| 最近冬は結構いい季節じゃないかと思うのです。
寒い寒いとブレザーの下に着た学校指定じゃないセーターの袖をのばすあなたは白い息を吐き出しつぶやく。 駅までタラタラ歩き続ける二人の距離は一定だ。
「さむいよー。」
よせばいいのにパックのお茶をずるずると啜る。よく冷えていそうなそれをさして美味いといった風でもなくずるずる。
「明日のバレー、中だといいなぁ」
「だね。」
「よっ。」
空になったパックはガコンとワンバウンドしてコンビニの前のごみ箱に吸い込まれた。 「あー!明日えーごのテストあるよね。」
「うん。単語の。」
「めんどくさー。」
くだらないお喋りの度吐き出される息は白く白く。
「さむいよー。」
「冬は、寒くないと。」
「マゾだ。」
「違うって。」
冬はいい季節だ。
「夏がいい。」 「夏は冬がいいって」 「じゃあ、春!」
「はいはい。」
冬はいい季節じゃないか。
触らなくても あなたの温度を感じられる。
「寒い。」
凍えるあなたを横目に冬が寒くてよかったとそんな事を思う私は、どちらかと言えばサドじゃないかと思うのだ。
(携帯)
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