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■12639 / ResNo.10)  Re[8]: 砂漠の花
  
□投稿者/ れん 大御所(280回)-(2005/09/02(Fri) 23:26:29)
    そして翌日・・・
    アタシは小さい紙袋にプレゼントを入れて、朝早く会社へ向かった。
    朝からとてもドキドキしていた。
    れんちゃんに近づくことばかり考えていた。
    と、運のいいことに朝一に偶然給湯室でれんちゃんにばったり。

    「あ。れ・・れんちゃん、おはよう!」

    「あ・・・橘主任!おはようございます」

    「あ、あのね・・・」

    「はい・・?」

    「えっとね、今日は・・・」

    「?」

    「おはようございま〜す!!」

    れんちゃんに今日の帰り、一緒に帰ろうと言おうとしたところ運悪く、
    佐々木が給湯室へ入ってきた。

    「あ。主任おはようございま〜す!れんちゃん、おはよう」

    「あ、佐々木さん、おはようございます」

    「佐々木、えらく今日は早いじゃん。」

    「ちょっとね、朝ごはん買ってきたんで。食べま〜す」

    「もお〜、ここで食べないでよね。食堂行けばいいじゃない。」

    「じき食べちゃうんで。」

    佐々木はアタシたちのことなど気にもせず、
    コンビにで買ってきたパンをガブガブ食べはじめた。
    もお〜、せっかくれんちゃんと2人きりだったのに〜
    タイミング悪すぎ。
    それになかなか出て行きそうにないし。
    もお〜

    アタシは仕方なしに課長のコーヒーとお茶を入れて課に帰った。
    それから、休憩時間に隙をみてれんちゃんの携帯にメールを送った。
    帰り待ってるって。
    でも、れんちゃんメール見るかな・・・
    会社でいる時はバッグへ入れっぱなしだから。
    望みは薄そう・・・やっぱり帰るまでに捕まえるしかないか・・・

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■12640 / ResNo.11)  Re[9]: 砂漠の花
□投稿者/ れん 大御所(281回)-(2005/09/02(Fri) 23:35:11)
    アタシはれんちゃんの課の終業時間を気にして、
    用もないのに2階と3階を行ったりきたり。
    早い日はれんちゃんは6時に終わるんだけれども、
    この日は8時をまわっても終わる気配なし・・・
    残業か・・・
    初めてバレンタインデーにチョコを渡す女の子のように
    アタシは朝からドキドキ・・・しすぎて半分疲れ気味だった。
    も〜、こうなったら直接れんちゃんのところに様子を見に行ってやる!
    アタシはれんちゃんと彼女の上司の所に様子を伺いに行った。
    れんちゃんの上司は課長と言ってもアタシと同期入社なのだ。
    女はいくら仕事ができても主任どまり。
    その点、男は仕事ができなくても年数努めれば出世もできる。
    日本の会社ってまだまだだなあ・・・と思う。
    ま、れんちゃんの上司は仕事ができる部類の男だけれども。
    でも、年頃の家の遠い女の子を一人残して残業させるという
    ところは、ひどい。サドだ。他にもっと空いてる人間がいるだろうに。
    まあ、れんちゃんを独り占めしたいのはよくわかる。
    みんなわざとない仕事を見つけて残業しているのは
    れんちゃんと一緒にいたいから、飲みに誘いたいからという下心があるのだ。
    でも、れんちゃんは真面目一筋。
    飲みに誘っても無駄無駄。
    アタシ以外とはいかないんだからね。
    アタシはコピーをとりにきたフリをして商品部に近づいた。
    ほとんどの社員が帰っている中、薄暗く蛍光灯のともっている片隅・・・
    課長と、れんちゃんだ。

