ビアンエッセイ♪

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■14166 / ResNo.40)  40
  
□投稿者/ 雅 一般♪(42回)-(2006/04/07(Fri) 09:03:44)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    その日、可憐は奈子先輩の家に泊まった。

    家には、奈子先輩が電話を入れてくれた。

    幸い雪がひどかったので、それを理由に奈子先輩は母にうまく話してくれた。

    母も、奈子先輩なら安心なのか、余りご迷惑かからないようにね

    とだけ言って機嫌よく了承してくれた。


    その夜、可憐は、自分から奈子先輩を求めた。

    奈子先輩は少し驚いた様子だったけれど、優しく可憐を受け入れた。


    ゆっくりと奈子先輩の唇に自らの唇を合わせ

    そして、柔らかい髪に指を滑らせた。


    奈子先輩の細い腕が、可憐の首筋に絡みついた。


    温かい・・

    今この人は・・私の腕の中にいる


    でも・・

    この人の心の中には


    心の中には・・・


    そんな事が、こうやって貴女を感じさせていても

    よぎってくる


    すごく悲しくて・・そして寂しくて・・


    貴女の乱れる髪と、恍惚に浸った顔、腰をくねらせながらの喘ぎ・・


    そして

    流れ出す蜜を舌と指で確認しながら・・・


    「ハァハァ、可憐・・・アァァッ、ンアァァァァァ」


    立ち込める・・

    二人の汗と、体液の香り・・



    貴女の中から、私以外の全てを忘れさせたい



    今は・・

    今だけは・・・


    私だけのもの


    今だけは、誰も見ないで・・・

    私だけを感じて・・


    ねぇ・・先輩・・
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■14167 / ResNo.41)  41
□投稿者/ 雅 一般♪(43回)-(2006/04/07(Fri) 09:04:21)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    そのあと・・・

    奈子先輩の寝息が聞こえてきた・・


    ぼんやりと周囲を照らしたままのライトに手を伸ばすと

    奈子先輩は、寝返りを打って可憐の胸に顔を埋めた。


    きっと今まで寂しかったんだろう。

    今まで、この美貌でならいくらでも男性からの誘いもあったに違いない。


    じっと奈子先輩の顔を見つめていると、閉じた目尻に涙らしきものが溜まって

    いるのが見えた。


    何の涙?

    椿さんのこと・・思い出したから?


