ビアンエッセイ♪

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

ツリー一括表示

Nomal やさしく愛して /じんじゃーぴんく (05/03/07(Mon) 15:26) #7413
Nomal 感想 /百合絵 (05/03/07(Mon) 16:02) #7414
│└Nomal 百合絵さんへ /じんじゃーぴんく (05/03/07(Mon) 17:59) #7418
Nomal 優しく愛して(2) /じんじゃーぴんく (05/03/07(Mon) 18:34) #7419
Nomal 優しく愛して(3) /じんじゃーぴんく (05/03/07(Mon) 22:08) #7429
Nomal 優しく愛して(4) /じんじゃーぴんく (05/03/08(Tue) 12:13) #7449
Nomal 優しく愛して(5) /じんじゃーぴんく (05/03/08(Tue) 12:19) #7450
Nomal 優しく愛して(6) /じんじゃーぴんく (05/03/11(Fri) 14:22) #7640
Nomal 優しく愛して(7) /じんじゃーぴんく (05/03/12(Sat) 07:53) #7662
Nomal 優しく愛して(8) /じんじゃーぴんく (05/03/12(Sat) 07:55) #7663
│└Nomal 感想 /えりか (05/03/12(Sat) 20:07) #7680
│  ├Nomal えりかさんへ /じんじゃーぴんく (05/03/13(Sun) 16:03) #7728
│  └Nomal NO TITLE /moments (05/03/12(Sat) 20:43) #7684
│    └Nomal momentsさんへ /じんじゃーぴんく (05/03/13(Sun) 16:10) #7729
Nomal 優しく愛して(9) /じんじゃーぴんく (05/03/14(Mon) 02:07) #7798
Nomal 優しく愛して(10) /じんじゃーぴんく (05/03/14(Mon) 02:18) #7799
Nomal 優しく愛して(11) /じんじゃーぴんく (05/03/14(Mon) 13:50) #7822
Nomal 優しく愛して(12) /じんじゃーぴんく (05/03/14(Mon) 13:56) #7823
Nomal 感想 /えりか (05/03/14(Mon) 19:33) #7834
│└Nomal えりかさんへ /じんじゃーぴんく (05/03/17(Thu) 20:46) #7971
Nomal 優しく愛して(13) /じんじゃーぴんく (05/03/17(Thu) 20:47) #7973
Nomal 優しく愛して(15) /じんじゃーぴんく (05/04/11(Mon) 00:16) #8626
Nomal 優しく愛して(14) /じんじゃーぴんく (05/04/11(Mon) 00:14) #8625
Nomal 優しく愛して(16) /じんじゃーぴんく (05/04/11(Mon) 00:23) #8628
Nomal 優しく愛して(23) /じんじゃーぴんく (05/05/10(Tue) 18:09) #9392
Nomal 優しく愛して(19) /じんじゃーぴんく (05/05/06(Fri) 01:24) #9271
Nomal 優しく愛して(17) /じんじゃーぴんく (05/04/27(Wed) 02:15) #9060
│└Nomal 感想 /拓人 (05/04/27(Wed) 11:25) #9063
│  └Nomal 拓人さんへ。 /じんじゃーぴんく (05/05/05(Thu) 18:09) #9259
│    └Nomal 感想 /えりか (05/05/05(Thu) 23:23) #9266
│      └Nomal えりかさんへ。 /じんじゃーぴんく (05/05/06(Fri) 01:21) #9269
Nomal 優しく愛して(18) /じんじゃーぴんく (05/05/06(Fri) 01:23) #9270
Nomal 優しく愛して(20) /じんじゃーぴんく (05/05/06(Fri) 01:27) #9272
Nomal 優しく愛して(21) /じんじゃーぴんく (05/05/06(Fri) 09:22) #9273
Nomal あーん>_< /ブルー☆ (05/05/08(Sun) 21:36) #9349
│└Nomal ブルー☆さんへ /じんじゃーぴんく (05/05/10(Tue) 18:06) #9390
Nomal 優しく愛して(22) /じんじゃーぴんく (05/05/10(Tue) 18:07) #9391
Nomal 優しく愛して(24) /じんじゃーぴんく (05/05/12(Thu) 09:36) #9428
Nomal 優しく愛して(25) /じんじゃーぴんく (05/09/02(Fri) 10:40) #12627
Nomal 優しく愛して(26) /じんじゃーぴんく (05/09/03(Sat) 07:01) #12644
  ├Nomal はじめまして! /まみ (05/09/04(Sun) 04:58) #12653
  └Nomal Re[2]: 優しく愛して(26) /優心 (11/12/19(Mon) 23:33) #21398


