ビアンエッセイ♪

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■11000 / ResNo.80)  和美のBlue 69
  
□投稿者/ つちふまず 大御所(1005回)-(2005/07/17(Sun) 11:25:05)
http://www.hamq.jp/i.cfm?i=tsuchifumazu
    結局ナツさんは。
    ソファと同じメーカーの、シンプルなWベッドを選んで(照)


    その他にも棚やサイドボード、テーブルも数点。


    ベッドとソファは、
    白色系の物。


    それ以外の物は。
    濃いブラウン。


    きっと壁紙や、床の色を計算しているんだろう。


    そして。


    「これ、今日までに運んで。」


    「マジっすか!?無理っすよ〜!」


    「出来ない事はない。長い付き合いでしょ。」


    「いやいやナツさん…参ったなぁ。」


    若い店員さんと。
    そんなやりとりを交して。


    カードで購入(ブラックだった。やっぱり。)


    ま、まぁ?


    もうその辺は。


    慣れて…。


    「次は…と。」


    まだ行くんですか(涙)


    でもま、ね?


    「ナツさん。」


    車に乗る前に。


    「ん?」


    アルファロメオのキーを。取り出した時に。


    「嬉しい、です。」


    恥ずかしくて。
    やっぱり目が見れない。


    いつになったら、


    この人の顔を。
    まっすぐ見れるのかな。


    「…まだ足りない。」


    「え?」


    顔を上げると。


    「これからだから。」


    ナツさんは微笑みながら。


    車に乗り込んだ。







    それから買ったのは。


    数点の食器類と、
    調理器具。


    私はキリンの形をしたケトルを。買って貰った(可愛い)。


    ベッドカバーやラグも。
    専門店に行って。


    「これ、悪いけど夜までに。」


    運んでね、と。


    そのたびに得意先である店主は、焦りまくっていた。


    好きな人と、


    する買い物。


    二人の生活の為の買い物程。


    楽しいものはないんだと。


    今日一日で。


    凄く凄く実感した。







    「一通り、いいかな。」


    アルファロメオの後部座席は、いっぱいいっぱいになって。


    ナツさんは手を叩いて。


    満足そうに息をついた。


    「買いましたね…。」


    まさか本当に。


    全部揃えるなんて。


    やっぱりお金持ち、


    だなーなんて(涙)


    改めて実感。


    だってナツさん。


    まるで近所のスーパーに。
    夕飯の買い出しにでも、
    来たみたいなノリ。


    ははは…(汗)







    「あ、そうだ。もう一軒…。」


    「まだあるんですか?」


    「明日にしよう。」


    これは急がなくてもいい、と。ナツさんは頷きながら。


    車を走らせた。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11001 / ResNo.81)  和美のBlue 70
□投稿者/ つちふまず 大御所(1006回)-(2005/07/17(Sun) 11:27:41)
    得意先ばかりを選んで、


    家具や生活用品を購入した訳が。


    やっとわかった。


    「それはここで。」


    「ここっすか?壁に寄せます?」


    「うん。」


    「ナツさんこれ、組み立てときましたから。」


    「どうも。」


    「これお祝いです。観葉植物も置いてきますね。」


    「ありがとう。」


    ほとんどの作業。
    やってくれちゃったから。


    私はちょこんと座って。


    見てるだけでした(汗)


    電気屋さんも来て。


    夜にはナツさんの2LDKのマンションは。


    モデルルームみたいに、綺麗な形で。


    住む準備が整った。




    「さて、完了。」


    業者の人達がいなくなり、
    ナツさんはソファに。


    深く腰掛けた。


    隣のナツさんを見て。


    「お疲れ様でした。」


    「ん。」


    一瞬の静寂で。
    私はある事に気付いて。


    「今度はオーシャンビューですね。」


    「ん?あ…。うん。」


    開いたブラインドの向こう、多分耳をすませば。


    波音も聞こえる位。


    「贅沢過ぎて、バチ当たりそう…。」


    ナツさんの隣で。
    膝を抱えて。


    「ちゃんと働いてもらう。」


    心配しなくていい、と。
    ナツさんは煙草に火を付けようとしたので。


    「ナツさん。」


    待って。


    「ん?」


    くわえようとした煙草を。
    ナツさんは引っ込めた。


    「あ…あの。」


    くっつきたいなーなんて。


    「?」


    「あ、暑いですね!」


    「ん。クーラー入れる。」


    ナツさんは立ち上がり、まだビニールにかかったままのエアコンのリモコンを。


    手に取った。


    あ、あら。


    離れちゃった(涙)


