ビアンエッセイ♪

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Nomal NO TITLE /浅黄 (09/03/09(Mon) 23:16) #21278
Nomal 入学での出会い /浅黄 (09/03/10(Tue) 22:06) #21280
  └Nomal 新しいクラス /とろろ (09/03/12(Thu) 16:26) #21288
    ├Nomal ★お詫び★ /とろろ (09/03/12(Thu) 21:59) #21289
    │└Nomal いいですね /塊 (09/03/13(Fri) 00:57) #21290
    │  └Nomal ★塊様へ★ /とろろ (09/03/13(Fri) 16:51) #21292
    └Nomal 恋事情 /とろろ (09/03/13(Fri) 17:50) #21293
      └Nomal 私の出会い /とろろ (09/03/14(Sat) 18:05) #21294
        └Nomal Re[5]: 私の出会い /さき (09/03/15(Sun) 03:20) #21296
          ├Nomal 知ってしまった真実 /とろろ (09/03/15(Sun) 23:17) #21297
          │└Nomal 帰り道T /とろろ (09/03/16(Mon) 15:10) #21300
          │  └Nomal 帰り道U /とろろ (09/03/18(Wed) 15:06) #21304
          │    └Nomal ライバル宣言 /とろろ (09/03/20(Fri) 23:10) #21312
          └Nomal ★さき様へ★ /とろろ (09/03/16(Mon) 14:19) #21299


親記事 / ▼[ 21280 ]
■21278 / 親階層)  NO TITLE
□投稿者/ 浅黄 一般♪(1回)-(2009/03/09(Mon) 23:16:02)
    桜並木が並んで、道行く人の頭にピンクの花びらを振り掛ける。

    空は青く澄んだ晴天、数少ない白い雲がうっすらと浮かんでいる。












    黒いブレザーの下に白いブラウスと、真新しい赤いネクタイ。
    赤のチェック柄の膝丈スカートに、黒いワンポイントのハイソックス。
    肩には黒い皮製のスクバを掛けて、茶色いローファーが地面を踏みしめる。


    私・・・藤原夏衣、17歳。
    ついに、ついに念願の高校1年生になりました!
    大して頭の良くなかった私が、一生懸命1年間頑張って勉強して受かった高校。
    自宅からも近いし、何より・・・・・




    中学のときのみんなの憧れの先輩、明日河先輩がいる高校なのです☆
    といっても、私は高1で、先輩は高3・・・1年しか一緒にいられません(泣)


    明日河瑞希先輩。黒いショートヘアに凛々しい顔立ちのカッコイイ美形の先輩。
    剣道部に所属してて、剣道をしている姿は憧れの的。
    みんな先輩に憧れて剣道部に入部したし、近づこうと頑張った。
    だけど・・・・一匹狼な先輩に唯一近づけたのは、仲の良かった同い年の先輩、足立由美先輩だけ。


    足立先輩も可愛らしい先輩で、明日河先輩とは対照的なのが鮮明に記憶に蘇る。







    ・・・・とまぁ、妄想はここまで!


    今日から入学するこの学校で、私は頑張ってみせると決心を固めた。













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▲[ 21278 ] / ▼[ 21288 ]
■21280 / 1階層)  入学での出会い
□投稿者/ 浅黄 一般♪(2回)-(2009/03/10(Tue) 22:06:00)
    広くて少し冷たい体育館に何列も綺麗に並べられた、ちょっと古いパイプ椅子。


    生徒玄関で受付を済ませ、案内の中年の女教師に導かれて入った入学式の会場である、体育館。
    もう既に何人も着席していて、喋ったり、俯いたりしていた。

    受付の色気のある先輩に教えてもらった私の席・・・・1番後ろの右側。
    隣の席には、私と同じ学年になる女の子が座っていた。
    膝の上で手を組み、じっと力強く、堂々と前を見つめていた。気が強いんだろうか。


    腰まである茶色っぽいストレートヘアに、凛とした切れ長の瞳が印象的。
    背は高い方だと思う、足はきちんとそろえられていた。




    私が少し戸惑いながらも自分の席に着くと、ちらりとこちらに視線を移した。
    その瞳に少しドキンと胸が高鳴る。すごく美人な横顔だった。




    「ぁは・・・・・・こんにちは・・・・・・?」


    間抜けな声で頭の後ろに右手をやって、照れつつも挨拶をしてみたけど・・・。
    ハァ?って感じの顔で見られちゃった(泣)