親記事 / ▼[ 7414 ] ▼[ 7419 ] ▼[ 7429 ] ▼[ 7449 ] ▼[ 7450 ] ▼[ 7640 ] ▼[ 7662 ] ▼[ 7663 ] ▼[ 7798 ] ▼[ 7799 ] ▼[ 7822 ] ▼[ 7823 ] ▼[ 7834 ] ▼[ 7973 ] ▼[ 8626 ] ▼[ 8625 ] ▼[ 8628 ] ▼[ 9392 ] ▼[ 9271 ] ▼[ 9060 ] ▼[ 9270 ] ▼[ 9272 ] ▼[ 9273 ] ▼[ 9349 ] ▼[ 9391 ] ▼[ 9428 ] ▼[ 12627 ] ▼[ 12644 ]
■7413 / 親階層)  やさしく愛して
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(1回)-(2005/03/07(Mon) 15:26:48)
    2005/03/18(Fri) 09:41:24 編集(投稿者)

    「万紀!?どこ行くの?」
    「ごめんっ、今日はあっちで食べるね!」

    四限目のチャイムが鳴り、教室中が昼食の休憩を取る為の空気でざわめく。あたしは、即座に鞄からお弁当箱を二つ取り出し抱えると、教室を飛び出した。友人が止めるのも聞かないで。
    あたしの名前は万紀(まき)。HK女学校に通う高校生。勉強は苦手だけど、仲の良い友達がいるし学校生活は結構楽しんでる。
    そして、あたしの学校生活をより楽しくさせてくれるものにも出会った。もの…というより人かな。
    歩む足は目的の場所へとどんどん走り出した。

    (携帯)
[ □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / ▼[ 7418 ]
■7414 / 1階層)  感想
□投稿者/ 百合絵 一般♪(1回)-(2005/03/07(Mon) 16:02:47)
    続き、楽しみにしています♪

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7414 ] / 返信無し
■7418 / 2階層)  百合絵さんへ
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(2回)-(2005/03/07(Mon) 17:59:26)
    読んで頂き、ありがとうございます!誠意執筆中ですので、少しずつアップしていきたいと思いますo(^-^)o応援宜しくお願いしますm(__)m

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7419 / 1階層)  優しく愛して(2)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(3回)-(2005/03/07(Mon) 18:34:21)
    三階から一階への階段を駆け降りて、廊下の突き当たりへと急ぐ。その部屋は、あたしの大好きな人の聖地なの。
    引き扉を開けようと取っ手に手をかけた瞬間、
    「先生っ…あたし先生のことが…!!」
    中から他の女生徒らしき声が響いてきた。
    「やっば…」
    あたしは慌てて扉に背を向け、柱の影に隠れた。どうやら、告白の場面に丁度良く居合わせてしまったみたい。やれやれ、とその場に腰を降ろして、やりとりに終始を着くのを待つことにした。
    部屋の中で、女生徒と思われるかん高い声と、大人の女性を連想させる甘くもやや低い声の押し問答が続いた。そして、やや間が空いて。
    ガラッ!!
    扉が勢い良く開けられ、女生徒が顔を手で覆って、鉄砲玉の様に飛び出してきて走り去っていた。音にびっくりして、あたしは顔を見ることはできなかったけど…女生徒は多分泣いてたんじゃないかな。そんな気がする、多分。…でも、可哀相とは思えなかった。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7429 / 1階層)  優しく愛して(3)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(4回)-(2005/03/07(Mon) 22:08:28)
    女生徒が行ってしまったのを見計らうと、開けっぱなしの扉から顔を覗かせた。
    「せーんせ。入ってもいい?」
    中にいた女性は頷いてあたしを手招きした。
    あたしは薬品の香が漂う部屋に入ると、そっと扉を締めた。
    「待たせたね、万紀。」ちょっと困った様に微笑むこの女性、この人は美也子先生。保健室の先生。保健室にしか姿を現さないというポリシーをもった、ちょっと変わった先生。でも、あたしはこの先生が大好きなんです。
    「ううん、全然!!先生ってば相変わらずモテるのね。」「あたしだからね。」あたしの冷やかしに、美也子先生は微笑んでかわす。大人の余裕って感じがして恰好良い。
    目を細めて微笑む仕草にも一瞬見惚れてしまう。さっきの女生徒が惹かれるのも無理は無い。だって美也子先生は本当に綺麗だから…。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7449 / 1階層)  優しく愛して(4)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(5回)-(2005/03/08(Tue) 12:13:39)
    2005/03/09(Wed) 13:09:46 編集(投稿者)

    美也子先生はウェーブのかかった黒く長い髪を一つにまとめている。肌は白く、目はきりっとして右目の下に色ぼくろ。時々眼鏡をかけていて、知性ある女性の印象もばっちり。唇に引かれた真っ赤なルージュは妖艶さをかもし出していた。
    「同僚に『下品な色』って言われるんだけどね。でも、赤って人の魅力を引き出す気がするでしょう?」
    前に、口紅が素敵ねと話したらこんな答えが返ってきた。あたしは直ぐに頷いた。だって、美也子先生の唇の色は下品どころか、まるで宝石みたいに輝いていたから。グラマーな体にタイトスカートと淡い色のブラウス。美也子先生がモテるのも無理無いか。美也子先生と対象的に、あたしはどこにでもいる様な顔で、美人でも可愛いとも思わない。唯一、明るい茶色の髪を肩まで伸ばした。これだけ自前なのが自慢。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7450 / 1階層)  優しく愛して(5)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(6回)-(2005/03/08(Tue) 12:19:06)
    そしてまた、告白の場面に居合わせたのも今回が初めてじゃない。良くあることなのだ。先生の件も含めて。生徒同士や先生と生徒でラブラブしてる子もいるし。美也子先生に至っては、告白を受ける回数が半端じゃない。先生は相手にしてないみたいで…内心すっごく安心。ライバルが多いのも、辛いなぁ…。
    「先生、今日のお弁当はどう?」
    「…うん。とても美味しいよ。この卵焼きなんか絶品だね!」
    あたしは嬉しくて思わず悲鳴をあげちゃった。