    ああんもう…。


    「カズ。」


    ピ、という音の後に。
    エアコンはすぐに。
    冷風を吐き出してくれた。


    「はい?」


    ソファの後ろに回っていたナツさんが。


    急に私の耳元に顔を近付けて来て。


    思わず体が固まった。


    「水玉パンツは…部屋で干してね。」


    寝室を指差して。


    ナツさんは笑った。


    「んもう!」


    「クックッ。ふっ!」


    ペタペタと素足で。


    ナツさんは笑いながら。


    「着替え、とりあえず持っておいで。夕飯用意しておく。」


    あ。


    「は、はい!」


    振り向いて見る、ナツさんの背中。


    クックッと。






    いつまでも笑ってた。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11002 / ResNo.82)  和美のBlue 71
□投稿者/ つちふまず 大御所(1007回)-(2005/07/17(Sun) 11:30:25)
    ズルズル。


    「おいしーい!」


    ピカピカの浴室で、
    シャワーを浴びた後。


    ナツさんの用意した、
    冷たいおソバ。


    梅とシソ、大根おろしと…。なめこが絡まってて。


    夏らしい引っ越しそばを、
    二人ですすった。


    「ん。」


    ナツさんも満足そうに、
    蕎麦焼酎に口を付ける。


    波音ひびく、
    海沿いの部屋。


    「なんか…。」


    「ん?」


    「夢、みたいな。」


    気がします。


    「そればっかり。」


    クックッと。
    ナツさんは。


    笑ってばかり。


    「す、すみません…。」


    「カズの部屋の契約、切っておいたよ。」


    え?


    は、はやっ!


    「近い内に荷物、まとめておいて。」


    「は、はい。」


    「業者に連絡…、」


    「あ、いらないです。」


    「ん?」


    ふふ、と思わず。
    私は笑った。


    「私も体一つで来ます。」


    新しく始めるなら。
    そうしたい。


    「そう…わかった。」


    ナツさんは目を落として。
    またグラスに口を付けた。


    ヒューパチパチと。


    外で響く、
    花火の音。


    あ。


    そうだ…。


    「ナツさん。」


    「ん?」


    「あの…お願いが、あるんですけど。」


    「何?」


    「え、と…。」


    「何かまだ、欲しいもの…。」


    あるかな、と。
    ナツさんは広い部屋を。
    見渡した。


    「ち、違います!」


    欲しい物なんて、
    これ以上ない。


    「?」


    「花火…しませんか。」


    「花火。」


    ああ、そうか、と。
    ナツさんは外を見るように。


    「あ、いや!いいです!疲れて…ますよね。」


    「いいよ。」


    見るとナツさん。
    やっぱり優しい顔で。


    「え。」


    「やろう。」


    わ。


    わーい!!(涙)


    「もういいの?」


    おソバ、とナツさん。


    「た、食べます!美味しいし!……ゴホ。」


    慌てて口に入れたおソバ。


    「ゆっくり。…時間はあるんだし。」


    むせた私に。


    ナツさんは呆れたように。


    微笑んだ。







    時間はあるんだし。




    忙しいナツさんの言葉。







    すごく嬉しい一言だった。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11004 / ResNo.83)  和美のBlue 72
□投稿者/ つちふまず 大御所(1008回)-(2005/07/17(Sun) 11:35:01)
    夜の海。


    夏に酔いたい若者が。
    いつまでも帰る事はない。


    そこから少し離れて、


    誰もいない海の家の前。


    「花火が似合う。」


    手持ち花火を、
    両手に持った私を見て。


    ナツさんは目を細めた。


    「え?そうですか?」


    パチパチと光る、
    赤い火薬達は。


    顔が赤くなるのを隠してくれるから、都合がいい。


    「ナツさんも。はい。」


    「ん。」


    長い指に、
    一本渡すと。


    ろうそくにかざして、


    すぐにパチパチと。
    青い光を放った。


    「カズのパンツの色だ。」


    「え。」


    何!?


