した。


    『あ、…あの マユさん 昨夜は酔いに任せて自分を見失ってしまってた。 
    ごめんなさいね…謝ってすむことじゃないけど…』


    カップを置きマユに頭を下げた


    「そんな…謝らないでください ルナさん。私だって同じ気持なんですから 
    でも 不思議なことに失恋の痛みなくなったみたい なんだかとてもすっきりしてるんです」


    恥らいながらマユは続けた


    「あの…ルナさん こんなときに、こんなこと言うとおかしい女だと思われるかもしれませんが…言います!
    私を、ルナさんの彼女にしてもらえませんか?」


    マユのあまりに唐突な告白に戸惑った


    『えっ…まさか 冗談でしょう?もしかしてまだ酔ってるマユさん(苦笑)』


    左右に首を振る縋るようなその瞳は…新しい恋をしたいと訴えていた。



    『…ごめんね マユさん 恋はしばらく封印(苦笑)彼女も当分つくる気ないから…』


    戯れだけの恋などはしたくない
    きっと相手を傷つけてしまうことになるだろう



    「…そ…そうですよね…、予想通りの答えだったから なんだか変に安心しちゃいました〜」


    それじゃあ、とマユが望んだ関係は良き相談相手で友達でいてほしいということだった。
    私もマユを友達イコール可愛い妹のような存在で側で支えよう そう思った
    それは一夜の過ちを犯した 私の自分のなかでのせめてもの償いでもあった





    それから暫くたったある日


    マユがひどく酔って涙声で電話を掛けてきた夜があった


    「もしもし ルナ…、今から会えない?会って話したいの…」


    『どうしたの マユ?』





[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 20557 ]
■20544 / 1階層)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(426回)-(2008/02/04(Mon) 02:17:18)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    あ〜あ
    ルナ駄目じゃん
    エミがいるのに・・・ってエミに逢う前でしたね
    このことをエミが知って大変なことになるんでしょうね

    2月になっちゃいましたが
    今年もお互いに完結目指して頑張りましょうね

    あっ、もう少しで大御所ですね
    また、その時にお祝いにお邪魔します

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20544 ] / 返信無し
■20557 / 2階層)  昴さん^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(242回)-(2008/02/11(Mon) 03:05:45)
    こんばんは 昴さん^^

    久しぶりにコメント頂いて嬉しく思っています
    ありがとうございます^^

    早いですねもう2月ですね…
    物語は一体いくつ季節を越すと
    完結を迎えられるのでしょうか^^;

    回想シーンがルナサイドとエミサイド
    それぞれが長くなっていて
    最近 このツリーで終れるのかちょっと自信なくなってます(苦笑)

    「RUNA&EMIPartW」なんてことにならないよう^^;
    頑張ってstoryの展開upしていきます

    昴さんもマイペースで頑張って下さいね
    見守っていますから…


    寒い日々続いてますので
    お風邪など引かれないよう お体ご自愛下さい^^


      映美


[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■20558 / 1階層)  【〜Past love〜回想C〜ルナとマユ〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(243回)-(2008/02/11(Mon) 03:59:23)


    酔って電話するマユの癖を知ったのはこの夜からだった…


    『マユ いまどこにいるの?』


    「ねっ いまから ルナの部屋にいってもいい?」


    『質問の答えになってないじゃない…。電話で話せないことなの?』


    マユは問いかけに答えず最寄駅と横文字の店の名前を告げ場所を説明している 
    その声を聞きながら、空いてる右手でテーブルの上に広げた原稿を整えた

    溜息まじりに時計見ると午後9時を回っていた
    明日の仕事の準備があるから 到底 今夜は出かけることなどできない


    『今夜はあいにく付き合えないわ ごめんね マユ』


    「え〜そんな〜…じゃあいいわ! ここで一人で酔ってる………」


    語尾がはっきりきこえないまま電話は切れた


    『えっ? もしもし…』


    …電波が悪くて切れたのかな?


    コールバックをしようとした指を止め ふと思った


    …いや きっとこれは作戦なんだろう


    切れた携帯の画面に呟いた


    …マユ 残念ね 作戦失敗よ(苦笑)


     


    翌日 



    夕方 仕事が終わり駅に向かう途中 携帯が鳴った…


    昨夜は酔っててごめんなさい…と詫びるマユからの電話だった

    電話しながら目に付いたイタリアンの店の看板に
    先週取材で訪ねたレストランを思い出した


    ちょうどいい 夕飯も兼ねて昨夜の話も聞こうとマユを誘った







    マリネのサラダをフォークで口に運び 美味しい〜とマユはエクボを見せた
    ここは有機野菜のサラダとトマトベースのパスタが美味しいと自慢の店だった 



    「あれからしばらく ルナの電話待ってたのよ〜」


    (…思ったとおり 突然切った電話は作戦だったんだ)


    『じゃあいいわって そっちが切ったんじゃない なんで私から掛けなおさなきゃいけないの』


    「そ…そうだね…。ルナってクールね なんだか余計惹かれちゃうわ〜」


    『昨夜は、ほんとに忙しかったのよ で…あれから ひとり酔ってたの?』


    「ううん〜、それがね 隣に座った2人組の男の子達と音楽の話で
    意気投合しちゃって 閉店まで一緒に飲んでたの〜♪」


    『まったく ちゃっかりしてるわね あの切羽詰まった声はなんだったの?』


    「違うのルナ  昨夜はほんとに悲しくって、ルナに聞いて欲しかったの」


    『だったら 今 聞くわ…何があったの どうしたの?』


    パスタをフォークに巻きつける私の手をじっと見つめてマユは頷いた


    聞けばマユは、新しい恋の相手を見つけたんだという
    失恋から日が経ってないのに、もう夢中になれる相手ができるなんて
    ちょっと羨ましく思った

    私はまだまだ彼女(サオリ)を忘れられそうになかった… 
    どんなキレイな素敵な人が現れても 心は動かない自信があった
    動かない いや…きっと動きたくないのだろう  
    いつまでも前に進めないネガティブな自分を情けなくも思った

     
    マユの恋の相手は今度入ったバンドのギタリストだという


    「彼ね 作詞作曲もするのよ 才能あるしそれにカッコイイの〜」


    『よかったじゃないの 悩み事じゃなくて お惚気話じゃないの?』


    昨夜が3度目のデートだったらしい
    マユはひとりであの店で飲んでたわけじゃなく その彼が一緒だったらしい


    「彼がね 途中で知らないひと(女性)と出て行ったのよ〜」


    『どういうこと?』


    「一緒に飲んでたら彼に声を掛けてきたひと(女性)がいたの 
    彼ったら慌てて席を外して そのひととドアの前でしばらく話してたのよね 
    それで席戻ってくるなり "ごめん〜ちょっと彼女を送って行かなきゃならないんだ”って私を残して出て行ったのよ〜ひどいでしょ〜!」

    30分後には戻るって彼からメールきたけど
    もう店を出て帰るところだと嘘ついたの


    その場面を思い出して悔しそうに、マユは涙を浮かべた


    「ねっ どう思うルナ〜?その女は彼とどういう関係なんだろう」


    『私に聞いたって知らないよ 本人に聞けば…』


    「きっと彼は他にも付き合ってるひとがいるんだわ〜」


    唇を噛むマユの顔を見ながら小さな溜息を吐き
    バックから煙草ケースを取り出した


    煙草に火を点けマユに言った


    『そんなオトコ やめちゃいな〜』


    「そうだよね ルナの言うとおりだよね よ〜し あんな奴 振ってやるわ〜」






    レストランを出てマユを電車のホームまで見送り
    じゃあねと上げかけた私の手をマユが不意に握りしめた…


    「ルナならいいのに…」


    『…え…何?』


    「ルナが……・…」


    ホームに滑り込んできた電車の音に言葉はかき消され…
    そして開いたドアにマユは慌てて手を離し乗り込んでいった





[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■20735 / 1階層)  【〜Past love〜回想D〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(245回)-(2008/03/17(Mon) 00:51:43)
    長引いた会議を終えて駅に急いでる夜だった
    懐かしいメロディーがバッグの中から聞こえた


    えっ…まさか…? 


    慌てて取り出した携帯にはメールマークが点滅していた


    メールを開こうとした時…


    クラクションの音と同時に名を呼ばれた

    車道の方にふり向くと数メートル先 徐行するステーションワゴンが見えた

    「ルナ〜♪」

    助手席の窓からマユが手を振っていた

    『マユ…』

    その声に立ち止まると…ワゴンもハザードランプを点滅させ停車する

    ほどなく助手席のドアが開き車を降りたマユが
    ガードレールの切れ目を抜け駆け寄ってくる

    「やっぱり ルナだったんだ〜♪…」


    『車道から名前呼ばれるから びっくりしたわ』


    「いまね スタジオで練習終えて帰るとこなの〜♪」


    数メートル先 マユの頭越しに見えるステーションワゴンに目が行く
    運転席にはハンドルを持つ長髪の青年が見えた
    私の視線を追うマユが…彼なのと言った

    『もしかして あのとき話してた彼?』

    「うん」

    『振ったんじゃないの?』

    マユは左右に首をふり笑みを浮かべた

    「それがね〜! この前、一緒に店を出て行ったひと(女性)は彼のファンのひとだったらしいの
    ひとりでかなり酔ってたから タクシーを拾える場所まで送っていっただけだって…」

    『なるほど…誤解も解けて元のさやに収まったわけね 』


    「うん まあ そんな感じ…」


    家まで送っていこうかと言うマユに
    仕事の途中だからと…手に持った携帯を握りしめた
    (わたしったら…仕事終わってるくせに…)

    はやく、ひとりになりたかった…
    その理由はさっきの未開封のメールが気になったからだ
    送り主が誰だか分かっているだけに…



    「あ、そうだルナ〜、ライブに招待するから 絶対に見に来てね〜♪」


    『わかったわ〜 楽しみにしてる』


    マユに手を振ると、運転席の長髪の青年が会釈するのが見えた








    あのメロディーを鳴らすのはサオリしかいない


    地下鉄の駅につながる階段を下り
    シャッターが閉まった店の端で携帯を開いた


    件名:久しぶりね

    本文:
    ルナはまだ仕事中なの?
    いま私は仕事帰り
    いつものBARでひとりマティーニ飲んでるの 
    トラブル続きでとても凹んでるわ
    なんだかルナの顔が見たくなって…


    メールを2度読んで携帯を閉じた…


    きっと仕事でなにかあったんだろう
    ひとりカウンターでカクテルをもつサオリの姿が頭を過ぎる

    すぐにでも飛んで行きたい衝動に駆られた


    逢いたい…
    逢いたくて堪らない

    でも…ダメ

    駆け出しそうになる気持ちを必死で抑えた


    冷静になろうと目を閉じ自分に言い聞かせた


    一呼吸して 


    もう一度メールを開いた



    サオリ…

    私たちは別れたんじゃないの

    これじゃあ まるで
    進行形の恋人に送るメールじゃないの

    あんなに辛い想いをして  幾夜も泣き明かして
    私達はもう2度と逢わないって…あの夜 決別したんじゃない


    私は…寂しさを紛らわす相手なの
    そんな慰めのお酒に酔って甘えられたら 
    また サオリを求めてしまうじゃない
    そしたら私たち
    また…同じこと繰り返すだけじゃない

    もう忘れましょう

    お願い 
    もう忘れて…私のこと

     
    文字の代わりに言葉を打ち込み
    携帯を閉じた


    地下鉄の駅の改札を抜け…ふっと思った
    やっぱり 車で送ってもらえばよかったかな…(苦笑)





    それから数週間後


    マユから招待されたライブの日に 
    彼だという例の長髪の青年を紹介された


    『ルナです よろしく』

    「はじめまして トオルといいます マユからいつもお聞きしてますよ」

    トオルという青年は整った輪郭に切れ長の涼しい目で笑みを浮かべた

    なるほど、モテそうだなと思った
    彼は挨拶だけ済ますと失礼しますと、急がしそうに楽屋の中に戻っていった


    トオルと言葉を交わしたのは…この一度だけだった


    『彼がね〜私のために曲つくってくれるんだって〜』


    トオルのうしろ姿を見送りながらマユは隣で幸せそうに目を輝かせた


    このときは想像もしなかった


    まさか…彼(トオル)がのちに出会う
    自分の恋人(エミ)に想いを寄せるなんて

    そしてLOVE SONGを贈るなんて… 

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 20765 ] ▼[ 20781 ]
■20747 / 1階層)  【〜Past love〜回想E〜】
□投稿者/ 映美 ベテラン(246回)-(2008/03/22(Sat) 23:18:46)
    2008/03/23(Sun) 00:06:24 編集(投稿者)




    締め切り間近な原稿を書いていた 日曜の午後 
    テーブルの端っこで携帯が振動した

    画面に表示されたのはマユの番号だった

    いま近くまで来てるの すぐ帰るからというマユに
    1時間だけの訪問を許したのだった。




    インスタントの薄いコーヒーを入れたカップを手に
    マユは部屋をぐるりと見回した


    「ルナの部屋って…なんだか落ち着くわ〜」


    『こんなに散らかってるのに、どこが落ち着く部屋なのよ(苦笑)』


    私はテーブルと床に…乱雑に散らばった書類たちを目で示した


    「ううん〜そうじゃなくて(笑)きっと…ルナがいるから落ち着くのよね」


    コーヒーカップをテーブルに置き
    なにかふっきれた表情でマユはエクボをみせた


    「ルナ…、実は 私 彼(トオル)と別れたの」


    『えっ 別れたっ…て どうして?』

     
    「…う…うん」


    そういえば…先日 マユにきついこと言ったことを思い出した



    数日前 いつもの「聞いてよ〜ルナ」から始まった 酔ったマユからの電話 
    彼(トオル)には、やはり女性の影が絶えないだの…約束した曲もつくれないと言われただの
    他の人に交際を申し込まれて 気持が揺れてるだの…
    いい加減な話ばかりに 連日の仕事の疲れで苛立っていたのだろう