    「残業ですか〜?」

    さりげなくアタシは言った。

    「おお!橘。お前、まだいたのか?」

    「まだ、いたのかって・・・!何それ。アタシも今日は残業よ。
    そっちも忙しいの?」

    「ああ。まあな。」

    「もう8時よ。れんちゃん早く帰してあげないと」

    「お?もうそんな時間か?そうか・・」

    わざとらしい・・・

    「よし、もう終わろうか。先、帰っていいぞ。俺はもう少し片付けてから帰る。」

    やった!
    この男のいいところは引き際がいいとこ。
    まあ、アタシには口でかなわないと思ってるから引くんだろうけどね。

    「よかったね〜、れんちゃん。アタシももう終わりだから一緒に帰ろうか」

    「はいっ!」

    アタシはれんちゃんの片付けるのをまって一緒に帰ることにした。

    「じゃあ、課長・・お先に失礼します」

    れんちゃんはまだ残るという課長に少し気を使っている。

    「おお!おつかれ〜。
    おい、橘、お前ちゃんと送れよ!」

    「わかってますよ。なんですか?!」

    「飲みに連れていくなよ〜。」

    ドキリ。

    「連れていきませんて。(笑)」

    この男、アタシとれんちゃんの関係を感づいてるんだろうかと時々疑いたくなることがある。
    でも、それは杞憂だろう。
    ただ、アタシが男に興味がないということは長年の付き合いでわかってはいると思うのだが。
    それをどうこういう輩でもないので、この男は安全圏だ。
    れんちゃんへの態度にしてもまるで自分の子供のような、妹のような可愛がりようである。
    れんちゃんと性的対象として見ない分、この男をアタシは信頼してる。
引用返信/返信 削除キー/
■12641 / ResNo.12)  Re[10]: 砂漠の花
□投稿者/ れん 大御所(282回)-(2005/09/02(Fri) 23:52:03)
    それはそうとやっと2人きりに慣れた。
    ふう・・・
    着替え終わって一息ついた。
    れんちゃんはアタシより一足遅れて身支度を整え終わった。
    なんだか疲れてそう。
    残業だったもんね。
    なんかぼ〜っとしてる。

    「れんちゃん?」

    「は・・はい!」

    「疲れた?(笑)」

    「いえ・・」

    「考えごと?」

    「え、あ・・・ちょっとボーっとしちゃって」

    「ふう〜ん。他の誰かのこと考えてたんじゃない?」

    あ・・何言ってんだろ。アタシ。
    こんな時に。
    でも、この頃れんちゃん様子がおかしいからなんか気になるのよね・・・
    前にライブハウスでれんちゃんと一緒にいたあの美人の子が頭にひっかかっていた。
    よりによって、今思い出すなんて・・・
    アタシの馬鹿馬鹿。
    女の嫉妬じゃない!

    「まさか〜全然違いますっ・・・(汗)」

    少し、れんちゃんの目が泳いだのをアタシは見逃さなかった。
    やっぱり、何かあった?
    アタシ以外の誰かのこと、考えてたんだ。
    でも、れんちゃんは否定したから、これ以上は聞けない。
    話したくないなら無理に聞こうとは言わない。
    いつか話してくれる日がくるのだろうか。
    今は言えないだけ?
    アタシに言えないことなんて・・・
    一体何があったの?
    れんちゃんが疲れてそうにしてたり、元気がないように思うのは
    なんか見ていて辛い。
    れんちゃんは笑顔でなくっちゃ。
    人を幸せにする笑顔・・・
    才能とでもいうようなそれがれんちゃんにはあるから・・
    アタシ以外にもきっとこの子は誰かを救うことができる子だから・・

    「なら、いいけど。」

    アタシは話を逸らせた。

    「それより、れんちゃん、手だして」

    「え?」

    れんちゃんは一瞬不思議そうな表情をしたけれど素直に手をだした。
    アタシは差し出された小さい手の上にコトンとプレゼントを置いた。
    手のひらの上の感触に、びっくりしてれんちゃんが目を開けた。

    「え・・?これ・・・」

    「あら。自分の誕生日忘れたの?ふふ(笑)」

    「え!!あ。そっか〜。忘れてました(苦笑)」

    「20歳!誕生日おめでとう。・・・開けてみて?」

    「あ・・ありがとう・・・」

    リボンを解いて、包みを破らないよう慎重に開けるれんちゃん。
    中を開けて「わあ・・・」
    とれんちゃんは声をあげた。
    素直に嬉しいという表情。
    口元に笑みが浮かび、顔が輝いていた。