    慌ててかがんでいた、
    自分の腰の辺りに触れる。


    「今日一日見えてた。」


    「ひゃあ〜っ!」


    股上が浅いジーンズを。
    履いていた事に気付いて。


    気を付けないとパンツが見えちゃう形。


    気が緩んでた…(涙)


    「和美のBlue。」


    クックッと。
    ナツさんは口を抑えて。


    「んもー!!」


    頬を膨らます私に。


    ナツさんの顔は青い光りに照らされたまま。


    笑ってた。


    「締めは線香花火でー!」


    ナツさんの隣に座って。
    細い線香花火に火を付ける。


    ぶぶぶ、と。


    火がくすぶった後に。


    小さくパチパチと。
    音を立てる。


    「勝負しましょう。」


    これがやりたかったの♪


    「ん。」


    いい度胸だ、とナツさんも。私に体を寄せた。


    最初は小さくパチパチと。
    徐々に花開くように。


    「綺麗。」


    「ん。あ…。」


    「え?」


    見るとナツさんは。
    口を少し開けて。


    「…ックシュ!……あ。」


    ポトリ。


    ぷっ。


    「ふっ。アハハハハ!」


    「…………。」


    むーと。
    ナツさんは。
    火の消えた線香花火の。
    先を睨んで。


    「あっけない…。」


    ポツリと呟いた。


    「ナツさん…面白い。……あ。」


    私の線香花火も。
    静かに消えて行った。


    「ワンモア。」


    「はいはい。」


    次は勝つ、と。
    また花火を手に。


    ろうそくにかざす。


    またぶぶぶ、と。
    先端の塊が震えて、


    徐々にパチパチと。
    光りを放つ。


    夏のわずかな。
    赤い光達。


    ふと隣を見ると。


    ナツさんと目が合った。


    どちらともなく。


    顔を寄せて。


    パチパチと花開く、
    線香花火。





    玉が落ちても。








    キスを重ねた。


    (携帯)
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■11010 / ResNo.84)  Re[2]: 和美のBlue 72
□投稿者/ 蓮 一般♪(1回)-(2005/07/17(Sun) 22:01:27)
    はじめまして、3日前からつちふまずさんの作品読ませてもらいました。
    何だか一気に読むのはもったいないくらい素敵な作品です。
    好きなものは最後に食べるたちなのに、どうしても読みたくて結局読んでしまいました。
    こちらは大阪なので海はそんなに(全然)綺麗ではないです。
    でも、この作品から急に海が恋しくなったので、今日は海に行ってきました。
    ついでにタコも釣りました。リオさん取れなかったタコ取りましたよ。えへへ
    続き楽しみにしています。
引用返信/返信 削除キー/
■11027 / ResNo.85)  和美のBlue 73
□投稿者/ つちふまず 大御所(1010回)-(2005/07/18(Mon) 23:18:04)
    夏と。


    夜の海と。


    誰もいない海の家。


    キスをするには。
    盛り上がり過ぎる、


    シチュエーション。


    重なりあった唇から、
    漏れる吐息と。


    体にかかる、
    海風に。


    このまま、と。


    考えてた。


    「……好きだよ。」


    少し離した唇から、
    低くて甘い声。


    「…私も。」


    言っては重ね。


    確かめ合う。


    背中に回された手が。


    長い指によって、


    敏感な体に。
    変化する。


    「………ふ。」


    体がびくっと。
    跳ねてしまったので。


    思わず顔を離した。


    ちょっとした。
    照れ隠し。


    「ね、ナツさん。」


    「ん。」


    額をつけて。


    「何でまた…私なんですか。」


    ん、と付けていた額を。


    ナツさんは離した。


    あ、ありゃ。


    ちょっとズレた…。


    質問しちゃったかな(涙)


    驚いたような瞳の後に。


    ナツさんの顔は、
    すぐに緩んだ。


    「さぁ…どうしてだろう。」


    遠い目をして。
    海を見た。


    「何だかまだ信じられなくて。」


    朝起きたら夢だった、


    なんて事…。


    「例えば。」


    「え?」


    いつもはナツさんは。
    あまり言葉が多くない。


    「例えば…。美人を100人探すのは、楽だと思う。」


    でも珍しく、
    少し早口で。


    「…………。」


    ん?