    あたしと先生の出会いは入学式。受験後の風邪が長引いて、式の途中で熱出して倒れてしまい保健室へ運び込まれて…出会ったのが美也子先生。
    「大丈夫か…?」
    熱でうなされるあたしを介抱してくれた先生は、まるで女神様みたいだった。今では一緒にお弁当を食べる仲良しさん。一目惚れして恋に落ち、先生に少しでも近付きたくて。あたしの努力のたまものです。
    「万紀とご飯を食べる時が一番落ち着くね。」
    「本当?嬉しいっ!!」
    机を挟んで先生と向かい合わせに座ってお話し。今の所、先生にお近づきなのはあたしだけみたい。名前で呼ぶのもあたしだけ。なんだか嬉しい。『特別』って気がする。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7640 / 1階層)  優しく愛して(6)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(7回)-(2005/03/11(Fri) 14:22:08)
    「でも…先生って本当に綺麗。良いなぁ。」
    あたしの間延びした声に美也子先生が肩を軽くすくめて微笑んだ。
    「万紀だって可愛いじゃない。」
    美也子先生が棚から湯飲みを二つ取り出し、急須のお茶をゆっくり注ぐ。蓋に添えられた指先はしなりと伸びていて、まさに大和撫子。思わず見惚れてしまっていたあたしは返事にどもってしまう。
    「…だ、だって。綺麗と可愛いは違うよ。あたしも早く綺麗になりたいなぁ。」
    と、あたしの分のお茶を一口すする。先生も自身の分をすすると、湯飲みを机に置いた。机に両肘を付き、手を組んでその上に顔を乗せて、何か企む様な口調をして細い目であたしを捉らえた。
    「…じゃあ恋をすることだね。素敵な恋をするほど女を磨くって言うじゃない?」

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7662 / 1階層)  優しく愛して(7)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(8回)-(2005/03/12(Sat) 07:53:07)
    2005/03/12(Sat) 09:45:01 編集(投稿者)

    その言葉に一瞬愕然となる。まさか、先生に恋を薦められてしまうなんて…「先生っ!!あたしだって立派に恋してます!!」思いもしなかったから。
    思わず席を立って先生に向かって叫んでしまった。愛しくて大好きな美也子先生。先生の『特別』はあたしのだけで、あたしの『特別』は先生のだけ。当にわかっていてくれることだと思っていたのに。刹那、先生が目を丸くして動きを止めた。
    「へぇ…それは誰なのかな?知りたいなぁ」にっこりと笑って言うのに…目の奥が笑って無いのはあたしの気の所為??
    なんか先生…怒ってない??
    「…っ…それは…」
    「それは?」
    思わず声の勢いがしどろもどろになってしまう。こんな誘導尋問な告白は嫌だ…互いになんでか喧嘩腰になってしまってるし。どうしよう。言うべき?言わざるべき?…美人が怒ると迫力あるけど…美也子先生…有り過ぎだよ…。
    「そこの女生徒!!予鈴は鳴ったぞ!本鈴が鳴る前に教室に帰りなさい!!」「絹ちゃん!?」
    その時だった。威勢良く気の強い声であたし達の間に割って入ったのは、保健・体育教師の絹香先生。ショートの髪にきりっとした顔付き。ボーイッシュな感じの姐御タイプ。常に着衣している真っ青なジャージがいかにも彼女らしい。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / ▼[ 7680 ]
■7663 / 1階層)  優しく愛して(8)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(9回)-(2005/03/12(Sat) 07:55:32)
    2005/03/12(Sat) 09:45:47 編集(投稿者)

    時々首からストップウォッチを下げたまま帰宅していたり、授業中に何故か竹刀を携えていたり不思議な点が沢山あるけど。皆から慕われて『絹ちゃん』て呼ばれてる。
    まさにその絹ちゃんの鶴の一声。
    「いっけない!!美也子先生のお弁当箱、後で取りに来るから!!」
    絹ちゃんの声で我に返り、あたしは慌てて自分の分のお弁当箱を抱えた。そして、いつの間にか開け放たれた扉にもたれている絹ちゃんの横を飛び出した。
    「じゃね!美也子先生っ、絹ちゃん!!」
    「ええ、後でね。」
    「ほら、早く行きな。」絹ちゃんに追い払われる様に手を振られ、代わりに美也子先生にちっちゃく手を振って、あたしは走って保健室を後にした。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7663 ] / ▼[ 7728 ] ▼[ 7684 ]
■7680 / 2階層)  感想
□投稿者/ えりか 一般♪(3回)-(2005/03/12(Sat) 20:07:46)
    これからの展開が楽しみです!!
    是非、続きを♪
    お願いします(≧▽≦*)☆★

