ビアンエッセイ♪

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■11198 / ResNo.20)  Girl Holic44
  
□投稿者/ エビ 大御所(261回)-(2005/07/22(Fri) 22:14:07)
    アキと別れー



    自分の部屋に続く階段を昇る私の身体は



    鉛のように重い。




    でも


    頭の中はやけにクリアで。



    取り乱す?


    泣きわめく?



    そんなことはなく。



    私の姿を


    遠くからもうひとりの私が見ていてー




    薄く笑っているような感じ。





    “また繰り返しちゃったんだね”



    そう言って。



    自分の愚かさを



    私が笑う。






    玄関の鍵を開け


    部屋に入る。




    昼間無人の私の部屋は。


    7月の蒸し暑さをいっぱいにため込み


    不快な湿気が肌にまとわりついた。




    ‥‥‥






    終わっちゃった、



    かな。




    ‥当然か。




    床に座り


    自分の膝を抱く。







    ひとりじゃダメなんだよね。



    でも


    ふたりだからもっとダメになっちゃった‥‥。





    正しい愛し方ー



    理屈ではもうわかってるの。



    傷つけ傷つくたび


    何度も学んだの。




    でも


    いつのまにか‥



    自分にブレーキが効かなくなる。




    一度甘い毒の味を知ってしまったら



    それに身体が慣れてしまったら。




    毒を抜くのは



    とても難しい。






    ‥‥



    私の欠落した部分を埋めるように注がれた。



    アキの




    ‥‥‥


    ‥‥




    愛。






    不思議だね



    アキと過ごした時間を思い出すと。



    幸せな気持ちになれる‥




    短い時間でも。



    私があなたに愛されたことは



    真実だよね?




    ‥‥



    あ‥




    何でかな。



    私結構幸せな気持ちなのに




    ‥‥‥



    また泣きたい。




    ‥‥っ




    素敵なあなたに



    こんな言葉しか見つからなくてごめんね?



    ‥‥




    好きよアキ



    大好き。




    大好きだった‥










    その時ー





    電気も付け忘れていた暗い部屋に。





    ピンポ〜ン♪







    気の抜けたインターホンの音が響いて。




    ‥‥






    玄関のドアの向こうから聞こえてきたのは。










    「‥サキ助」






    アキの声。






    「外はめっちゃ暑いねんぞ。開けな火つけたるブツブツ‥」




    意地悪で





    優しい。







    アキの声だった。




    (携帯)
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■11203 / ResNo.21)  NO TITLE
□投稿者/ さとみ 一般♪(1回)-(2005/07/23(Sat) 01:38:42)
    いやぁ〜・・・サキちゃんは私と同じです:_;
    がんばれがんばれがんばれ!!!
    いつもいつも楽しみにしています^^
    がんばってくださいね!!

引用返信/返信 削除キー/
■11208 / ResNo.22)  さとみさん
□投稿者/ エビ 大御所(262回)-(2005/07/23(Sat) 10:21:51)
    おはようございます、さとみさん。エビです。

    サキちゃんと同じ、ですか?そういう方たくさんいらっしゃるかなと思って描いたんです。


    がんばれがんばれサキ蔵〜(適当?)


    応援を耳に頑張ってくれることでしょう!


    私も。頑張ります(笑)


    ありがとうございました(^-^)



    (携帯)
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■11211 / ResNo.23)  Girl Holic45
□投稿者/ エビ 大御所(263回)-(2005/07/23(Sat) 15:21:45)
    コトリ‥



    私とアキの前に置かれた


    冷えたジンジャエールが入ったコップ。



    「‥何でこの部屋こんな暑いねん」



    アキが機嫌悪そうに言う。



    「今クーラーつけたばっかりだから‥」



    部屋に戻ってからしばらく


    電気もつけず膝を抱えていた私だ。



    「‥‥‥」



    「‥‥」




    短い沈黙の中ー


    私はジンジャエールに口をつけた。



    炭酸の小さな破裂がパチパチと起こり


    乾いた唇を刺激して。




    ‥少し痛い。




    でも


    甘さと清々しさのある味が喉を通ると‥



    美味しい。





    痛みと甘さー



    私がジンジャエールを好きな理由。






    「‥‥‥」



    「‥‥」




    沈黙の中にも


    透けて見えるのはー





    アキが



    私にとても気を遣っているということだった。






    ‥‥私には



    優しくされる資格なんてないのに。




    なんで‥?







