ビアンエッセイ♪

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■10953 / ResNo.70)  和美のBlue 61
  
□投稿者/ つちふまず 大御所(995回)-(2005/07/15(Fri) 23:44:40)
    抱き合ったまま。



    「ハンバーグ…冷めちゃいますね。」


    「…もう少し。」



    背中に回された手に。
    もっと力が篭って。



    泣けて来そうな、
    予感がした。




    「………。あ、」




    ナツさんは首にしがみついていた、私の体を。


    スッと持ち上げて。


    ナツさんはそのまま、
    ソファに座った。


    「…………。」


    ナツさんの膝に。


    ちょこんと座る私。


    「あの………。」


    「ん?」


    「いえ、……。」


    て、


    照れる。


    改めて。


    「何?」


    ナツさんの目は。


    とっても優しい。


    「うふふ。」


    笑っちゃう。


    なんか。


    「ふっ。」


    ナツさんも。
    私の背中に手を回したまま。


    少し照れたように笑った。


    「嫌われてると、思ってた。」


    ふう、とナツさんは。


    溜め息を着いた。


    「嫌い、じゃないです…。」


    嫌いな訳ないよ。


    こんなに好きなのに。


    「カズ。」


    「はい。」


    「ごめん。」


    「え。」


    「この前。」


    どう言えばいいかな、
    とばかりに。


    ナツさんは頬を掻いた。


    ふふ。


    ナツさんてば。


    やっぱ可愛いかも。




    「いいんです。だって…。」


    「ん?」


    「……いえ。」


    だって抱かれたかったのは。本当だもの。


    言わないけど、ね。


    でも。






    「大好きです。」








    こう伝えるまでに。


    結構時間かかっちゃった。







    「カズ。」





    額と額を付け合って。


    「……はい。」


    目を瞑って。


    その空気に。


    「……カズ。」


    酔う。


    「なんですか。ふふ。」


    「………和美。」


    「ん。………んっ。」




    重なる唇から。


    漏れる気持ち。


    あなたを感じれる、


    最大限の方法。




    好き。


    すっごい好き。




    キスを交すのは。


    もう何回目だろう。




    でも今日は。


    違うよ、ナツさん。


    嬉しいキスは。


    初めてかも。


    いつも突然だったもの。








    唇を離して。




    「晩御飯に、しようか。」


    笑顔のナツさん。


    「はい。」





    私も笑顔で答えた。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■10954 / ResNo.71)  和美のBlue 62
□投稿者/ つちふまず 大御所(996回)-(2005/07/15(Fri) 23:49:50)
    閉店後の─


    お店で。


    ライトは。


    少しの灯りでいいよね。


    音楽は。


    音量を抑えた、ダイアナロス。


    「いただきまーす!」


    「ん。」


    二人だけの。


    晩御飯。


    「ふふ、おいしー。」


    自分で作ったのに。
    我ながら、上出来。


    「そうだ、カズ。」


    「はい?」


    ナツさんはナイフとフォークを置いて。


    両肘を付いて、こちらを見た。


    優しい目が。
    ふと真剣に。


    「恵比寿も売るつもりなんだ。」


    「………え?」


    「鎌倉だけでやる。」


    鎌倉だけ、って…。


    「そう…ですか。」


    「腹を決めた。」


    「……はい。」


    「ん。だから、」


    「?」


    「ここに、いるよ。」


    え!?


    いるよって…。


    「今日、わかった。ホールに立って。」


    頭が。


    いい加減爆発しそう。


    「ランチも始めよう。カズ。」


    「え?」


    ランチ?


    「ここの客は、地元客が多い。…ランチを始めても、問題ない。」


    「ランチ…ですか。」


    うん、とナツさんは。
    大きく頷いた。


    「来年は、頼むよ。」


    ナツさんは笑顔で。
    ワインに口を付けた。


    「へ?」


    来年?


    「店長候補で頼むよ。」


    「えーっ無理ですよ!」


    そんなそんな!


    むーりー!


    「大丈夫。」


    ふっとナツさんは笑った後。


    「そうでしょ!父さん!」


    は。


    と、父さん?


    って?


    ナツさんの視線を追うと。


    バーカウンター。


    下から少しずつ。


    金髪が見えて…。


    「見付かっちゃった。ニヒ。」


    手を挙げて。


    ヤスさんが出てきた。


    「えっ!えーっ!!」


    ととと、


    父さんって!!