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7680 ] / 返信無し
■7728 / 3階層)  えりかさんへ
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(10回)-(2005/03/13(Sun) 16:03:04)
    お返事遅くなってすみません!!
    感想ありがとうございます(^-^)頑張りますので、楽しみにして下さい。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7680 ] / ▼[ 7729 ]
■7684 / 3階層)  NO TITLE
□投稿者/ moments ちょと常連(65回)-(2005/03/12(Sat) 20:43:02)
    大好きな人の『特別』になりたいなぁ(ノ∀≦*)
    自分だけの特別な存在♪
    2人の関係は羨ましい限りです(^-^)
    続き、楽しみにしています! 頑張ってください。
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7684 ] / 返信無し
■7729 / 4階層)  momentsさんへ
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(11回)-(2005/03/13(Sun) 16:10:31)
    返事遅くなりすみませんでした!!
    感想ありがとうございます。万紀は相手の「特別」を射止められるかどうか、楽しみにしてて下さい(^-^)

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7798 / 1階層)  優しく愛して(9)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(12回)-(2005/03/14(Mon) 02:07:49)
    教室に戻ると、中はまだ昼休みの侭の空気が一面に漂っていた。あたしは慌てて席に着いて一息着く。
    「ふぅ。」
    「間に合って良かったね、万紀ちゃん。」
    「さと子。」
    あたしの間横の席、そこには入学してからの大の仲良しのさと子が座っていた。色白の肌に柔らかいくるくるパーマのショート。おっとりとした雰囲気で、傍にいるだけで安らぐ存在。
    「え…でも、次は調理実習でしょ??」
    あたしはお弁当箱をさりげなく机の中に入れ、話を繋いだ。
    「うん。万紀ちゃん来てから一緒に行こうと思って。」さと子はゆったりとした口調で言葉を紡いで、微笑んだ。
    そして、目だけであたしの手の行き先を一瞥するとこう言った。
    「保健室行ってたの?夏歩(かほ)達が探してたよ。」さと子、鋭い。普段おっとりしている半面、恋愛沙汰はとても敏感になるらしい。また、さと子はあたしの片思いの相手を知る、唯一の友達だ。というよりも、あたしはさと子だけにしか話せないんだけどね。
    「うん、また昼食一緒に食べたんだ。」
    自然とあたしの声も弾む。
    「そっかぁ。良かったねぇ万紀ちゃん。」
    さと子は柔らかい表情で嬉しそうに笑った。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7799 / 1階層)  優しく愛して(10)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(13回)-(2005/03/14(Mon) 02:18:50)
    人のことを自分のことの様に大切にしてくれる。そんな自慢の友人に、あたしもつられて微笑み頷いた。
    「さと子、実習室行こっか。」
    「うん。」
    話がつくと、あたしとさと子は調理実習の用意を持って実習室へと急いだ。
    部屋までの短い道則の間、美也子先生とのやりとりや、それに水を指してくれた絹ちゃんの話にほんのちょっぴり脚色加えて面白可笑しくした話に、さと子はずっと耳を傾けて楽しげに笑ってくれた。クラスの違う夏歩には後でごめんて謝っておくことにした。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7822 / 1階層)  優しく愛して(11)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(14回)-(2005/03/14(Mon) 13:50:22)
    「…それで、お砂糖はこの半分で。用意して置いたグラニュー糖を使って下さいねー。」
    実習でざわめく教室の中。先生の声が響いた。あたし達生徒の声がいつもより少し跳ねている。何故なら、近付くバレンタインに向けてフォンダンショコラを製作することになったのです。チョコとなれば、乙女の気合の矢印も上昇してテンションも次第と高くなる。勿論、あたしも例外に漏れずに。チョコを刻む包丁を握る手にも自然と力が篭る。なんとなく鼻歌を歌ってみたりして。
    「♪〜♪〜。」
    「万紀ちゃんは誰に渡すの??」
    「うひゃっ!?」
    唐突過ぎるさと子からの問いにあたしは驚いてしまい、湯煎をかけていたチョコが撥ねて前髪に少しかかる。さと子は慌ててそれを布巾で拭ってくれた。
    「あーびっくりした、ありがと。」
    さと子は目を細めて首を横に振ると、メレンゲ用の卵白を泡立て始めた。「鼻歌歌ってちゃ駄目だね。」
    舌をペロっと出して笑うと、さと子は
    「やぁだ、万紀ちゃんたら。」とくすくす笑った。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7823 / 1階層)  優しく愛して(12)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(15回)-(2005/03/14(Mon) 13:56:03)
    「そういうさと子こそ。誰に渡すの??」
    しゃかしゃかと軽やかに泡立て器を動かしていた、さと子の手がぴたりと止まる。
    「さと子??」
    「あの…実は…ね。」
    さと子の顔が見る見るうちに赤くなっていく。
    「絹ちゃんに…渡すの。」
    「なんだ!やっぱりぃ〜。