    「あのさ‥」



    アキが口を開く。



    「ハッキリせえへんのって嫌いやねん。ごっつモヤモヤする」



    「うん‥」




    「何でサキは今日あんなことしたんや?」




    ‥‥



    まっすぐ


    直球。




    アキらしい言葉。





    何故私がサトシ君についていこうとしたかー




    ‥‥‥




    アキが他の男の子と親しくしていて



    下の名前で呼びあったり



    ‥‥してたから。





    ‥‥‥。






    自分でも改めて



    くだらない理由だなと思った。





    でもあの時。



    私を動かしたのは


    確かにそんな“くだらない”理由だった。





    「言葉を選ぶ必要なんてあらへん」



    アキが私の目を


    ‥‥


    見る。




    「サキが思ったこと。そのまま聴かせてくれたらええ」



    「‥‥」



    「サトシっちゅう‥あいつがタイプやったんか?」



    「違う!」



    ぷるぷる‥



    「やろなあ。パッとせんタイプや」



    ‥確かに



    「ヤサ男やし‥」



    ‥ハイ



    「ネクタイの趣味も悪い‥」



    ‥ふ




    「ふふ‥」





    私は


    何時間かぶりに笑った。






    過度の甘えを与えられていることはわかっていた。



    けれど




    アキの優しさが






    私はやっぱり嬉しかった。





    (携帯)
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■11212 / ResNo.24)  Girl Holic46
□投稿者/ エビ 大御所(264回)-(2005/07/23(Sat) 15:26:20)
    全てを



    アキに話した。



    私が今夜感じたこと


    私が今までしてきた恋愛。




    私の



    弱さ。





    恥ずかしいというか


    言葉にするとすごくみっともないなと感じたけれど。




    「うん‥」



    「そうか‥」




    私の話を静かに聴いてくれるアキには



    素直でありたいと思った。




    受け止めて欲しいなんかじゃなくー



    伝えることが大事だと思った。






    「‥‥なの。」




    私がすべてを話し終え。






    二人でジンジャエールに口をつける。





    やっぱりそれは




    甘くて痛い味がした。







    「サキ」



    「‥ん?」



    真剣な話をする時のアキの声は


    いつもハスキー。




    「先に事実だけ言うで」



    ‥何?




    「ケンのことな」



    ‥アキの口から聴く

    あの男の子の名前。



    やっぱり少し胸が痛‥‥





    「ケンはな、私の小学校の時の同級生や」




    ‥‥‥





    へ?




    「ケンが私よりチビやった頃。よう遊んだ」




    ‥え



    ええっ?




    「会うんは15年ぶりくらいやから最初は分からへんかったんやけど」




    ちょ



    ちょっと待って‥





    へ?(混乱)





    「話してるうちなお互い思い出して。話がはずんだ」




    ぽかーん‥‥





    「ちなみにケンはもうすぐ結婚しよる」



    あ‥わ‥





    「結婚前に何をコンパ来てるねんって蹴り入れたった」




    つまり‥





    「私とケンに何かあるわけなんかない。」




    つまりそれは‥



    つまり‥









    「杞憂、や」




    ‥‥




    ‥ですね。





    「アホサキ」



    その通りです‥




    「空回りマン」



    返す言葉がありません‥(泣)




    うつむく私に




    「ふっ‥」



    アキの笑う声が聞こえてきて。




    「‥‥‥」



    笑わなくたって‥



    いいじゃん。




    「嫉妬、やな」


    「‥‥」


    「ジェラシーサキ」


    「‥‥‥」



    ふん。





    「‥ぷっ」



    「‥ふふふ」




    恥ずかしさのあまり顔を上げられない私の顎に



    アキがそっと触れ。







    私達は久しぶりにー




    目を合わせて笑った。





    (携帯)
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■11213 / ResNo.25)  Girl Holic47
□投稿者/ エビ 大御所(265回)-(2005/07/23(Sat) 15:30:46)
    「でもな‥」