    「でも、“これだ”と思える人は…探すのは大変。」


    「あ、…はい。」


    「大抵私に近寄るのは…、同じタイプの人間が多い。」


    美人ばっかり、
    なんでしょうね…。


    「お腹一杯なんだ。もう。」


    ナツさんのお腹をさする仕草に、思わず微笑んだ。


    「お腹一杯…ですか。」


    「ゆっくり生きたい。」


    「ん……。」


    「まだ信じられない?」


    「え…あ、まぁ。」


    困ったな、と。
    ナツさんは頬を掻いた。


    「ふふ。でも…。」


    ん?とナツさんはこちらを見た。


    「…私も磨きます。待ってて下さいね。」


    “女を磨く”


    これはこれからも…。


    続行させなきゃね。


    「それが見えるからかな。」


    「え?」


    「カズがいい理由。」


    「そうですか(照)」


    「育てたくなる。」


    それって。


    「遊び過ぎですよ、今まで。」


    んもー。


    頬を膨らますと。
    ナツさんは私の肩を抱いて。





    額にまた唇を寄せた。

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11028 / ResNo.86)  和美のBlue 74
□投稿者/ つちふまず 大御所(1011回)-(2005/07/18(Mon) 23:22:56)
    「しろくじちゅうも…、」


    手を繋いで。
    浜辺を歩き、


    「好きといって…、」


    階段をゆっくり登って。
    車道を渡る。


    「ゆめのなかへ、」


    人の少ない裏通り。
    街灯の少ない、
    古い路地。


    「つれていって…。」


    手を繋いで、
    歩き歌う私に。


    ナツさんはただ。
    微笑むだけだけど。


    それでもすごく。


    嬉しい。


    マンションが見えて来た時。


    私は歌うのをやめた。


    カツ、カツ、カツと。
    ミュールを響かせて。


    小柄な女性。


    こちらに近付いて来る。


    「…サキ。」


    誰が教えたんだ?と、
    ナツさん。


    「え、誰?」


    その女性は。
    私達の前で止まり。


    「随分毛色が変わった子、連れてるんですね。」


    向き合ったその人は。


    夏だというのに、
    肌が真っ白で。


    ナツさんが外人さんみたいに、彫りの深い顔なら。


    その人はいわゆる、
    日本美人。


    「なんでここに?」


    ナツさんは。
    冷たい口調で。


    「別にいいでしょう。」


    その人も冷たく放った後に。私を見た。


    う。


    うわわわわ。


    綺麗だけど、
    怖い…(涙)


    「この子?ナツさんに好きな子が出来たって…聞いたけど。」


    「そうだよ。」


    「……ふ。」


    鼻で笑われた(涙)


    繋いでいた、ナツさんの手に力を込めた。


    「カズ、行こう。」


    その人から。
    離れようとすると。


    「鍵、返して下さい。」


    その人の声が。
    静かな通りに響く。


    鍵?


    ナツさんは止まって。


    「郵送する。」



    背中合わせの会話。



    私は思わず、
    振り向いてしまった。


    ………あ。


    あれ。


    その人は。
    寂しい表情で。




    私を見てた。




    首元のシンプルなネックレスが、綺麗な顔を際立たせて。



    「頑張ってね。」


    え。



    その人は。
    回れ右をして。


    去って行った。


    …………。


    涙?


    一瞬見えた、ような。




    「行こう。」


    ナツさんは私の肩を抱いて。


    マンションに入った。


    エレベーターに乗り。


    「………ごめん。」


    見上げるとナツさんは。
    バツの悪そうな顔で。


    「ううん…。」


    大丈夫。


    大丈夫、だけど。


    「…………。」


    なんとなく。
    言葉を交しにくいまま。




    部屋に入った。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11029 / ResNo.87)  和美のBlue 75
□投稿者/ つちふまず 大御所(1012回)-(2005/07/18(Mon) 23:26:03)
    「元カノ…ですか?」


    部屋に入り。


    リビングテーブルに。
    キーケースを投げる、
    ナツさんに聞いた。


    「そんなんじゃ、ないよ。」


    鍵を。


    持っていたという事。


    まだ返されてないという。


    事実。


    「鍵…。返して、ないんですか。」


    ナツさんの隣に。
    静かに座る。


    「でももう、使わないし。」


    飲み物入れよう、と。
    ナツさんは立とうとしたので。


    「待ってナツさん。」


    「ん?」


    立った姿勢のまま、
    ナツさんは私を見下ろした。


    「どこにあるの?鍵。」


    「確か車の中に…。」


    あるよ、と。


    「返して来て下さい。」


    え?とナツさんの、
    驚いた瞳。


    「いいよ。後から送る。」


    断られた事が。
    少し嫌な気分を産んだ。


    「…………。」


    いや。


    なんとなく。


    それじゃ、いやなの。


    「でもあの人、もう終電間に合わないよ?」


    都内の人なら。
    ここからじゃ、
    遠すぎる。


    「…タクシーがあるよ。」


    「……でも。」


    うつ向いた私に。
    ナツさんはしゃがんで。


    「カズ。もう過去の事だし。」


    ね?と肩を、
    両手で撫でられて。


    「じゃあどうして、まだ鍵を持ってるんですか。」


    「…………。」


    「返さない理由が、あるんじゃ?」


    あの人は。
    なんとなく。


    “慣れてる”風だった。


    ナツさんに。
    彼女が出来た、
    という事実に対しても。


    「返す理由が、今までなかっただけだよ。」


    真剣な目。
    どういう意味?