    『だから どうしたいわけなの?本気じゃないなら つまんない恋なら もう別れたら!
    それと酔っての電話は今夜限りでお断りだからね!』

    …と一方的に電話を切ったのだった
    あとで言い過ぎたかなって反省したのだったが…


    『もしかして あのとき 私が別れろっていったから?』


    「ううん…そうじゃない…。気付いたの…自分の気持ちに嘘ついちゃだめだってこと」


    『嘘…?』


    「きっと私…ルナに気にかけてもらいたくて 彼と付き合ってたのかもしれない
    なんだかね…彼もそうだけど どの人といても楽しくないの〜」


    マユがあの夜と同じ縋るような目をして私を見詰めた


    「ねえ・・・ルナ ルナがサオリさんのこと忘れるまで待つわ」


    『……』


    「……」



    (心が空っぽになったからって恋なんて すぐできるわけじゃない
    私はね そんなに、簡単に誰かを好きにはなれないのよ…)


    心で呟き…マユを見詰めた


    ぎこちない沈黙の中…俯いたマユに ゆっくり答えた


    『マユ…。私は彼女(サオリ)を忘れない。それと恋はしばらくしない。ううん できないのよ…。ごめんね マユ…。貴女の気持には応えられない』


    「…」



    「わかった じゃあ 私はずっとルナに片思いしてる」



    マユは、立ち上がりコーヒーカップをキッチンに運び
    バックを持ち帰るわと告げ玄関ドアに向かった







    あれから…2年



    あの日 エミに出会っていなければ


    しばらく恋しないは…
    継続しているはずだったのに


    「ルナ…、もしかしてエミさんに私とのこと話したんじゃないの?」


    マユのその台詞で…
    一気に現在(いま)に引き戻された





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▲[ 20747 ] / 返信無し
■20765 / 2階層)  せつない…
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2008/04/01(Tue) 00:52:31)
    こんばんは 映美さん^^
    お久しぶりです

    ルナとマユの回想シーン
    う〜ん、胸が痛いです…
    なんだか色々とダブっちゃいます(笑
    これから、どんな展開になっていくんでしょう
    ハラハラしますねー^^:

    続いて、更新楽しみにしております^^

    暖かくなりました
    あちらこちらで、桜満開!
    お花見、夜桜、楽しみですね

    では、身体に気を付けて
    無理せず、ガンバってください^^
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20747 ] / 返信無し
■20781 / 2階層)  レオさんへ^^
□投稿者/ 映美 ベテラン(248回)-(2008/04/08(Tue) 22:58:43)
    こんばんは
    お久しぶりですね レオさん^^

    忙しい日々が続いてまして…^^;
    更新もまた間が開いてしまいました

    春本番 桜満開ですね〜^^ 
    レオさんは お花見 夜桜は楽しみましたか?

    私も、出かけの通り道 桜の木を毎日眺めています^^
    ピンクの花弁が舞うと散らないでと切なくなりながら

    回想シーンに胸痛くなって…だなんて
    それはきっと、レオさん自身のリアル恋物語に重なるシーンがあったからですね^^
    レオさんのステキな恋物語 どこかに書いてほしいなって思います(^^)

    この先の展開…取り合えず すれ違ったままのルナとエミを逢わせて
    そのあとは…どうでしょう
    ちょっとまた波乱が…起きるかも?かな(*^_^*)お楽しみに

    相変わらずマイペース更新ですが気長にお付き合いくださいね

    いつもコメント有難う御座いますm(__)m


               映美

[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■20782 / 1階層)  【〜Her Lingering scent〜@】
□投稿者/ 映美 ベテラン(249回)-(2008/04/09(Wed) 03:59:48)


    床に座り込んだままマユは
    二つのワイングラスをじっと見詰めた


    「やっぱ 話したんだ それでエミさん出て行ったんだね…」


    『…隠し事したくなかったからね ただ、話すタイミングを誤ったなと後悔してる…』


    「エミさんにサオリさんのことは話してないの?」


    『・・・うん 話しそびれた…っていうか 聞きたくないって耳を塞いで出て行ったからね…』


    ショックだと悲しみに歪んだエミの顔が浮かんだ


    「そうなんだ… エミさん傷ついてるでしょうね…」


    『私が悪いのよ…。 でもね エミと出会う前の過去のこと
    そんなに責められることなのかなって思ったりもしたわ・・・』


    「過去のことだと許してても・・・その相手が身近な人だと知って複雑な気持ちだったのよ
    とってもルナを愛してるのよ わかるわエミさんの気持ち」


    『私だって、エミを愛してるからこそ 全てを話したいと思ったのよ…』


    「愛してるからこそか・・・」


    はぁ〜っとマユが溜息を床に落としたとき

    ピー♪

    テーブルの上の携帯が充電切れを知らせた
    切れた携帯を手にしたとき  ふっと思い出した


    『そういえば マユ さっき電話で エミに謝ってほしいって言ってたけど 何のこと?』


    「あっ…う…うん…このまえね トオルのライブでエミさんに会ったとき
    睨んじゃったから きっと不快に思ってるだろうなって…」


    『何も言ってなかったけど・・・どうだろう 気にしてないと思うけど…』


    「私 エミさんに嫉妬してた ルナに愛されてるのが羨ましくて…。それにあの日
    トオルまでがエミさんを好きでLOVESONGまで書いてたって知って
    とても悔しかったの…私の欲しいもの望んだものを全部手にいれてると思うとね・・・」






    壁掛け時計が午前1時を指していた


    『もうこんな時間 マユ もう寝ましょう 
    さっきも言ったけど お説教はほんとに今日限りだからね…。』


    ワイングラスとボトルを持ち立ち上がった時 マユが言った


    「ねぇ ルナ・・・  私 もうお酒やめる〜!」


    『ホントに? やめられるの?(苦笑)』 


    「…そっ…そうね いっきには無理かもしれないけど…量を減らして…いくわ」


    マユの声は自信なさげにだんだん小さくなっていく
    勢いで言ったことに慌ててるのが分かる
    マユの禁酒宣言を聞いたのは今回が初めてではない 以前だって2週間で挫折したのを知ってる


    私はワザと明るく言った


    『じゃあ 酔っ払いからの電話はもうなくなるってことね(笑)』


    「う…うん・・・(苦笑)ねぇ ルナ 」


    『ん…?』


    「このまま友達…でいてくれるよね?」


    『勿論よ(微笑)  …マユも早くいい恋しなきゃ』


    「いい恋か〜ルナに言われるとやっぱチクッって胸が痛くなる〜(苦笑)」







    マユがベットで寝息を立ててからも 私はソファで眠れずに朝を迎えた


    考えてた・・


    リツコのときも…マユのときも…
    私はなんて虚しい短絡的な行動をしたのだろう

    あの頃…身体中に沁みついたサオリの消えない残り香が
    いつまでも私を苦しめていた 
    燻り続けるサオリを消し去りたいばかりに
    目の前の温もりに思わず手を伸ばしてしまった
    どうかしてたんだ 私…

    ちゃんと話そう 過去の恋のことも
    エミには私の全てを知って欲しい
    誰よりも深く愛してるから…


    ブランケットに微かにエミの香りがした…

    〜Her Lingering scent〜
    彼女の残香

    ずっと消えないでほしい


    エミィ…
    早く戻ってきて



[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 20807 ]
■20794 / 1階層)  映美さん♪
□投稿者/ 昴 大御所(430回)-(2008/04/15(Tue) 23:59:46)
http://id34.fm-p.jp/44/subarunchi/
    一足早く【おめでとうございます】
    次回はいよいよ250投稿目、大御所入りですね♪

    コツコツと書き続けていらしたのを
    最初から拝読させて頂けて昴はラッキーでした

    エミサイドとルナサイドの回想シーンも終わり
    ルナとエミは無事仲直り出来るのでしょうか?
    続きを楽しみにしていますネ♪

    お互いに完結目指して頑張りましょうネ♪
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20794 ] / 返信無し
■20807 / 2階層)  昴さんへ^^
□投稿者/ 映美 大御所(250回)-(2008/04/25(Fri) 01:42:20)
    昴さん お久しぶりです^^

    えっそうなんですか〜^^;
    250投稿目で大御所なんですね

    いつもながら投稿数なんて全然見ていない私です^^;
    毎回 昴さんに教えていただいてますね
    それにしても私が大御所だなんて…
    相応しくなさすぎでとても恐縮しています

    このレスが記念すべき250投稿目^^
    ずっと最初から見て頂いてる昴さんには
    いつも励ましのお言葉も含めて感謝しています
    本当にありがとうございますm(__)m

    私の中で『ルナエミ』はとっくに完結してるはずなんですが
    物語りは立ち止まってばかりです…^^;
    ここにいるルナとエミは終わりたくないのかな…(苦笑)

    早く完結しないと、私も次に進めませんから
    夜更かし覚悟で執筆に拍車かけなきゃと思ってます

    どうか 最後まで見守っていてくださいね^^

             映美


[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■20808 / 1階層)  【〜Her Lingering scent〜A】
□投稿者/ 映美 大御所(251回)-(2008/04/25(Fri) 02:30:18)


    『エミ〜 ロスに帰国する前に電話するね』


    軽くハグしたミサオから懐かしい海の香りが漂った


    〜Her Lingering scent〜


    鼻先を霞めるミサオの残り香に…消えないでと言葉が追いかけた


    「…あ、あの ミサオさん 空港に見送りいってもいいですか?」


    ミサオは答えずじゃあね…と手を振るとくるりと背中を向け改札を通り抜けた

    (…聞こえなかったのかしら…?)


    歩くミサオの背中を見つめた

    (…またあらためて電話で出発の時間を訊こう) 

    ホームに下りる階段前でミサオはふり向くと大きく手を振った
    笑顔が寂しく感じたのは気のせいなのだろうか…





    コンコースを歩きながら
    ルナに向かう電車に乗ろうか迷った

    どうしたんだろう…ルナ
    メールの返信もこずCALLしても繋がらない


    疲れて寝てるのかな…
    それともまた急な仕事で出かけたのかもしれない
    時計に目をやりながらも…
    迷っているはずの足は自然にルナに向かっていた

    …ルナに会いたい



    電車に乗り込んだとき メールが届いた
    ルナからかもしれないと慌てて開く

    そのメールは、ミサオからだった


    件名:見送り拒否(笑)

    本文:エミ〜空港に見送りになんかきたら 
    今度こそ強引にロスに連れていっちゃうからね(笑)
    早く彼女んとこ行って仲直りしなさい〜。
    また電話するね  サンキュー エミ〜!

     
    ミサオさんったら…やっぱ聞こえてたんだ


    いつものハスキーボイスが聞こえた気がして
    思わず胸がアツくなった
      
    ミサオさん…ありがとう…。


    ルナの最寄り駅まであと3駅
    …もう一度ルナにメールした




    .....





    その頃 ルナの部屋では…
    目覚めたマユがベランダで空を眺めていた


    「ルナ〜 雨降りそうだよ」

    マユの声に、窓の外に目をやると灰色の空が重く広がっていた

    雨か…

    昨夜は眠れず…重ねてこの空模様 
    どうりで頭痛がするわけだ こめかみに手をあてた

    帰り支度を整えたマユが心配顔で窺う


    「ルナ 大丈夫? 私のせいで眠れなかったんじゃない?」


    『大丈夫よ それよかマユはよく眠れた?二日酔いは?(苦笑)』


    両腕を伸ばしてストレッチポーズをしながらマユは言った


    「このとおり気分爽快〜♪ルナのベットで眠れて幸せな夢見てたわ』


    『そっか…(苦笑)』


    「さ〜て 私はそろそろ帰るね!またエミさんと鉢合わせしちゃ大変だし〜」


    マユが携帯を開いたのを見て思い出した

     
    …そうだった

    昨夜 切れた携帯を充電したままだった


    エミからのメールを読んだのはマユを
    エントランスまで送り部屋に戻ってからだった


    メールと時間を見て…ため息をついた


    エミィ タイミング良過ぎるよ…(苦笑)


    でも大丈夫
    誤解なんてもうさせないから…






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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20809 / 1階層)  【〜Her Lingering scent〜B】
□投稿者/ 映美 大御所(252回)-(2008/04/26(Sat) 02:06:07)

    駅を出ていつものコンビニの前で足が止まった


    …ルナ 寝てるかな?
    なにか軽く食べられものでも買って行こう


    自動ドアの前に立ったとき名前を呼ばれた


    「エミさん〜」


    ふり向くとマユがにっこりとエクボをみせて立っていた


    『マユさん…』


    驚いた…。
    こんなところでマユに会うなんて
    でも ここで会うってことは もしかして…


    『あのう マユさん…。 ルナのところに?』


    「そうなの…。 昨日ね ルナの部屋に泊めてもらったの〜」


    (え…泊めてもらった?って)


    一瞬 耳を疑った…と同時に頭の中で色んな場面(シーン)が重なった


    『…あ、あの…マユさん… ……あの…』


    次の言葉が出てこない
    私は何を訊こうとしているんだろう… 


    詰まる私にマユが首を傾げたとき 携帯が鳴った


    「はい もしもし〜♪ うん〜!いま駅に向かうところよ…」



    誰かと話すマユの隣で…呆然と立つ私の頬にポツリと冷たい雫が落ちた


    …雨


    手のひらを開き 灰色の空を仰いだ


    …ルナ 私も泣きそうよ



    携帯を閉じて振り返ったマユから
    ルナの部屋の香りが微かに漂った気がした

    「エミさん ルナのところに早く行ってあげてね」

    マユは私を促すと小走りに駅に向かっていった




    コンビニの軒先で雨を避けしばらく佇んでいた
    雨足はだんだんひどくなりサンダルのつま先を跳ねる雨粒が濡らす


    (ルナの部屋に泊めてもらったの〜)
    頭の中でリピートするマユのセリフ

    私が部屋を出てから…何があったんだろう

    きっと何か事情があったに違いない
    ルナを信じてる 信じなきゃ…

    そう思う心と、過去にあった二人の関係を知っただけに
    また、なにかがあったのかもと不安が押し寄せる

    私だって昨夜は、ミサオと過したんじゃない
    ルナを責めることはできない…

    いいたいこと素直にぶつければいいのに
    どうしていえないの…

    自問自答を繰り返す 
    そんな自分の優柔不断さが嫌いだった



     
    こんな気持でルナに会わないほうがいいかもしれない


    雨に濡れるのを覚悟で駅に向かって歩き出した時


    ふいに腕を掴まれた…


    「え…」


    ふり向くと…


    ルナが私の手を引き傘を差しかけた 


    『エミィ 何してるの…遅いじゃない(微笑)』


    「ルナ…」





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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20840 / 1階層)  【〜Her Lingering scent〜C】
□投稿者/ 映美 大御所(253回)-(2008/05/24(Sat) 00:08:15)