    「綺麗・・・ピアス・・・
    あ・・・片方・・・・だけ?」

    「そぉ。れんちゃん、もともとピアス穴1つでしょう?
    それにもう片方はここ!!」

    アタシは自分の髪を掻き揚げた。

    それを見たれんちゃんは

    「・・・うれしい・・・」

    と、素直に嬉しいと言った。
    可愛い・・・素直なれんちゃん。

    「れんちゃん、してみる?」

    「・・・うん!!」

    れんちゃんは自分でピアスを耳にはめた。
    思ったとおり、そのダイヤはれんちゃんの可愛らしい耳にとても似合っていた。
    雫の形のピアス。
    ううん。この雫は涙の雫じゃない。
    れんちゃんに涙は似合わないから・・・
    薄暗い室内に外のネオンの反射が煌いていた。
    月光は届かない。
    でも、れんちゃんの耳には月の雫・・・

    ハッピーバースデイ。
    れんちゃん。
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■12649 / ResNo.13)  NO TITLE
□投稿者/ カルピス 一般♪(5回)-(2005/09/03(Sat) 17:05:12)
    こんにちわ、続きが更新されて嬉しいです(^^♪
    読んでると、早く彼女欲しいなぁってつくづく思います(笑)
    全然関係ないけど、私は今夏休み中で試験に向けて勉強しています( ..)φメモメモ
    やっぱり将来女の子と暮らしたいんで安定した収入が欲しいですよね☆彡
    れんさんは女の人と結婚したいですか?

    (携帯)
引用返信/返信 削除キー/
■12650 / ResNo.14)  Re[2]: カルピスさんへ
□投稿者/ れん 大御所(283回)-(2005/09/03(Sat) 21:13:49)
    ひさっびさに更新しました。
    お待たせしてすいません・・・
    彼女ですか。ワタシはいまだかつて彼女なんていたことありませんね〜
    なので女性とは結婚無理です。
    養ったり、養われたり・・
    ワタシにとっては、なんかそういう問題って大変な気がします。
    あまり考えたくないってのが本音ですね。
    勉強、がんばってくださいね♪(^-^)
引用返信/返信 削除キー/
■12792 / ResNo.15)  お久しぶりです!!
□投稿者/ リオ 一般♪(1回)-(2005/09/11(Sun) 15:18:47)
    長い間これなくてすいません!!
    仕事が忙しくてやっとこれました。
    れんさんの物語やっぱり最高です!!
    ノアさんの気持ちよくわかります☆好きになったら一途なんですね。
    れんさんのこと好きでたまらないんですね。
    これからの続き楽しみにしてますね☆
引用返信/返信 削除キー/
■13055 / ResNo.16)  Re[2]: リオさんへ
□投稿者/ れん 大御所(284回)-(2005/09/24(Sat) 23:41:13)
    久しぶりですね!
    私も最近ずっと忙しくてなかなか小説をアップすることができず・・・
    みなさんに迷惑かけてるな〜と思ってたんですよ。
    でも、こうやって続けて読んでくれてるとなると
    頑張って完結まで書かなければ!っておもいます。
    では、また読んでくださいね。
引用返信/返信 削除キー/
■13056 / ResNo.17)  Re[3]: 続・砂漠の花
□投稿者/ れん 大御所(285回)-(2005/09/24(Sat) 23:52:22)
    20歳になったれんちゃん。
    見かけはまだまだ高校生、ううん中学生でも十分通用するくらい、幼い顔立ち。
    それに化粧なんかしなくてもいいくらい肌にもハリがあるし、アタシみたいに
    シワやシミもひとつも無い。
    うちにれんちゃんが泊まるようになって、まず驚いたのは
    れんちゃんのスッピンだったっけ。
    化粧をとると本当にあどけないんだもの。
    なんだか、幼い子をたぶらかして犯罪を犯しているような錯覚にとらわれるほど(笑)。
    そもそも、アタシはミサキにロリコン!っていわれて否定してきたけど
    まさに!ってね。
    れんちゃんを好きでいるってことは、
    自分でも、そういう趣味があったのかなあ〜って認めざるおえないっていうか。
    れんちゃんとアタシ、つりあわないよね。

