| 私は全くと言っていいほど信仰心は皆無だけれど、それでもやはり死者は空へと住まうのだと信じずにはいられない。
だから可愛い可愛いウサギのリックが私の元から消えた時、空に手向けの花を捧げてみたのだが、悲しいかな、天高く投げた花束は重力を考慮しなかった私に向かって容赦なく降り落ちて、それを横目で見ていた彼女に「馬鹿みたい」と言われたり、何だか散々だった。
ひらりと私に後ろ姿を見せ。 「もしわたしがもう会えない人になっても、そんな事しないでね」 そう言い捨てて、相変わらず自分勝手な彼女はすたすたと先を行ってしまう。 慌てて背中を追いながら。 「めそめそされるの大っ嫌い」 厳しい言葉が胸を打つ。
そしてどこまでも勝手な彼女は、ふらりとひとりで逝ってしまった。
どこまでも人の話を聞かない私は、やはりぼんやり空を見上げては空へと花を贈るのだ。
(携帯)
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