    可憐はそっと奈子先輩の乱れた髪をそっと撫でた。


    「ン・・・可憐・・・」


    薄っすらと奈子先輩の目が開いた。


    「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」


    「ううん・・・眠れない?」


    奈子先輩は、ベッドから起き上がって素肌の上にガウンを羽織った。

    冷蔵庫から、ミネラルウォーターの瓶を持ってきて、喉を鳴らしながら半分を一気

    に飲んだ。


    「飲む?」


    奈子先輩はそういうと一口含んで、可憐の唇を塞ぎ、そっと流し込んだ。

    まだ冷たさの残った水が、唇の端から流れ、可憐の胸を伝った。

    伝った水の感触と奈子先輩の色っぽさが相乗して、妙にエロティックさを感じた。


    奈子先輩は、それを敏感に感じとったのか、薄暗いの中

    可憐の唇の端から、水の伝った跡をゆっくりと人差し指でなぞった。


    「アッ…」


    その人差し指は、可憐の乳首の際を微妙にかすりながら、可憐の身体を

    甘い刺激として反応させた。


    「可憐・・・。可愛い。」


    肌蹴たガウンから奈子先輩の綺麗な形の胸が、薄暗い中でも強調されて見えた。


    可憐は、奈子先輩を見つめた。そして、ゆっくりと奈子先輩に誘導されるが

    ままに、ベッドへ横たわった。


    奈子先輩の温かい舌は、可憐の全身をくまなく這って、可憐の一番敏感な

    既に濡れそぼっている股間の谷間を押し開き、そこを口に含んだ。


    可憐の身体は、電流が流れたように反り返り、部屋中に響き渡るような

    快楽の恍惚の叫びがこだました。


    「可憐、大好き・・大好きよ」


    溢れ出る蜜壺に生暖かな指を差し入れ、その奥をまるで生き物が動いているような

    手つきで快感の絶頂へと導いた。

    奈子先輩の唇は、片時も敏感に大きく腫上がった突起から離れることはなかった。

    蠢く舌先・・・


    「アァッァァ、ハァ、アァァァアーン、もうダメェェ」


    ベッドのシーツを鷲掴みながら、可憐は恍惚の絶頂を迎えたのだった。



    「可憐・・貴女は・・貴女だけは絶対に、私から離れないで・・」


    奈子先輩は、そう言って可憐の唇にキスした。

    その唇は、ほんの微かだったが、震えているように感じた。


    愛してる・・

    奈子先輩・・・。
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■14168 / ResNo.42)  42
□投稿者/ 雅 一般♪(44回)-(2006/04/07(Fri) 09:04:53)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    会社での奈子先輩は、やはり私になんて手の届くはずのない人で

    いつも颯爽と歩く姿は、余りにも凛として


    この人にとって、私が本当に必要かどうか・・・


    それでさえも分からなく自分がいた。



    それから数ケ月の時がたち・・


    人事異動の時期。

    会社内では、誰がどこに飛ばされるとか、そんな話題で持ちきりだった。



    「何か、海外から、すっごいエリート帰ってくるかも知れないんだって」


    楓が、仕入れたその情報は、現実のものとなった。




    『小島 司』


    ミルウォーキー帰りのスーパーエリート、性別は男。歳は、30代前半ってとこだろ

    うか。噂によるとまだ独身らしい。

    髪は短く、背が高くてスラッと長い脚、ほりの深い顔は、日本人離れしている。

    入社3年目にして、ミルウォーキーの支店に営業として抜擢され渡米。

    幼少の頃から、英会話にはたけているらしく、はっきりと物を言う性格と、

    目覚しい営業成績。

    社長のお墨付きという新しい営業本部長・・・


    何と秘書に、奈子先輩を指名したらしく、来月から、奈子先輩は秘書室に異動とい

    う発表があった。


    「すごいよね〜。さすが奈子先輩。秘書室行きか〜」


    楓は、その発表を聞いて、かなり興奮状態だった。

    可憐の心中は、少し複雑だった。


    一番近くにいるのに、

    一番遠い存在。。


    奈子先輩の過去を知ってからというもの、その気持ちがどこか見え隠れして・・


    ますます遠い存在になりそうな

    そんなイヤな予感が、可憐の胸をよぎった。
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■14169 / ResNo.43)  43
□投稿者/ 雅 一般♪(45回)-(2006/04/07(Fri) 09:06:01)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「はぁ、何で私なのかしら・・。あの本部長、さっぱり分からないわ。」


    奈子先輩は、ベッドで肘をつきながら、可憐に呟いた。


    「仕事できるから。皆そういってるよ。」


    奈子先輩は、すこし沈んだ声の可憐に気づいてか、にこっと笑いながら、

    可憐の鼻をつまんだ。


    「んっ!」


    奈子先輩は、苦しくて横を向く可憐を抱き寄せ、そのまま可憐の唇を塞いだ。



    「な〜に?心配でもしてんの?」


    ニヤリと笑って耳元で囁きながら、その右手は、可憐の太股を妖しい手つきで

    撫であげていく。


    奈子先輩の唇が、可憐の腹部を這う頃には、可憐の蜜壺から溢れんばかりの

    蜜が流れ出していた。


    「もう・・可憐ったら。こんなに溢れて・・」


    奈子先輩に見つめられてると思うと、それだけで溢れてくる。


    奈子先輩の唇や舌の感触は、可憐の身体に刻み込まれていて、

    それらに犯される前に、敏感に身体が反応してしまうのだった。


    「アァァァッ」


    溶けそうになる・・身体の奥から・・

    朦朧とする意識の中で


    激しい愛撫の音が、耳を刺激して

    身体の奥に感じる貴女の蠢く指の温かさ・・


    私だけのもの・・



    そう



    私だけのもの・・・。
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■14171 / ResNo.44)  44
□投稿者/ 雅 一般♪(48回)-(2006/04/07(Fri) 09:10:35)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    奈子先輩が秘書室に異動になったその日