    「いやいや…ワッハッハ!」


    大笑いで。
    ヤスさんは。


    こちらに歩いて来た。


    「盗み聞き…全く趣味が悪い。」


    ナツさんは。
    肘を付いて。


    「おや、こ…。え?」


    二人を見て。
    私は口を開けるだけ。


    「娘の心配をして何が悪い!」


    ヤスさんは、
    ナツさんの背中を。


    ドン、と叩くと。


    「痛いって。」


    ナツさんはヤスさんを。


    思いっきり睨んだ。




    親子…。


    親子。





    全っ然信じられない!!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■10955 / ResNo.72)  和美のBlue 63
□投稿者/ つちふまず 大御所(997回)-(2005/07/15(Fri) 23:52:20)
    テーブルを囲む。
    三人。


    「ダハハハハ!!」


    「……静かにして。」


    「ふふっ。それにしても…びっくり。」


    ヤスさんと。
    ナツさん。


    まさか父娘だなんて…。


    「おう。内緒だぞ?父親にはならなくていいから、店長になってって言われたんだからな。」


    全くひどい娘だ、と。
    また笑った。


    「父さんに経営は無理。」


    子どもだから、と。
    ナツさんは呆れたように。


    「でも随分若いパパですよね…。」


    ナツさんとヤスさんを。
    交互に見た。


    「俺が20歳の時の子どもだからなぁ。大きくなったぜ、全く。」


    「父さんは変わらないよ。」


    フン、とナツさんは。
    ワインに口を付けた。


    普段は全然、
    そんな感じはしないのに。


    今日は父、娘。


    いいなぁなんか♪


    「恵比寿も手引くんだろ?」


    ヤスさんはタトゥーの腕を組んだ。


    あ、よく考えたら。


    タトゥーは親子揃って…。


    いかついなぁ(涙)


    「ん。そのつもり。」


    「鎌倉に越せよ!なぁカズ!」


    そーだそーだと。
    ヤスさん。


    あ、そうか。
    恵比寿がなくなれば、
    都内に住む理由も…。


    でもそんな簡単に行く訳、


    「ん、裏のマンション、買ったよ。」


    ナツさんは。
    店の裏手に、
    指を向けた。


    「おおそうか!そりゃいい!」


    めでてえなぁ!と。
    ヤスさん。


    あの。


    買った、って!?


    マンションを!?


    そんな醤油買っといたみたいな、軽いノリで…。


    買っちゃうもんなの!?


    「カズ。」


    「え、はい!」


    ヤスさんに呼ばれて、
    慌てて向き直る。


    ヤスさんはサングラスを外して、目がしらを押さえた。


    「こいつはふつつか者だが、これからは俺の事を…お父、」


    「やめて父さん。」


    バシ、と。
    ヤスさんのモヒカンが。
    縦に大きく揺れた。


    「いてえ!」


    「余計な事しないで。」


    「ぷっ!あはは。」


    ナツさん…。


    また意外な点、


    発見しちゃった(笑)


    「でもカズ、俺嬉しいぞ。」


    「え?」


    「娘が二人出来たみてーだし。父親としてこんなに幸せな事はない!!」


    「…………。」


    「…………。」


    ぷっ。


    ふふ…。


    ナツさんと二人。







    顔を見合わせて笑った。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■10956 / ResNo.73)  和美のBlue 64
□投稿者/ つちふまず 大御所(998回)-(2005/07/15(Fri) 23:55:45)
    「びっくりでした…。」


    夜風が心地いい、
    帰り道。


    “送るよ。”


    ナツさんの言葉に甘えて。
    約五分程の道のりを。
    二人でゆっくりと。


    「ん…うるさい父親。」


    はぁとナツさんは。
    夜空を見上げながら、


    溜め息。


    「すっかり遅くなっちゃいましたね…。」


    今何時位なんだろう…。


    見上げるとナツさんは。
    していた時計を見ずに。


    「大丈夫。」


    前を見たまま。
    小さく呟いた。


    鎌倉の道は。
    海沿いから一本入ると。


    とっても静か。


    「…………。」


    無言だけど。


    何故か、安心。


    あ、……ふふ。


    追い付けなかったコンパス。


    今は。


    私の歩幅に合わせて、
    ゆっくり歩いてくれてる。


    シャワシャワ、と。
    虫が鳴く音。


    「ん。」


    はい、と。


    ナツさんは、
    利き手の左手を。


    差し出した。


    あ。


    これ、は。


    わわわわわ。


    ナツさんに見えないように、ゴシゴシと右手を。


    ジーンズで拭いて。


    ナツさんの左手を握った。


    あったかくて、
    大きくて長い指。


    う、嬉しい(歓喜)