    『エミィ 帰るつもりだったの?』


    傘を差しかけ濡れた肩をルナは抱きしめた…
    額を流れる雨の雫を拭う指先に切なさが込み上げてくる


    「ごめんね ルナ…」


    『なんで謝るの…エミィ なんか悪いことした?(微笑)』


    顔を上げるとルナの黒い瞳のなかに私が映っていた





    降りしきる雨の中
    ひとつの傘でルナのマンションに向かい
    ドアを閉めた玄関でくちびるを探りあい長いKISSを交わし
    雨に濡れた服を脱がしあった…
    シャワーの雨の下で狂おしく抱き合い
    ベットで溶けあい…何度も何度もルナの名を呼んだ…
    ルナの魔法で痺れた体のまま 私は夢の中に落ちていった



    あれから何時間経ったのだろう…



    目を閉じたまま
    快適な温度の中で私は微睡んでいた


    『雨…よく降るね…』


    ルナの声に、ブランケットをずらし雨の音を聞いた
    雨はまだまだ止みそうにないリズムで窓を叩いていた


    「今日は一日雨模様ね… でもこんな雨の日もいい感じ(微笑)」


    『エミィは雨の日がお気に入り?』

    「うん…。ルナとはじめて出逢った日が雨だったから
    だから あの日から雨の日が好きになったの…」


    『そう…』

    ルナは笑みを浮かべブランケットを私にかけなおして
    ベットを下りた…

    『エミィ 何か飲む?』

    「うん…じゃあ アメリカンコーヒーで…」

    『はいはい じゃあ少しお待ちくださいませ』

    キッチンに向かうルナの背中を見詰めながら
    こんな幸せな時間がずっと続くこと信じて疑わなかった




    コーヒーをふたつテーブルに置き
    BGMの音を絞ってルナは
    じゃあゆっくり話そうかと私をソファに促した

     
    ルナの好みのタバコの煙が部屋に漂う…



    『エミィ マユに会ったよね?なにか言ってた?』


    「ルナの部屋に昨夜泊まったって…」


    『そうなんだ…。それきいたから帰ろうとしたの エミィ(苦笑)』


    「……」


    ルナは煙を吐きながら窓に視線を移した


    『ねっ エミィ 今度はちゃんと最後まで話を聞いてね 
    聞きたくないっていわないでほしい…』


    「うん…」


    まず昨夜のマユの訪問の経緯をルナは話し始めた


    時折 私の表情を窺うのは 言葉を選んでるのだろう
    クールなルナの優しさが伝わる


    マユの話から過去の恋人の話になったとき
    ルナの瞳のなかにひろがる雲が見えた気がした
    過去の恋 過去になったひとなのに…


    まだルナの中でその彼女の残り香…が消えずにいるのかもしれない
    そう思うと胸が締め付けられた…


    「ルナはその人を深く愛していたんだね…」


    タバコを灰皿でもみ消すルナの指先を見詰めながら
    今はエミのことその人以上に愛してるってそんな台詞を聞けると思っていた


    …なのにルナの口から出たのはまったく予想外の台詞だった


    『…実はね この前 サオリに会ったんだ…』




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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20888 / 1階層)  【〜Her Lingering scent〜D】
□投稿者/ 映美 大御所(254回)-(2008/06/06(Fri) 01:38:49)


    カップを持つ手が思わず揺れた


    「…会ったって…どうして?」


    彼女との出逢いは仕事を通じてだった・・・とルナが話し始めた
    いまは同じ企画には携わっていないが彼女の勤める会社とは
    たまに取引があるからすれ違う事だってあるという


    それなら会ったじゃなく…すれ違ったでいいのに
    よけいな気を揉ませないで…と心の中でルナを責めた


    おまけに彼女の名前(サオリ)まで さらりと口に出すから
    頭ン中にインプットされてしまったじゃない…



    『エミィが言うように 彼女(サオリ)の事 深く愛していたよ…』


    深く愛してた…


    たとえ過去形でもルナの言葉に胸が締め付けられた


    「そんなに愛してたのに…なぜ別れたの?…」


    『……』


    ひと呼吸おいてルナは長い煙を吐いた…


    『彼女はね 既婚者だったんだ…。それが別れた理由のすべてじゃないけどね』


    『私はひとりだから…寂しい…逢いたいと毎日 彼女に無理を言い…。 
    彼女は今の状況を分かってくれないと私を責め…そんな繰り返しばかりで
    いつしか 心がね かみ合わなくなってしまったんだ…』


    遠い目をするルナの脳裏のスクリーンには
    いま彼女(サオリ)を映し出しているのだろう…



    ルナの表情を見るのが辛くて私は目を伏せた


    「…」



    部屋に響くミディアムスローなメロディーが切なく
    ふたりの沈黙の合間を流れる


    二本目の煙草に火をつけるルナの横顔を見詰めた


    「ねぇ ルナ…。サオリさんとは話したの?」


    『話したよ…』


    「どんなこと?」


    『主に仕事の話・・・。 あと…プライベートは充実してるの?って聞かれて…』


    「うん…」


    『いまとても充実してる とても愛する人がいるから…。って答えたよ』


    まっすぐ私を見詰めるルナの瞳に愛を強く感じた


    『エミィ あとはなにが聞きたい?』


    髪を撫でるルナの胸に顔を埋めた


    「ルナのハートの音…」




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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20917 / 1階層)  【〜Her Lingering scent〜E】
□投稿者/ 映美 大御所(255回)-(2008/06/09(Mon) 17:50:56)


    胸に顔を埋めた私の背中をルナは抱きしめた


    『エミィ 聞えた?』


    「うん…ア・イ・シ・テ・ルって聞えた…」


    やわらかな感触のなか耳に伝わるルナのハートの囁き…。


    『…ハートで愛を囁いたのはエミィだけよ…(微笑)』


    ルナの黒い潤んだ瞳の中に至福の笑みの私が映っていた…。


    幸せよ…ルナ 
    このままずっとこうしていたい







    雨のリズムが弱くなってきたねと窓のロールカーテンを引いたとき
    思い出したようにルナが訊いた


    『ねっ エミィ もしかして昨夜は家に帰ってないの?』


    そうだった…昨夜のこと
    今度は私がミサオとの事をルナに話す番だ
    コーヒーカップをテーブルに置きなおして深呼吸した


    「ごめんね ルナ 私…」


    『また謝るの? エミィ(苦笑)』


    「…昨夜、私も昔の恋人に会ったの…。でもね 誤解しないで ルナ…」


    『まだ何も訊いてないのに 誤解しようもないじゃない(苦笑)』


    ミサオとの出会い…と別れ
    そしてトオルのライブに急いでた日の偶然の再会から…
    昨夜を一緒に過した経緯まで全て話した


    ルナは、ただ頷いて最後まで話を訊いてくれていた


    『…エミィの恋した人 素敵な人だったんだね(微笑)』


    「そのひとの名前は?って訊かないのね」


    『昔の恋人の名前なんか 別に知る必要ないでしょ…』


    「そうだね…」


    『名前よりか訊きたいことひとつある』


    「何?」


    『エミィも その彼女を深く愛してた?』


    「…うん…愛してた」


    ルナは私から視線を逸らしクールな笑みを浮かべた


    『エミィ…私は過去には嫉妬しないよ』






    朝から降り続いていた雨が上がったのは
    夜になってからだった…


    『やっと雨が上がったね…』


    ルナが、窓を開けた


    涼しい風が部屋の湿った空気のなかを抜けたとき
    気のせいなのだろうか…
    ふっと…甘い香りが鼻先を霞めた気がした


    そうだ…あのコロン


    いつか洗面台の下で見つけたピンクの小瓶を思い出した 


    あの時、答えてくれなかった質問をもう一度してみよう


    「ねぇ ルナ…訊いていい?
    あのピンクの瓶のコロンは、誰のなの?」


    『…コロン?』


    「洗面台の下にあったでしょう…」


    ルナは一瞬、首をかしげた


    『洗面台?…。あ〜…あのコロンね』


    「…うん」


    『まだ気になるの?』


    私の頬に触れてルナは笑った


    『…あのコロンはサオリへのプレゼントにと選んで買ったコロンだった。
    でも 渡す前に別れた(苦笑)それで…当時ルームシェアしてたリッコに使う?
    って訊いたら  喜んで貰ってくれたの…。だから あれはリッコの忘れ物…』


    「そうだったの…」


    『もう 捨てなきゃね…』


    「リツコさんの忘れ物なんでしょう 捨てちゃっていいの?」


    『…いいでしょう 保管期間はとっくに過ぎてるもの(笑)』



    『この部屋の 〜Lingering scent〜残り香は エミィの香りだけ…ずっとね 』


    ルナの腕のなかに再び包まれたとき
    私の中で悶々と燻っていたすべての事が消え去った




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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20921 / 1階層)  【〜believe in love〜@】
□投稿者/ 映美 大御所(256回)-(2008/06/10(Tue) 03:35:04)
    2008/06/10(Tue) 04:28:51 編集(投稿者)




    ミサオから電話があったのは、ロスに帰国する日の朝だった


    『今日、午後の便で発つね〜。エミ ほんと会えて嬉しかったよ
    いろんな話もできたし
    なによりも…エミがいま幸せだって確認できたから 安心してロスに帰れるよ』


    電話の向こうのハスキーボイスはだんだん遠ざかっていく


    「ミサオさん ありがとう…。…見送り拒否は寂しかったけど…」


    『あっ いいよ エミ 今から見送りきてくれてもさ〜』


    「えっ いいんですか?」


    『うん そのかわりパスポートを持って 覚悟してきなさいよ(笑)』


    「ミサオさん…」


    冗談よと受話器の向こうで笑うミサオの懐かしい声の響きに
    ミサオさんもどうか幸せになって…と心から願った 
     
    あなたの夢と活躍を遠くから見守っています
    いつまでも輝いていてください

    ミサオさん 
    私を愛してくれてありがとう…。


    見上げた空には…ひこうき雲がきれいな直線を描いていた…。









    ルナと出会ってから三つの季節が過ぎ…


    ふたりで迎えた四つ目の季節は桜が咲く…春になっていた


    夜桜を見に行こうかと仕事帰りにいつものターミナル駅で
    ルナと待ち合わせをした

    前を歩くカップルが立ち止まりながら桜並木をカメラに収める姿に
    私たちも撮ろうとルナが携帯の画面をカメラにした

    やっぱ写真撮るの下手だな〜とルナが画面を見て笑った


    『あっ そうだ 写真で思い出した! リッコが今度の日曜一緒に食事に行こうって エミィの予定はどう?』


    「ええ、もちろん大丈夫よ」


    『じゃあ OKの返事しておくよ、なんでも今月末にはニューヨークに行くらしいから、来週しか空いてないって言ってたからね』


    「ニューヨーク?」


    ルナの話によるとリツコの恋人がニューヨークに転勤になり引越しやらの手伝いにいくのと
    リツコの父もいまニューヨークでカメラマンで活躍していて どうやらリツコも向こうに住み
    父の仕事を手伝うらしいとのこと…ようするに彼と同じ地に住みたいのだろうということだった


    「そうなんだ 恋人が出来たんだね リツコさん…」

    (恋人ってあの時の人なのかな…?)
    BARで、スーツ姿の男性と親しそうにお酒を飲み話し込んでいた
    リツコの顔が浮かんだ


    『またニューヨークなの?って言ったらリッコは偶然よって笑ってた』


    「また?って」

    『エミィ リッコから訊いたでしょう?以前好きな彼を追ってニューヨークまで行って実は彼がゲイだったから振られたって話』 


    「あ…うん…」


    あの時 ルナとの思い出を語るリツコの大きな瞳のなかに
    紛れもなく嫉妬の炎が見えた気がした


    『今度の彼はゲイじゃないらしいから安心したけどね(苦笑)』


    ルナの寂しい表情は、親友が遠くにいくからだろう
    ただそれだけ…なのだろうか
    胸がざわめくのは何故だろう
    なにかが起きる予感がするのは…気のせいだろうか


    ううん 何も起きるわけないじゃない
    ルナの愛を信じてるもの


    『あ…この桜の木…綺麗だね』


    ルナが立ち止まった


    ふたりの間を花弁がハラハラと舞う
    その桜の木にアングルを合わせながらルナが言った


    『ねっ エミィ…。一緒に暮らさない』


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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20922 / 1階層)  【〜believe in love〜A】
□投稿者/ 映美 大御所(257回)-(2008/06/12(Thu) 02:50:10)

    翌週の日曜の午後


    ルナと向かったのは欧風レストラン
    リツコとの待ち合わせの時間5分前に到着した


    重いドアを押して入ると、すぐ目の前に立つ女性が振り向いた


    リツコだった


    「あっ…ルナ〜♪ グッドタイミングね 私もいま来たとこなのよ」


    大きな瞳を輝かせリツコはひさしぶりねとルナの腕に腕を絡ませた
    その何気ないスキンシップにふたりの長年の仲を垣間見た気がした


    「…リツコさん お久しぶりです」


    私の声にハッとしてリツコはルナの腕を離した


    「あ、エミさん こんにちは〜(微笑)さっ…席に行きましょう」


    先に歩き出したリツコの後ろで、そっとルナの手を握った
    妬いてるの?とルナの瞳が笑っていた






    席に着いてすぐにルナとリツコは互いの仕事の話を始めた
    私はふたりの会話には入っていけなくて ただ、メニューを眺めていた


    ルナがそんな私の様子に話題を変えた


    『ねっ リッコ 彼はあとからくるの?』


    「ううん 彼はこないわよ〜。一応 誘ったんだけどね 
    どうやら女性ばっかりに、囲まれるのが苦手らしいわ(苦笑)」


    『えっ 女性が苦手って ねえ リッコ その彼は大丈夫なの?(笑)』


    「ルナったら〜、今度は大丈夫よ ご心配なく(笑)」


    リツコと笑い合うルナが…まるで別人のように明るく感じた
    どうしてそんな屈託のない笑顔が自然にできるの…

    ルナの横顔を見詰めた
    (私にはそんな顔 見せないよね…)