    でも、20歳かあ・・・
    とりあえずプレゼントも喜んでくれたようだったし
    よかった・・・
    元気にもなったみたい。


    ほんとに。
    誕生日を経て、れんちゃんはいつもどおりの彼女に戻ったようだった。
    アタシが贈ったピアスもちゃんとつけてくれてる。
    ふふ。
    自分と同じそれを時々確認して一人でにやけてるあたし。
    危ない女だわっ・・・
    このままじゃ危険人物じゃないの。
    クールなアタシにもどらなきゃ。
    にやけたり、すましたり・・・
    また思い出してにやけたり。。
    会社でアタシってば百面相してるな〜


    「橘主任〜!」

    「?」

    「どうしたんですか?ニヤニヤしたり、怒ったり(笑)」

    なんだ、佐々木か。
    一番見られたくないやつに見られてたか。
    しかもそれを突っ込まれたアタシって・・・
    情けない〜
    から、わざとクールに返答した。

    「別に。何か用?」

    「いえ、もうすぐ慰安旅行だなあ〜って思って」

    「ああ。そうね」

    「楽しみですね。ところで、今年はどこに決まったんですか?」

    「白浜。」

    「え〜。めっちゃ近場じゃないっすか。」

    「仕方ないじゃない、会社も不景気なんだから。」

    「まあ、そうですけどね。1泊2日ですか?」

    「そうよ。」

    「やっぱり・・・で、ところで相談なんですが」

    「なによ、佐々木。またなんかややこしいこと言うんじゃないでしょうね」

    「違いますよ〜。えっとですね、部屋割り。あるじゃないですか、それをですね・・・」

    「あ〜、わかった。絵実ちゃんと一緒にして欲しいっていうんでしょ?わかってるわよ」

    「絵実と一緒は当然なんですけどね」

    「まだ何かあるの?」

    「部屋って4人か6人部屋ですよね?」

    「もちろん、そうなると思うけど・・」

    「あの〜、できれば、橘主任とれんちゃんと同室がいいな〜な〜んね」

    「なんで、れんちゃんなのよ?」

    「いや、カップル同士じゃないですかあ。だから、いろいろと気を使わなくてもいいかなあ。と」

    「まあ、それはそうだけど」

    「でしょ〜。じゃあ、お願いしときますね。」

    佐々木は、それだけ言うとさっさと仕事に戻ってしまった。

    な〜んか、怪しいわね、あの子は。
    れんちゃんと同室なんかに絶対したくないところだけど・・・
    だって何するかわからないもん。佐々木ってば。
    絵実ちゃんの見てないところでれんちゃん、狙ってたりするんだから。
    絶対、危険だわ。
    でも、アタシがついてるんだから大丈夫かしら。
    れんちゃんには絶対指一本触れさせないし。
    ああ、そうだ。
    慰安旅行といえば、露天風呂。
    気をつけないと。
    女同士で裸になる場があるじゃない!!
    れんちゃんをひそかに狙っている佐々木は絶対れんちゃんの裸をチェックしようとしてるハズだもの。
    でもれんちゃんの裸とスッピンは佐々木には絶対見せてやらないから。
    おあいにくさま!ベロベロバ〜!!
    れんちゃんはアタシだけのものなんだから!
    (なんて、子供っぽくなったのかしら。アタシってば)

    ああ。今から不安がいっぱい。
    佐々木以外にも、若手男子営業社員や役職オヤジもれんちゃんを狙ってる。
    男どもの酒攻撃からもれんちゃんを守らなければいけないわ!
    ああほんとに。心配。
    れんちゃんと初めての慰安旅行は楽しみだけれども、
    アタシの胃はしくしく痛むのであった。