    「………。」


    「ん、カズ?」


    やば。


    「……ふ、ふぇ。」


    「………どした。」


    突然、


    泣けてきた。


    立ち止まり。


    ナツさんは手を握ったまま、私に向き合った。


    ……止まんない。


    「カズ。」


    「す、すみません…、うっ。」


    収まらない。


    それ位好きで、


    ずっと夢見てた。


    叶わないものだと、


    思ってた。


    「………ですか。」


    「………カズ。」


    「私でいいんですか。」


    なんにもないよ。
    私。


    「……いいの。」


    「…………。」


    顔を上げて。
    ナツさんを見た。


    「カズがいい。」


    「う、……ふ、…っ」


    フワッと、
    抱き寄せられて。


    ナツさんにすっぽり。


    カンガルーの子どもみたいに。


    収まった。


    背中を優しく、
    さすってくれた。


    暫くして。




    「来週、引っ越すから。」




    顔を上げると。


    ナツさんは困ったように。
    でもこれは、


    照れ笑いなんだと。
    後から気付いた。






    街灯と。


    月明かりが、


    手を繋いで。


    終電が過ぎ去った、


    江ノ電の踏み切りにもたれて。









    いつまでも抱き合った。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■10962 / ResNo.74)  すごい!
□投稿者/ hiromi 一般♪(1回)-(2005/07/16(Sat) 01:36:02)
    ぐいぐい引き込まれて一気に読んじゃいました!今、1:30。明日早いのに(笑)素敵なお話でした♪情景がありありと浮かんできました。私の実家も湘南で、鎌倉はよく行ったから余計。葉山のマーロウあたりをイメージしてました。なんか鎌倉行きたくなりました♪また書いてくださいね!

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■10982 / ResNo.75)  和美のBlue 65
□投稿者/ つちふまず 大御所(1000回)-(2005/07/17(Sun) 00:21:40)
    翌週─


    ナツさんの引っ越し日。


    それまではかなり忙しかったようで。


    会えずにいたから。


    どうしても手伝いたい私は。


    引っ越し先である、新築のマンションの前で。


    待っていた。


    「あっつ〜。」


    ジリジリと、
    差す太陽。


    今日も暑くなりそう…。


    あち、と。
    手をはらはら振っていると。


    赤いアルファロメオが、
    五分後位に現れて。


    来た♪


    マンションの前で止まったのを確認して、


    私は運転席側に回った。


    「おはよう。」


    ウィンドウを下げながら、
    ナツさんは微笑んだ。


    「おはようございます。…トラック、後から来るんですか?」


    引っ越し業者の、トラックがいない事に気付いて。


    「ん、来ないよ。頼んでない。」


    ナツさんは眩しそうに、私を見た。


    「え?」


    「とりあえず、乗って。」


    ウィーンと窓は閉まってしまったので。


    あらら。


    慌てて助手席側に、
    回って車へと。


    ─バタン


    「涼しいーっ!」


    ナツさんの車は、
    とってもクーラーが効いていて。


    「ごめん、待たせたね。」


    ………。


    や、優しい。


    照れるよ〜!!


    私のドキドキはおかまいなしに。車は発進した。


    「引っ越し…。あれ?」


    マンションに入らないの?


    「全部置いて来たから。」


    煙草いい?とナツさんは付け加えたので。


    「あ、はい。…置いて来た?」


    え?


    「家具付きで売った。ついでに車も。」


    車の天井にある、
    空気清浄器に。
    ナツさんは手を伸ばして。


    「か、家具付き?」


    マセラティも?


    ふーとナツさんは。
    煙を小さく吐いて。


    「ん。だからなんもない。」


    服以外は、とナツさんは笑った。


    な、


    なんもない!?


    へ!?


    「………という事は。」


    「今から揃える。付き合って。」


    煙草をくわえながら。


    ナツさんはこちらを見て、


    口の端を持ち上げた。


    あ、あの。


    それって、ね?