    いつものように楓と待ち合わせて、食堂へと向かった。



    「可憐。ほらっ、奈子先輩と、小島本部長よっ!」



    楓が指差す方を見ると、既に食事を済ませて、コーヒーを飲んでいる二人の姿があった。



    何となく・・

    見てて、気分のいいものじゃない。



    私、妬いてる?



    「お似合いよね。。悔しいけどさ。」



    楓のその言葉が、可憐の耳に残った・・。




    お似合い・・。



    その言葉って、


    私と奈子先輩じゃ、どう間違ったって有り得ない。



    やっぱり、同性って不利・・。

    同性ってだけの問題じゃないんだけど・・・。




    食事をしている可憐の隣を、二人が通り過ぎて行った。



    奈子先輩の視線を一瞬だったけど感じたような気がした。


    でも、可憐は、振り向くこともしなかった。




    そんな時、同期の一人が言った。


    「小島本部長を結婚させるために、日本に帰したらしいよ、社長。」



    「じゃ、白羽の矢は奈子先輩ってこと?」


    楓は、身を乗り出して同期の話に耳を傾けている。



    今、何も聞きたくない・・


    その場から、立ち去りたい・・



    可憐は、ただひたすらそう思った。
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■14172 / ResNo.45)  45
□投稿者/ 雅 一般♪(49回)-(2006/04/07(Fri) 09:11:12)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「可憐?どうしたの?」


    奈子先輩の言葉で、ふっと我に返った。


    「えっ?別に何もないよ・・・」


    「最近変だよ?何か気にいらないことあるんじゃないの?はっきり言ってよ。可憐」



    最近、そんなことが度々あって、二人の関係が少しづつ歯車がかみ合わなくなっていたのは事実だった。



    奈子先輩には・・

    もしかしたらあの人のほうが幸せになるのかも知れない・・


    私が奈子先輩から離れたら、もしかしたら・・・




    そんなことが、可憐の頭の中をグルグルと周り、素直な気持ちで、

    奈子先輩と接することができなくなってしまった自分がいた。


    優しい奈子先輩の笑顔を見ていると、余計に、私はこの人の幸せの邪魔者ではないのかと・・



    奈子先輩の未だ心の奥底にある辛い思い・・


    私は思い出に変えてあげることはできるのかな?




    奈子先輩にとっては

    もしかしたら・・


    幸せな家庭を築くこと・・

    それが何よりの癒し、何よりの幸せなのかも知れない・・



    それには、私は・・




    私は・・


    邪魔・・・。




    薄い月明かりの中、物音と言えば、カチッカチッと時を刻む目覚ましと、

    隣で眠る奈子先輩の寝息だけだった。



    可憐はそっと、奈子先輩の手に自分の手を重ねて

    今ある温かみを感じていた。


    奈子先輩・・・。


    一筋の涙が、ポトっと 二人の繋いだ手に流れ落ちた。



    可憐の心の中の雨雲は

    どんどんと広がり・・



    遠くから雷雨の夜が迫ってきていることを

    二人はまだ、知らなかった。
引用返信/返信 削除キー/
■14173 / ResNo.46)  46
□投稿者/ 雅 ちょと常連(50回)-(2006/04/07(Fri) 09:11:48)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「可憐、おかえりなさい。今日も遅かったのね・・」


