| 紗織から受け取ったスープを口に運びながら、アリサと紗利はしばらく話していた。
「あれ以来店に行ってないけど、エリナは元気?」
一瞬アリサの表情が曇ったが、すぐに普段どおりの顔で答えた。
「元気だよ」
アリサの胸は苦しいくらいに締め付けられた。 本当に元気ならどんなに良かった事か。 例え目の前にいる紗利にエリナを奪われていたとしても、エリナが合意の上で付き合っているなら耐えられた。
熱いものがアリサの瞳から流れ出そうになったが、必死に抑えた。
俯いたアリサを不思議そうに覗き込もうとすると、パッとアリサの顔が上がる。 「何見てるの」
膨らました頬で紗利を睨むと、ぐっとスープを飲み干した。
「別に。あんた可愛いね」 紗利からの意外な言葉にアリサの眉間に皺が寄る。
「本当、エリナの余裕勝ちだけどさ。」
「当たり前じゃん。エリナは可愛いよ」
それを聞いて紗利は笑みを浮かべながら立ち上がった。
「エリナを恋人にするのは諦める」
またも意外な言葉にアリサは紗利を見た。
「エリナは私なんか見て無かった。接客してるときに目で追ってたのはアリサだったんだよ。」
「エリナが…私を?」
「大事にしなよ」
そう言うと紗利は部屋を出ていった。
「アリサ…」
自分を愛していてくれたエリナの想いを紗利から聞かされ、アリサからは我慢していた涙が一気に溢れ出た。
(携帯)
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