    ナツさん。


    意識してないかもだけど。


    「初デー…ト。」


    「ん?」


    「な、なんでも、ないです…。」


    「……そうだね。」


    「え。」


    「ちょうどいい。」


    「ちょうどいい?」


    「いやいや何でもない。」




    クックッと。
    またナツさんは笑った。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■10983 / ResNo.76)  和美のBlue 66
□投稿者/ つちふまず 大御所(1001回)-(2005/07/17(Sun) 00:26:15)
    「とりあえず…。家電、かな。」


    横浜にある、大型のショッピングモールに入り車を止めた。


    サイドブレーキを引く。


    「あ、あの、ナツさん?」


    「ん?」


    バタン、バタンと。
    ドアを閉める音が。
    立体駐車場内に響く。


    「今日…、」
    「ん?」
    「あ、いえ。」


    まさか本当に。
    今日揃えるわけ、じゃ。


    ないよね。はは(笑)


    ウィーンと。
    電気ストアに入る。


    独特の活気が感じられた。



    洗濯機、洗濯機…と。
    呟きながら。



    スタスタと歩いてしまう。


    「あ、ま、待って〜。」


    追い掛ける私。







    とは言っても。


    「やっぱり乾燥機付き、いいなー!あ、今の洗濯機って静かなんですよねー!」


    電気屋さんは好きです♪


    すっかりナツさんの、
    引っ越しも忘れて。


    はしゃいでばかり。


    ナツさんは腕を組んで。


    「うん…よし。次。冷蔵庫。」


    アッと言う間に。
    あらら。


    ちゃんと見てるのかな?


    ま、いっか。


    「はーい!」


    楽しい♪




    冷蔵庫も、
    五分程見て。


    私がきゃあきゃあ騒いで見てるのを暫く見た後に。


    「ん。じゃあ次はテレビ。」


    テレビコーナーへ。


    「こ、こんなテレビで見てみたい…。」


    大画面の。
    液晶プラズマ。
    デジタル対応。


    それを囲むように、
    ホームシアターシステム。


    いいなぁ…。
    こんなテレビで。


    ナツさんと映画なんか、
    見ちゃったりして?


    くう〜っ(涙)


    「ん。オッケー。行くよ。」


    「あ、はーい。」


    スタスタとナツさん。


    レジに向かうと。


    「これ。お願いします。」


    は?


    お願いします?


    手には。


    気付かなかった。


    注文カード。


    五枚程持っていて。


    「あの、…ナツさん?」


    チョイチョイと。
    ナツさんのTシャツの裾を、私が引っ張ると。


    「ん?」


    優しい瞳で。
    見下ろされた。


    「ま、まさか購入?」


    「うん。もちろん。」


    ………。


    は。


    早い(涙)


    「あの…私が、選んじゃった、みたいな…。」


    ナツさんは、はしゃいでいた私を、見てただけだし。


    「今日届けてくれるって。」


    良かった、と。


    ナツさんは笑った。



    これ、これが。


    やるやるとは、
    聞いていたけど。







    金持ちA様?


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■10984 / ResNo.77)  和美のBlue 67
□投稿者/ つちふまず 大御所(1002回)-(2005/07/17(Sun) 00:30:30)
    「さて…次は、と。」


    再び、アルファロメオ。
    電気屋さんにいたのは、
    約30分程で。


    「…………。」


    私は声を出せません(涙)


    「家具、かな。」


    あそこにしよう、と。
    ナツさんは言って。
    車は走り出した。


    「あの、ナツ、さん?」


    「ん?」


    立体駐車場から出ると。
    外はギラギラと。
    眩しい光に照らされて。


    「こんな早く、決めちゃって、というか私が決めちゃった、みたいな…。」


    日本語おかしい(涙)


    「いい。カズが使いやすい物、買いたかったし。」


    また空気清浄器のスイッチを押して、ナツさんは煙草に火を着けた。


    「はい?」


    使いやすい?


    なんで?


    「うちに来なよ。」


    「行きますよ?言われなくても遊びに行っちゃうけど♪ふふっ。」


    「…………。」


    へ。


    あり?


    シカト?


    隣を見ると。


    ナツさんは下唇を。
    出していて。


    びっくり。


    「………へ、変な、顔。」


    崩れたナツさんの顔を。
    初めて見た衝撃に。


    「あははは!」


    私はお腹を抱えて、
    笑った。


    「…………ふん。」


    れ?
    今度は機嫌が…。
    悪くなっちゃった。


    「あれ、ナツさーん。」


    「遊びに…遊びに、ね。」


    ふーと煙を吐いて。
    また下唇を突き出した。


    「あ、何か…怒って、」


    「遊びにじゃなくて。」


    思い直したような声。


    「はい?」


    「違う…んだけど。」


    車はいつの間にか。
    大きな倉庫見たいな、
    建物の側。


    広い駐車場に入った。


    「へ、違う?」


    何が?


