| 彼女はゆっくり近づき、右手を私のうなじに回した。
なぜか動けない。
自分が今置かれている立場と、追い込まれている状況と・・・
思考が止まってしまった。
『私、甘えられるのが好きです。』
『え?』
『キスのおねだりしてください。
甘えた声で・・・キスして!って。』
なんだか力が抜けて何も聞こえないし、何も言葉が出ない。
彼女に抱きしめられ、私は言うがままだ。
頭と言葉が分離したまま、私は囁いていた。
『キ、キスして。』
やっと声になった。
『聞こえないわ。もっとハッキリ、私の瞳を見て言って。』
まるで催眠術にでもかけられた様だ。
『私にキスして』
彼女は冷たいクチビルを私のクチビルに軽く当てた。
そしてゆっくり下唇を吸い、舌を入れてきた。
口は完全に塞がれている。彼女の舌が思いっきり私の舌と絡み合ってる。
力いっぱい吸われたあと、ゆっくり彼女はクチビルを首筋に移動させた。
『最高。信じられない。社長が私の腕の中にいるなんて・・・』
彼女はもっと力を入れて私を抱きしめたあと
『今夜は乱れさせるわよ。さぁ、シャワーを浴びてきて。清美。』
一言言った。
秘書に社外秘を握られ、ディープなキスをされ、名前を呼び捨てにされ、抵抗できないでいる・・・私。
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