    「・・・・・・どうも」


    無視かと思いきや、高めの声で一言言って、ペコリと軽く頭を下げる。
    つられて私も深く頭を下げてしまう。


    「変わった人・・・・クス・・・・」


    しかも笑われた!!(泣)
    でもそんな微笑んだ顔もこれまた綺麗・・・・・。










                         *










    入学式が終わり、次は自分たちの教室へ向かった。
    私は・・・1年5組。結構生徒が多い学校なのか、6組まであって驚いた。


    教室へ入ると、黒板に書いてある名前を頼りに、自分の高校生活初めての席を探す。


    すると、ラッキーなことに後ろから2番目の窓際の席☆
    そこからグランドが見渡せる。


    周りの席はみんな女の子で、友達が早く出来そう・・・・・かな?


    前の席の子は平塚美幸ちゃん。ちっちゃくて少しくせっ毛の髪が可愛らしい。
    瞳も丸くて大きい。お人形さんみたいな子。


    後ろの席の子は木下安奈ちゃん。首元までのツインテールで、垂れ目が優しい印象を与える。ほんわかしたオーラかな。


    斜め後ろの席の子は鈴宮未来ちゃん。黒縁眼鏡の知的美人。胸元のセミロングの毛先は緩く巻いてある。


    横の席の子は・・・・・・さっき挨拶して笑われた子の、清水瑠貴ちゃん。
    座ってきた時に目が合って、軽くペコリ。





















    その日は、担任教師の女教師、伊達桃香先生というショートカットの先生の話と、教科書配布で終わって帰った。

[ 親 21278 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 21280 ] / ▼[ 21289 ] ▼[ 21293 ]
■21288 / 2階層)  新しいクラス
□投稿者/ とろろ 一般♪(2回)-(2009/03/12(Thu) 16:26:35)
    あれから2週間がたった。
    大分学校にも慣れて、授業も始まったし、新しい友達も出来た。

    私の席の周りにいる3人とは、入学式の次の日に友達になっている。
    ・・・っていっても、みんな私が勝手に話しかけたんだけどね(汗)
    引かれるかなって思ったけど、何とか大丈夫だったみたい・・・・・うん。





    「なっちゃん♬おべんと食べよ!」


    お昼休憩。4限目の終わりを知らせるチャイムが鳴って、挨拶が済んだ途端に声をかけてくれるのは安奈。
    彼女は外見とは異なり、明るくて元気で、そしてよく食べる。

    「いいよ?食べよー」


    4人で机をくっつけて、それぞれのお弁当を広げる。
    でもいっつも未来はコンビニか購買のお弁当。お父さんもお母さんもお医者さんで、2人とも忙しいんだって。



    『いただきます♬』



    いつものように、4人で手を合わせて挨拶をしてから食べ始める。
    そして、他愛ない話をしながら過ごしている。



    「あ、そうだ。みんなに相談があるんだけど、いい?」


    みんなで先生の話をしていると、卵焼きを食べながら美幸が切り出す。
    美幸の悩み・・・・?悩みなんてなさそうなのに。

    でも美幸の相談を聞いてみる事に。




    「あのね・・・高2に春日舞先輩っているでしょ?」


    「あー、あの生徒会の会計の人ね?別名『秋桜』でしょ」


    高2にお姉ちゃんがいるという瑠貴が言った。




    この学校の生徒会のメンバーには昔から、花の名前から取った別名が付けられるという伝統がある。
    その名前は前年の生徒会メンバーがそれぞれの仕事を引き継ぐ時に、それぞれ与えてくれる。
    ここは生徒会のメンバーは指名制で、成績や容姿、性格で判断され、拒否権は無い。
    その為、生徒会に憧れる人は多く、また色んな権限を持てるので人気だ。それに、メンバー自体人気がある。
    中にはファンクラブや親衛隊がある人もいるという噂。