    私の視線に気づかずにルナは二人の馴れ初めを訊いている
    待ってましたとばかりにリツコはお惚気話を始めた


    「彼はね 今まで出会った人のなかで一番私を愛してくれてるって感じた人なの」


    『リッコは恋すると熱くなりすぎるから、心配よ 』


    「あら よく言うわ ルナだってすぐ燃え上がっちゃうじゃない(笑)
    私がよく知ってるわ だってあの人の時だって…」


    リツコは…ハっと口を押えてルナに目で詫びた


    きっと…あの人とはサオリのことだろう…
    私は聞こえなかったふりをして料理を口に運んだ


    もう何を聞いたって平気…
    一番愛されてるって自信あるから…
    ルナの愛を信じてるから…





    食事をしながら他愛もない話を
    3人でしながら時間は過ぎていった

    ふと思い出したようにリツコがミチコの名前を出した

    ミチコと私が従姉だということを訊き世の中狭いねと
    言うと同じく仕事でミチコと関わったルナも大きく頷いた
    (そういえば…最近 ミチネエに会ってないな…また連絡してみよう)




    コース料理の締めくくりのデザートが運ばれた


    季節のフルーツがトッピングされた
    小さなケーキがお洒落な大皿のなかで品よく並んでいた


    ケーキを食べ終わり…
    リツコが向かいに座る私とルナを交互に見詰めた


    「ねぇ ルナとエミさんは一緒に暮らさないの?」


    私たちは思わず顔を見合わせた


    それは…先週ルナと話し合ったばかりのことだった
    桜の木の下で一緒に暮らそうと言ってくれたルナに私は首を縦に振れなかった

    家を出ることができない
    私の家庭事情があったからだった。

    視線を落とす私の横でルナが笑って答えた


    『勿論、近いうちに一緒に住むつもりでいるよ…』


    「そっか〜、よかった 安心したわ! エミさん…私ね、ルナとこんな遠くに離れるのは初めてなの…」


    リツコは大きな瞳を潤ませた


    「ねぇ エミさん…ルナのことお願いね…」




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■20924 / 1階層)  【〜believe in love〜B】
□投稿者/ 映美 大御所(258回)-(2008/06/13(Fri) 13:10:07)

    4月最後の週の木曜日…


    リツコがニューヨークに出発する日
    空港まで見送りにいってくるねとルナからメールがあった


    私は、その頃 オフィスの窓から空を眺めていた


    "ルナのことお願いね"…と潤んだ瞳で言ったリツコと
    "今度の彼はゲイじゃないから安心したよ”と笑ったルナの寂しい瞳


    今頃 二人はどんな会話をし別れを惜しんでるんだろうか


    リツコの大きな瞳から毀れる涙をルナが拭ってる場面が浮かんだ

    ねぇ ルナ…
    ふたりの間には私の知らない何かがあるの…?

    私は首を振った

    ううん…二人は仲のいい大親友 それだけよ…



    「ちょっと〜エミ 大丈夫?」


    隣のデスクの同僚が肩を叩きパソコンの画面を指差した

    ぼんやりしてて無意識にキーボードに指が触れてたのだろう
    意味不明な文字が画面いっぱいに並んでいた…

    「あ〜ほんとだわ〜、私ったら〜(苦笑)」






    終業のベルとともに亜紀子が私のデスクに飛んできた


    「ねっ エミ〜、帰り予定ある?」


    『ううん 別にないけど どうしたの〜?』


    「エミに渡したいものがあるんだ〜 ねっ 帰り、駅前のカフェにシフォンケーキ食べにいこう〜♪」


    『OK いいわよ〜、その嬉しそうな顔はきっといい話ね』


    「そう いい話だよん〜。 でもエミにとってはどうかな〜(笑)
    さっ 早くいかなきゃ シフォンケーキ品切れになっちゃうよ〜」


    せっかちな亜紀子は私の腕をとりロッカールームに引っ張っていく






    向かいに座った亜紀子が、メニューを閉じて座りなおした


    「エミにはね 郵送じゃなく 直々に渡したかったんだ〜 ハイ!」


    なにやら白い封筒のようなものを両手で渡された



    受取った白い封筒には金の箔押し寿シールが貼られていた
    それは結婚式の招待状だった

    日時 6月○日 土曜日
    挙 式 午後12時より
    披露宴 午後13時より

    と書かれていた


    「エミ〜 もちろん出席してくれるよね♪」


    『あたりまえじゃない〜、亜紀子おめでとう(微笑)
    そっか…2ヶ月後には亜紀子は奥さんになっちゃうんだね』


    「やだ〜エミ 奥さんだなんて 照れちゃうよ〜」


    幸せそうに笑う亜紀子を羨ましく思った
    6月の花嫁〜ジューンブライド〜なんだ…


    2ヶ月前は同僚のあゆみの披露宴に亜紀子と出席した


    みんなどんどん結婚していくんだ…
    寂しさじゃない 言い知れぬ虚しさが胸に広がった


    私とルナはこれからどうなるのかなとふっと思った



    勿論 いまだって十分 幸せ…
    だけど、いま以上 二人を結ぶ絆ってなんだろう
    ずっと一緒にいることは当たり前だけど
    見えない未来…
    それは…本当に叶うのだろうか
    頭の中でいろんなことが過ぎった



    シフォンケーキを口に運びながら亜紀子が私の顔を窺った


    「どうしたの〜エミ? 急に黙り込んじゃってさ〜、もしかして焦ってる?(笑)」


    『えっ…』


    「大丈夫よ 次はエミ〜の番だよ 私の投げたブーケちゃんとキャッチしなさいよ〜♪」


    『そ、そうだね…がんばってキャッチするわ・・・(苦笑)』


    心の中で呟いた…
    (そのブーケを受取ってもね わたしは結婚なんてできないのよ…亜紀子)





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■20930 / 1階層)  【〜believe in love〜C】
□投稿者/ 映美 大御所(259回)-(2008/06/18(Wed) 17:15:23)

    スクランブル交差点が黄色の点滅から赤に変わった


    後ろから足早に私を追い越そうとした人が
    信号の赤にあきらめて立ち止まった


    すぐ前に立ったベリーショートの女性に
    思わず あっと声が出た


    『もしかして…ミチネエ〜?』


    「えっ…」


    私の声に振り向いたのは間違いなく従姉のミチコだった


    「お〜!エミ〜じゃん ひさしぶり〜♪」


    ミチコは両手を広げておどけたポーズをした


    信号が青に変わり周りの人波が動き出した 
    互いの近況を話しながら交差点を渡った


    『ミチネエはもしかして仕事?』


    「ううん 今日は友人とデートだったんだ〜(笑)まったく色気ないよな〜」


    相変わらずさばけた口調のミチコは私に、エミはデートかと聞いた


    『うん デートでした…友人とね(笑)今 帰るとこなの』


    予定がないなら夕飯でも食べに行こうかとミチコが誘った
    ルナは、今日 仕事で忙しいから会えないといっていたから
    もちろんOKのふたつ返事をした


    ミチネエと会うのは何ヶ月ぶりだろう
    色々聞いてみたいことも聞いて貰いたい事もあった…


    駅までの通りにある和食の店に入った
    席に座り 何から先に話そう…思案してると
    先にミチコがきりだした


    「あ、そうそう エミ 勿論知ってるよね? リツコがニューヨークにいったこと」


    『うん…』


    ミチコとリツコは仕事仲間だった 知ったときは意外な繋がりで驚いた
    ルナとも数年前にブライダル特集の記事を通じてミチコと会っている


    不思議なものだと思った…
    私がルナと出逢うずっと前から3人は関わり合っていたなんて


    「もう、向こうに行って2週間か〜、リツコ 大丈夫かな?」


    煙草に火をつけながらミチコがちょっと心配顔をした



    『大丈夫って?』



    「うん リツコの今の彼 ちょっと知ってるんだ あまりいい噂 聞かないからさ
    ちょっと心配だなって思ってさ〜」



    ミチコの話によると、その彼はバツ一で離婚の原因も同時にふたりの女性と
    付き合っていたことだとかで結構問題多い人らしかった
    リツコには一応忠告はしたものの、私は大丈夫だからときっぱり言われれば
    それ以上、他人の恋愛事に口は挟めないでしょうと苦笑いをした


    ふっとルナの顔が浮かんだ


    きっと、知らないはずよね
    リツコが言うわけないだろう
     
    ルナが訊いたらどう思うだろう…
    一番の親友のリツコのこと きっと心配するに違いないだろう…



    「そういえばさ、ルナさんは元気?」



    ミチコがタイミングよく質問する

    たぶんルナと私の仲をミチコは気づいているはず
    この機会にちゃんと話しておかなきゃ…


    『ミチネエ…、実はルナと私は…ね…』

    神妙な表情に何かを察したのだろう
    私の告白を最後まで聞かずにミチコは言った


    「知ってるよ エミ(微笑)私はちゃんと理解してるからさ…」


    そしてふ〜っとタバコの煙を吐きながら
    やっぱ血は争えないねと笑った


    この日、何年も聞けずにいた
    ミチコの本当を知った夜でもあった







    その頃ルナは…






    いつものように次の企画の打ち合わせが終わり
    帰り支度をしていると、上司に呼ばれた


    社長が話しがあるからと
    近くの割烹料理店に連れていかれた



    「ルナくん…実はな私の友人がニューヨークで日本人向けのコミニュティ情報誌など
    手がけてる出版社と取引があって、今、ライターを探してるということなんだ」


    「それでだ・・・単刀直入に言うが、向こうで仕事をしてみないか?」


    『えっ…あの…ニューヨークでですか?』


    あまりの突然のことに言葉に詰まった


    「入社時 面接で君は将来は海外で活躍するフリーライターを目指してるといってたね。
    うちにいても小さな仕事しか回ってこない。君は優秀だ、他からの評判だっていい 
    君の才能をもっと伸ばしてやりたいと思ってる」


    『あの…でも私…』


    社長は喋り続けた


    「君の夢の一歩になるきっかけができるチャンスかもしれないと思ってね
    なんでも君はニューヨークに友人もいるらしいじゃないか
    向こうで知り合いもいれば心強いだろうしね」


    リツコのことは、カメラの仕事を依頼したりされたりで何度か上司に紹介もしたことがあった
    最近、ニューヨークにいったことも上司に報告してたから社長も耳にしたんだろう


    頭の中でいろんなことが駆け巡った
    たしかに私には夢があった

    あきらめているわけじゃないけど
    でもいますぐには…


    エミィ…


    一番に頭に浮かんだのは愛しい人だった



[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 20941 ] ▼[ 20947 ]
■20934 / 1階層)  【〜believe in love〜D】
□投稿者/ 映美 大御所(260回)-(2008/06/19(Thu) 03:19:23)
    2008/06/19(Thu) 07:58:18 編集(投稿者)






    いつものようにルナの部屋で過ごす週末の夜


    窓に月が見える頃に
    今夜もそろそろ、帰らなきゃ…と交わすさよならのkiss


    「ねぇ ルナ…」


    『あのさ…、エミィ…』


    離れた唇が…同時に動いて顔を見合わせた



    「あ…何?…ルナから先に話して…」


    『……』


    ふたりの躊躇う瞳が交差する…


    もう少し話そうかと…ルナが私の手を引く
    ふたりでソファに座りなおした


    テーブルに置かれたシガレットケースから
    ルナは一本タバコをとりだす
    スマートに火を点けるその指先を見詰めた


    『エミィの話を先に聞かせて…』


    ルナの瞳は窓の外の月を映していた



    私がルナに言いたかったのは
    ミチコから先日 聞いたリツコの恋人の噂だった

    黙っていようと思ったが、私も気になったことだし 
    一応ルナの耳に入れとかなきゃと思ったからだった



    「ねぇ ルナ…、あれからリツコさんから連絡あった?」


    『うん、メールがきたよ…どうして?』


    「リツコさん…元気にしてるのかなって思ってね(苦笑)」


    『巨大な街(ニューヨーク)に馴染むには大変ね
    時間はかかるけど頑張るわって…書いてた
    メールの文面からは 元気な様子だったよ』


    ルナは、立ち上がり窓を少しあけた…


    タバコの煙が窓の外に流れていく


    『エミィが聞きたいのは…それだけ?』


    「あのね…実は先週、ミチネエと会ったの…それでね…」


    ミチコから訊いたことを、そのまま話すとルナは
    一瞬 曇った表情をしたが、すぐにいつものクールな笑みを浮かべて答えた


    『エミィはおせっかいだね 人の彼氏の噂話なんかどうでもいいじゃない(苦笑)
    そんな彼でもリッコは愛してるんだからさ…。私達が心配することないよ』


    今度は私が話す番だねと
    ルナが手にしたタバコを灰皿にもみ消して…窓を閉めた



    『本当は 今日 言うつもりじゃなかった…。まだ迷ってたからね』


    「…何を迷ってたの?」


    『随分 一人で考えてた…エミィにも意見を訊かなきゃとかね 
    でもね いま…リッコの話を訊いて 自分の中ではっきり答えが出たよ』


    「答え…?」


    ルナが私の肩を抱きしめた


    『それは…エミィと離れたくないってことよ』



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▲[ 20934 ] / ▼[ 20952 ]
■20941 / 2階層)  NO TITLE
□投稿者/ m 一般♪(1回)-(2008/06/22(Sun) 21:58:33)
    はじめまして!(〃∇〃) 毎回 更新されるたびにドキドキしながら読んでます〜!
    更新楽しみに待ってま〜す!頑張ってください!! ちなみに私はルナファンで〜す(*^▽^*)ゞ

    (携帯)
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20941 ] / 返信無し
■20952 / 3階層)  mさんへ^^
□投稿者/ 映美 大御所(261回)-(2008/06/26(Thu) 13:53:23)
    はじめましてmさん^^

    コメントありがとうございましたm(__)m
    読んでいただいてるというお声とても励みになります^^

    物語もいよいよ佳境に入ってきました
    引き続き更新 頑張りますので
    最後まで【ルナとエミ】に
    お付き合い下されば嬉しいです^^


      映美
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20934 ] / ▼[ 20953 ]
■20947 / 2階層)  こんばんは^^
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2008/06/23(Mon) 21:40:50)
    こんばんは 映美さん^^

    たくさん更新されてますね〜^o^
    ハラハラしながら、一気に読んじゃいました♪
    ルナとエミ 何だかイイ感じ…? なのかな←
    エミの不安が、少し気になるんですけど… こうご期待ですね(笑
    引き続き、更新楽しみにしてます^^

    梅雨時期です。随分憂鬱な日々が続いてますが
    お身体気をつけて、ガンバってください^^
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 20947 ] / 返信無し
■20953 / 3階層)  レオさんへ^^
□投稿者/ 映美 大御所(262回)-(2008/06/26(Thu) 14:05:26)
    レオさん お久しぶりですね^^

    ハイ 最近、更新頑張っています(苦笑)

    【ルナエミ】完結を急がなきゃと夜更かし
    多しで頑張っていますが…この頃は
    やはり睡魔には勝てなくて^^;

    レオさんにご感想を頂くようになってから
    はや1年ですね…
    こんな拙い物語にくれるレオさんの言葉が
    いつも励みになっています^^
    あらためて ありがとうございますm(__)m

    これから ルナとエミにはハラハラな
    展開が続きそう?な感じですが…
    どうか最後までお付き合い下さいねm(__)m

    梅雨時 憂鬱な気分の時は
    好きな音楽聴いて笑顔で乗り切りってます^^

    レオさんも どうかお身体気をつけてくださいね


         映美
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / ▼[ 20956 ]
■20955 / 1階層)  【〜believe in love〜E】
□投稿者/ 映美 大御所(263回)-(2008/06/27(Fri) 03:06:00)
    2008/06/27(Fri) 03:08:43 編集(投稿者)



    「断るなんて…本当に後悔しないの? 夢を叶えられるチャンスかもしれないのに…」


    先週、ニューヨーク行きを社長に
    薦められたことをルナは詳しく話してくれた


    『後悔しないよ…。今でなくても チャンスはこれからもきっとあると思うから
    それに いまはエミィがこうして側にいるから…毎日 仕事 頑張れるんだもの』


    「ルナ…」

     
    ルナの強い愛を感じて涙が溢れた
    私たちは離れない…そう信じてた







    予期せぬ出来事が起こったのは
    それから数日後のことだった


    亜紀子の結婚式で友人代表のスピーチを頼まれ
    書いた文を見てもらおうと仕事帰りいつものカフェでルナを待っていた



    約束の時間はもう30分も過ぎていた


    (ルナ どうしたんだろう…?)