引用返信/返信 削除キー/
■13176 / ResNo.18)  Re[4]: 続・砂漠の花
□投稿者/ れん 大御所(287回)-(2005/10/03(Mon) 23:32:16)
    あっという間に慰安旅行の日が近づいてきた。
    結局、ホテルでの部屋割りは佐々木の望み通りになった。
    部屋わりを決めるのはアタシの仕事だったけれども、
    アタシもいろいろと考えた結果、そうするしかないと思ったのだ。

    れんちゃんにはアタシがずっとついていれば問題ない。
    佐々木は絵実ちゃんがいる前ではれんちゃんにチョッカイをださないだろうし。

    あの二人のいちゃいちゃぶりを間のあたりにして、しかも同じ部屋で寝るなんてことは最悪だけれども、そこんところはうまいことするつもりだ。
    きっと、例年のごとく食事を兼ねた夜の宴会は2次会、3次会まで行われるだろうし新入のれんちゃんがターゲットにされ、お酒を飲まされるであろうことは、もはや目に見えて予想される。
    部長や次長に付き合っていると、部屋に戻るのはおろか、下手をすれば朝までお酌をさせられるというのも、あり得る話だ。
    まあ、そうなれば佐々木たちに気をつかって部屋で過ごす時間なんて問題はなくなってくるんだけれども。
    去年の慰安旅行では社員の半分以上が朝まで飲んでいたのだった。
    アタシはお酒が好きだしそういう場も苦痛ではないけれども
    きっとれんちゃんにとってもすごく疲れることだと思う。
    ころあいを見て連れ出してあげないとな・・・


    慰安旅行当日。
    空は快晴。
    7月の風は熱気を帯びてさんさんと頭上から降りそそいでいた。
    暑い一日になりそうだ。
    待ち合わせ場所に向かった。
    バスが2台、駅のロータリーに停車していた。
    れんちゃん、来てるかな・・・
    あ!いた。
    ジーンズにTシャツ、背中までの長い髪は今日は束ねていない。
    だから、余計印象が若くてやわらかい感じだった。

    「れんちゃん!!おはよう」

    「おはようございます」

    アタシに気づいたれんちゃんは天使のようににっこり笑って、
    手を振った。

    「れんちゃん。髪おろしたら若く見える!
    ・・・って、普段でも充分若いけど(笑)」


    「若く見えるって?・・・年相応の20歳に見えません?」

    「アタシには中学生くらいに見えるけど(笑)」

    「ええ〜まさか。」

    「ほんと。ほんと。若い。若い!アタシみたいなオバサンと一緒にいたら、親子に間違われるかも(笑)」

    「そんなことないです!!橘さんも充分若いですっ!!」

    「ふふ。ありがと(笑)」

    なんだか、訳も泣くにやけてしまうアタシだった。

    とそこに

    「お〜い!橘。遅いぞ!」

    という声が。
    れんちゃんの上司でありアタシと同期の南田だった。

    「遅い?だってまだ出発時間まで15分もあるじゃない〜?」

    「遅い!遅い!もうみんな乗ってるぞ〜!」

    「え?」

    驚いてバスを見ると本当にもうほとんどの座席は埋まっていた。
    こんなときだけ集まるの早いんだからね、この人たち。

    「ごめんね、れんちゃん。アタシが来るの待っててくれたんだ。
    先に乗ってくれればよかったのに。」

    「でも・・・席とか部署できまってるのかなとか思って・・・
    それに・・橘主任と一緒に座りたかったし・・・」

    控えめにそう言ったれんちゃんは少し頬を赤らめてうつむいて・・・
    その場で押し倒し倒してしまいたい衝動に駆られてしまったアタシだった。
    が、冷静を装って

