| 「…………ん。」
明け方の。
薄い羽毛布団…。
うつ伏せに寝ていた、 頭を起こす。
ん……。
ふふ。
眠るナツさんの、
静かな静かな。
寝顔。
寝室をほんの少しだけ照らす、朝方のぼんやりとした光。
彫りの深い横顔に。
綺麗に陰影を。
前髪が伸びたね…。
そっと額の辺りに触れると。
「ん………。」
あ。
起き…、
体をこちらに向けて。
片腕を私に。
回して。
…てないか。良かった。
向かい合う。
ふふ。
綺麗な鼻筋…。
眉と目の間が、 ナツさんはすごく狭い。
だから余計に。
端正な顔を作ってる。
くすぐったいね。
あ。
アタタタ。
太股をこっそりさする。
内股の辺り。
突っ張るような。
筋肉痛。
“……力、抜いて?”
“……うん。”
そんなやり取りを思い出して。
顔が熱くなる。
セックスを知った夜。
朝は特別な痛みを抱いて。
それでもすごく。
幸せ。
ふーと息を着く音。
「………ん、何時?」
あ、起きちゃった。
パチパチと。
ナツさんは、
長い睫毛を揺らせて。
私に体を寄せる。
「……まだ早いよ。」
首の下に回された腕に乗る。
「うん………。」
まだ眠そうに、 ナツさんは私の額に。
深く息を吐いた。
私も目を閉じて。
まどろむ明け方…。
「……後でお散歩、行こう。」
頭上で。 低いナツさんの声。
「………うん。」
エリーもきっと早起きだから。
海で離そうね。
遠くで聞こえる。
早起きセミの声。
熱帯夜の後は。
幸せ過ぎる初夜の朝。
(携帯)
|