    Callしてみたが電波が届かないか…電源が…の
    アナウンスが流れるばかりだった


    忙しいルナにはよく待たされた…


    きっとまた会議か打ち合わせが長引いているのかもしれない
    それか、連絡する間もなく慌てて地下鉄に乗り込んで
    電波の届かない駅を過ぎているのかもしれない


    鳴らない携帯を握り締め…窓ガラス越しに雨の街を見詰めた


    間もなく1時間も過ぎようかという頃だった
    二杯目のカプチーノに口をつけたとき聞きなれた着信音が鳴った


    『エミィ 連絡遅くなってごめんね…。 実は…今日はそっちに行けそうもないの』


    ルナの声はいつになく沈んでいるように響いた


    「まだ仕事が終わらないの ルナ? 私なら大丈夫よ あと少しなら待ってられるわ
    待ちぼうけは慣れてるし(苦笑)」


    『・・・』


    なにか嫌な予感がした


    「ねぇ ルナ なにかあったの?」


    『ん…。あのさ エミィ  私、明日 ニューヨークに行ってくるね』


    「えっ…明日って? そんな急にどうして? 仕事なの ルナ?」


    隣に座ったカップルが私の声に振り返った


    知らずに声のトーンが上がっていたのだろう
    携帯を耳に当てたままカフェの外に慌てて出た


    『詳しいことは戻ってからゆっくり話すわ…エミィには心配かけたくないのよ』


    そのまま電話を切ろうとするルナに訴えた


    「ちょっと待ってルナ…行く理由も教えてくれないなんて すでに心配かけてるじゃない」


    『・・・・』


    数秒間の沈黙があった 


    『実は…さっき リッコのお父さんから連絡があったの…。』


    「お父さんからって…。な…なにかあったの?」


    『…リッコが…睡眠薬を多量に飲んで病院に運ばれたって…』


    「えっ…」


    驚いて声が詰まった


    「そ、それで…リツコさんは?」


    『幸い命には別状はないらしいけどね…』


    ホッと胸を撫で下ろして浮かんだのはリツコの大きな瞳だった

    惚気話をしてルナと笑い合っていた
    幸せそうなリツコの顔が過ぎった・・

    (リツコさん 一体 何があったの…)


    そういえば…

    ”リツコの今の彼 評判よくないから心配してるのよ”

    先日のミチネエの言葉を思い出した



    『エミィ 聞えてる?』


    「あっ…うん ショックでボーっとしてた…」


    ルナが続けた


    『…リッコのお父さんに、すぐ来て欲しいって言われたのよ
    リツコは君の名前ばかり呼んでいるからって…』


    ルナの名を呼ぶリツコが目に浮かんだ


    「う…うん わかった 行ってあげて…。
    だってリツコさんはルナの大切な親友だもの…」


    『すぐ戻ってくるからからね エミィ』


    なぜかわからないけど 胸がざわめいた…


    二人を阻む何かが糸を引いているようで…
    言葉とは裏腹に心の中でルナを引きとめた


    (ルナ…行かないで…)


    カフェをあとにした私は
    雨の降る表通りを傘を差すのも忘れて歩いていた




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▲[ 20955 ] / ▼[ 20974 ]
■20956 / 2階層)  せつない
□投稿者/ おお 一般♪(1回)-(2008/06/27(Fri) 05:50:35)
    映美さんはじめてまして!コメント書くのは初ですが、実は大分前から『ルナ・エミ』の大ファンです(*^-')b
    なんか、ハラハラな展開になりそうですが、ルナ・エミの愛を信じてます!続き楽しみにしてます!が、あまりムリなさらず、ちゃんと睡眠もとってくださいね(笑)
    ところで、エミィって映美さんですか?

    (携帯)
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▲[ 20956 ] / 返信無し
■20974 / 3階層)  おおさんへ^^
□投稿者/ 映美 大御所(264回)-(2008/07/01(Tue) 22:59:53)
    こんばんは

    はじめまして おおさん^^

    おおさんは随分早起きなんですね^^

    おおさんからコメント頂いた時間は、夜更かしの私が
    やっと夢の中に誘導された時間でした(笑)

    【ルナエミ】をいつも読んでいただき
    そして大ファンとおっしゃって下さり、とても感激してます。本当にありがとうございますm(__)m

    ハイ。最近、仕事続きの疲れでムリすることなく睡眠が優先になっていますので大丈夫です^^
    ご心配ありがとうございます。

    >ところで、エミィって映美さんですか?

    はい そうです。
    エミィは私(映美)です(笑)

    物語はほとんど創作ですが、ところどころ実話が入っています…

    ですからルナとエミの台詞も…
    私(映美)とルナが…実際に交わした会話が多々入っています。。

    完結まであと少しです。
    ふたりの愛を信じて…
    続きを読んでいただければと思います^^

    コメントありがとうございました


      映美


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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20983 / 1階層)  【〜believe in love〜F】
□投稿者/ 映美 大御所(265回)-(2008/07/07(Mon) 12:01:36)
    2008/07/07(Mon) 13:03:32 編集(投稿者)






    ニューヨークのJFK空港


    空港にはリツコの父が迎えに来ていた


    「ルナさん お久しぶりです…。今回はリツコのことでこんな遠くまで
    来て頂き申し訳ありません」


    深々と頭を下げるリツコの父はロマンスグレーの長髪をバックにまとめた
    いかにも芸術家って感じのお洒落な紳士だった


    リツコの父に会うのは大学の卒業式以来だった
    今回のことで心労が重なっているのだろう 
    その疲れた表情は年齢よりも幾分老けたように見えた



    病院はタクシーで20分ほどですと
    リツコの父は荷物を手にとって歩き出した



    走り出したタクシーの窓から見える摩天楼の街


    巨大なビル群に目が霞んだ 
    映画のスクリーンで何度も観たマンハッタンのストリート
    いま この目にリアルに動く映像が映し出されている…


    〜私はカメラマンでルナはフリーライターね 
    夢は、なんたってアメリカよね…ルナ(微笑)〜


    学生時代…夢を語り合ったリツコの大きな瞳と笑顔が浮かんだ


    ・・・胸の中で呟いた

    こんな形で、夢の地の空気を吸うことになるなんて
    思いもよらなかったよ…リッコ



     

    「あの子は、肝心なことは私には言わないから…本当に困った娘です」


    肝心なこと?
    もしかしてリツコは恋人を追ってニューヨークに来たこと
    お父さんには言ってないのだろうか


    『あの…お父さん リッコの彼のことはご存知ですよね…?』


    「ああ、知っています リツコに今回のことはその彼氏のことが原因なのかと聞いても
    首を振って…飲む量を間違ったのよっていうばかりで何も話してくれない…」

    私に心配を掛けたくはないからという気持ちは分かるがと
    リツコの父は憔悴した表情で溜息をついた


    「父親の私に話せないことも、長年の親友のルナさんになら
    なんでも話すことだと思います。短い時間ですがあの子の傍にいてあげてください」


    『分かりました 私にとってリッコは大切な親友です…。
    何があったのか…聞いてみます』


    「お願いします」



    リツコの父が再び深く頭を下げた



    病院に到着しタクシーを降りると リツコの父は
    ロビーで病室の案内だけすると私は夕方、また来ますと
    待たせたままのタクシーに戻っていった






    病室のドアの前で深呼吸した


    コン コン…
    二度 ノックをするが返答がない


    部屋の中からはなにやら会話らしき声が聞える…


    三度目のノックにも返答がない


    『……』


    思い切ってドアを開けると
    ベットの上に座ったリツコの姿が見えた


    『リッコ…?』




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▲[ 18961 ] / 返信無し
■20985 / 1階層)  【〜believe in love〜G】
□投稿者/ 映美 大御所(266回)-(2008/07/09(Wed) 01:12:40)

    『リッコ…』


    二度目の声でやっとふり向いたリツコは目を見開き驚いた


    「ル、ルナ ど…どうして……ここへ」


    呆然としたままのリツコのベットの横にルナは立った


    『まったく とんだご招待だよ リッコ(微笑)』


    目の前のテレビではドタバタコメディっぽい賑やかなシーンが画面に映し出されていた
    ドア越しに聞こえた会話はどうやらテレビの中だったらしい


    『やれやれ ノックの音が聞えなかった 原因はこれね(苦笑)』


    リモコンを手にとりテレビのボリュームを下げた


    「毎週欠かさず見てたの…アメリカのコメディードラマって最高よ 面白いの(苦笑)」


    『そう…、とりあえず テレビ見て笑ってるリッコに安心したわ』


    そう言うと取り繕うリツコの笑顔が歪み…
    大きな瞳からみるみる涙があふれ出した


    「ルナ…、ごめんね…私のために…」


    ポロポロ落ちる涙を手で拭いながら
    肩を震わせ本格的にリツコは泣き出した


    そんなリツコの隣にゆっくり腰掛けた


    ありふれた慰めの言葉はたくさんある


    だけど…今は ただ黙って
    リツコの涙がとまるのを待とうと思った







    サイレントにしたテレビの画面は
    ドラマが終わりニュースに変わっていた
    リツコの横顔が乾いた様子に問いかけた


    『リッコ… 一体 何があったの?』



    「……」


    リツコの唇が重く動いた


    「…リセットしたかったの…」


    『リセットって?』


    「眠れるだけ 眠って目覚めたら、真っ白になった私がいればいいのにって思ったの…」


    『何言ってんのよ! もう目覚めたくない覚悟だったんでしょう?』


    縦にも横にもリツコは首を振らなかった


    『原因は彼なの?』


    リツコは視線を落とし…わからないのと俯いた


    「…まだね 切れてなかったのよ」


    『切れてないって?』

     
    「ニューヨークに彼を追ってきた女がいたの…
    その人は、必死に自分と彼との歴史を語ってくれたわ
    泥棒猫だとか罵倒もされた…。 
    何言われてもね 平気だった 一番愛されてる自信があったから(苦笑)』




    『それで、彼は?』



    「何も問い詰めてないのに…いい訳ばかり並べ立てる彼にうんざりして
    無責任な愛をばらまいた結果でしょうって…言ってやったわ
    ただ 今は君を愛してるからって私を抱きしめてくれれば そしたら信じていられたのに…。」



    同じような話を以前も聞いたなと…やるせない溜息が毀れた
    恋愛に不向きだとリツコは嘆くが…そうではない
    結果がいつも振り返れば同じだということだけじゃないか


    「私ね…彼を本当に愛していない…」


    『愛してない?ってどういうこと?』


    「愛されてるから 私も愛さなきゃっていけないって無理してたのよ
    一緒にいれば愛せるって思ってた」


    『バカね 無理して人を愛することないじゃない…私なら、できないよ』



    「…そうよできない…」


    リツコの大きな瞳が潤んだ


    「ねぇ ルナ… 私が、ニューヨークにきた本当の理由を教えてあげる…」



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▲[ 18961 ] / 返信無し
■21005 / 1階層)  【〜believe in love〜H】
□投稿者/ 映美 大御所(267回)-(2008/07/18(Fri) 04:31:23)
    リツコの潤んだ瞳が真っ直ぐルナを見つめた


    「私…ルナから 離れたかったの…」
     

    『離れたいって…?何故?』


    「ルナに会うたびに、エミさんを深く愛してるんだって感じたわ
    だから 私も負けずに恋をしよう… 誰かを愛そうって思ったの
    今の彼に出会ったとき 今度こそ大丈夫って思った…。
    ニューヨークへ転勤だと彼から聞かされたときに迷わずついていこうって思った」


    リツコはサイレントのままのテレビをOFFにした
    OFFになったテレビの画面には並んでベットに座るふたりが映った


    「エミさんを愛してるからって ルナが私の手をほどいた あの夜…」


    あの夜…それはエミと出会ってからのこと
    部屋に残した荷物をとりに来たリツコが抱いて…と背中越しに手を廻した夜があった


    「リッコは一生必要な存在 失いたくないのって言ってくれたね
    嬉しかった 私も同じ気持だったから…。 でもね…所詮 それは親友としての失いたくない
    そこに私の欲しい愛はない。 わかってた…其れでいいと思った 
    でもね、やっぱり欲しかったの ルナの愛と…ぬくもりが…」


    『リッコ…』


    「近くにいれば、また私はルナをまた求めてしまう…。
    一生 手に入らない愛を求める自分が辛くて…だから…だから…ルナから離れたかったの」


    「ここ(ニューヨーク)に来て望んだ幸せが掴めそうだと思った
    でも なんだかとても無理してる自分に気づいたの…
    そんななか 彼とのゴタゴタに疲れて…気がついたら手のひらの錠剤を数えず飲んでしまってた
    リセットはできなかった…だけど…目ざめてよかった だって こうしてルナにまた会えたんだもの…。」