    今、美幸の言っている春日先輩の別名は『秋桜(コスモス)』。会計をしている。
    コスモスのように可憐で儚く、という容姿から付けられたという。
    私も1回廊下で見たことがあったけど、細かい髪の漆黒の波がとても綺麗。
    目は切れ目で、凛としてた。


    「で?その先輩がどうかしたの?」


    未来がクールな顔で、でも少し心配そうに聞いた。









    「私・・・・・・告白されちゃった」










    「「「・・・・・・えぇ!?」」」」







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▲[ 21288 ] / ▼[ 21290 ]
■21289 / 3階層)  ★お詫び★
□投稿者/ とろろ 一般♪(3回)-(2009/03/12(Thu) 21:59:41)
    『♪』の表示が、『♬』となってしまいました。

    本来『♪』を使用すればよいのですが、別のものにしたところ、こうなりました。
    読みづらくてすみません。




    とろろ
[ 親 21278 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 21289 ] / ▼[ 21292 ]
■21290 / 4階層)  いいですね
□投稿者/ 塊 一般♪(1回)-(2009/03/13(Fri) 00:57:04)
    これ、かなり良いです
    がんばって下さい。
    応援してます。
[ 親 21278 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 21290 ] / 返信無し
■21292 / 5階層)  ★塊様へ★
□投稿者/ とろろ 一般♪(4回)-(2009/03/13(Fri) 16:51:00)
    塊様へ


    激励、どうもありがとうございます☆作者のとろろと申します。
    初めて、こういうたくさんの方々に私の小説を読んで頂ける場に書かせて頂き、
    正直・・・緊張と不安でいっぱいで書いていました。

    でも塊様が良い、だけではなく『かなり』まで付けて下さって嬉しいです。
    これからも頑張って彼女たちの学校生活やら恋愛やら書いていこうと思いますので、温かい目で見守ってやって下さいませ。



    とろろ


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▲[ 21288 ] / ▼[ 21294 ]
■21293 / 3階層)  恋事情
□投稿者/ とろろ 一般♪(6回)-(2009/03/13(Fri) 17:50:48)
    美幸が私達に説明してくれた話をまとめると・・・・・。




    1週間ほど前のLHRに、各委員会のメンバーを決めた時のこと。
    私は風紀委員会がよくって、風紀委員に立候補したらたまたまそのままなれちゃって。


    安奈は美化委員会、未来と瑠貴は図書委員会にそれぞれなった。
    そして、美幸はと言うと・・・・保健委員会になっていた。


    その日の放課後、美幸が入った保健委員会は早速、保健室に集まった。

    その時に春日先輩もいたらしくって、意外と美幸とは気が合ったようだ。
    お互いの携帯のメルアドを交換して、それからメールや電話をしていたらしい。
    そして昨日の放課後に、「一目惚れだった、付き合って欲しい」と告白されたんだとか。・・・スゴイ。






    少女マンガみたいな話だけど、美幸はそういう経緯があって告白された。
    しかも・・・みんなの憧れの的、生徒会の春日先輩から。
    春日先輩なら、男女問わずに告白されるだろうに、春日先輩は美幸に一目惚れ!


    どれほど美幸が魅力があるのか、何だか思い知らされた(気がする)
    だって一目惚れって・・・そう簡単には出来ないよ?美幸。



    で、これまた春日先輩もいい人で、返事は1週間待ってくれるらしい。
    春日先輩曰く、勢いや雰囲気で告白をOKして欲しくないし、よく考えて欲しいかららしい。
    まあこの学校にはビアンやホモ、バイの子が多いって聞くし・・・不思議じゃあないかも。




    「んー・・・・だってさあ、春日先輩は美幸に『一目惚れ』。じゃあよくは知らないんじゃない?」


    まず初めに口を開いたのは、瑠貴。
    彼女の言っている事は、確かに間違ってはいないと思う。


    「でも、春日先輩は私の事よく知っていきたいって・・・言ってくれて」


    美幸が何故か強く言い返した。


    「だとしてもよ、美幸。付き合わなくても知っていけるわ?」


    コンビニのパンを食べ終わった未来が落ち着いた様子で、コンビニの袋にゴミを片付け始める。
    未来の言っている事も確かだ・・・・よね。
    友達からでも知ってはいけると私も思うし・・・・・。