    母は、少し心配そうな顔をして、玄関まででてきてそう言った。


    「うん。最近、仕事忙しくって。」


    そういうと、可憐は、そのまま2階の自分の部屋へと駆け上がった。


    母はとても敏感だから、私が、誰かに抱かれてきたことくらい、きっと薄々感づいているに違いない。

    そう思うと、帰宅してすぐは母の顔を直視できなかった。



    服を脱いで、鏡に自分の下着姿を映してみる。


    鎖骨の際に、奈子先輩がつけたキスマークがまだはっきりと残っていた。



    本当に、奈子先輩は、私でいいのかな・・。


    そっと、そのキスマークを指で撫でながら、可憐は独り想いにふけっていた。


    可憐は、その後、そのままお風呂場へと行った。


    ゆっくりお風呂に浸かりながら、目を閉じて考えていた。



    こんなことばっかり考えてる自分が・・すごく嫌い・・。

    こんなんじゃ、本当に奈子先輩に嫌われてしまう。



    可憐は、そんな自分を消すかのように、いつも以上に泡を一杯にして、ゴシゴシと身体を洗って、綺麗に洗い流した。


    お風呂から上がると

    「可憐、ちょっと話があるんだけど」


    可憐は、母に気づかれないように平静を保って、母のいるリビングに足をむけた。


    「何?話って」


    母は、可憐の顔をじーっと見つめてこう言った。


    「ねぇ、お母さんに内緒にしてることある?お父さんに内緒でいいから、お母さんには、そろそろ話してくれてもいいんじゃないの?」


    「何言ってるの?お母さんったら。」


    可憐は、笑って母に言って、冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出し、それを一口飲んだ。


    「最近の可憐見てたら、それくらい解るわよ。

    内緒にされてるほうが、心配で心配でたまらないの。

    可憐は、まだ結婚前の娘なのよ。ちゃんとしたお付き合いをしてるの?

    最近心配なのよ・・。可憐の表情が、どことなく暗いし、何かあったんじゃないかって・・」


    母は、寝ている父に聞こえないように、コソコソと可憐に話つづけている。


    「ほんと、そんな人いないわよ。奈子先輩にお世話になってるのはお母さんにも、ちゃんと話してるじゃない。それ以上は、何もないよ。」


    母はまだ疑っているような眼差しだったけど、可憐が余りにもはっきり言うので、仕方なく引き下がった様子だった。


    本当は、言ってしまいたかった。


    その相手は、奈子先輩なの・・って。


    でも、そう正直に言えない相手であることは、前から重々承知してたことだ。


    母から疑いの目で見られ、色々勘繰るように聞いてこられると、

    同性を好きになってしまったという愚かさと、悲しさと、母への申し訳ないという気持ちで一杯になった。


    母は本当の事を知れば、何て答えるんだろう。

    きっと、ケモノを見るような目で私を見るに違いない。


    「お母さん。男の人なんて今考えられないから、心配しないで・・。」


    その言葉は嘘じゃないの・・。

    今は奈子先輩の事で、頭が一杯なの・・。

    ごめんなさい・・。


    母は、にっこり笑って頷いた。

    「じゃ、週末、奈子さんお呼びしなさい。お父さん、出張でいないし、美味しいもの作ってあげるから。

    いつもお世話になってばっかりじゃ、申し訳ないじゃない。ねっ」


    母はそう言うと、もう寝なさいよと一言言って、部屋へと戻って行った。


    可憐も、そのまま電気を消して、部屋へ戻った。

    何だか、胸の中で、変な塊がつっかえているような、そんな息苦しさを感じた夜だった。
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■14174 / ResNo.47)  47
□投稿者/ 雅 ちょと常連(51回)-(2006/04/07(Fri) 09:12:25)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「週末家に泊まりに来る?母がきてもらえって」