    リツコの瞳から再び…大粒の涙が零れた


    その涙に忘れたくて忘れられない
    もうひとつの【あの夜】の出来事が再び思い出された


    3年前…
    同時期にそれぞれが報われない恋に傷つき やり切れない夜
    抱いてと泣きながら胸にすがるリツコの瞳に壊れた心は理性を失くし
    友達のラインを越えてしまった…そんな夜があった


    『リッコをこんな風に追い詰めたのは 私のせいね あの時…私がリッコを…』


    「それ以上言わないで…ルナが悪いんじゃないんだから」



    『…リセットできるなら あのときのふたりをリセットしたいよ リッコ』



    それはイヤとリツコは首を強く横に振った






    『ねぇ リッコ…私 リッコに何をしてあげられるの?』


    「…今は…
    ううん…今だけでいいから ただ ルナの胸で泣かせてほしい…」


    胸に顔を埋めるリツコの肩を抱きしめたとき
    あの頃とは違う感情が自分の中にあることに気づいた



    『…リッコ  私はリッコのこと愛してるよ…。
    それは、きっとエミを愛する想いとは違うと思う
    じゃあ どんな愛なのと聞かれても自分でもわからない
    ただ言える事は 私にはリッコは必要なの…。
    だからお願い 自分を大切にして もう軽はずみなことはしないで…』


    腕の中で泣きじゃくるリツコは
    あの頃より一回り小さくなった気がした


    傷ついた鳥の羽をいたわるように
    リツコの髪をそっと何度も掬いながら
    いろんな想いが交錯した…そして涙が溢れた




[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■21012 / 1階層)  【〜believe in love〜I】
□投稿者/ 映美 大御所(268回)-(2008/07/20(Sun) 23:44:57)
    2008/07/21(Mon) 00:43:15 編集(投稿者)






    窓に夕日が射しはじめた頃 リツコの父が病室を訪れた


    あれから…
    泣き疲れたリツコは、ベットに横になり学生時代の昔話や
    ニューヨークの街を語りながら…いつしか眠ってしまっていた


    「リツコはここへきてから一番穏やかな顔になった気がします 
    ルナさん きっとあなたに会えたからでしょう…」


    リツコの寝顔を見詰める父の目にキラリと光るものが見えた…



    ふっと思ったのは、会ったことのないリツコの恋人だった


    『あの…リッコの彼は病院には?』


    「その人が来たのは一度きりですよ…。命には別状はないと言ったら安心した顔で
    仕事があるのでと…さっさと帰って行きましたよ」


    もう二度と来てくれなくてもいいと呟き…父は溜息をついた
    私もその言葉に頷いた…。




    「ルナさんがさっき お尋ねの出版社の場所を調べてきました。 ご案内します」



    すっかり寝入ってしまってるリツコをふたりで振り返る
    このまま起こさずに寝かせておきましょうと
    印刷された地図を広げながら父はドアを開けた
     


    『あ、すみません お父さん 少し待ってもらえますか…』


    ペンと手帳を取り出しメモにメッセージを綴った


    そのメモを眠るリツコの枕元においた









    日本を発つ前日…


    今回の急な休暇を申し出た時
    ニューヨークに行くのならと上司が社長に連絡をした


    「ちょうどよかったよ ルナ君 私はまだあの話を白紙にはしていなかったからね」


    とりあえず出版社を覗いてきてほしいと社長は横文字で書かれた名刺を差し出した
    夢への道のりは与えられたチャンスにまず素直に向かってみるのが最大の近道だと
    社長は私の肩を叩いた 


    こんなことって…まるで筋書きが出来てるようなタイミングだと感じた 


    …でも
    自分の決心は変わらない
    今は、エミと離れたくない


    と…思いつつ
    貰った名刺を眺めながら 再びのチャンスに心揺れる自分がいた






    タクシーの中でリツコの父の携帯を借り出版社に電話を入れると
    担当者が取材が伸びて今日は時間が取れないということだった


    明日の午後便で日本に帰国すると事情を説明したら 再度 連絡を入れますとの返答だった…。


    今回の目的はあくまでリツコの見舞いだったから…
    出版社の人に会えなければそれは縁がなかったということだ 別に構わないと思った


    やりとりを聞いていたリツコの父が連絡待ちの間に夕飯でも食べにいきましょうと
    タクシーをUターンさせた



    宿泊する予定のミッドタウンのホテルからほど近い日本料理店


    この店はリツコのお気に入りなんですと父が言った


    静かな空間に琴の音色が響く

    ここが異国の地だとは感じない和の趣が漂う店内
    あいにくお座敷しか空いていないというのには何故か納得した


    「あの子は愛情に恵まれていない子なんです…特に家族愛には」


    運ばれた食前酒に口をつけリツコの父がゆっくりと語りだした


    「リツコが小学校3年のとき母親が他界して 私は男手ひとつであの子を育ててきました
    リツコが中学の時でした 私には再婚を考えた女性がいたんですが…どうも、お互いに
    受け入れられなかったんでしょう…。多感な年頃だったリツコは不登校になったりと
    いろんなことがありました。私も結局その女性と上手くいかず別れました 仕事が忙しい私はいつも
    リツコには寂しい思いをさせていました。母親の分まで十分な愛情を注いでやることが出来なかった…」


    意外だった 母親は早くにいないという話は聞いていたが
    リツコが中学の時 不登校生徒だったなんて 今…始めて知った


    「高校に入ってルナさんとの出会いがあの子に輝きをくれました

    〜お父さん すごく気が合う友達できたの その子とね 将来 一緒の仕事しょうねって
    約束したんだ ねえ 私たちにカメラの手ほどきしてよね〜 何度も言ってました(苦笑)」


    高校で知り合ったときのリツコはそんな過去があるなど微塵も感じさせなかった
    いつも明るくて大きな瞳をクルクルさせてよく笑う まるで向日葵みたいな子だった


    頭のなかで記憶を手繰った
    同じクラスになり隣に座ったリツコが瞳を輝かせて話しかけてきた日のこと


    〜私の父はカメラマンなの その影響で 私も最近 写真をよくとるの  
    ファインダー越しに風景を眺めてるとね 違う世界が映るの… 
    シャッターを押す瞬間って自分だけに映る世界をストップさせるみたいで なんだか快感よ(笑)
    ねえ ルナさんも一緒にファインダーのぞいてみない〜


    愛情に恵まれていない そうかもしれないと思った 
    今まで、いくつ失恋話を聞いただろう
    いつも、恋をしては傷ついて泣いてばかりのリツコだった


    食前酒を飲み干した リツコの父が縋るような目をした


    「ルナさん お願いがあります…」





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▲[ 18961 ] / 返信無し
■21021 / 1階層)  【〜Only you〜ふたつの理由〜@】 
□投稿者/ 映美 大御所(269回)-(2008/07/29(Tue) 03:31:02)
    2008/07/31(Thu) 05:06:00 編集(投稿者)




    6月の梅雨の合間の晴れの日


    ニューヨークから戻ったルナと海が見える公園に出かけた


    ここは去年 デートで来た場所だった
    遊歩道を歩きながら…なぜか言葉少ないふたり


    見覚えのある石製のオーナメント
    その前のベンチでルナの手を引き立ち止まった


    「ねえ ルナ このベンチに去年も座ったの憶えてる?」


    『う〜ん どのベンチに座ったなんて憶えてないよ  
    エミィは細かいことなんでも憶えてるね(苦笑)』


    思い出のベンチに座り…しばらく海を見ていた


    海からの吹く風がふたりの髪を靡かせる
    見上げた空の青さが眩しかった






    ルナが折りたたんだレポート用紙を差し出した


    『エミィ スピーチ文読んだよ うん なかなか上手く書けてたよ』


    『それで 友達の結婚式っていつ?』


    「今月の最終の土曜日よ」


    『…最終の土曜日…』


    ルナは呟きながら目を伏せた




    …どうしたんだろう ルナ


    ニューヨークでのこともリツコさんのことも
    会ったら詳しく話すといっていたのに その話題に触れようとしない
    むしろ避けているような気がした


    遠くに見える遊覧船に視線を泳がせる
    ルナの横顔に思い切って訊いてみた



    「ねぇ ルナ リツコさん もう大丈夫よね?」


    『……あ、うん…』


    ルナは頷きかけた…顔を上げ
    何かを決心したように強い瞳で私を見詰めた



    『エミィ…』



    「……何?…」


    『エミィ…、私ね ニューヨークに行こうって思ってる』



    「えっ…」


    予期せぬルナの言葉に一瞬
    心地よく吹いていた海からの風がやんだ



    「……」


    『向こう(ニューヨーク)でしばらく仕事してみようかって思ってる…』


    私の頭の中でいくつもの?が渦巻いた

    どうして? 
    チャンスはこれからもあるって?
    その話は見送ったんじゃないの?
    それとも…?
    リツコさんとなにかあったの?



    いくつもの?の言葉を束ねて 
    一呼吸した
    そして 冷静にルナに問いかけた



    「詳しく話して…ルナ」



    『帰国する日の朝 NYで活躍する日本人女性ライターに会ったの…。
    短い時間の中 その人の取材に同行してマンハッタンの街を一緒に歩いた
    エネルギッシュに動く世界の中心の街に私の心は揺さぶられたわ
    ”時間は貴女を待ってくれない”と語った その人の瞳にも魅かれた
    そして…夢に向うこと考え直したの それがひとつの理由よ…』


    「ひとつ…の理由?」


    『もうひとつ…理由があるの』



    それはね…と
    空を仰ぎルナは目を閉じた



    閉じた瞼の裏側では
    リツコの父の言葉と
    その夜の出来事を思い出していた





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▲[ 18961 ] / 返信無し
■21028 / 1階層)  【〜Only you〜そばにいて〜A】
□投稿者/ 映美 大御所(270回)-(2008/07/31(Thu) 05:01:53)
    2008/07/31(Thu) 05:08:38 編集(投稿者)




    ルナが再びニューヨークに行くという…


    海の向こうに陽が沈んでいくのが見える
    こんな哀しい気持ちで夕陽を眺めたのははじめてだった


    帰国する前夜 
    リツコの父と食事をしたときにと…ルナは静かに語りだした


    「ルナさん お願いがあります
    こちらに来て仕事をして貰えませんか…」


    「退院しても リツコをあの男のもとへは帰すつもりはない
    私のもとで、一緒にカメラの仕事を手伝わせます

    こんな お願いするのは、
    貴女がこちらでの転職を勧められている話を訊いたからです
    …でなければ こんな無理はいいません。
    リツコは貴女と一緒にアメリカで仕事するのが夢でした…
    ルナさんにとっても夢への一歩なのであれば是非、向ってほしいと私も心から思います
    いや…せめて…リツコの心が落ち着くまででいい、傍にいてやって欲しいんです」


    『……』


    ひとり娘を思う父の縋るような目にどんな返事をすればいいか迷った



    丁度そのときだった
    リツコの父の携帯が鳴った


    その電話はてっきり出版社からの返事だと思ったが…


    「わかりました すぐ行きます」


    短く答え電話を切った 父の表情は曇っていた


    「リツコが病室を無断で抜け出そうとしたらしいです
    タクシーに乗り込もうとしたところを
    探していたナースが見つけ部屋に連れ戻したようです。」







    リツコの父と食事もそこそこに病院に駆けつけた

    病室に入るとリツコはベットで点滴を受けていた

    リツコは父とルナを交互に見詰め よかった…と頷いた


    「ルナ…まだNYにいたんだ ルナ 帰っちゃったのかと思った」


    リツコは潤んだ瞳で…手を伸ばした
    その手をルナはそっと握り締めた


    『リッコ だめじゃない 心配したのよ 一体 どこへ行こうとしてたの?』

    「わからないの…、ここはNYなのに 私ったら日本にいる錯覚に陥ってたみたい
    目が覚めてルナのメッセージ読んだら なぜか自然に体が起き上がってね…気がついたらタクシー乗り場にいたの…」


    サイドテーブルにルナが書いた
    メモのメッセージが開いたままになっていた


    ―リッコへ

    泣きたいときはね 我慢せずに泣けばいいよ

    大丈夫よ
    世界の中心にいるリッコなら幸せなんてすぐに見つけられる

    NYの街をファインダー越しにSTOPさせて
    リッコの撮った世界をたくさん見せてよ

    でも 一番見たいのはリッコの笑顔よ

    お父さんに心配掛けちゃダメだよ

    じゃあ また来るからね

    そのときは NYの観光ガイド よろしくね^^

    ―ルナ



    リツコの瞳からまた大粒の涙が零れ始めた


    「やっぱり…ダメなのよ 私」


    『何がダメなの?』


    「ルナが傍にいないと…私 やっぱり ダメなの
    ねえ…帰らないで ルナ ずっと そばにいてルナ…」

    枕に次々零れる涙をルナは拭った

    『リッコ そんなに泣いたら 涙 無くなっちゃうよ(苦笑)』


    リツコの父はそんな二人の様子をただ黙って後ろで見ていた








    『いま リッコは傷ついてボロボロなの
    一人ぼっちになれば またリッコの心は折れてしまうかもしれない』


    「ねえ ルナ… ルナは私より…リツコさんの方が大事なの?」


    ルナは目を閉じた


    『どちらも大事よ』



    どうしてだろう…
    どこか冷静な自分がいた


    きっと予感していたのかもしれない

    それはルナがNYに行くといった
    あの夜から…

    心がざわざわとなにかわからない不安に駆られて
    ルナの笑顔が消えていく夢を見た


    ”ルナのことをお願いね”
    リツコさんがそう言って瞳を潤ませたあの夜


    ”君の名(ルナ)をずっと呼んでる”と
    リツコの父からの電話にニューヨークに慌ててとんだルナ


    ずっと前から分かっていた


    ルナとリツコさんの深い絆


    それは紛れもない 
    愛であることを…



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■21036 / 1階層)  【〜Only you〜ピロートーク〜B】
□投稿者/ 映美 大御所(271回)-(2008/08/04(Mon) 23:34:33)