    「まあ、美幸が好きだとか思ってるなら付き合っちゃえば?」


    軽く受け流すように言っているのは、パックのミルクティーにささっているストローを咥えている安奈。
    まあ安奈の言っている事が1番正しい。私も続いて「そうだよね」と頷く。


    「そっか・・・・ありがと。後は自分で考えてみるね?」


    美幸はそういって微笑むと、最後のご飯を口へ運んだ。





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▲[ 21293 ] / ▼[ 21296 ]
■21294 / 4階層)  私の出会い
□投稿者/ とろろ 一般♪(7回)-(2009/03/14(Sat) 18:05:11)
    かれこれ、あの衝撃的な美幸の相談から1ヶ月が過ぎた。
    結局、美幸は春日先輩の告白を承諾して、めでたく付き合っている。
    今じゃあ正直ウザイくらいのバカップルぶりで、2人はもともと合っていたんだなと思う。




    そういえば、青春時代の最高の(?)思い出になるであろう・・・・部活!
    何週間か前から、1年も部活が始まっている。
    私は剣道部。中学でもやってたし、明日河先輩に出会えるかも!って始めた。

    ちなみに美幸は、春日先輩と同じ演劇部。
    安奈は中学でもやっていたという吹奏楽部で、サックスに挑戦。
    未来はバドミントン部で頑張るらしい。
    瑠貴は運動神経がいいからと自分で言って、陸上部。

    それぞれ充実した毎日の放課後を送っている。







    剣道部は、とてもいい雰囲気だし、先輩も顔も性格もいい人ばかり。
    結構いい部活だなって思ったのも入部のきっかけ。



    「ぷはー!」



    真新しい制服を脱ぎ、いろいろと重たい胴着や何かを身につける。
    竹刀を持てば、身が引き締まる思いだ。シャキッとする。

    部室を出て、あの入学式があった体育館へ行くと、1年の人が用意をしている。
    先輩はまだ来ていない。


    実は、剣道部に入ったはいいものの、1度も明日河先輩には出会えていない。
    違う部活にしているのかもしれないけど・・・・・。
    毎日期待は懲りずにするけど、やっぱりそれでも来てないな・・・・今日も。


    「ちょっとー、夏衣!遅いよっ!」


    そう考え事をしていた私を呼んだのは、2年の村田美優先輩。
    上の方で結んでいるちょっと短い黒髪が可愛いし、綺麗な先輩で、剣道も強い。
    結構剣道部のマドンナ的存在かも。


    「すみません・・・・・・ってあれ・・・・・・」


    村田先輩の下へ走って行った私が、先輩の背後の体育館のステージの上に視線を向ける。



    茶髪に染めて、黒のメッシュを入れてあるショートカット。前髪が長い。

    きりっとした黒い澄んだ目。

    透き通るように白い肌に、崩して着ている制服。

    細い身体で長い足を組んで、こっちを見ているのは・・・・・・。





    「明日河・・・・・先輩」





    「え?知り合い?高3の明日河瑞希先輩。超カッコイイよね♪」





    髪の毛染めてるけど、髪型変わってないし、顔も変わってない。
    ・・・っていうか、先輩高3だから部活来ないの当たり前だったー!!!(泣)





    私があたふたしていると、ステージから下りた明日河先輩が、こっちへゆっくりと歩いてくる。


    「君・・・・中学の時にも剣道してたよね?藤原さん、だっけ?」


    名前、覚えててくれたんですか、明日河先輩。


    「美優から今日は絶対来て下さい!って必死に言われて、仕方なく来たけど。君もココに入学したんだ?」


    「はい・・・家から近いし」


    やっと、この一言が出た。嬉しすぎて喉が引きつって声が出ない。



    「ゆっくり話したいけどごめんね、僕は用事があるんだ。また会えたらいいね?・・・夏衣」




    「は・・・はい!!!」



    顔を明日河先輩のカッコよさに真っ赤にした田村先輩の横で、私も真っ赤になって答える。

    だって、呼び捨てされたんだもん・・・心臓がバクバクと五月蝿い。黙って欲しい。
    目もチカチカするし、身体中震える。
    顔に一気に血液やら熱やらが集中したのが分かる。





    そういって、体育館中の視線を独り占めしてから明日河先輩は去った。





    「え!?夏衣ってば中学一緒!?いいなあー!!!」


    「それに部活も一緒でしたよ?剣道部でしたしね」


    「そーなんだあ・・・・カッコイイよね!去年生徒会の副会長やってたんだよー、ファンクラブもあるんだって」



    唯一ファンクラブがある生徒がいるって聞いた事があった。
    学校創立以来、初めてのことで、創立以来の人気っぷり。


    それって・・・明日河先輩だったんだ!!!!