    あたしは茶化す様に笑って、さと子の肩をこづいた。
    「やめてよぉ、万紀ちゃん〜…」
    「隠すことないじゃな〜い??」
    実はさと子はあの絹ちゃんと付き合っている。さと子のことだから、熱いアタックの据え絹ちゃんを落としたのかと思えば、
    「絹ちゃんが…『付き合わないか』って…。どうしよ、すっごくすっごく嬉しいよお。」
    とまあ、絹ちゃんもさと子にメロメロだったわけで。あたしとしては相思相愛でお似合いなので、羨まし過ぎる仲だな〜と思うわけなのです。こんな二人の仲は、ほぼ周囲公認。(と云っても生徒間の中だけ。先生にバレちゃ大変だからね。)
    まさにラブラブバカップルなのです。まあ、さと子と絹ちゃんの馴れ初めはまた別の話ね。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / ▼[ 7971 ]
■7834 / 1階層)  感想
□投稿者/ えりか 一般♪(5回)-(2005/03/14(Mon) 19:33:14)
    さと子ちゃんと絹先生の関係に私もなりたい(>□<。)/
    今後の展開、楽しみにしてますね♪

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7834 ] / 返信無し
■7971 / 2階層)  えりかさんへ
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(16回)-(2005/03/17(Thu) 20:46:10)
    返事遅れてすみませんっ!!感想ありがとうございます〜。書いている本人が言うのもなんですか、私もさと子と絹香の仲は気にいっております。絹香の名前は万紀より前に決めていました(笑)
    また読んで下さると嬉しいです♪

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■7973 / 1階層)  優しく愛して(13)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(17回)-(2005/03/17(Thu) 20:47:54)

    後々話を聞く内に、絹ちゃんは最初から告白する気だったらしい。…絹ちゃんらしいなぁ。客観的に見れば『美女と野獣』カップルなんだけどね。
    ――――――――――

    「はぁっくしゅん!!」
    「うわ!絹香、風邪!?」
    絹香の豪快なくしゃみに、美也子がひゃっと驚き肩をすくめた。
    「さぁ?なんか、いきなりくしゃみが……。」
    絹香は首を傾げながら、鼻の下をこする。
    「風邪なら早めに処置してもらった方がいいわよ?」
    美也子は席を立つと、棚の引き戸を開け中を物色し始めた。
    「はっは〜ん…さてはどっかの可愛い子猫ちゃんがあたしの事を素敵って言ってるなぁ〜?!」
    ……………。

    「馬鹿に効く風邪薬って置いてあったかしら。」

    「おいっ!」
    ――――――――――

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■8626 / 1階層)  優しく愛して(15)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(19回)-(2005/04/11(Mon) 00:16:46)
    さと子は黙ってそれを受け取り、しばし見つめた後こう言い放った。
    「だったらね、万紀ちゃん。」
    「何?さと子?」
    「このチョコを告白の時に持って行って、言ってみよー!!」
    ゴー!!と腕まであげていきり立つさと子。
    「は?」
    唖然。思わずあたしは間抜けな声を出してしまった。あたしは頬に一筋汗を流す。
    「さと子…それ…一足飛び過ぎだから…。」
    おいおいとさと子に向かって、手をぱたぱたと振る。
    「あれぇ…おかしいなぁ?」
    さと子は何が間違ってるのだろう、とうーんと頭を捻る。


    でも、それもありだよね

    首を捻り考え込むさと子に、チョコを焼くよう促してあたしは言った。
    「さと子…これが焼けたら、美也子先生んとこ行ってくるね。で、話してくる!」
    「そっかぁ!頑張れ、万紀ちゃん!!」
    「ありがと、さと子。」
    その時、レンジが軽やかな音をたてて鳴いた。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■8625 / 1階層)  優しく愛して(14)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(18回)-(2005/04/11(Mon) 00:14:22)
    「それで、万紀ちゃんは渡さないの?」
    さと子はガナッシュをゆっくりと予め象った生地の中に入れていく。あたしはその上からまた生地を絞って蓋をする。
    「……渡したいんだけどねぇ…。」
    絞る手つきが遅くなり、思わず苦笑いになってしまう。やや喧嘩腰になってしまった後に、だもの。気軽にとは言えず…。
    なんだか後ろめたい気分だった。
    数分前はあたしのお弁当を食べて微笑んでくれた。美味しいといってくれた。あの…優しく綺麗な笑顔で。