    ―ふたりの沈黙がどれくらい続いたのだろう…


    すっかり陽が落ち外灯が点りはじめた公園
    夜景目当てのカップル達が何組もベンチの前を通り過ぎていく


    『暗くなってきたね…そろそろ行こうか エミィ』


    ルナがベンチから腰を上げた


    「どこ行くの…ルナ?」


    『エミィったら 私の部屋に決まってるでしょう…(微笑)あ、そうだ駅前のコンビニでアイスを買って行こうね』


    「……」


    私は、ルナの瞳にぎこちなく微笑み返した。


    ルナは憶えていてくれてたんだ…。
    昨年のこの公園の帰りだった
    はじめてルナの部屋に行く途中 コンビニでアイスを買っていったことを…


    NY行きの話しなどなければ、今頃 ルナの腕に絡まりはしゃいでいただろう


    『エミィ…そんな哀しい顔しないで まだ肝心なこと 話せていないのよ…
    さっ 行こう』


    私の肩をルナは抱きしめた…。




    マンションに着くまで
    ずっと言葉少ないふたりだった…。






    玄関のなかで
    いつものように 互いの唇を探りあい暗闇のなかの長いkiss


    途中 不意にルナが唇を離した


    『そうそう…今日は溶けないようにしなきゃね(微笑)』


    アイスの入ったコンビニ袋をかざし 
    キッチンへと向かうルナの背中に…ずっと、我慢してた感情が弾けた


    「ルナ…イヤよ…」


    ルナの背中に抱きついた

    そのはずみでコンビニ袋が床に落ちた


    『エミィ…どうしたの…』


    「…イヤよ  ルナ…行かないで!」


    「どうしてなの…、どうして…! 離れない 離れたくないって言ってたじゃない
    あれは嘘だったの…」


    堰を切ったように涙が溢れ出した
    ルナの背中を涙の粒が濡らす


    『…エミィ…』


    ルナのかすれた声が背中越しに聞こえた


    『私だって 離れたくないよ  私だって…辛いのよ…。
    どれだけ悩み 苦しんだか…、エミィにはわからないでしょう…』


    廻した私の腕を解き ルナはゆっくり振り返った
    ルナの黒い瞳も涙で濡れていた
     

    「…ルナ」


    両手をとりあい電気もつけずの暗い廊下に
    するするとふたりは座り込んだ




    廊下で泣きながら抱き合い…
    ふたりで這うようにベッドに移動した…。









    「ねぇ…ルナ ルナはリツコさんを愛してるんでしょう?」


    …呼吸が落ち着いた後のピロートークはそんな質問から始まった


    目を閉じたままのルナの唇を指先でなぞる…



    『愛してる…っていったら?』


    「やっぱりって…言うわ…」


    『うん 愛してる…』


    「やっぱり(苦笑)」


    『でもね…、その愛は…エミィを愛する気持ちと違う』


    「わかんないわ…愛してる…は愛してるでしょう…」


    『…』


    『一番の大切な親友として…愛してる…だから幸せになって欲しい』
    私が しばらく一緒にいることでリッコの心の傷跡が癒えて そしてまた幸せを見つけられるならと思った…だから…』


    話し続けるルナの唇を指先で塞いだ…



    もうそれ以上 聞きたくなかった…
    誤魔化さないで
    愛してる…でいいじゃない
    愛の形なんて星の数ほどある
    だから いいじゃない
    でも順位をつけるなら私が一番よね…ルナ

    どんな愛でも私は負けない
    ルナを愛する気持ち 誰にも負けない



    『…ん…』


    ルナが私の指先を掴んだ


    『エミィ…、なにしてんの…最後まで話を聞いて……』


    今度は唇でルナの言葉を塞いだ…


    「ねえ ルナ 連れてって…」



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▲[ 18961 ] / 返信無し
■21082 / 1階層)  【〜Only you〜pale moonの夜〜C】
□投稿者/ 映美 大御所(272回)-(2008/08/21(Thu) 12:12:24)
    「連れて行って…ルナ」


    分かりきってる答えを求めて私はルナの胸に顔を埋めた


    私の母は数年前から難病だとされる病に冒されていた
    無理さえしなければ日常生活は健康な人となんら変わりない
    だが 母と二人暮らしの今の環境では、私が家を出るわけにはいかなかった

    そんな事情はルナに一緒に住もうと言われたあの日に何もかも話していた


    『連れて行きたいよ…。エミィに傍にいて欲しい…。でもね 今はね
    私 以上に傍にいてほしい ううん いてあげなきゃいけないのはお母さんなんだよ…』


    どうにもならない無念の涙がルナの胸の上を流れ落ちる…


    『……』


    ルナは私の背中を抱きしめた


    『エミィ…戻ってくるから』


    「いつ…?」


    『それは…わからない』


    ルナの黒い瞳のなかに涙で歪んだ私が映っていた


    「リツコさんは 幸せね…」


    『どうして?』


    「だって…ルナが傍にいるんだもの」


    『……』


    「リツコさん ルナを愛してるのよ 私は最初から…気づいてた」 


    『エミィ…さっきも言ったけどね…』


    「うん…、分かってる ごめんね…もう言わないわ…」


    ルナの気持ちは痛いほど分かっていた
    夢を捨てきれないこと
    大の親友である傷心のリツコさんをほっておけないこと
    私がルナならばきっと同じ選択をしただろう


    覚悟をしていた…。


    それはルナとの別れのときを…。



    「ルナ…。私 ルナと出会えてほんとに幸せだった
    過ごせた時間は短かかったけど こんなにね 愛してると思えたのはルナがはじめてだった…」


    『エミィったら…そんな過去形で言わないで
    NYにいったって…メールだってできるし 電話でだって話せるじゃない それに…時々日本にも帰ってくるし…』


    私は首を振った


    「ううん…遠く離れて 顔を合わせない時間が長くなれば 気持ちだって離れていく気がするわ…」


    『離れないよ…。 また なんでもマイナスに考える いつものエミィの悪い癖ね(苦笑)』



    「こんな エミはもういらないでしょ…」


    『エミィったら バカね…」


    ルナの寂しげに笑う瞳が哀しかった


    「……」






    やるせないとは
    こんな気持ちなのだろうか…


    時計の針の音だけが響く部屋
    ふたりはただ天井を見詰めていた


    今夜は妙に静かな夜だなと思った…。

    天井から視線を落とし 暗い部屋のなかを見回せば
    ベットサイトの電源オフのままのコンポが目に入った


    (そっか今夜は…BGMが流れていないんだ)


    ルナはいつも部屋に入ると真っ先にコンポの電源を入れBGMを流した
    FMだったりお気に入りのCDをかけたり
    それはAORやR&Bだったり古い洋楽だったり
    二人の時間をまったりと演出してくれる…ルナの選曲が好きだった


    「ルナ 今夜はBGMなしなのね… ねっ、なにかかけてもいい?」


    『いいよ 私もちょっと煙草一本吸おうかな…』


    ふたり同時にベットを下りた



    コンポの電源をオンにしてFMを小さなボリュームで合わせた


    そのままベランダに向かいカーテンを少しひいた


    「今夜はPele moonだね 綺麗に見えるわ」


    蒼く見える今夜の月は立待月だった


    私の声にシガレットケースから抜いた煙草を指に挟んだままルナが横に立った


    『ホントだね…なんだか今夜は 哀しい青に見えるね…。
    ねえ エミィ 憶えてる? あの夜もたしか Pale moon だったこと(微笑)』


    「あの夜って?」


    『ふふっ、洗面所からコロンを手にして…これは誰のって…私を問い詰めた夜だよ」 


    「あ、それは憶えてない だってあの時は月を見る余裕なんかなかったもん(苦笑)」



    ベランダに出てみると
    夜風がふたりの頬を撫ぜた


    「ねぇ ルナ…いつNYに行くの?」


    『今月 最後の土曜日…』


    「最後の土曜……って」


    その日は亜紀子の結婚式だった…。





    月を見上げたままの私の頬にルナの手が触れた


    『エミィ 友達の結婚式でしょう…
    ちょうどよかった エミィに見送られたくなかったから…』


    「2週間後ね…。 ねぇ ルナ どうしてそんなに早く行かなきゃいけないの?」


    『早速 仕事の依頼が来てるのよ…。だから、予定よりも早く行くことになってしまったの…』


    「ルナ…、私…どうしたらいいの」


    『エミィ その日は友人代表でスピーチ頼まれてるんでしょう 
    ちゃんと友達に祝福の言葉を贈ってあげなきゃ…』


    「……」


    涙が伝う私の頬にルナが口づけをした


    『あっ そうだ エミィ…、アイス食べよう(微笑)』


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▲[ 18961 ] / 返信無し
■21101 / 1階層)  【〜Only you〜最後の夜〜D】
□投稿者/ 映美 大御所(273回)-(2008/09/12(Fri) 17:58:24)
    2008/09/12(Fri) 18:00:05 編集(投稿者)





    大きなカップアイスとふたつのスプーン


    『はい どうぞ エミさん(笑)』

    ルナがふざけてスプーンにのせたアイスを私の口元に運ぶ
    そのアイスの甘い冷たさは胸までジーンと凍みた


    『そういえば、いつかエミィに貸し出した文庫本 読んだ?』

    「うん 返却期日は無期限のあの本ね(苦笑)」

    『じゃあ エミィに質問(笑)その本の147頁の最後の行に書かれていた台詞は?』

    「147ページ?台詞?え〜そんなの憶えてないわよ」

    『だめだな〜あの台詞が重要なんじゃない
     ちゃんとストーリー理解できてる?(微笑)』

    「勿論よ 大好きな作品だもん 147ページね 確認しておくわ」



    窓に映る pale moonを眺めた…
    こんな他愛ない時間をふたりで過ごせるのもあと数時間


    壁時計の針を見詰めるルナの黒い瞳が潤んだ


    『もうこんな時間だね そろそろ帰らなきゃだね エミィ』

    「…帰りたくない ルナ」

    『だめでしょ 明日 仕事でしょう』

    「…寝坊しましたって堂々と遅刻していくわ…」

    『ダメよ エミィ(苦笑)私は遅刻できないんだからね
    煙草一本吸ったら 駅まで送っていくわ…』


    『来週の週末は仕事だし もうNYにいくまではエミィに会う日がないね』


    「うん…わかってる わがまま言わない ルナ…私は平気だからね」


    『エミィ…、そんな顔しないで なんだか一生の別れみたいじゃない』


    「うん そうだね…」


    私は、ぎこちなく微笑んだ…




    BGMのチャンネルを切り替え煙草を指に挟みライターを弾く

    そんなスマートに動くルナの指先を見るのが好きだった


    「ねえ ルナ そのライター欲しいな…」


    『ん…ライターを…? エミィは煙草吸わないでしょう?』


    「うん 吸わない だけど…欲しいの…」


    『吸わないけど?…(笑)意味 わかんないけど…まあいいわ』


    スリムなブルーのライターを どうぞ…とルナは私の掌にのせた


    ルナの真似をしてぎこちなくライターを弾いてみた
    小さな青い炎が縦に長くオレンジ色に伸びて揺らぐ…


    「寂しいとき こうしてライター点けて…火を見詰めるわ…」


    『エミィったら…ライターの火は見詰める為につけるんじゃないのよ(笑)』



    私は、壊れそうな胸を押さえて
    もう一度ライターを弾いて
    揺らぐオレンジの炎を見詰めた


    「ねぇ…ルナ 私の事 忘れないでね…」


    『…』



    『忘れるわけないじゃない…(微笑)』


    ルナの寂しい横顔を青い月が照らした…


    そして
    この夜がルナと過ごした最後の夜だった








    二週間後…


    快晴の空が清々しい 6月の最後の土曜日

    この日はルナがニューヨークに旅経つ日
    そして親友 亜紀子の結婚式だった

    私は亜紀子の結婚式に向かった…
    見送りにはこないでいいからと…ルナに何度も釘をさされた



    …ルナ
    ちゃんと友人代表でスピーチして亜紀子を笑顔で祝福するからね

    外に出たら空を見上げるね…
    飛行機雲がもし見えたら いってらっしゃいって心のなか 手を振って見送るね





    新婦の控え室を覗いた

    「あっ エミ〜」

    鏡に映った 私に気づいた亜紀子が
    ウエディングドレスのまま 駆け寄ってくる


    『亜紀子 キレイね』

    「ありがとう〜♪」

    頬を両手で包みはにかむ亜紀子は幸せに満ち溢れていた


    「私のブーケ エミがキャッチしてね〜」

    『あ、うん…』

    ちょっと躊躇いがちな返事の私


    亜紀子が…私の腕をとり耳打ちした

    「そうそう トオルくんも来てるからね エミ〜♪」

    えっ…トオルさんが? 一瞬 何故 亜紀子の結婚式にと思ったが
    新郎シンジの顔が浮かび納得した
    トオルは新郎の友人 当然 招待されてておかしくないはずだった

    「二次会の席ふたりは隣同士だからね〜」

    亜紀子がにっこり笑った

    『もう 亜紀子ったら…(苦笑)あのね 私はトオルさんとは…』

    …言いかけたとき

    式場のスタッフが
    そろそろ ご準備よろしいですかと声を掛けにきた





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▲[ 18961 ] / 返信無し
■21116 / 1階層)  【〜Only you〜only love you〜E】
□投稿者/ 映美 大御所(274回)-(2008/09/21(Sun) 03:56:03)

    「エミ〜にむかってブーケ投げるからね〜♪」


    ここの式場では披露宴が終わって最後にブーケトスをするという
    ブーケを掲げ控え室を出る亜紀子に私は笑顔で頷いた


    では、新婦の友人 エミさんから祝福のお言葉をどうぞ
    司会者の人にマイクを渡され 手が震えた


    …エミィ 頑張って
    どこからかルナの声が聞えた気がした


    雛壇では泣き虫な亜紀子がすでにハンカチを手にしていた
    (…亜紀子ったら余計緊張しちゃうじゃない)


    深呼吸をして会場をぐるり見渡すと新郎側のテーブル席にトオルの姿が目に入った
    新婦側には同僚だったあゆみ夫婦の姿も見えた


    胸に手をあててもう一度…深呼吸した 
    (…ルナ 頑張るね)


    時々 詰まりそうになる胸を抑えながら
    亜紀子へのおめでとうのスピーチを私は無事終えた





    会場の外に出ると青い空が眩しかった


    おめでとうの拍手と歓声を浴びながら
    幸せに満ちた笑顔の亜紀子がブーケを手に階段を下りてくる


    私の姿をちらりと確認してから亜紀子が後ろを向いた


    「じゃあ 投げま〜す」


    ブーケが高々と空にむかって飛んだとき


    …ひこうき雲だねと誰かの声がした


    ブーケから目を離し西の空を見上げた


    青い空に白い直線がキレイに伸びている

    (ルナ…)