    「そっか。でも、可憐の声聞けないのもヤだなぁ。」


    奈子先輩は、にやっと笑って、可憐を抱き寄せた。



    「アァン、さっき終わったばかりなのに・・これ以上したら・・」


    そんな可憐の言葉など、聞こえていないふりをして、
    可憐の耳元に、舌を這わせた。


    「だって、ここも・・・ほら。」


    奈子先輩のしなやかな指が、可憐の蜜の溢れる股間へと伸びていく。


    「あっ…」


    その指は完全に可憐の身体を知り尽くしていた。

    流れ出る愛液を指に絡ませ、その滑りを巧みに使って可憐を身体の芯から熱く溶かしていった。


    「アァァッ、アーン、ダメ、もう…ハァーン」


    動きを止めようとベッドに少し起き上がった可憐の股間を大きく開かせ、奈子は、すかさずそこに顔を埋めた。


    エクスタシーの大きな波が、再び可憐を襲った。




    私の股間に顔を埋め、そして私の愛液に塗れた奈子先輩・・・



    この瞬間だけは、全てを忘れて

    そして、


    この瞬間だけは・・

    何も考えないで、ただ私の愛液に塗れて


    私の喘ぎと


    私の奥深くが、熱くなってうねる波を


    感じていてほしいの・・・。



    可憐は大きく身体を仰け反らせてエクスタシーをむかえた。



    「私金曜は、ちょっと都合悪いんだ、だから、土曜の夜、可憐の家に行くよ。」



    動けなくてぐったりしている可憐の耳元で、奈子先輩はそっと、囁いた。



    「・・金曜日って、何かあるの?」



    可憐は、かすれた声で奈子先輩に聞いた。


    ちょっと一呼吸あって、奈子先輩は答えた。


    「うん。本部長と私の歓迎会。こればっかりは逃げれないからさ」


    「そう・・・」


    可憐はそのまま目を閉じて、それ以上、その話には触れなかった。
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■14175 / ResNo.48)  48
□投稿者/ 雅 ちょと常連(52回)-(2006/04/07(Fri) 09:13:04)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    金曜日・・。


    可憐は、朝から気分が浮かなかった。

    今日は、奈子先輩と本部長の歓迎会。


    二人が並んで笑って食事する光景・・。


    想像したくもないのに、想像してしまう。


    ダメだ・・。こんなんじゃ。

    気分かえなきゃ。


    可憐は、そう思いながら洗面所で顔を洗った。

    ふっと、鏡に映った自分の顔を見た。

    そして、顔をパンっと叩いて、出勤の用意をした。



    その日、可憐の課は、トラブルがあって、とても忙しい一日となった。

    他の事を考える暇もないくらい、バタバタと忙しかったので

    逆に、救われたと可憐は思った。



    時計を見ると、10時をまわっていた。



    もう、奈子先輩、歓迎会に行ってるんだろうな・・・。



    可憐は、更衣室で制服を着替えて、そのまま会社を後にした。


    電車に乗って暫らくすると、奈子先輩の家の駅に停車した。


    可憐は、何も考えず、そのままホームに降りてしまった。


    少しでいいから、奈子先輩の顔見れたらいいな・・。


    そんな事考えていたら、可憐は、奈子先輩の家へと、自然に足が向いてしまっていた。


    「・・!」


    奈子先輩のマンションの前に到着した瞬間、可憐は、そっと、手前にあるゴミ置き場にしゃがむように隠れた。


    奈子先輩と、本部長・・。


    どうして、本部長がこんな所にいるの・・・・?


    どうして・・。



    どうして・・・・・。




    イヤ・・。イヤァーっ。


    可憐は、そのまま二人を見ることなく、駅に向かって走って行った。


    可憐の頭に、笑顔の奈子先輩と、本部長の後姿が、悲しいくらい鮮明に焼き付いていた。


    家へ帰ってお風呂に入った。

    髪、身体・・・。いくら洗っても、その記憶が消えることはなかった。

    それどころか、二人が愛し合う姿まで、勝手な妄想が可憐の心を痛めつけた。


    あの柔らかい髪を、透けるような白い肌も、

    そして形のいい乳房も・・。


    可憐は、その妄想をかき消すかのように、棚の中にある父のお気に入りのブランデーをグラスに並々と注ぎ


    ぐいっと一気に飲み干した。


    疲れもあったのか、数分で酔いがまわり、クラクラしてきた。


    母に見つからないように、そっとグラスを洗い、フラフラしながら、階段を登ってベッドへと滑り込んだ。


    奈子先輩・・。


    奈子・・・せんぱ・・・い・・



    可憐は、そのまま深い眠りに落ちていった。
引用返信/返信 削除キー/
■14176 / ResNo.49)  49
□投稿者/ 雅 ちょと常連(53回)-(2006/04/07(Fri) 09:13:44)
http://id7.fm-p.jp/23/bianmiyabi/
    「可憐、奈子さんから電話よー」