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▲[ 21294 ] / ▼[ 21297 ] ▼[ 21299 ]
■21296 / 5階層)  Re[5]: 私の出会い
□投稿者/ さき 一般♪(1回)-(2009/03/15(Sun) 03:20:46)
    2009/03/15(Sun) 03:51:34 編集(管理者)

    続きがきになります♪
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▲[ 21296 ] / ▼[ 21300 ]
■21297 / 6階層)  知ってしまった真実
□投稿者/ とろろ 一般♪(8回)-(2009/03/15(Sun) 23:17:05)
    その日の夜。私は明日河先輩に会えて、しかも2分くらい話しただけで胸が壊れそうだった。
    部活も身が入らなくて、先輩に大丈夫?なんて聞かれちゃったし・・・。


    だって私は明日河先輩に憧れて、勉強も部活も頑張ってきた。
    少しでも近づけるように努力してみたりした。
    会いたいと毎日願っていた、そんな明日河先輩に今日になってやっと会えたのだ。
    嬉しくないはずが、舞い上がらないはずがなかった。




    私の3つ上で大学1年の一緒に住んでいるお姉ちゃん、志穂によると。


    明日河先輩は入学したその時から、先輩の注目の的だったらしい。
    その整った容姿にみんなが魅了されていて、お姉ちゃんも例外ではない。


    そしてテストではいつも3位には絶対入っていたし、部活でも成績優秀、歩くだけで黄色い声が上がる。
    容姿のせいで、雑誌や事務所からスカウトしに来た人が校門で待っていたこともあるらしい。


    いつしかファンクラブも成立し、会員も全校生徒の半数近くが入っていた。
    でもほとんど女子だったとか。





    「という事は、ライバルが多いってこと?」


    私が不安げに聞くと、私が明日河先輩を好きだと知っているはずなのに、お姉ちゃんがにやりと笑って、


    「でもあの子、恋人がいた事があったわよ?私のクラスメイトだった西本真琴。副生徒会長を譲った人よ」


    確か・・・ショートカットの先輩で、背が高くて美人な人だったっけ。前に家に来てたことがあった。
    勉強が得意な先輩で、お姉ちゃんに勉強を教えていた人だ。



    そんな人が恋人だったなんて・・・・・・私は暗闇に突き落とされたような気分になった。








    私は深夜12時くらいに寝ようと部屋へ上がったけど、寝れなかった。
    さっきまで嬉しい気持ちだったのが、暗く辛い気持ちになる。


    あんな美人な元カノなんて、敵わない。
    まだ思っているかも・・・・考えれば考えるほどネガティブになってゆく。





    そう考えているうちに、私は涙を流しつつも眠ってしまった。


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▲[ 21297 ] / ▼[ 21304 ]
■21300 / 7階層)  帰り道T
□投稿者/ とろろ 一般♪(10回)-(2009/03/16(Mon) 15:10:44)
    次の日、腫れぼったい目のまま学校に行った。
    昨日の夜に、結局泣きながら眠ったため、朝起きたら目が腫れてしまっていた。
    冷やしてみたけど、腫れた目は治らなかったんだ・・・・・。