    そんな美也子先生ともっと近づきたかった。

    「美也子ちゃんと喧嘩したの??」
    さと子がきょとんと顔を覗かせた。
    「うん…まぁ、そんな感じ…かな。」
    お茶を濁らせるあたしの言い方に歯がゆさを感じたのか、さと子が顔をぷうっと膨らませた。
    「良くないよぉ、そんなの。」
    うん、もっともな意見を云ってくれる。
    「だって、万紀ちゃんと美也子ちゃんは喧嘩する理由が無いでしょ?」
    「うん、そうなんだけどね。」と、あたしは曖昧に相槌を打つ。用意した鉄板に生地をきちんと並べて置いて、その鉄板をさと子に手渡した。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■8628 / 1階層)  優しく愛して(16)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(20回)-(2005/04/11(Mon) 00:23:00)
    それはとても簡単なことだったの。
    簡単過ぎて気付かなかった。ううん、気付けなかった。

    美也子先生が好き。
    この一心だけに翻弄されていて、たった一言を紡ぐことができないまま、美也子先生を独り占めしたかった。

    狡いよね、こんなあたし。
    喧嘩して気まずくなって、ずっとそのまま。
    なんて…嫌。絶対、嫌。
    告白しようなんて、気付けなかったよ、ほんとに。

    あたし、美也子先生が好き。

    ねえ、先生?
    先生の一番近く。

    あたしで独り占めして良いですか?

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■9392 / 1階層)  優しく愛して(23)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(30回)-(2005/05/10(Tue) 18:09:14)
    と、その時だった。
    「なら…どうしたらいいのよ!?」
    美也子先生の叫びに似たかなきり声が響いてくる。
    「言えばいいじゃない!」
    直ぐ後に絹ちゃんの、怒りに満ちた大声。
    どうしたんだろう。二人して。
    あたしの中の好奇心は抑えがきかず、厚い扉に耳を立ててしまったのです。
    もし、この時何も聞かなければ、あたしはまだ幸せでいられたのかな?

    「いっそ…あの子に出会わず…あの子を突き放せば良かったのかも…。」
    ガラッ。
    言葉と同時に扉を開けてしまっていた。

    最初に目に映ったのは、美也子先生の哀れみと絶望が入り交じって淡く揺れる涙に濡れた瞳。

    絹ちゃんの驚きと戸惑いが複雑に絡み合って、血走った様に見開いた双眸。

    二人の四つの瞳が真っ直ぐあたしを捉らえている。

    これだけで。
    あたしが今此処に居ることにそぐわないことがはっきり見てとれた。



    気がつけば、あたしは保健室から屋上へと走り出していた。


    ドン!
    「いた…万紀ちゃん!?」
    向かい合わせに軽く走って来たさと子にぶつかった。けど、あたしは気付かなかった。


    そんな余裕どこにも無かったよ。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■9271 / 1階層)  優しく愛して(19)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(25回)-(2005/05/06(Fri) 01:24:52)
    「あんたはさ、あの子のことを単なる生徒として見てるのか?」
    「違うわ…。」

    絹香の問いに、美也子は力無く答える。

    「教師という立場でありながらも、あの子を恋愛の対象と見てしまっている自分がいるのよ。周囲から見れば許されざること…。芯を持って、理性を保たなければならない。そうすれば…あの子を恋愛相手に見ることは無いのよね。」

    美也子はここまで一気に言葉を紡ぐと、肩を落とした。

    「まあ…言われてみれば、そうだけどね。」

    美也子の答えに、ちゃらけた絹香の顔付きも神妙になる。

    「でも…そんなの、誰かが止めたって無理だろ?」
    現にあたしがそうだしさ、と絹香が美也子から視線を外し吐息混じりに小さく吐き出した。

    「わかってる…わかってるのよ、それは。」
    美也子は眉をひそめ、頭を小刻みに横に振るとゆっくり天井を仰いだ。

    「教師であるが故にこんなことになってしまったのよ。酷く罪悪感を感じてしまうわ……。」

    「おい!待てよ!」

    美也子の自虐的な言葉を、絹香が声荒し制止した。絹香の表情は烈火の鬼の如く、怒りに満ちていた。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / ▼[ 9063 ]
■9060 / 1階層)  優しく愛して(17)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(21回)-(2005/04/27(Wed) 02:15:42)
    ところ変わって保健室。絹香の豪快なくしゃみに美也子が冷ややかな視線を送った後だった。
    「ったく…冗談だってのに。」
    絹香は美也子のテーブルにもたれ腕を組み、むすっとなる。
    「あんたの可愛い彼女が聞いたら卒倒しちゃうわよ?」
    美也子は白衣のポケットに両手を入れ、棚から離れ首だけで絹香を振り返った。
    「何言ってんだか。あたしの彼女は一人だけだって。」
    「はいはい、そうでしょうとも。」
    絹香の的を外れまくった上に、その根拠は一体全体何処からくるのか、自信満々な返事に一段と呆れて答えた。
    「そういう、美也子はどーなのさ?」

    「どーって……良い所で邪魔してくれたのは、どこのどなたでしたっけ?」
    美也子のひきつった笑顔を一瞥し、絹香は声高にあははははと笑って言った。
    「あー悪い悪い!核心に入るとこだったのね。」
    「そうよ。それをどこかの誰かさんが…。」
    「だから悪いって言ってるじゃん。」
    ぶつぶつと不満をぶつける美也子に対し、今度は絹香が呆れて返ってこう言った。
    「くどい女は嫌われるぜ?」
    「誰の所為だと思ってるのよ、あんたはー!」