    階下からの母の声で、可憐は目が覚めた。


    時計を見ると、お昼を過ぎていた。

    可憐は、ゆっくりと1階に降りていった。



    電話に出ると、奈子先輩の声は明るかった。

    4時過ぎには、家に来るという電話だった。


    その事を母に告げ、そのまま可憐は、ベッドに戻った。


    可憐は、夕べの出来事を思い出していた。

    どんな顔して、奈子先輩に会えばいいんだろう。


    明るい電話の向こうの奈子先輩…。


    いらないこと考えないでおこう、そう可憐は思った。



    夕方、奈子先輩はケーキを買って可憐の家へとやってきた。


    「いらっしゃい。どうぞ入って。今母、お買い物にいってるの。」


    可憐は普段と変わらないように奈子先輩に振舞った。

    奈子先輩は何も気づいていない様子で、いつもと同じように、

    可憐を抱きしめて、唇にキスした。

    それから間もなく母が帰ってきた。

    母は、奈子先輩の手土産のケーキと紅茶を入れてくれた。


    「奈子さん、秘書課へ移られたんですってね。」

    母は、奈子先輩に、何気なく会社の話にもっていって可憐の最近の会社の様子を伺おうとしていた。


    勘のいい奈子先輩は、うまく話しをしてくれて母は、それに納得した様子だった。

    それから、3人で鍋を囲んで、母の昔の恋愛話で話が盛り上がり、リビングは、和やかな雰囲気が漂っていた。

    お風呂からあがると、母はおやすみと寝室へと戻っていった。

    可憐と奈子先輩も、お茶を用意し電気を消して2階へと向かった。

    部屋に戻ると、既に母がお布団の準備をしてくれていた。


    お茶をテーブルに置いた瞬間、奈子先輩は、可憐を引き寄せた。


    「どうしたの?何か今日様子がおかしいわよ」


    気づいていたんだ…。可憐はそう思った。

    でも可憐は、何も答えなかった。


    そのまま、可憐は奈子先輩に抱かれた。

    いつも以上に激しく可憐の身体は敏感に反応した。

    階下の母に気づかれないように、可憐は必死で溢れでてしまいそうになる声を押し堪えた。


    それを気づいている奈子先輩の表情は、妖しい微笑みを浮かべていた。

    その舌は、可憐の敏感な部分へと侵入し、容赦なくその中芯へ刺激を緩めることはなかった。


    「アァァァッ」


    シーツを握り締める可憐の顔は恍惚に歪み、大きな喘ぎ声を部屋へ轟かせたのだった。


    可憐の中へとゆっくりと入ってくる奈子先輩の生温かい指の感触は、まるで電流を流すスイッチのように、

    可憐の身体は、大きく仰け反り、ビクビクと奈子先輩の動きに合わせるように、リズムに乗って反応した。


    その時だった。


    ガチャ。


    その瞬間、二人はその音の方向を見た。


    そこには、今まで見たことのないような悲壮な顔をしたの母の姿があった。

    そのまま扉を閉めた母の、階段をかけ下りる音だけが部屋に響き渡った。

    皮肉にも、明々と照明が二人の白い肌を煌々と照らしていた。


    二人は無言のままだった。


    奈子先輩は黙ったまま服を身につけ、そのまま部屋を去って行った。

    可憐も、引き止めることもなく、ただ呆然とその後ろ姿を見つめていたのだった。
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