    「・・・・・どうしたの、その腫れてる目」


    教室に着いて席に座ると、いつも早くから来ている瑠貴が驚いて言った。
    そんなには腫れてないと思うんだけど・・・・・。


    「ん・・・ちょっと、ね?」


    曖昧に笑って見せると、瑠貴はふぅーんと少々不満そうな顔をしていたが、それ以上は突っ込まなかった。
    そこが瑠貴のいいところ、必要以上踏み込んでこない。








    それから美幸や安奈、未来にも聞かれて、みんな同じように答えて、みんな同じような反応をした。











    そして、あっという間に放課後。
    今日は気がついたら終礼は終わって、みんな部活や家へと向かっている状態だった。


    私は部活はやれるような状態じゃないから、ちょっと熱っぽいなんて普段はつかない嘘をついて部活を休んで、さっさと帰る準備をした。


    靴を履いてとぼとぼと外へ出ると、驚く人に出会った。
    あの校門のところにいるのは・・・・・。











    明日河先輩だ・・・隣にはクラスメイトなのかファンなのか、高い位置で結んだ茶色っぽいツインテールの女の子。
    そしてもう1人、赤髪のボーイッシュな女の子。色気がすごく、でもカッコよくて綺麗だ。


    「あれ?夏衣?今日は部活は?」


    明日河先輩にそう聞かれると、胸が痛む。
    まさか明日河先輩のせいで休んだんですよ、なんて口が裂けても、死んでも言えないから・・・。


    「実は用事があって・・・あの、そちらの方は・・・・・?」


    なんて小声で言っちゃった。もうー!素直じゃない私に私が悲しくなる(泣)


    「ああ、この子?僕のクラスメイトの岸澤紅矢。前生徒会長だよ」


    明日河先輩がそういうと、赤髪の先輩がどうも、と片手を挙げる。
    私は軽くぺこりと頭を下げた。


    「んで、こっちのツインテールは隣のクラスの神崎美玖、生徒会の書記だった人ね」


    「こんにちはっ♪初めましてだよね?」


    こっちは気さくそうな先輩で、よろしくって言いつつ右手を差し出してきた。
    私も左手を差し出して握手をする。


    「よかったらさ、一緒に帰らないかな。君とお話したいんだ」


    いいよね?と2人にうん、としか言わせないような雰囲気で聞いた。
    当然2人も頷く。


    私はさっきまでの気分が嘘だったかのように晴れて、初めて明日河先輩達と帰る事となった。



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▲[ 21300 ] / ▼[ 21312 ]
■21304 / 8階層)  帰り道U
□投稿者/ とろろ 一般♪(11回)-(2009/03/18(Wed) 15:06:44)
    学校の周辺は主に住宅街で、車もしょっちゅう通るし、人も多い。
    夕方となれば、夕食の買い物をする主婦や、犬の散歩をする人が大半だ。
    そんな騒がしい中、私たち4人は制服姿で町をぶらぶら。



    今は神埼先輩の提案で、近くのおしゃれで可愛らしいカフェに来ている。
    私は生まれて初めて、寄り道というものをした(気がする)



    私はミルクティー、明日河先輩はカフェオレ、岸澤先輩はアイスコーヒー、神埼先輩はアイスココアを頼んだ。


    しばらくし、それぞれの飲み物がそれぞれ置かれて、時たま飲みつつも会話が弾む。
    私的には、先輩3人の中に後輩・・しかも1年生が入るのもどうかなって思ったけど、意外と楽しい。