    さらに笑い声を飛ばす絹香へ美也子の叫びが部屋中に反響した。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 9060 ] / ▼[ 9259 ]
■9063 / 2階層)  感想
□投稿者/ 拓人 一般♪(3回)-(2005/04/27(Wed) 11:25:24)
    面白いです!
    早く続きが読みたいです(^-^)
    待ってます。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 9063 ] / ▼[ 9266 ]
■9259 / 3階層)  拓人さんへ。
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(22回)-(2005/05/05(Thu) 18:09:55)
    返事遅くなってすみません(汗)
    励ましの言葉ありがとうございます!遅筆ですが、励みにして頑張りたいと思います(^-^)

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 9259 ] / ▼[ 9269 ]
■9266 / 4階層)  感想
□投稿者/ えりか 一般♪(1回)-(2005/05/05(Thu) 23:23:46)
    ずっと読ませてもらってます!これからの展開が楽しみです♪
    続き、お願いします(^^)☆★

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 9266 ] / 返信無し
■9269 / 5階層)  えりかさんへ。
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(23回)-(2005/05/06(Fri) 01:21:28)
    毎回励ましの言葉ありがとうございます!!遅筆ながらも、応援の言葉を胸に完結目指しますね(>_<)頑張ります!!

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■9270 / 1階層)  優しく愛して(18)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(24回)-(2005/05/06(Fri) 01:23:03)
    激を飛ばした美也子は、ふうと溜息を一つついた。美也子のどこか虚げで淋しげな表情に、絹香が首を傾げた。
    「何?まだ何かあるわけ?」
    美也子が顔を上げた。
    「何かって何?」
    「いや、聞いてるのはこっちなんだけどさ。」
    絹香が肩をすくめて、思わず苦笑を漏らす。
    「あの子に対してよ、まだ何かあるのか?」
    美也子は一度目を見開くとそのままうつむいてしまった。その様子に、絹香が「まだ何かあるんだ」と呟いた。
    「あんたにしては奥手じゃないか?」
    美也子はゆるゆると首を横に振る。
    「奥手どころか…もう近づく距離にすらなれないのかも。」
    「何故?」
    美也子は再度顔を上げると、ぽつぽつと事の次第を話した。
    絹香はただ黙って、それに耳を傾ける。


    「要するに、あの子の真意を確かめたいが為に核心を探ろうとしたが、性急過ぎた所為で喧嘩になった…と。」
    「完璧かつ完結にまとめてくれて、ありがと。」絹香の答えに美也子は微笑にも苦笑いが混じる。絹香はそれに対して静かに目を細めた。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■9272 / 1階層)  優しく愛して(20)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(26回)-(2005/05/06(Fri) 01:27:14)
    「美也子はあたしとさと子のことまで否定する気なの!?」
    「違う、そうじゃないっ!」
    「そうだろ!自分が上手くいかないからって、人にあてつけるなよ!」

    さきほどとは打って変わって、美也子の返事は語尾に威勢は無い。
    絹香の怒涛に飲み込まれていく。

    「なら…どうしたら良いのよ!?」
    絹香の罵声を押し切って、美也子が吠えた。
    「あたしは貴女みたいに要領良く無いし、教師の立場も弁えなければと思ってるわ!けど、一番大事なのはあの子なのよ!!」
    「言えばいいじゃない!今言った言葉をそのまま!教師の立場とか言ってる場合か!?保身ばっかり考えてると、よそに持っていかれるぞ!」
    「そんなの…嫌に決まってるじゃない!もう…あたし…どうすれば良いか…。」

    美也子の声音は次第に弱くなり、鳴咽混じりになってきた。そして、倒々、膝を折って床にペタリと座り込んでしまった。

    「いっそ…あの子に出会わず…あの子を突き放せば良かったのかも…。」

    「なっ…!何言ってるんだよ美也子!!」

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■9273 / 1階層)  優しく愛して(21)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(27回)-(2005/05/06(Fri) 09:22:16)

    偶然と必然は重なるもので。

    「え……。」

    ゴトッ。
    箱が床に落ちる音がして、美也子と絹香の荒れた空気を引き裂いた。
    部屋の扉を開けたばかりの万紀がそこに静かに立ち尽くしていた。


    「美也子…先…生。」

    「万…紀…。」

    その変わりに、
    さらなる悲劇を運んできた。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / ▼[ 9390 ]
■9349 / 1階層)  あーん>_<
□投稿者/ ブルー☆ 一般♪(1回)-(2005/05/08(Sun) 21:36:04)
    続き読みたいです
    連休中は忙しいのでしょうか? これからの展開、楽しみに待ってます

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 9349 ] / 返信無し
■9390 / 2階層)  ブルー☆さんへ
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(28回)-(2005/05/10(Tue) 18:06:02)
    読んで頂きありがとうございます☆★お待たせしてしまい、すみません(>_<。)GW中はまったりしてました。
    これからまた少しずつ書いて行きますので、どうぞ宜しくお願いしますね♪