    はーとナツさんは。
    溜め息をつきながら、
    車のエンジンを切った。


    「あのねカズ。」


    にぶいな…と。
    ナツさんは寂しい目をした。


    え。


    「鈍い?ですか?トロいとは良く…言われま、」


    「一緒に暮らそうって事。」


    口の端を持ち上げる仕草は。いつも通りのナツさんで。


    「……………。」


    「近いんだから。」


    さて、と。
    ナツさんは車のドアを開けて。


    バタンとすぐに閉めた。


    …………。


    くらす、


    暮らす?


    だれと?


    誰が?


    コンコン、と。
    窓をノックする音。


    いつの間にかナツさんは。


    助手席側に。
    立っていて。


    “い、く、よ”


    と。目の前の倉庫を指差した。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■10985 / ResNo.78)  和美のBlue 68
□投稿者/ つちふまず 大御所(1003回)-(2005/07/17(Sun) 00:34:42)
    くらす…。


    「ソファ、と…。」


    暮らす、というのは。


    同じ屋根の下で。


    「これでいいかな。」


    一緒にご飯食べたり。


    「こっちの方が壁紙に合うかな…。」


    一緒にテレビ見たり。


    「カズ。」


    その…。


    生活するって。


    「カズ。」


    ことだよね。
    私と…。


    ナツさんが。


    「和美。」


    へ?


    「あっはい!」


    「どこに飛んでるの。」


    ふーとナツさんは。
    困ったように微笑んだ。


    「す、すみません。」


    リアルに飛んでた(涙)


    「どれがいい?」


    「はい?」


    「ソファ。」


    「あ、はい。………。」


    ぐるっと。
    店内を。
    初めて見渡した。


    広い倉庫の中は。
    古い建物とは裏腹に、


    モダンな輸入家具達が、
    所狭しと並んでいた。


    「お、洒落ですね…、ここ。」


    改めて。
    気付いた。


    「ん?ああ…。何かと世話になってるよ。うちの店は全部ここ。」


    アメリカン。
    ヨーロピアン。
    ジャパニーズモダン。
    アジアン。


    何でもありな、
    店内だった。


    「そうなんですか…。」


    一日見ても、
    飽きなそう。


    「で、どうする。」


    「はい?」


    「ソファ。」


    うーんとナツさんは。
    腕を組んだ。


    な、


    なんか。


    ほんのちょっぴり。
    リアルに感じて来た。


    “同棲”


    でもやっぱり…。


    嬉しいよ〜!!


    きゃあーっ!!


    バフ、と近くにあったソファに、なだれ込むように顔を抑えて座る。


    だめ。


    超嬉しい〜!!


    「それにするか。」


    「…………は。」


    はい?


    顔を上げると、ナツさん。


    「いいセンスだ。」


    と、私の座っていた。
    三点セット、低くてフカフカの白いソファを。長い指で撫でた。


    あ。あれ?


    「次は…と。」


    ナツさんはスタスタと。


    ベッドのコーナーへ。
    歩いて行ってしまった。


    「ま、待って〜。」


    また慌てて、
    ナツさんを追い掛けた。


    続いてベッド。


    ベッド…。


    ベッド(赤面)


    想像するなっていうのがおかしいから。


    照れる…。


    挙動不信な私をおかまいなしに。


    「ベッドは私が決める。」


    ナツさんの右眉が上がって、ちょっとエッチな目に見えたのは。


    意識しすぎかなと。




    私は赤くなった。

    (携帯)
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■10998 / ResNo.79)  hiromiさん
□投稿者/ つちふまず 大御所(1004回)-(2005/07/17(Sun) 11:15:36)
http://www.hamq.jp/i.cfm?i=tsuchifumazu
    初めまして(^O^)
    おや、湘南ですか?
    私も今実家なので。
    湘南にいますよ★★

    これから知り合いの不動産屋さんに行きまして。

    この辺で部屋を借りようかと♪
    実家に戻ってもいいんですが、一人暮らしにこだわるつちです。

    カズの舞台になってるお店も…結構有名ですよ(>_<)
    湘南スタイルや横浜ウォーカーにも良く載りますしね♪

    良かったらHPにも。
    お越し下さいね〜♪♪

    (携帯)
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