    目の前でバサッと音がし
    同時に”やった〜キャッチしちゃった〜♪”と嬌声が響いた


    ハッとして視線を戻すと目の前ではブーケを手に喜ぶ女性
    その女性の頭越しに残念そうな顔の亜紀子と目が合った

    心の中で呟いた
    …わたしは結婚はできない ううん しないからいいのよ 亜紀子


    もう一度 空のひこうき雲を眺めた時だった


    目の前の道路からクラクションが響いた


    「エミさん〜」


    紺色のステーションワゴンがとまり運転席からトオルが私の名を呼んだ


    「えっ トオルさん?」


    思わず 亜紀子達のほうにふりかえった


    新郎シンジが新婦の亜紀子になにやら耳打ちをした
    亜紀子が大きく頷き そして私に手を振り微笑んだ


    「エミ〜 二次会はいいから いってらっしゃい♪」


    いってらっしゃいって…なに?どういうことなんだろう


    訳がわからずトオルの車に近づくと、さぁ早く乗って…と助手席に促された


    「どこいくの?トオルさん?」

    「空港だよ」

    「空港?」

    「ルナさん ニューヨークにいくんだよね」

    「どうして そのことを?」

    「マユから聞いたんだ 昨日 ルナさんに用があって電話したらしい 
    それで知ったって 急なことでマユも驚いたらしいよ」

    「トオルさん…私 見送りは行かない…」

    「いまから急げばまだ間に合うよ」

    「ううん いいの 余計に辛くなるから…」

    車に背を向け歩き出した時 トオルが運転席のドアを開け下りてきた

    「ニューヨークは遠いよ…。あとで後悔するほうがもっと辛いよ
    エミさん…ルナさんはきっと待ってると思うよ」


    その言葉に私は助手席に素直に乗り込んだ



    ハイウエイを走らせるトオルの横顔に訊いた

    「マユさんは 見送りにいってるの?」

    「ううん こなくてもいいって断られたって(苦笑)」

    「トオルさん どうして こんなおせっかいな役するの?」

    「う〜ん エミさんがずっと 式の間中 寂しそうな顔してたからさ
    ほんとなら 2次会で誘惑できるチャンスだったかもしれないのにな〜(笑)」

    冗談だよと照れ笑いをする横顔にトオルの優しい人柄が窺えた



    エアポートターミナルの停車場に降り立つとトオルが車をターンさせた


    「じゃあ 僕は帰るね エミさん 急がなきゃだよ」


    「ありがとう トオルさん」


    私は、早足で 国際線に向った…





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▲[ 18961 ] / ▼[ 21145 ] ▼[ 21140 ]
■21139 / 1階層)  【〜Only you〜あなただけ愛してる〜fin〜エピローグ【epilogue】】
□投稿者/ 映美 大御所(275回)-(2008/09/26(Fri) 01:56:13)
    2009/02/07(Sat) 01:36:17 編集(投稿者)




    行き交う旅人達 送迎の人々…
    ざわめきに重なりアナウンスが響くフロア

    電光掲示板が発着時間をパタパタと回転させていく
    わたしはNEW YORK の文字とゲートを探し出発ロビーに急いだ

    式が終わって…急げば間に合うことは分かっていた

    ひこうき雲に手を振ったって…ルナが気づくわけないじゃない

    式の間 ずっと時計ばかり見て
    泣きたくなるのをずっと抑えていたくせに

    私ったら…何 意地張っていたんだろう

    トオルさん おせっかいに感謝するね
    でなきゃ 私…一生後悔したかもしれない



    『見送りにこなくていいからね…』

     
    いつも冷静でクールなルナ
    センチメンタルな別れはお断りなんていってたけど
    わかってる 本当は私なんかよりもっと辛いんだってこと
    わかってる 本当は涙を見せたくないんだってこと


    でもね…やっぱり 伝えたいの
    文庫本をバックから取り出し握りしめた

    (じゃあ…エミィに質問?147頁の最後の行に書いてた台詞は?(笑))

    ルナ…答えはね 私もあなたに一番 伝えたい台詞だった



    ふたりを結びつけた赤い糸は…この本だった

    一年前の雨の日の出逢いを思い出していた
    好きな作家の本棚で この本に同時に手を伸ばして…触れた互いの手
    あの瞬間 私達は恋に落ちたんだよね


    慣れないヒールが急ぐ足にもどかしい
    時々 つまずきながら 広いフロアのなかを…ルナの姿を探した 


    エスカレーターを上り ルナに似た後姿の女性を追う
    早足で追い越し 人違いに落胆しながら…


    いろんな場面が頭の中 フラッシュバックする


    ルナと過した時間 交わした会話たち
    たくさんの愛の言葉 全部 この耳が憶えてる

    私だけを見詰めてくれた黒い瞳

    ルナの瞳のなかに映る私は
    泣いて笑って拗ねて…

    私にあわてんぼと笑う
    その笑顔が大好きだった

    涙を拭ってくれた指先も…
    髪を掬ってくれた手も…
    抱きしめてくれた腕も…
    そして 身体のぬくもりも…

    全部 全部…憶えてる


    ルナ…異国の地で目指した夢を叶えてね 

    そして
    ルナの大切な親友
    リツコさんの心の傷を癒してあげて…






    出発ロビーを見回したときだった
    搭乗ゲートに向うルナの背中が見えた


    …ルナ


    「ルナ!」


    駆け寄る私の声にルナが立ち止まった


    『エミィ…』


    「間に合ってよかった…」


    慣れないヒールで急いだ足が痛くて思わずよろけた
    華やかなパーティドレスに胸にコサージュ
    こんな別れのシーンにはミスマッチな私の姿にルナの黒い瞳が潤んだ

    『エミィったら こなくってもいいっていったのに…(微笑)』





    搭乗案内のアナウンスが流れるなか私たちは向かい合った


    「ルナ いってらっしゃい…遠く離れてても…ずっと見守ってるから」


    『ありがとう…エミィ』


    私は涙を堪えてまっすぐルナを見詰めた


    「ルナ 伝えたいことがあるの…」


    手にした文庫本を見てルナが頷いた


    「ルナの質問の答え 147頁の最後の台詞 それは私が一番伝えたい台詞だった…」


    「〜Only you〜…あなただけ…
     あなただけを愛してる。ルナ…愛してる」


    返さなきゃと…閉じた文庫本をルナに差し出したとき 
    ずっと堪えていた涙が溢れ出した


    『エミィ 返却無期限って 言ったでしょう(微笑)』


    文庫本を持ったままの私の手を引きよせ
    ルナはやさしくhugをした


    『…エミィ…私も…』


    ルナの瞳のなか 私だけが映っていた。


    『〜Only You〜 エミィだけを愛してる…』
     

         
                     〜fin〜




     〜エピローグ【epilogue】〜



    異国へ向う翼が飛び立つ

    ぼんやりとデッキから
    その翼が遠くに消えていくのを見送った


    返却無期限の文庫本を胸にあて
    ルナの温もりがまだ残る手を重ねた


    ねぇ ルナ 待ってるね

    手をとりあって
    また同じ道歩ける日


    信じてる…


    〜あなただけ愛してる〜












[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 21139 ] / 返信無し
■21145 / 2階層)  映美さんへ
□投稿者/ 咲 一般♪(1回)-(2008/09/29(Mon) 13:25:19)
    映美さん はじめまして☆完結 お疲れさまでした実は、コメントは最後にして初めてですが、ずっと読ませていただいてました!ルナとエミのおとなの恋のお話が好きでした。最後が切なかったです〜(゜ーÅ)あっ!映美さんのサイトを早速訪問しました。とってもキレイなサイトですね〃^_^〃では。次の作品楽しみに待っています☆これからも応援してます〜!

    (携帯)
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 21139 ] / 返信無し
■21140 / 2階層)  こんにちは^▽^
□投稿者/ レオ 一般♪(1回)-(2008/09/26(Fri) 15:46:54)
    映美さん☆

    完結おめでとうございます!
    そして、お疲れさまでしたm(_v_)m

    昨年の5月に映美さんの作品に出会ってから
    かかさず拝見させてもらってました♪

    終わってしまったのは、何だか〜寂しいですけど…(笑
    でも、ホントに大好きな作品でした
    ステキな最終回をありがとうございます ☆,°・ ‥


    次回作、楽しみにしております
    また、あの星の場所でお会いしましょうね(^∀^/
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■21141 / 1階層)  筆者より^^〜あとがき〜
□投稿者/ 映美 大御所(276回)-(2008/09/26(Fri) 16:41:37)
    〜あとがき〜


    読者の皆様へ

    『ルナ&エミ』やっとといえばいいのでしょうか…
    完結いたしました^^

    長い間…拙い物語にお付き合いして頂き本当に有難うございましたm(__)m

    寂しい夜…ふっと思い立って書き始めたのがちょうど2年前の9月です
    ちょうど2年ですね…。

    ホントにのろのろ更新でしたが 振り返ると2年ってほんとに早かったです。
    PartT〜Vの3つのツリー眺めていると改めて感慨深いものがあります

    『ルナエミ』と過したこの2年間
    私生活でも、まるで物語のような出会い・そして別れもありました…
    そんなこともあり途中でもう書けない、書かないと…何度も立ち止まりました。

    そんななか 私に書く糧をくれたのはここで見守ってくださった皆様
    温かいコメントや励ましのお言葉の数々でした…。
    だからこうして最後まで書き綴ることができました
    本当に感謝いたします 有難うございましたm(__)m


    この物語はStoryこそ創作ですが…
    自らの恋愛を元に書いています
    ですので各シーン・会話には実話も多々入っています^^

    勿論 主人公のルナ…そしてミサオも実在します^^
    いまは本当に 遠い場所にいる彼女達ですが…
    私が愛して…そして私を愛してくれた 素敵な彼女達です。

    『ルナエミ』が完結したら…この場所は卒業しようって思っていました。
    ですからもう卒業です^^

    今までの 私の作品をまとめたサイトを作っています
    よろしかったらお越し下さい^^

    http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=lovehug
    http://id45.fm-p.jp/7/lovehug/

    (BOOKを2箇所からお借りしてるのでTOPが2つあります)
    どちらも同じ内容です

    私には書き途中の物語がいくつかあります。
    今後は自サイトで書き綴っていくつもりです。
    そして 落ち着いたら…
    『ルナ&エミ』の続きをまた書こうかなって思っています

    こんどは、大ドンデン返しでって構想もちょっと浮かんでいます^^


    『ルナ&エミ』にコメントくださった皆様

    読者第1号の昴さん^^
    一番たくさん コメント&ご感想頂きました^^
    いつもどんなときも 支えてくださり そして見守って下さいましたね。
    とても感謝しています 本当に有難うございました^^

    レオさん^^
    流れ星が見えるあの秘密の場所まで探しあてて^^コメントたくさん頂きましたね。
    自分の恋に重なりせつないと…、いつも同感して下さいましたね
    お言葉がいつも励みになりました  本当に有難うございました^^


    百歌咲蘭さん 
    mさん 
    優さん
    ヤスさん
    優美さん
    都さん
    AN-樹さん
    蘭さん
    ジゼルさん
    Mさん
    ジュンさん
    おおさん

    想いが溢れて 言葉書ききれないけど…
    皆様に出会えたこと本当に嬉しく思っています^^


    そして最後に…

    管理人様
    長い間 場所をお借りさせて頂きました
    ありがとうございましたm(__)m



      映美


完結!
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■21142 / 1階層)  完結おめでとうございます
□投稿者/ 昴 一般♪(1回)-(2008/09/27(Sat) 01:51:56)

    2年間の執筆お疲れ様でした

    完結おめでとうございます


    昴の「はじめまして?」で始まった
    映美さんとの感想のやり取りを楽しかったなぁって思い出します

    昴の体調が悪い時には心配して頂きましたね


    ルナとエミの二人の行く末が気になるラストでしたが
    あとは読者夫々の心中で
    思い思いのストーリーを進めて行きましょう


    素敵のエッセイの中で
    大人のお話を書いて下さった貴重な映美さんも卒業されるのですね


    ご卒業おめでとうございます


    いつかどこかで新しい作品に出会える日を楽しみにしています




    (携帯)
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■21147 / 1階層)  ありがとうございます^^
□投稿者/ 映美 大御所(277回)-(2008/10/03(Fri) 19:25:25)

    ★レオさん^^

    早速の 完結のお祝いコメントを頂きましてありがとうございます。

    私自身も『ルナとエミ』が本当に遠くに旅立ってしまったようで
    いまも寂しい気持でいっぱいです^^;

    レオさん 大好きな作品だなんて…とても感激しています^^
    そんな風に言われちゃうと 続きを書きたくなります
    今はすぐには無理ですが…いつかまた^^
     
    長い間 拙い物語とそして筆者を
    見守ってくださって有難うございましたm(__)m

    はい また☆〜星の輝く場所でお待ちしていますね^^





    ★昴さん^^

    読者第一号の昴さん
    ここでは昴さんは大先輩なのに
    私にとっては 同期生^^そんな存在でもありました
    2年前から時期も同じく小説更新も互いに頑張っていましたね

    どちらが先に完結するでしょうか?のコメントのやりとりも
    今となっては懐かしく思い出されます^^

    最初から『ルナエミ』を欠かさず読んで頂き…
    そして 最後まで見守っていただいた昴さんにはとても感謝していますm(__)m

    またHPにも伺いますね
    昴さんの作品も楽しみにしています^^

    2年間 本当にありがとうございましたm(__)m






    ★咲さん^^


    はじめまして 咲さん^^

    ずっと 読んでいただいてくださったんですね
    とても嬉しいです^^
    そして サイトにもお越し頂いたそうで…^^
    ありがとうございます^^

    これからも切ない大人の恋をマイペースで描いていくつもりです 
    また お付き合いいただければ嬉しいです^^

    咲さん 最後にして温かいコメント
    本当にありがとうございましたm(__)m



    映美

完結!
[ 親 18961 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 18961 ] / 返信無し
■21525 / 1階層)  男性人形
□投稿者/ 好恵 一般♪(2回)-(2012/05/17(Thu) 10:51:12)
http://sns.fgn.asia/
    街中で振り返ってしまう様なカワイイ子が貴方を待っています(*´д`)ノ☆ http://www.fgn.asia/

    (携帯)
完結!
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