| 配られた答案用紙に、 「仲田未樹」 と。自分の名前を書いて。 カリカリ問題を解くものの、私はどこか上の空だった。 休憩時間のトイレで、誰かが言ってたセリフがまわる。
「男なんて単純。 その気にさせるなんて簡単だよ。」
なんでもね、知っているような顔して言う子、いるけどさ。まぁ、単なる自意識過剰でもないと思うわけで…。 そういう意味では、私も"男"そのもの。
私こそ、まさに“単純で簡単な”イキモノだから。
だってさ。
瞳うるませて 真っ赤な顔して 声なんてかすれちゃって
やばいんだって、
あれは反則だよ。
可愛く見えない訳がない。 可愛く見えちゃうんだよ。
単純に、さ。 ソノ気に…なるじゃない?
世間では、これを「遊び人」っていうらしい。 昨日。親切な下級生がそう指摘してくれたおかげで、やっと私も自覚した…ような気がする。
……仲田先輩がそんな遊んでたら、好きなのに転校してったマミがかわいそうです。 もっと真剣に考えて下さい!!
初対面だった、名前すら知らない子の言葉だけが残ってる。
…遊んでるわけじゃないんだけどなぁ。
どれ位ぼんやりしてたのか…
キーンコーン♪ カーーンコーーン♪
テスト終了の合図が鳴った。
―――と、同時に私は席を立つ。 一番後ろ座席の生徒が、縦列全員の答案を回収する役目なのだ。 チラチラ見えてしまう。その答案達の一部一部………。
あれっ??
一瞬目を疑った。
白紙
まっさらの
(携帯)
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