    「そういえば!瑞希ったらねぇ、夏衣ちゃん。『何か僕の後輩が来たみたいだ』って、毎日探してたのよ」


    そんな中、神埼先輩がそう話し出した。
    確か、学校生活は慣れたか?っていう話から学校や友達の話になっていたところに、言ってきたんだっけ。


    「え?明日河先輩が?」


    私の事だったらいいな、って思ったけど。でも、私の他にも数人この学校に受かってるんだもんね・・・。私なわけないか。


    「五月蝿いよ、美玖?」


    明日河先輩が軽く神埼先輩を睨みつける。これまた迫力があって・・つい見惚れた。


    「そーだよなぁ。『僕気になるんだよね』ってさ。んで、毎日その子探しに付き合わされてな。大変だったよ」


    クククッと喉で笑って目を細めた岸澤先輩が、私に声を小さくして教えてくれた。
    岸澤先輩の方から、先輩の飲んでいるコーヒーの香りがする・・・。


    「ちょっと、紅矢まで!余計なことは言わなくて良いよ?」


    ちょっぴり拗ねた明日河先輩が、先程飲み物と一緒に頼んだチョコレートパフェを頬張る。


    「あの、明日河先輩・・・気になる後輩って誰・・・ですか?」







    ギャーギャーいっている先輩たちに向かって、私はついに迷った末聞いてしまった・・・返事が怖い。


    ぴたっと動きを止めた明日河先輩が、チョコレートアイスの付いたスプーンを舐めて言った言葉に私は驚いた。


    「・・・・藤原夏衣」









    心臓が、止まったかと思った。
















    今なら、目の前のマンションの屋上から飛び降りても幸せだ。




















    「・・・・・・・・私?」





    「そっ♪瑞希は夏衣ちゃんの事探してたのよん☆」


    軽い口調で神埼先輩が言ってくれてるけど・・・耳に入ってこない。
    いや、言っているのが分かるならば、聞こえてるんだろう。


    「今日その子に会えて良かった。明日も探す勢いだったからな、瑞希は」



    やれやれ、と溜息をついて苦笑する岸澤先輩。












































    明日河先輩、これって期待しちゃっていいんですか?


[ 親 21278 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 21304 ] / 返信無し
■21312 / 9階層)  ライバル宣言
□投稿者/ とろろ 一般♪(12回)-(2009/03/20(Fri) 23:10:23)
    あの幸せな日から1週間半ぐらいたった月曜日。
    あれから私は、度々明日河先輩と廊下などの学校内で会うと話す様になった。
    神埼先輩や岸澤先輩も同様だ。
    3人はいつも一緒で、先輩達は私といつも一緒にいる他の4人とも仲良くなっていた。





    そして今日。
    3限目の化学が終わって、化学室から美幸と安奈、未来と瑠貴と出てきた時。
    体育なんだろう、ジャージに着替えた明日河先輩と神埼先輩、岸澤先輩と・・・・もう1人の先輩に出会った。
    初めて見た先輩だ・・・・・誰なんだろう?
    この学校の澄んだ綺麗な深い青色のジャージを着ている。


    「よう、夏衣。あと他の皆」


    もうすっかり仲がいい岸澤先輩が微笑でこちらに手を振った。
    見知らぬ先輩は、この後輩達って誰?と神埼先輩に聞いている。


    その先輩は少しくせっ気のあるセミロングの黒髪を右側で赤いチェック柄のシュシュで結び、目は少しキツい感じ。
    ジャージのチャックを胸元まで下ろして、首元には綺麗なシンプルなネックレス。
    普通よりちょっと美人だと思う。けど明日河先輩の方が綺麗。



    「ああ、君たちは初対面か。コイツは平梅。平梅彩華。3−2で美玖の幼馴染」


    そう岸澤先輩が説明してくれた。平梅先輩がニコリ、と微笑む。
    神埼先輩の幼馴染さんなのかあ・・・・。私達も微笑で返す。

    「んでもって、瑞希が好きです❤」


    と、平梅先輩が明日河先輩に抱きつきながら言うと、もう既に私の気持ちを悟っていそうな岸澤先輩が顔を歪める。


    「ちょっと、暑苦しい。離れろ」


    べりっと明日河先輩が心底嫌そうな顔で離れて、抱きつかれた腕をパンパンと払う。
    明日河先輩はあまり好きではないらしい・・私は安心してしまった。


    「じゃあ、次体育だからっ、バイバイ♪」


    神埼先輩が満面の笑みでこちらに言ってきたので、私はそうですよねっ、頑張って下さい!と言ってしまった。







    そして・・・・先輩たちがそれぞれ香水の匂いを漂わせつつすれ違う時・・・・・















    「貴女に瑞希は渡さないからさぁ、覚悟してよ?」


















    ・・・・・・ライバル発言を、平梅先輩が甘い甘い匂いと共に囁いた。










    「諦めませんから・・・っ!」




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▲[ 21296 ] / 返信無し
■21299 / 6階層)  ★さき様へ★
□投稿者/ とろろ 一般♪(9回)-(2009/03/16(Mon) 14:19:13)
    さき様へ


    この度はこの小説を読んで頂き、誠にありがとうございます。

    ゆっくりですが更新していきたいと思いますので、次の更新までもう少々お待ち下さい。
    ご希望により、1話だけこれとともに更新しておりますので・・・お楽しみ下さい。



    とろろ
[ 親 21278 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/


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