    アキにハスキー声が戻る。




    「どんな理由があったとしても。あんなあてつけみたいなことする奴は」



    ‥‥‥




    “大っ嫌いや”



    アキはそう続けた。



    「無意味に傷つけ合う必要なんてないやろ」



    「‥‥」



    「サキが取った行動は。私には理解できん」




    そこまで言って


    アキは小さくため息を吐いた。




    「‥‥‥」




    穏やかな口調のアキのその言葉は



    どんなに激しく責めたてられるより厳しく。




    言葉は見つからなかった。






    「私がここに来たんは‥」



    その時のアキは


    いつもより口数が多かったように思う。


    「私がここに来たんはな‥」



    その口数の多さは



    「サキとこのまま終わるんは嫌やって。思ったからや‥」



    アキの優しさで。




    「簡単に終わらせるような関係やとは思いたくなかった」




    アキの優しさだから‥。




    私は



    自分の情けなさと


    自分の弱さが悔しくて悔しくて。




    ‥‥っ




    涙が出た。







    「‥‥ごめん」



    涙で言葉がつまる。



    「ごめ‥‥」




    なんでそんなに


    優しいの‥?






    私は



    変わらなければいけない。




    強く



    強く強く。




    強く強く強く





    そう思った。






    「‥‥」



    無言のアキ。






    この人は。



    私の気持ちを誰よりもわかっていて


    私の欲しいものをいつだってわかってくれるから。




    次にアキがどうするかー




    私にはわかっていた。





    「サキ‥」



    アキは私の肩を引き寄せ


    抱きしめる。





    それは



    私が一番して欲しいことだったから。





    「サキ」



    涙が溢れて溢れて


    息が苦しい。





    ぎゅっとー


    アキに抱きしめられ

    暖かい温度に包まれた。









    でも。





    私は



    変わるんだって決めたから



    変わらなければいけないって思ったから。




    ‥‥



    アキの身体を


    自分から離した。






    強くなりたいー




    私はあなたが



    好きだから。






    だから私は。




    優しく甘いアキの腕を






    ふりほどいた。




    (携帯)
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■11214 / ResNo.26)  Girl Holic48
□投稿者/ エビ 大御所(266回)-(2005/07/23(Sat) 15:35:22)
    「サキ?」