    「お願い。行って。」


    「…………。」


    ナツさんは。
    何かを考えるように。
    うつ向いた後。


    「信じては、くれないの?」


    また顔を上げて。
    そう言った。


    信じたい。


    信じたいよ、ナツさん。


    でも。


    「…まだ無理です。」


    正直な気持ちだった。


    「わかった。すぐ戻る。」


    うつ向いていた私の額に。
    一回キスをして。


    ナツさんは早足で。



    部屋を出て行った。



    バタンと閉まる音─


    「…………。」


    バカ。


    私……。


    あれじゃただの、


    ワガママじゃない…。


    ソファにバタンと。
    横になった。


    行かせて良かったの?


    本当に彼女じゃない?




    考えたくない。




    疑う気持ちが。





    私の中に充満した。


    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■11030 / ResNo.88)  和美のBlue 76
□投稿者/ つちふまず 大御所(1013回)-(2005/07/18(Mon) 23:31:33)
    何かを欲しいと思う事は。
    ここ何年もなかった。


    大抵の物は、
    手に入れて来たから。


    人も然り。
    良い女だと思ったら。
    自分の手の内に入れた。



    事業も同じ。
    お金も同じ。
    全て同じ。


    「…サキ!!」


    鎌倉駅のロータリー。タクシーに乗り込む瞬間を抑える事が出来た。


    「………。」


    何で此処にあなたが?
    とでも言いそうな顔。


    確かに。
    私は絶対に。


    人を追い掛けたりしない。


    「ビーサンで走るナツさんなんておよそ見たくないんだけど。」


    息を切らせる私に。
    呆れたようにサキは、
    溜め息を着いた。


    「これ。」


    握り締めていた鍵を。
    サキの手を取り、
    掌に滑り込ませた。


    「……。」


    サキは掌を広げて、
    小さく微笑んだ後。
    それを握った。


    「今まで返す機会がなかった。ごめん。」


    「一服付き合って下さい。」


    サキはロータリーの端にあった、バス停のベンチを指差した。


    「…わかった。」


    早く帰りたいけど、仕方がないか。





    静かなロータリー。
    二人でくゆらせる、


    煙がやけに目立つ。


    「…皮肉ですね。」


    フッとサキは。
    一つ笑って。


    「……何が?」


    「結局ナツさん…。してやられたんでしょ?」


    「………。」


    「リョウに。」


    「……まぁね。」


    トントン、と。
    ベンチの端で、
    灰を落とす。


    「かつての部下がね…。」


    「仕方なかった。それにもういい。」


    こう思えるのに。
    結構な葛藤があったけど。


    中目黒、
    そして恵比寿。


    私の経営していた二つのレストランバーは。同じ人間に買収された。


    かつて私の下にいた人間。




    「やり返さないの?」


    フフとサキは。
    面白い、とでも、
    言いたそうな。


    「しない。鎌倉があればいい。」


    「ふーん。そう。」


    つまんないの、と。
    一つ呟いて。


    「私には足りない物があった。だからリョウに負けたんだよ。」


    絶対に気付かなかった。
    多分失わなければ。


    「何?お金?」


    「違うね。」


    「じゃ、何?」


    「横の繋がり、縦の繋がり。人と繋がってなければ経営は出来ない。」


    「ふーん。」


    「それにリョウのバックには…。」


    「え?」


    「ん。いや…。ふふ。」



    敵うはずがなかった。


    リョウの上には。




    彩子がいるんだから。

    (携帯)
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■11031 / ResNo.89)  蓮さん
□投稿者/ つちふまず 大御所(1014回)-(2005/07/18(Mon) 23:37:26)
http://www.hamq.jp/i.cfm?i=tsuchifumazu
    初めまして(^O^)
    タコ取れたんですか★
    ぬふふ♪

    HPも良かったらお越し下さいね!

    連休中は不動産に海に花火に彼女にと、中々ドタバタと…。
    遊んで参りました(>_<)

    小説は少しだけ、
    ナツさん視点にチェンジ。

    これからもよろしくお願いしますね〜(^O^)

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/

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