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■9391 / 1階層)  優しく愛して(22)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(29回)-(2005/05/10(Tue) 18:07:22)

    焼きたてのフォンダンショコラを一つ。
    熱いうちに、あたしの気持ちと一緒に、溶けだしてしまわない様に。
    早く早くと、箱に詰めて実習室を抜け出した。

    「頑張って、万紀ちゃん!」
    さと子の励ましの声を背中に受けて、あたしは大きく頷くと飛び出した。
    なんだろう。
    先生に、美也子先生に会いに行く目的は変わらないの、なんでだろう。
    胸の奥はかっかと熱かった。


    保健室の扉の直ぐ前に来た。
    どうしよう、なんて言って渡そうかな?
    「先生、チョコ焼いてみたんだ。味見して?」
    告白じゃないよね。
    「あたしの気持ち受け取って!」
    まんま過ぎて駄目だ。
    あたし…才能無い。
    ふと涙腺が緩みそうになって、ぶるぶると頭を横に振って負けそうな気持ちを振り払った。
    「えと…美也子先生、あたしの気持ちです、食べて下さい。」
    よし、これだ!これでいこう!
    あたしは口の中で何度も同じ言葉を繰り返し呟くと、扉に手をかけた。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■9428 / 1階層)  優しく愛して(24)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(31回)-(2005/05/12(Thu) 09:36:46)


    屋上に着くなり、あたしは柵に飛び付いた。
    ガシャン。
    音を立てて、柵を両手で握り締める。赤茶けた錆が手のひらにつこうなんて、知らない。

    「っ……。」

    喉奥が小刻みに震え出した。堪えていた涙が、一つ零れた。

    「ふっ…く…うわああああああ…!!」

    隻を切った様に、次から次へと溢れ流れる涙。
    喉奥に絡み付く熱いもの。
    「あああああ…!」

    声にならない声で。
    あたしはありったけの涙を流した。


    『いっそ…あの子に出会わず…あの子を突き放せば良かったのかも…』


    美也子先生の言葉が頭の中でリフレインする。
    止まらない。止められない。


    「ひっ…う…うああああ…!」

    悲しくて、辛くて。
    心臓が焼けるようだ。
    痛くて痛くてたまらなかった。


    そして、慟哭をあげながらも頭の奥ではっきりと冷めた目で理解している自分がいた。

    夢は所詮、夢でしかなかった。


    あたし…振られたんだ。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / 返信無し
■12627 / 1階層)  優しく愛して(25)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(1回)-(2005/09/02(Fri) 10:40:30)
    しばらく、その場でひとしきり泣いた。
    誰が来ようともかまわず、ずっと。

    やっと手を伸ばして掴めそうだった、大好きな美也子先生。


    涙が溢れれば溢れるほど、美也子先生への想いも溢れ出して止まらない。

    好きだよ。
    大好きだよ。

    愛してるって言い切れるよ、美也子先生。

    お願い…どうか…

    振り向いてよ―――!

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 7413 ] / ▼[ 12653 ] ▼[ 21398 ]
■12644 / 1階層)  優しく愛して(26)
□投稿者/ じんじゃーぴんく 一般♪(2回)-(2005/09/03(Sat) 07:01:53)
    「美也子っ!!なんで追い掛けないのよ!!」
    残された者達の間に漂う、生温い緊張感と罪悪感。そして、刹那の沈黙を破ったのは絹香の怒号の声であった。
    絹香は美也子を刺すように睨みつける。美也子はその視線から逃げる様に、床の一点をぼんやり見つめていた。
    「あたしには…そんな資格無いから…。」
    「資格!?そんなものが恋愛に必要な訳!?」
    美也子の呟きを制す様に、絹香はまた声を荒くする。
    煮え切らない美也子に、絹香は苛立ちを隠せずにいた。さと子は第二の一触即発の気配を肌で感じながら、どうすることも出来ないでいた。
    親友の失恋。
    親友の想い人の葛藤。


    ただ、好きなだけなのに。


    さと子の胸中にはそれしかなかった。

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 12644 ] / 返信無し
■12653 / 2階層)  はじめまして!
□投稿者/ まみ 一般♪(11回)-(2005/09/04(Sun) 04:58:39)
    続きが読めて嬉しいです♪
    どうなっちゃうの!?というところで終わりだったので(^o^)

    (携帯)
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/

▲[ 12644 ] / 返信無し
■21398 / 2階層)  Re[2]: 優しく愛して(26)
□投稿者/ 優心 一般♪(8回)-(2011/12/19(Mon) 23:33:35)
    初めまして♪

    仕事の後…寝る前の楽しみがまた閲覧可能になって良かったです!

    続編待ってます
[ 親 7413 / □ Tree ] 返信/引用返信 削除キー/


Mode/  Pass/

HOME HELP 新規作成 新着記事 ツリー表示 スレッド表示 トピック表示 発言ランク ファイル一覧 検索 過去ログ

- Child Tree -