    アキの腕をほどいた私の顔を


    不思議そうに見るアキ。




    「‥アキ、あのね」


    顔を濡らす涙をふいて


    正面からアキに向き合う。




    もう‥



    後悔して泣いてばっかりの自分ではいたくない。





    「アキ‥」



    「ん?」




    いつも優しく強い


    アキの声。




    「私はアキが好き」


    「‥‥‥」



    「だから今は。甘やかさないで」



    「サキ‥」



    「あなたにずっと好きでいてもらいたいの」



    「‥‥」



    「自信を持って、あなたに愛されたいの」



    「‥‥‥」




    「だから私は。強くなりたい」





    自分の意志を確認するように



    言葉を伝えた。






    もう



    弱さを理由になんてしない。




    大切な人を失って



    涙と後悔しか残らないのはもうたくさん。





    本当に好きな人を



    絶対に失いたくない人を。






    私は見つけたから。





    変わりたいのー







    「だから少し待って、アキ」



    もう泣かない。




    「びっくりするくらいいい女になって。アキのところに帰るから」



    これは


    本心。






    「‥ふっ」




    アキが頬を緩めた。





    「さらにいい女に‥なるんや?」



    アキはいたずらに


    ニヤっと笑う。





    「そうだよ」



    今度はあなたが私に


    溺れちゃうくらいにね。




    「それは‥悪くないなぁサキ」



    「‥でしょ?アキ」


    「‥‥」


    「‥‥」


    「‥ふっ」


    「ふふ‥」





    信じ合える関係って


    こんなに温かいんだ。




    アキといて


    そう感じた。






    「待つよ」



    アキが顔を上げ

    私に言う。



    「待つ。サキが帰ってくんの」



    ‥‥‥




    ありがとう。



    アキ‥




    「その間に浮気とかしたら‥許さないかんね?アキ」



    アキの柔らかい頬をつねる。




    「そんな余裕‥あるかいな」



    アキはちょっとふてくされた顔で



    「サキでいっぱいいっぱいやのに‥」



    小さくつぶやいて。




    ぽすっー




    私の頭を軽く撫でた。






    そのアキの手は。







    どんなキスより





    どんなベッドでの行為より。







    温かかった。





    (携帯)
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■11215 / ResNo.27)  毎度ぉ〜♪♪
□投稿者/ ミキ 一般♪(3回)-(2005/07/23(Sat) 15:47:55)
    今日も エビさんの新作を見る追いかけっこしてました♪5分おきぐらいに エビさんが出してくれるので 時間見ながら 読んでおりますf^_^;(ある意味ストーカー!?)夕方 近所のお祭りで 子供を連れてわたあめでも 食べてきます o(^-^)oおみやげ いりますか?って話の前に…サキとアキ…あたしなら…アキに甘えてるな…アキがいたから サキは大好きな人の為にかわっていこうとしてる…(^_^)うんうん♪あたしには 無いサキが偉い!! 偉いゾー!サキ〜って 毎度長文で…すんません(:_;)またまた 楽しみしてます♪♪

    (携帯)
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■11216 / ResNo.28)  ミキさん
□投稿者/ エビ 大御所(267回)-(2005/07/23(Sat) 15:57:39)
    こんにちは。いつもありがとうございます(^-^)


    おみやげは‥金魚2匹、大きくならないやつでお願いします(笑)


    おまけにもうひとつ更新するので‥


    お祭り共々楽しんでください。


    ありがとうございました。



    (携帯)
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■11217 / ResNo.29)  Girl Holic49
□投稿者/ エビ 大御所(268回)-(2005/07/23(Sat) 16:00:50)
    それから私はー



    頑張ってみた(と思う)。




    “強くなる”



    “恋愛だけが全てじゃない大人の女になる”



    そう決めてみたものの‥




    はて。




    何からしたらいいんだ‥(迷)




    思い返してみれば今までもー



    恋愛をするたび


    他のことにはまったく目が向かなくなる私だった。



    恋人ができると付き合いが悪くなる女友達‥



    それが私で(情けない)



    『趣味は?』


    と訊かれても。



    うーん‥



    恋愛?



    それしか思い浮かばないのが私だった(情けなすぎる‥)






    恋愛中毒だった私。



    私にはー


    相手を尊ぶ気持ちが欠けていたように思う。




    アキがいつか言っていた。



    『誰かに優しくすることはな、自分に優しくいる一番の方法なんやで』



    あの言葉を思い出す。




    無意味に傷つけ傷つかない為に



    相手を尊ぶ気持ちを忘れないこと。





    それには‥



    自分に余裕を持ち


    恋愛をしている自分以外に



    誇りを持つこと。




    それが大切ー





    アキの


    「待つよ」


    その言葉を信じて。






    私の毒抜き作業が始まった。






    まずは‥



    連絡をご無沙汰にしていた長年の友達に連絡を取ろう。



    『何よ急に。彼氏と別れたの?』



    なんて言われちゃうだろうけど‥(トホホ)



    でも


    恋人以外の人間関係を大切にすることは

    大人としても肝要なこと。





    あとは‥


    ずっとサボっていた資格試験の勉強


    もう一度始めよう。



    それから‥


    忙しさにかまけてあんまり読まなくなった本。


    大好きな本を読む時間を


    もっと持とう。





    あとは‥



    それから‥








    実際。


    始めることは何でもよかったんじゃないかと思う。



    趣味、友達、勉強‥


    恋人以外と向き合う時間が


    私には必要だった。






    その間アキとはー



    相変わらず会社で隣同士。



    何も変わらず


    話したり


    笑ったり‥。






    変わったのは



    キスをしなくなったことくらい。





    友達、親友、恋人‥


    曖昧な境界線に立つ私達だったけれど



    そんなことはどうでもよくなり。




    アキが大切。





    その気持ちが




    大きくなっていった。



    (携帯)
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