    「ありがと。じゃ、さっさと乗りましょ。」

    アタシはれんちゃんを先導した。

    れんちゃんの上司の南田がさっきから
    早く乗れ!乗れ!とうるさいので
    アタシは南田が乗っている方のバスにれんちゃんを誘って乗車した。
    この南田って男、れんちゃんのことがすごく気にいって部下として大事にしているくせに案外気使って、れんちゃんのことを一番気にかけているのに、素直にれんちゃんに言えないのよね。
    それで遠まわしな態度とるんだから(笑)
    まあ、そこが可愛いとこではあるんだけどもね。
    あ。可愛いといっても、れんちゃんに感じる可愛さとは意味の違う「可愛い」ね。
    でも、その気持ちはわからないでもないよなあ。

    アタシは2つ空いてる席でれんちゃんと隣同士の席をゲットした。
    でも、ふとみると横は佐々木と絵実ちゃんだった。
    あちゃ〜。
    2人はもう2人だけの世界に入ってる。
    よくもまあ、堂々といちゃいちゃできるもんだわね。
    こっちとしては、見てるほうが恥ずかしくなってくるくらいだ。
    佐々木の絵実ちゃんを見る目は、はっきり言ってエロイ。
    上から下までなめるように、色っぽい、いや、エロっぽい視線を送っている。
    まるでオヤジ並みだ。
    そんな目で佐々木は時々れんちゃんを見るのだから、まったく気が抜けない。
    って、もしかしたらアタシがれんちゃんを見つめる目も、
    そんな空気が漂ってたりするんだろうか・・・
    う〜ん。
    それはまずいわ。
    周りに気づかれでもしたら大変!
    気をつけないと。
引用返信/返信 削除キー/
■13320 / ResNo.19)  Re[5]: 続・砂漠の花
□投稿者/ れん 大御所(288回)-(2005/10/13(Thu) 11:22:20)
    アタシたちの乗ったバスは若手連中が大半を占めていて
    出発するなり、ビールを飲んでみんな騒ぎだした。
    アタシとれんちゃんの席にもお菓子やつまみがあちこちから回ってくる有様。
    いつの間にかカラオケも始まって、マイクをまわせ、まわせの大騒ぎ。
    そんな中、れんちゃんはおとなしかった。
    楽しくないのかな?と思って横を見るとれんちゃんは
    窓際の席で景色をずっと見ているのだった。
    時々微笑んだり、なにか必死に見て感心して声をもらしたりした。
    まるで初めて遠足にいく小学生かなにかのように無邪気な笑顔。
    楽しんでるみたい・・
    よかった。

    「れんちゃん、景色ばっかり見てて面白い?」

    「あ。うんっ!私子供のころから景色みるのがすっごい好きで(笑)」

    「そうなの。ふふ(笑)」

    「つまらなそうに見えましたか?」

    「別に、そういうわけじゃないんだけど。」

    「周りが煩いでしょ、だから嫌になっちゃたのかなあ。と思って」

    「私、周りが静かよりもわいわい騒いでるほうが落ち着くんです。」

    「どうして?」

    「なんか、沈黙って落ち着かない。(苦笑)
    静かなの怖いんです」

    「ふうん・・・そうなの。
    でも、それなら、よかった(笑)」


    高速に乗って、バスはあっという間に白浜についた。

    「こんな近いと日帰りでも充分よね」

    荷物をバスに預けたまま、あたし達はエネルギーランドに行った。
    社員旅行でいくにしてはちょっと物足りない気もするんだけど・・・
    でも、まあれんちゃんと一緒にいれるんだからいいか!
    アタシはさりげなくれんちゃんの手を引いたり、
    みんなに見えないところで肩や、腰なんかに触れたりした。
    れんちゃんは気づかないフリをしてアタシと距離を保ったまま。
    そうされるともっといちゃいちゃしたいような気持ちになってくるんだけど・・・
    振り向くと佐々木がいたり、絵実ちゃんがいたり。
    誰かがいつもいて、うかつなことはできやしない・・・

    あ〜あ。
    これってちょっとキツイなあ。
    会社でいる時と違って、今日はみなが私服だし
    ココロが開放的になってる分、理性が揺らぎつつあるんだけども。
    いけないいけない。
    さっき、みんなに見つからないようにココロに誓いを立てたのに。
    アタシって、意思弱いのかしら。




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